希・羅語文献の訳し方研究 (旧デ・アニマの訳をいつかやりたい)

中世の聖歌の訳と単語帳、もしリクエストなどがあればもう少し力を入れてやります。

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スターバト・マーテルの訳をずーっと前に投稿しましたが、
http://blogs.yahoo.co.jp/dakuserukun/26333462.html
その当時は単語リストをつくる習慣がありませんでした。だからこれから作ります。
作業が進むごとにこのページを更新します。


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Stabat Mater dolorosa
(Mother was standing with sorrow)
(お母さんは悲しみ立っていた)
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+ stabat > sto (動詞) : 立っている / 立つ、立ち上がる
----- stabat は imperfect 未完了過去の三人称単数。was standing 立っていた。Imperfect は過去における継続的な、持続性のある行為を表します。行為には持続性があるものと一回やって終わりのものがあります。例えば、立っている、は持続性があり、立つ (立ち上がる)、は一回やって終わりです。
+ mater (女性名詞) : 母 ----- mater は単数、主格です。
+ dolorosa > dolorosus (形容詞) : dolor に満ちた ----- dolorosa は女性単数です。
関連語 dolor (男性名詞) : (肉体的) 苦しみ / (精神的) 苦しみ、悲しみ、悩み、面倒





iuxta crucem lacrimosa,
dum pendebat filius;
(by the cross crying in tears,
while her son was hanging there;)
(十字架のそばで涙を流して、息子が十字架に下がっている間ずっと)
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+ iuxta (対格をとる前置詞) : (何々の) 隣に、そばに、傍らに、(何々の) 隣で、そばで、傍らで、(何々の) 隣の、そばの、傍らの / (何々) にしたがって、(何々) に則して ----- 例: 法に、慣習に、命令に / (何々) に釣り合うように、(何々) にふさわしく ----- 例: 王の身分にふさわしく / (何々) の結果、(何々) が原因で ----- 例: 怪我
+ crucem > crux (女性名詞、男性名詞扱いのこともあり) : 処刑に使う木、または木製の構造物。罪人をはりつけるか吊るした。特に十字架。 / 拷問、苦しみ、難儀、悲惨な境遇、破滅
----- crucem は単数対格です。
+ lacrimosa > lacrimosus (形容詞) : lacrima に満ちた / 人に lacrima を催させる、憐れな、悲しい気持ちにさせる
----- lacrimosa は単数、女性、主格です。
cf. lacrima (女性名詞) : 涙
+ dum (接続詞) : (何々する) 間
+ pendebat > pendeo : ぶら下がる ----- pendebat は imperfect 未完了過去、三人称単数です。imperfect は過去における行為の持続、持続性のある行為を表す。ぶら下がっていた。


