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グレゴリオ聖歌などの教会音楽の cd で子供の頃からタイトルが魅力的に感じられるものがありました。レコード店からもらってきたクラシック音楽のカタログの美しいジャケット写真を眺めていると、主にわあーっと目に入るのはヨーロッパ特に北欧の風景写真でしたが、その中でバッハとかのページではひとつひとつの曲のタイトルがしばしばタイトルだけで既に詩的で (イエス・キリストは夜に、とか)、聖書の一節で独特な雰囲気のあるものもあり (バビロン川のほとりで、とか)、なんとなく夢中になるものがありました。中世やルネサンスの音楽の cd のページは古い写本からとられた奇妙な絵がついているし、タイトルも不思議な面白いものが多く (ダビデのホケトゥス、とか)、読んでいてそれだけで中世世界を旅しているような気分を感じていたものです。この歌もその一つです。
a solis ortus cardine
ad usque terrae limitem
christum canamus principem
natum maria virgine.
beatus auctor saeculi
servile corpus induit,
ut carne carnem liberans
ne perderet quos condidit.
castae parentis viscera
coelestis intrat gratia ;
venter puellae baiulat
secreta quae non noverat.
domus pudici pectoris
templum repente fit dei ;
intacta nesciens virum
verbo concepit filium.
gloria tibi domine
qui natus es de virgine
cum patre et sancto spiritu
in sempiterna saecula.
amen.
5月15日火曜日 更新
5月17日木曜日 更新
5月22日火曜日 更新
5月26日土曜日 更新
5月29日火曜日 更新
6月11日月曜日 更新
6月18日月曜日 更新
6月27日水曜日 更新
7月4日水曜日 更新
7月7日土曜日 更新
7月9日月曜日 更新
7月10日火曜日 更新 7月16日月曜日 更新
7月17日火曜日 更新
7月19日木曜日 更新
7月20日金曜日 更新
7月25日水曜日 更新
7月31日火曜日 更新
8月10日金曜日 更新
9月7日金曜日 更新
a solis ortus cardine
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太陽の昇ってくる東方とこちら側の境目になった地域から
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+ a (前置詞、奪格 ablative を取ります) : 〜から
+ solis > sol (男性名詞) : 太陽
solis は属格 genitive です。太陽の、という意味です。
+ ortus > ortus (男性名詞) : 天体が昇ること / solis ortus = 太陽の昇ること、日の出 / solis ortus : 東 ; 東方の国、東方の地
ortus は主格 nominative と形が同じですがここでは属格 genitive です。東の、という意味です。
+ cardine > cardo (男性名詞) : (ドアなどの) ちょうつがい / (天文学で) 天体が回るちょうつがいのようなところ、天体が回る軸になったところ / (天文学で) 基本四方位 (北、南、東、西) / (天文学で) 宇宙の中心としての大地 / (天文学で) 夏至 / 物事の中心、事態のターニングポイント
わかりにくい単語ですが回転するものの中心、それから、変化や移行の境目、というのが基本的な意味のように見えます。
cardine は単数 singular、奪格 ablative で、前置詞 a に係ります。a cardine は回転の中心点から、境目から、というような意味です。
ad usque terrae limitem
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はるばる西の地の果て (ヨーロッパの大陸の端っ子のことか) に至るまで
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+ ad (前置詞、対格 accusative を取ります) : 〜へ
+ usque (副詞) : ずーっと (空間的に、時間的に)
+ terrae > terra (女性名詞) : 大地
terrae は単数 singular、属格 genitive です。大地の、という意味です。
+ limitem > limes (男性名詞) : (誰かの土地と誰かのと土地の) 境 / 境の目印の石など
東西に引かれた limes decumanus と呼ばれる境と、南北に引かれた cardo と呼ばれる境があった。decumanus (十分の一税のための)。
limitem は単数 singular、対格 accusative です。ad に係っています。
christum canamus principem
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わたしたちキリスト教徒はわたしたちの油を塗られた王をたたえる歌を歌っています。
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+ christum > christus (形容詞) : 油を塗られた ; 特にイスラエルの王について ; (キリスト教で、名詞として) キリスト、メシア
christum は単数 singular、対格 accusative です。名詞として使われているなら、キリストを、という意味です。形容詞として使われているなら principem に合わせて単数、対格にしてるのです。
+ canamus > cano : 歌う / 誰々のこと、何々のことをテーマにして歌う / 讃歌を歌う
canamus は現在 present、一人称 1st person、複数 plural で、わたしたちは歌う、という意味です。英語の現在進行形のような意味に取ることもできます。
+ principem > princeps (形容詞) : 最初の / もっとも重要な、もっともえらい
(男性名詞として) : 何々した最初の人、最初に行動を起こした人、長、リーダー、首領、支配者、監督者、いちばんえらい人
principem は単数 singular、対格 accusative です。支配者を、などという意味です。形容詞として使われてるとしたら、christum に合わせて単数、対格にしているのです。
natum maria virgine.
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処女のマリアから生まれなさった方をたたえる歌を。
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+ natum > natus (動詞 nascor の過去分詞) : 生まれた
natum は男性 masculine、単数 singular、対格 accusative です。principem (または christum) を修飾するため、それに合わせてこのような形になっています。
+ maria > maria : マリア
<<まめちしき>>
maria はヘブライの名前のミリアム miriam、モーセの妹だか姉だかがミリアムという名前でしたが、そのミリアムをギリシャ語表記に直した形らしいです。前『めでたし海の星』を訳したとき調べました。
maria はここでは奪格 ablative という形 (主格と見た目が同じですが) で、マリアから、という意味です。
+ virgine > virgo (女性名詞) : 処女、未婚の女性、おとめ
virgine は単数 singular、奪格 ablative です。未婚の女性から、という意味です。
virgo の単数形は次のように格変化します。
virgo 主格 おとめは
virginis 属格 おとめの
virgini 与格 おとめに
virginem 対格 おとめを
virgine 奪格 おとめから、おとめによって
英語の virgin は属格以下の語尾に見える virgin- から来ています。
beatus auctor saeculi
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この世界の裕福な支配者が
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+ beautus (beo の過去分詞) : 幸せな、喜びで満たされた / 金持ちな
beo : (誰々を) 幸せにする、喜ばせる
ここでは神/キリストを金持ちな支配層としてイメージしているのだと思います。なぜかというと、次の行の servile と対になっているようだからです。servile は下男の、召し使いの、奴隷の、下層民の、などといった意味があります。富裕な支配者が servile corpus induit 下層民の肉体をまとった。
beatus は男性 masculine、単数 singular、主格 nominative です。auctor を修飾するためこの形になっています。
+ auctor (男性名詞) : 何かをつくりだす人 / 何かの増大を促進すべく尽力する人、何かの成功、繁栄を促進、維持すべく尽力する人
auctor は単数 singular、主格 nominative です。つくりだす人は、というような意味です。
+ saeculi > saeculum (中性名詞) : 世界
saeculi は単数 singular、属格 genitive です。世界の、という意味です。
servile corpus induit,
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召し使いの肉体をまといなさった。
----- == -----
+ servile > servilis (形容詞) : 奴隷の、奴隷的な、下男の、下僕の、従僕の、召し使いの、仕える者にふさわしい / 卑屈な
servile は中性 neutral、単数 singular、対格 accusative です。corpus を修飾するためにそういう形になっています。
+ corpus > corpus (中性名詞) : 体、肉体
corpus はここでは単数 singular、対格 accusative です。体を、という意味です。
+ induit > induo : なになにを着る
induit は完了 perfect、三人称 3rd person、単数 singular です。彼は着た、彼女は着た、という意味です。主語は前の行の auctor (支配者は) です。
ut carne carnem liberans
----- == -----
肉から肉を解放するため、
* 正しい理解のしかたは知らないので、文法と libero という動詞の意味だけ説明します。
刑、告訴、債務、義務、苦しみ、境遇、牢屋、場所などから、誰々を解放する、免除する、赦す、という意味です。
または、
何々してやることによって誰々を (刑、告訴、債務、義務、苦しみ、境遇、牢屋、場所などから) 解放する、という意味です。
ぼくの当てずっぽの試訳 :
肉 (をまとうことに伴う惨めな境遇) から肉 (をまとった人々) を解放するため、