cuius animam gementem
contristatam et dolentem
pertransivit gladius.
(her soul sighing and sad and painful the sword penetrated.)
(ため息をつき、悲しみに満ち、苦痛に満ちた母の魂を、剣は貫いた)
*** これはずっと前の投稿の訳ですが、今日見直してみると、母の魂でなく、息子の魂と読むのが正しいようですね。キリストを貫いたのは剣でなく槍だったような気がしますが。
(his groaning soul sad and aching the sword penetrated.)
(悲しみに満ち、苦しみに満ちてうめく彼の魂を、剣は貫いたのだった)
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+ cuius : 関係代名詞 qui (who) の男性、単数、属格 ----- 属格は「何々の whose」という意味になります。性は filius 息子、に一致しています。
ずっと前に投稿したときの読みでは、女性、単数、属格 ----- 属格は「何々の whose」という意味になります。性は mater と一致。
+ animam > anima (女性名詞) : 魂、命 / (感情の場としての) 心 ----- animam は対格です。魂を。
+ gementem > gemo (動詞) : ため息を漏らす、うめく / 不平を漏らす
----- gementem は現在分詞形 gemens の単数、対格、女性です。現在分詞は動詞 (うめく) を形容詞化した形 (うめく、うめいている) です。数、格、性は animam 魂と一致しています (animam を修飾するということ)。
----- gemo の完了形 gemui、過去分詞 gemitum。
+ contristatam > consristo (不定詞 contristare) : 誰々を悲しくさせる、悲しませる ----- contristatam は過去分詞形 contristatus の女性、単数、対格です。animam と性、数、格が一致しています (animam を修飾するということ)。
関連語 tristis : 悲しい、tristitia (女性名詞) : 悲しみ、悲しさ、憂鬱、tristor (不定詞 tristari) : 悲しむ
+ dolentem > doleo (動詞) : 苦しむ ----- dolentem は現在分詞 dolens の女性、単数、対格です。animam と一致 (animam を修飾)。
関連語 dolor
+ transivit > transeo (動詞) : 渡る、横切る、通る (trans --- over, beyond) + eo --- go) / 貫く
----- transivit は完了形、単数、三人称。通った。貫いた。
+ gladius (男性名詞) : 剣 / 殺人、死
----- gladius は単数、主格。主格は主語になります。剣は。
<< 豆知識 >>
gladius の縮小版 gladiolus (小さな剣) は安いのにとてもエレガントな花グラジオラスの語源です、というか同じ単語です。縮小辞 -olus をつけてつくる縮小語は小さな何々、という意味のほかに、かわいい何々、愛すべき何々、という意味にもなります。
関連語 gladiator (剣闘士)
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o quam tristis et afflicta
fuit illa benedicta
mater unigeniti!
(Oh how sad and afflicted was the blessed one, the mother of the only-child !)
(おお、祝福された一人子の母が、なんと悲しく打ちのめされていることか!)
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+ quam : なんと (何々だろう) !
+ tristis (形容詞) : 悲しい、悲しい気持ちの ----- tristis は主格、単数、女性で mater と一致しています (mater を修飾)。
+ et : and
+ afflicta > afflictus (動詞 affligo の過去分詞)
affligo : (何々を) (どこそこへ +ad, or +与格) 叩きつける / (誰々を) 弱らせる、失墜させる、破滅させる / (人の士気を、勇気を) 下げる、挫く、打ち砕く / (過去分詞 afflictus) (人の心が、運勢が) 気落ちした、落ちこんだ、惨めな、不幸な、憐れな、落ちぶれた
----- afflicta は女性、単数、主格で mater に一致 (mater を修飾)
関連語 fligo (叩きつける) --- affligo (= adfligo) は ad (どこそこへ) という方向性を表す語をくっつけて叩きつける激しい動きを強調
+ fuit > be 動詞 sum の完了形。三人称単数。彼女は (何々) だった。
+ illa > ille (指示形容詞) : あの ----- illa は女性、単数、主格で mater に一致 (mater を指示)。
+ benedicta > benedico : (誰々のことを) よく言う、ほめる、称賛する、認める、祝福する / 聖なるものとして俗なるものと区別する、聖なるものとして俗界から分離する、聖別する、清める
bene (よく) + dico (言う)
benedicta は過去分詞 benedictus の女性、単数、主格で、mater に一致 (mater を修飾)。祝福された、聖別された。
+ unigeniti > unigenitus : (教会用語) 神のひとり子
uni > unus (one)
genitus > gigno (産む) の過去分詞
----- unigeniti は男性、単数、属格です。属格は <何々の> という意味になります。ひとり子の。
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quae maerebat et dolebat,
pia mater, dum videbat
nati poenas inclyti.
(She mourned and was feeling pain.
Pious mother while she was seeing her famous son's punishment.)
(彼女は嘆き、苦しんでいた、きよい母は、その名高い息子が懲らしめられるのを見ながら。)
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+ quae > 関係代名詞 qui (who) の女性、単数、主格。mater が先行詞。
+ maerebat > maereo : 悲しむ ----- maerebat は未完了過去、三人称、単数。未完了過去 imperfect は過去における持続性のある動作を表します。(何時間か、何年間か) 悲しんでいた。
+ et : and
+ dolebat > doleo : 苦しむ ----- dolebat は未完了過去、三人称、単数。苦しんでいた。
+ pia > pius (形容詞) : 義務をしっかり果たす ----- 特に神への宗教的な義務、また親や師への義務、祖国への義務。----- まじめな、信心深い、良心のある、真心のある、清い、忠実な
+ dum (接続詞) : (何々している) 間
+ videbat > video : 見る ----- videbat は未完了過去 imperfect、三人称、単数。見ていた。
+ nati > natus (男性名詞) : 息子 ----- nati は単数、属格。子の、という意味。
+ poenas > poena (女性名詞) : 罰 / 苦境、苦悶、苦しみ、痛み
+ inclyti > inclytus (inclutus) (形容詞) : 有名な、もてはやされている、話題の、高名な、誉れ高き ----- inclyti は男性、単数、属格で、nati に一致 (nati を修飾)。
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quis est homo, qui non fleret,
matrem Christi si videret
in tanto supplicio?
(Who is the man, who doesn't weep, when he sees the mother of Christ in such a torment?)
(もしキリストの母がこれほどの責め苦に会っているのを見て、泣かないとしたら、そいつはいったい誰だ?
or
誰が泣かずにいられようか、キリストの母がこれほどの責め苦に会っているのを見て?)
quis non posset contristari,
Christi matrem contemplari
dolentem cum filio?
(Is there a man who can't be saddened when he contemplates on the mother of Christ feeling pain with her son?)
(誰が悲しまずにいられようか、キリストの母がその子と苦しんでいるのを見て?
or
キリストの母がその子と苦しんでいることを考えながら?)
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+ quis (疑問代名詞) : who ? ----- quis は男性女性、単数、主格です。誰が?または、(何々は) 誰?
+ est : be 動詞 sum の現在、三人称、単数
+ homo (男性名詞) : 人間、人 / 男 ----- homo は単数、主格です。quis と一致します。
+ qui (関係代名詞) : who ----- qui は男性、単数、主格です。
+ non : not
+ fleret > fleo : 泣く、涙を流す
----- fleret は接続法 subjunctive、未完了過去 imperfect、三人称、単数。qui が主語です。
接続法を使っているのは、反実仮想の仮定文では接続法を使うことになっているから。
si videret (実際見る機会はないだろうけど) もし見たら (videret も接続法、未完了過去です) という仮定に対して、fleret 泣いたはずだ、という推量になっています。
現在の反実仮想 (現在においてもし見たら、泣いたはずだ) では imperfect 未完了過去を使い、過去の反実仮想 (過去においてもし見たとすれば、泣いていたはずだ) では pluperfect 過去完了を使います。
+ matrem > mater (女性名詞) : 母 ----- matrem は単数、対格です。母を。
+ Christi > Christus : キリスト - --- Christi は属格です。キリストの、という意味。
+ si : if
+ videret > video : 見る ----- videret は接続法 subjunctive、未完了過去 imperfect の三人称、単数。