肉 (をまとうこと) によって (肉をまとった人々の苦しい境遇を理解し、彼らの) 肉を (苦しい境遇から) 解放し、
(支配者であるご自身が) 肉 (をまとうこと) によって肉 (をまとった召し使いたち) が赦されるように、
(ご自分の) 肉と引き換えに (人々の) 肉を支払う義務を帳消しにするため、
(ご自分が) 肉 (を犠牲に捧げること) によって (人々の) 肉 (を犠牲に捧げる義務) を帳消しにするため、
(ご自分が) 肉 (に刑を受けること) によって (人々の) 肉 (に受ける刑) を帳消しにするため、
----- == -----
+ ut (接続詞、目的や結果を表す) : (何々する)ように、(何々が起こる) ように、(何々する) ために ----- 例 : 事故を防ぐためにこれこれする、事故が起こるようにこれこれする
+ carne > caro (女性名詞) : (動物の) 肉、果肉 / (人の) 肉体、辞書の説明が足りなくてよくわかりませんが、恐怖によって震えるなど感情に支配された部分としてイメージされていたらしいです。
carne は単数 sungular、奪格 ablative です。ここでは奪格は動詞 libero 解放する、と組になって使われ、(何々) から、という意味です。何々から解放する。または、手段を表して、(何々) によって、(何々) を以て、(何々を) 通じて、という意味です。(何々) によって(誰々) を解放する
+ carnem > caro
carnem は単数 singular、対格 accusative です。肉を、という意味です。
+ liberans > libero : (誰々を accusative, e.g. carnem) (罰から、義務から、牢屋から、など ablative, e.g. carne) 自由の身にする、解放する、免除する、赦す / (義務、刑などを accusative, e.g. crimen libidinis) 免除する、取り消す、赦す
liberans は libero の現在分詞 (分詞というのは動詞の意味を形容詞化した形です) で、男性 masculine、単数 singular、主格 nominative です。主語である auctor (beatus auctor saeculi) と同じ 男性 masculine、単数 singular、主格 nominative です。
ne perderet quos condidit.
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ご自分がつくったものをこわさないため。
別訳 :
ご自分がとっておいたものを失わないため。
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+ ne (接続詞) : (何々し) ないように、(何々が起こら) ないように
ne に導かれる節の動詞は接続法 subjunctive mood になります。
+ perderet > perdo : (誰々を) 滅ぼす / (何々を) 浪費する、無駄に使う、無駄にする /
(何々を) 失う、すっかりなくす
perederet は接続法 subjunctive、未完了過去 imperfect、三人称 3rd person、単数 singular です。ne の後なので接続法なのです。主語は beatus auctor saeculi (この世界の富裕な支配者)。ne perderet は auctor が (何々を) 失わないように、という意味です。
+ quos > qui (関係代名詞) : 英語の who みたいなもの
quos は男性 masculine、複数 plural、対格 accusative です。
この文は完全な形では ne perderet eos quos condidit (自分がつくり保管してきた者たちを失わないように) ですが、関係代名詞の格が先行詞の is (eos は is の男性、複数、対格) と同じ格 (ここの場合、対格 accusative) なとき、is は省略されることがあります。こういう現象は is の吸収 absorption of is と呼ばれるらしいです。
+ condidit > condo : (何々を) 積み重ねる / 組み立てる、(建築物を) 建てる、(制度を) 設立、確立する / (何々を) しまう、蓄える、保管する、(何々を何々の中に) 保つ
condidit は完了 perfect、三人称 3rd person、単数 singular です。主語は beatus auctor saeculi です。auctor が組み立てた、という意味です。
condidit は接続法 subjunctive でなくふつうの 直説法 indicative です。auctor が組み立てたのが事実だからです。上の perderet が接続法 subjunctive なのは事実ではないから、またはまだ起こっていないからです。