+ in (+奪格) : 何々の中で、何々の中の - e.g. in the box, in a miserable condition
+ tanto > tantus : (サイズ) そんなにも大きな、こんなにも大きな、(量) そんなにも多くの、こんなにも多くの、(程度) それ程までの、これ程までの
----- どのくらいか (例 : サイズ - 象くらい tantum corpus eius quantus elephantus、量 - 食べきれないくらい tantum cibum ut non possimus consumere、程度 - 我慢できないくらい tanta ira ut non possis continere) が表されるときと、表されないときとがあります。こんなに多く ! こんなにひどく ! という感嘆文では表されないことが多い。
----- tanto は中性、単数、奪格です。supplicio と一致 (supplicio を修飾)。
+ supplicio > supplicium (中性名詞) : to receive punishment, punishment, penalty, torture 罰を受けること、罰、拷問 / torture, torment, pain, distress, suffering 苦しみ、悲しみ
----- supplicio は単数、奪格です。奪格は前置詞 in が取る格の1つです。(もう1つの格は対格。)
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+ posset > possum : can (可能性の)
----- posset は接続法 subjunctive、未完了過去 imperfect、単数、三人称です。
+ contristari > contristo : 悲しくさせる、悲しませる、悩ます ----- contristari は受動不定詞です。悲しくさせられる。
+ contemplari > contemplor : look at ..., view 見る / look at ... mentally, consider, contemplate
----- contemplari は不定詞です。contristari + 不定詞 (たぶん何々して悲しむという意味、英語で I am greatly saddened to see her in pain というような感じでしょうか?) という用法は辞書には見当たりません。古典的ラテン語構文ではないようです。だからここは不定詞 contemplari を分詞 contemplatus (見て、見ながら、見たとき、見たために、などと訳せます) に直して訳しました。
+ dolentem ----- doleo の現在分詞 dolens の女性、単数、対格。matrem に一致 (matrem を修飾)。
+ cum (+奪格) : (何々) といっしょに
+ filio > filius : 息子 ----- filio は単数、奪格です。
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eia, mater, fons amoris,
me sentire vim doloris
fac, ut tecum lugeam.
(Come ! Mother, the spring of love, make me feel the violence of the pain, so that I can lament with you!)
(ああ!キリストのお母さん、愛の泉よ、わたしに苦痛の激しさを感じさせてください、わたしもあなたとともに嘆くことができるように、さあどうか!)
fac, ut ardeat cor meum
in amando Christum Deum,
(Make me feel it so that my heart burn in the love of Christ the God!)
(わたしに苦しみを感じさせてください。わたしの心が神キリストへの愛に熱くなるように。)
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+ eia : (間投詞) ああ!----- 喜びやうれしい驚きを表す叫び声 / come ! どうした?どうしたんだ、おい ?----- 誘ったり説得したりするとき相手の反応が遅いときの掛け声 / come ! ああ早く!さあさあ!----- 人を急かす叫び声
+ mater : ここは呼格です。呼び掛けの格。母よ。
+ fons (男性名詞) : 泉 / 井戸 / 水源 / (一般に) 源 ----- ここも呼格。泉よ。
+ amoris > amor (男性名詞) : 愛 ----- amoris は属格。愛の、という意味です。
+ me > ego (人称代名詞) : わたし ----- me は対格。
+ sentire > sentio : (五感のどれかで) 感じる
+ vim > vis (女性名詞) : (内側から出る) 力、パワー / (外から被る) 力、威力、暴力 / 大量、多数、強い程度 ----- 例: 奴隷の、銀の、涙の、臭いの / (薬などの) 効力、効き目
----- vim は対格。力を。
+ doloris は dolor の属格。苦しみの、という意味です。
+ fac > facio : つくる make / (+対格と不定詞) 誰々に何々させる make someone do something ----- fac は命令形です。させろ。させなさい。させてください。
+ ut (接続詞) : (接続法 subjunctive の節を導いて、目的や結果を表す) (これこれする、これこれとなる) ように