castae parentis viscera
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清らかな母の体の中に
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+ castae > castus (形容詞) : きれいな、汚くない / (道徳的に) 汚さがない、清い / (性倫理において) 不潔さがない、清らかな、貞操を守っている、淫らさがない、きれいな / (宗教的に) 清い、穢れていない
castae は女性 feminine、単数 singular、属格 genitive です。parentis を修飾するため、parentis と同じ女性、単数、属格になっているのです。
+ parentis > parens (男性名詞としても女性名詞としても) : 親 (父親または母親)
parentis は単数 singular、属格 genitive です。親の、という意味です。
もともと pario (産む) という動詞があって、その現在分詞が pariens です。それが少し変形した形のようです。
+ vescera > viscus (中性名詞、単数形よりも複数形で使われることが多い) : 体の内部、肉も内臓も、皮の内側のやわらかいところすべてを指す / 心臓や胃や腸などの内臓 / (複数形で) 子宮 / (動物以外について、例えば、心の、山の、大地の、政府の、家の、金庫の) 中、内部、内奥、中枢
viscera は複数 plural、対格 accusative です。次の行の intrat の目的語になっています。
coelestis intrat gratia ;
----- == -----
上の世界からの愛が入りこみ、
----- == -----
+ coelestis (形容詞 caelestis ともつづります) : 空の、天の / 神々の、神の / 神々しい
coelestis は女性 feminine、単数 singular、主格 nominative です。gratia を修飾するために gratia と同じ性、数、格になっておるのです。
中世になると ae や oe は e になり、celestis と綴られます。
+ intrat > intro (動詞) : (何々に、対格) 入る
intrat は三人称 3rd person、単数 singular、現在 present です。(何々が) 入る、という意味です。なぜ現在形を使っているかというと、ラテン語の歴史の本で、状況を活写するために、本当は過去なのだけれど現在形を使って書いたりするそうで、そういう技法なのかもしれません。
+ gratia (女性名詞) : 人を快く感じさせる性質 / 容姿美 / (人物たとえばクレオパトラがが他に感じさせる) 好感、好印象、かわいさ、好ましさ、魅力、人に愛される性質 / (言葉や態度や行為で人を快くしようとする気持ち) 好意、親切心、老婆心、思いやり、顧慮、奉仕の精神、賛意、味方につこうとする気持ち、支えようという気持ち / (〜するという意味の動詞 facere, agere などの目的語になって、または 〜を抱くという意味の動詞 habere などの目的語になって) 感謝、感謝の念
gratia は単数 singular、主格 nominative です。容姿美が、という意味です。
venter puellae baiulat
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見よ、召し使いの女の腹が重くかかえている
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+ venter (男性名詞) : 腹、おなか / 子宮、胎 / 胎児
venter は単数 singular、主格 nominative です。おなかが、という意味です。
+ puellae > puella (女性名詞) : 女の子、少女 / 若い女性 / 奴隷女、下女、はしため
puellae は単数 singular、属格 genitive です。女の子の、という意味です。
+ baiulat > baiulo : (重い荷を) 負う、運搬する、運ぶ
baiulat は三人称 3rd person、単数 singular、現在 present です。彼/彼女が負う、という意味です。目的語は次の行の secreta です。過去形でなく現在形なのはたぶん状況を生き生きと描写して見せようという意図ででしょう。
secreta quae non noverat.
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彼女がそれまで経験したことのない私事を!