+ tecum : = cum te
----- cum : (奪格をとる) (誰々) とともに、といっしょに
----- te > tu : あなた、おまえ ----- te は奪格です。
+ lugeam > lugeo : 嘆く、悼む、悲嘆に暮れる / 喪服を着る
完了形 luxi 過去分詞 luctum
----- lugeam は接続法、現在、一人称、単数です。わたしが悼み悲しむ。
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+ ardeat > ardeo : 燃える、焼ける、炎をあげる / (目が) 輝く、燃えるような目をする / 輝く / (愛や恥、怒り、やる気などの感情、情熱が) 燃える / (苦しみで) 悶える / 体温が上がる、熱が上がる、熱くなる
完了形 arsi 過去分詞 arsum
----- ardeat は接続法、現在、三人称、単数です。cor が燃える。
+ cor (中性名詞) : 心臓 / (感情の場としての) 心臓、心 / 知性
----- cor は単数、主格です。心臓が、という意味です。
+ meum > meus : わたしの ----- meum は中性、単数、主格です。cor に性と数と格が一致します (cor を修飾します)。
+ in (前置詞、奪格と) : (何々) の中で
+ amando > amandum : 愛するという意味の動詞 amo の動名詞形 (gerund) です。愛するの名詞形なので愛すること、愛、愛という行為、などと訳せます。amando は奪格です。in amando 愛することの中で。
+ Christum ----- Christus の対格です。キリストを。動名詞は対格の目的語をとれます。
+ Deum ----- Deus の対格です。神を。キリストと並置されているので、キリストのことを指していると考えれます。神であるキリストを。
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Pro peccatis suae gentis
vidit Iesum in tormentis,
et flagellis subditum.
(She saw Jesus in torment, given under the whips, for the sins of the people which he belonged to.)
(イエスが自分の同族のために拷問に会い、鞭の下に置かれているのを彼女は見た。)
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+ pro (前置詞、奪格をとる) : (何々、誰々) のため、を守るために、の利益のため / (誰々、何々) の代わりに / (罪) の罰として、(よい行い) の報酬として ----- 自分の民族の犯した罪への罰として / (何々) のため、のせいで、が理由で、のゆえに ----- 自分の民族の罪ゆえに / (何々) として
+ peccatis > peccatum (中性名詞) : 誤り、間違った行為、失敗、違反、罪 / 罪の意識 / 罪への罰
----- peccatis は複数、奪格です。
+ suae > suus : 自分の ----- suae は女性、単数、属格です。gentis に性、数、格が一致します (gentus を修飾)。
+ gentis > gentis (女性名詞) : 同じ名前と宗教を持った家系の集まり、部族 ; (もっと広く) 民族、種族 ; (もっと広く) 国民
----- gentis は属格、民族の、という意味です。
+ vidit > video : 見る ----- vidit は完了形、三人称単数です。彼女は見た。
+ Iesum > Iesus : イエス ----- Iesum は対格です。イエスを。
+ in (前置詞 : (奪格をとる用法で) 何々の中に、何々の中で、何々の中の、何々において
+ tormentis > tormentum (中性名詞) : 拷問の道具、拷問台 / 責め苦、苦悶
----- tormentis は複数、奪格です。
<<<<< 語源 >>>>>
torment や torture の語源
torqueo ひねる、ねじる、曲げる / 拷問台の上で (手足を )ひねる
過去分詞が tortus です。
+ et : and
+ flagellis > flagellum (中性名詞) : ムチ / 良心にムチ打たれること、良心がチクチク痛むこと
----- flagellis は複数、与格です。
+ subditum > subdo (sub 何々の下へと + do 与える、やる) : 何々の下に (与格) 何々を (対格) 置く
----- subditum は過去分詞 subditus (何々の下に置かれた) の男性、単数、対格です。Iesum と性、数、格が一致します。つまり Iesum を修飾します。
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Vidit suum dulcem Natum
moriendo desolatum,
dum emisit spiritum.
(She saw her sweet Son left alone in death, till he let go of his spirit.)
(彼女はいとしい息子が死の中に打ち捨てられ、魂を手放すところまで見た。)
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+ vidit > video (見る) の完了形、三人称、単数。彼女は見た。
+ suum > suus (所有形容詞) : 自分の、自分に属する ----- suum は男性、単数、対格で、Natum と性と数と格が一致します。つまり Natum を修飾します。
+ dulcem > dulcis (形容詞) : 甘い / 快い、好ましい / いとしい
----- dulcem は男性、単数、対格で、Natum と性、数、格が一致します。つまり Natum を修飾します。
<<<<< 語源の豆知識 >>>>>
イタリア語のドルチェ dolce はこのラテン語から来ています。
単数主格 dulcis
単数属格 dulcis
単数与格 dulci
単数対格 dulcem
単数奪格 dulce
みたいに格変化するのですが、奪格の形がイタリア語の直接の元になっています。
イタリア語の名詞や形容詞は、ラテン語の名詞や形容詞の単数奪格の形と一致するのです。
dolce は元の u が o になっていますけれど、まったく同形であるケースも多いです。
イタリア語に入るとき u が o になる例 :
ラテン語 Valentinus 単数奪格 Valentino --- イタリア語 Valentino
ラテン語 tempus (時間) 単数奪格 tempore --- イタリア語 tempo (時間)
ラテン語 umbra (影) 単数奪格 umbra --- イタリア語 ombra (影)
ラテン語 nux (木の実) 単数奪格 nuce --- イタリア語 noce (くるみ)
+ Natum > natus : 息子 ----- natum は単数、対格です。息子を。大文字で始まっていますが、イエスキリストを指すキリスト教用語になっているのでしょうか?
+ moriendo > morior : 死ぬ ----- moriendo は動名詞形で、奪格。この奪格は或る場所や時間や状況の中でという意味を表す奪格の用法でしょう。死ぬことの中で、死の中で、死につつある中で。
+ desolatum > desolo : (誰々を) ひとり取り残す、見捨てる、放棄する / (desolatus +奪格) 何々を奪われて
----- desolatum は性、数、格が Natum に一致しています。
+ dum (接続詞) : (何々する) まで
+ emisit > emitto (ex 外へ + mitto 送る) : 送り出す / 出す、発する、放つ、放出する / 出してやる、解放する、解き放つ
----- emisit は完了形、三人称単数です。彼は出した。
+ spiritum > spiritus (男性名詞) : 風 / 息 / 魂 ----- spiritum は対格です。息を、魂を。
cf. spiro : (風や匂いなどが) 吹く、吹き出す、発散される / 息する / 生きている / (他動詞として) 何々を吐き出す、吹き出す、発散する
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Eia, Mater, fons amoris
me sentire vim doloris
fac, ut tecum lugeam.
(Ah, Mother! the spring of love! Make me feel the violence of the pain, so that I can lament with you !)
(ああ、母よ!愛の泉よ!わたしに苦痛の激しさを感じさせてください。わたしもあなたとともに嘆くことができるように。)
Fac, ut ardeat cor meum
in amando Christum Deum
ut sibi complaceam.
(Make me feel it, so that my heart may burn in the love of Christ the God, and in that way I will please him.)
(苦痛を感じさせてください。わたしの心臓が神キリストへの愛で熱くなるように。そうして彼を喜ばせられるように。)
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+ この歌詞は上にもう出てきました。最後の ut sibi complaceam が追加されてるとこだけちがいます。
+ ut (接続詞) : (接続法の節を導き、目的や結果を表す) (何々する) ように、(何々となる) ように
+ sibi (三人称 he, she, it の再帰代名詞) : ----- sibi は与格です。
再帰代名詞は文の主語になっている名詞と同じ者を指します。ここの文の主語は Fac の主語であるマリア様です。でも、マリア様を指すなら tibi (二人称 you の再帰代名詞、与格) となるはずです。従属節の主語はわたしです。わたしを指すなら mihi (一人称の再帰代名詞、与格) となります。だから残るは Christus Deus を指すと考えるしかありません。これは再帰代名詞の特殊な使い方で、文の文法上の主語をでなく、意味上の主語を指す用法なのだそうです。つまりどういうことかというと、わたしが神の気に入る (Deo placeam) は、実のところ神がわたしを気に入る、神はわたしが好きである (Deus amat me)、という意味であり、そういうわけで神が意味上の主語となって、再帰代名詞が sibi
となったのらしいです。イタリア語を日本語に訳すときも通常 mi piace Roma (= mihi placet Roma) を、わたしはローマが気に入っています、のように訳すようです。
+ placeam > placeo : 誰々の (与格) 気に入る、誰々を (与格) 喜ばせる
----- placeam は接続法、現在、一人称、単数です。わたしが誰々の気に入る。




Sancta Mater, istud agas,
crucifixi fige plagas
cordi meo valide.
(Holy Mother! Do that again! Fix the crucified one's wounds and afflictions to my heart home!)
(尊い母よ、またあれを、あなたの得意技をやってください ! つまり、十字架につけられた人の傷を苦しみをわたしの心に強く強く押しつけてください !)
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+ sancta > sanctus (形容詞) : (宗教によって、または法律によって) 聖なるものとされた、神聖で不可侵の、厳かに決められてもう変更不可の、危害を加えてはならない、荒らしてはならない ----- e.g. 法、職務、人家の門や壁、土地、宝物庫、客、妻 / (神や或る神に属する人や物、イベントが) 尊い、尊ぶべき、厳かな ----- e.g. サトゥルヌス、サトゥルヌス祭、祭日、河、泉、神の座、杜、犠牲を焼く火 / (道徳的な意味で) よい、正しい、清らかな、潔白な、良心のある
----- sancta は女性、単数、主格または呼格です。Mater に性、数、格が一致しています。つまり Mater を修飾。
+ mater (女性名詞) : 母 ----- mater は単数、主格または呼格 (呼び掛けの格) です。Sancra Mater 聖母は、または、聖母よ。
+ istud > iste (指示代名詞) : あれ (話しかける相手もよく知っているものを指す e.g. あれちょうだい。ねえ、あれやろ。おい、あれ持ってこい。あいつ、あれだろ?) ----- istud は中性、単数、対格です。あれを。
+ agas > ago : (具体的な意味の単語でなく、もっと漠然とした単語、指示代名詞とか、を目的語にする用法。あれを、とか、これを、とか、何を?とか、たくさんのことを、とか、もっと、とか) やる ----- agas は接続法、現在、二人称、単数です。この接続法は命令や相手への願いを表現します。やれ、とか、やってください、とか。
+ crucifixi > crucifixus : 十字架につけられた
----- crucifixus は crucifigo の過去分詞。crucifigo は cruci figo という意味。cruci は crux (十字架) の奪格 (場所を表す奪格)。十字架に。figo は固定する、つける、留める、過去分詞が fixus で、英語の fix の語源です。
----- ここでは単数男性形 crucifixus を男性名詞あつかいして十字架につけられた男という意味で使っています。crucifixi は男性、単数、属格で、十字架につけられた男の、という意味です。
+ fige > figo : 留める、つける、固定する
構文 : 何々を (対格) どこそこに (in + 奪格、または in + 対格、または前置詞なしのただの奪格。与格を使う用法は辞書には載っていませんが、詩においては与格は自由に in + 奪格の意味でも in + 対格の意味でも使われます。)
----- fige は命令形です。留めろ。
+ plagas > plaga (女性名詞) : 傷つけること、傷害、傷つけられること、傷 / 悩み、苦しみ、苦悩
----- plagas は複数、対格です。(多くの) 傷を。
+ cordi > cor (中性名詞) : 心臓 / 心 ----- cordi は単数、与格です。心に。(単数、奪格は corde)
+ meo > meus (所有形容詞) : わたしの ----- meo は中性、単数、与格です。cordi に性、数、格が一致しています。つまり cor を修飾します。
+ valide (副詞) : 強く、激しく ----- e.g. 彼女を VALIDE 愛する、海が VALIDE 波立つ
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Tui Nati vulnerati,
tam dignati pro me pati,
poenas mecum divide.
(Divide to me the punishments of your Son wounded as much as he thought worthy for me to suffer.)
(あなたの傷ついた息子さん、わたしのためにあんなにまで苦しみに堪え、それに意味があると思ってくださった方、あの方に課せられた罰をわたしに分けてください。)
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+ tui > tuus (所有形容詞) : あなたの ----- tui > は男性、単数、属格で、Nati と性、数、格が一致しています。つまり Nati を修飾。
+ Nati > natus : 息子 (nascor 生まれる、の過去分詞 natus 生まれた、の男性単数の形を男性名詞として扱っている)
----- nati は単数、属格です。息子の、という意味。Nati と大文字になっていますが、イエスキリストを表すキリスト教用語となっているのでしょう。
+ vulnerati > vulnero : 傷つける、害する、怪我させる / 心を傷つける、害する、悩ます
----- vulnerati は過去分詞 vulneratus 傷つけられた、の男性、単数、属格です。Nati を修飾します。
+ tam (副詞) : (程度)こんなにも (これ、わたしのこれ、わたしのそばにあるこれ hic を指して)、そんなにも (それ、あなたのそれ、あなたの知ってるそれ iste を指して)、あんなにも (あれ、わたしたちから遠いあれ ille を指して)
+ dignati > dignor : (+不定詞) 何々することに意義を見出だす、何々することを価値ありと見なす
----- dignati は過去分詞 dignatus 価値ありと見なした (能動的意味です)、の男性、単数、属格です。Nati と性、数、格が一致しています。つまり Nati を修飾します。
+ pro (前置詞、奪格をとる) : (誰々)のために、(誰々) に代わって
+ me > ego : わたし ----- me は単数、奪格です。
+ pati > patior : (苦しみを表す単語を対格にとり) 堪える、(目的語なしで) 苦しみを堪える ----- 辞書の例文見てみると、ただ苦しむというより頑張って堪えるという意味のようです。
----- pati は不定詞です。
--------------------



字数制限を超えたので以下の部分はパート2になります。
(10月20日)




Fac me tecum pie flere,
crucifixo condolere,
donec ego vixero.
(Make me weep with you piously, feel pain with the crucified, as long as I live.)
(わたしをあなたとともに泣かせてください。十字架に掛けられた方といっしょに苦しませてください。わたしが生きているかぎりの間。)

Iuxta Crucem tecum stare,
et me tibi sociare
in planctu desidero.
(I want to stand with you by the Cross, and join you beating the chest in lamentation.)
(わたしは十字架のそばにあなたと立ちたい。あなたが悲しみ胸をたたくのに加わりたい。)

Virgo virginum praeclara,
mihi iam non sis amara,
fac me tecum plangere.
(Oh virgin of virgins most splendid, May you be no longer bitter to me, Make me beat the chest in lamentation with you.)
(輝かしい、処女の中の処女よ、わたしに対して苦々しい態度をもうしないでください。わたしにあなたとともに悲しみ胸をたたかせてください。)

Fac, ut portem Christi mortem,
passionis fac consortem,
et plagas recolere.
(Make me carry the death of Christ, Make me the brother of passion, and make me consider the wound again.)
(わたしに、キリストの死を携えて生きさせてください。わたしを受難の兄弟としてください。そして傷のことを何度も考えさせてください。)

Fac me plagis vulnerari,
fac me Cruce inebriari,
et cruore Filii.
(Make me be wounded by the wounds, Make me drunken with the torment of the Cross and the son's blood.)
(わたしに傷を受けさせてください。十字架上の苦しみとあなたの子の血に酔わせてください。)

Flammis ne urar succensus,
per te, Virgo, sim defensus
in die iudicii.
(That I should not burn with the flame set on me, let me be defended on the day of judgement, by you oh Virgin.)
(わたしが火をつけられて焼けることがないよう、あなたによって、処女よ、審判の日に護ってもらえるように。)

Christe, cum sit hinc exire,
da per Matrem me venire
ad palmam victoriae.
(Oh Christ, if there be departure from here, through your Mother let me come to the palm of victory.)
(キリストよ、わたしがこの世から出るときが来たら、あなたの母を通じてわたしを勝利へと導いてください。)

Quando corpus morietur,
fac, ut animae donetur
paradisi gloria. Amen.
(When my body perishes, please arrange that the glory of paradise be given to the soul. Amen.)
(わたしの肉体が死ぬとき、わたしの霊魂に天国の栄光が与えられるようにしてください。アーメン。)

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このページ素晴らしいですね。
12月にロッシーニのスターバトマーテルやります。
対訳だけで無く、このように単語単位で書いてあるページを探していました。
とてもありがたいです。
じっくり拝見させていただきます。

2017/12/7(木) 午後 11:32 [ sir*k*geru2*02 ] 返信する

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> sir*k*geru2*02さん
うれしいです。ラテン語について単語など、なにか質問があれば聞いてください。

合唱の人とか、興味あるかなと思ってこういうのをやりはじめたのですが、コメントしてもらえたのはこれがはじめてです。質問してくれる人がいれば喜んで答えるんですが。即答できない難しいラテン語の質問があっても、ちょっと頑張って調べさえすると思います。

2017/12/8(金) 午前 11:29 [ ダクセルくん ] 返信する

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素晴らしいページですね。単語詳細を一つ一つ調べていくと色々なことが迫ってきますね。ありがとうございます。感謝します。 削除

2018/6/2(土) 午前 6:41 [ 井關たま ] 返信する

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> たまさん
ありがとうございます。こういう投稿もう少し力を入れてやるようにしたいです。最近メールなどの友達が増えてからこういう勉強をやる時間が取りづらくなりました。

ぼくはクリスチャンでないのですが英語を勉強するために旧約聖書と新約聖書を読んでいた時期があります。朝六時のNHKのFMのラジオの古楽の時間が子供の頃から好きなせいでキリスト教に非常にあこがれています。今年その番組の司会をずっとしていた磯山雅さんが亡くなったのは非常に残念でした。

2018/6/2(土) 午前 8:24 [ ダクセルくん ] 返信する

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朝の古楽は楽しいですね。磯山さんは本当に残念でしたがきっと天国で最高の音楽に包まれていると思います。クリスチャンではない方からこちらのページのお蔭で本当にスタバとマーテルの真髄に触れることができて神様にもダグセルくんにも感謝しまくりでございます。月末歌う予定なのですが、不思議な神様のお導きを感じます。主の平和がありますように。

2018/6/3(日) 午後 0:19 [ うたうたま ] 返信する

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> うたうたまさん
とってもうれしいです。これでやった甲斐がありました。別にやりがいを期待してやったわけでもありませんが。ぼくはキリスト教の正統的な知識がないので訳が変なところは頭の中で修正してくださいね。リクエストがあればやります。作業はこのページで見ての通りすごく遅いと思いますが。

2018/6/4(月) 午前 6:12 [ ダクセルくん ] 返信する

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