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+ secreta > secretus (形容詞 --- 動詞 secerno の過去分詞) : 分けられた、切り離された / 人里離れた、寂しい / 孤独な / 私的な、公ではない、内々の / 隠された、秘密の、神秘の / 珍しい、まれな
secreta は中性 neutral、複数 plural、対格 accusative、名詞扱い (複数の切り離されたもの、複数の人里離れた場所、複数の私的な事情、複数の隠されたこと、複数の珍しいこと、など) です。秘密なことを、という意味です。
+ quae > qui (関係代名詞) : 英語の who、which のような関係代名詞です。
quae は中性 neutral、複数 plural、対格 accusative です。
+ non : 〜ない (否定)
+ noverat > nosco : (何々を) 知る (英語の learn) / (完了形や過去完了形で) 知っている (英語の know)
noverat は過去完了 pluperfect、三人称 3rd person、単数 singular です。
主語は女の子 puella か、またはおなか venter です。noverat は (女の子が) 既に知っていた、という意味です。non noverat だと、まだ知らなかった、という意味です。
-- 過去完了の変化形 ---
noveram 一人称単数 わたしは知っていた
noveras 二人称単数 あなたは〜
noverat 三人称単数 彼女は〜
noveramus 一人称複数 わたしたちは〜
noveratis 二人称複数 あなたたちは〜
noverant 三人称複数 彼らは〜
過去完了とは、過去のある時点ですでに完了していた (否定文の場合は、まだ完了していなかった) ということです。
今は7月ですが、
5月に既に知っていた、5月にはまだ知らなかった、とか、
5月に既につくってしまっていた、5月にはまだつくっていなかった、とか、
5月に既にやめていた、5月にはまだやめていなかった、とか、
今は11時ですが、
8時に既に食べてしまっていた、8時にはまだ食べていなかった、など。 domus pudici pectoris
----- == -----
見よ、清らかな魂を宿す家は
----- == -----
+ domus (女性名詞) : 家 / 何かが宿るところ、例 : 動物、神、風、魂、など何でも / 家族
特に魂の宿る肉体を指すことがあると辞書にあります。
domus は単数 singular、主格 nominative です。家が、という意味です。
+ pudici > pudicus (形容詞) : 恥を知る、名誉を重んじる、道徳的な (特に性道徳)、節度を重んじる、貞操を守る
pudici は中性 neutral、単数 singular、属格 genitive です。pectoris を修飾するために pectoris と同じ性、数、格になっておるのです。
+ pectoris > pectus (中性名詞) : 胸 / 心 / 知性
pectoris は単数 singular、属格 genitive です。胸の、という意味です。 templum repente fit dei ;
----- == ----- 突然、思いがけなくも神の神殿になる! ----- == ----- + templum (中性名詞) : 神聖なことのために区画された場所、聖域、神殿 templum は単数 singular 、主格 nominative です。A が B になる、という構文では A も B も主格になります。 + repente (副詞) : 突然、思いがけなく + fit > fio (動詞) : なる fit は三人称 3rd person、単数 singular 、現在 present です。主語は前の行の domus (家が) です。 過去形でなく現在を使うのは状況を生き生きと描くためでしょう。 + dei > deus (男性名詞) : 神 Dei は単数 singular、属格 genitive です。神の、という意味です。 intacta nesciens virum
----- == -----
誰にも触れられないまま、男を知ることなくして、
----- == -----
+ intacta > intactus (形容詞) : 触れられていない、誰にも触れられたことのない / 完全な状態に保たれた / 未だ試みられていない、まだ試してみたことのない (戦争、武器、旋律、技) / 汚されていない、穢れていない / 処女の、未婚の
Intacta は女性 feminine、単数 singular、主格 nominative です。主語の Maria (省略されています) を修飾するため、Maria と同じ性、数、格になっています。形容詞ですが、ここでは副詞的に働き、動詞または文全体の付帯状況を説明します。誰にも触れられないままで、というような意味で使われています。
+ nesciens > nescio (動詞) : (何々を) 知らない
nesciens は現在分詞 present participle で、女性 feminine、単数 singular、主格 nominative です。分詞は動詞の意味を形容詞化したもので、知らない、無知な、未経験な、というような意味になります。ここでは副詞的に働き、動詞または文全体の付帯状況を表して、(何々を) 知らずに、知らないのに、というような意味で使われています。
+ virum > vir (男性名詞) : 男
virum は単数 singular、対格 accusative です。男を、という意味です。 verbo concepit filium.
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(マリア様は) ただ言葉によって子を身ごもりなさった。
or
(マリア様の体は) ただ言葉によって子を身ごもった。
* 言葉によって、つまり (神の) 命令によって、という意味かもしれません。福音書でも、イエスの言葉によって、つまり命令によって、隊長の部下の下男だったかが病気から回復した話がありますね。。。。。。 いま聖書を調べてみたら、百人隊長の部下でした。ルカ7です。
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+ verbo > verbum (中性名詞) : 言葉
verbo は単数 singular、奪格 ablative です。言葉から、という意味です。または、言葉によって、という意味でもあり得ます。
+ concepit > concipio (動詞) : 何々を受け取る (受け取って自らの中に入れる、というイメージらしいです) / 誰々を身ごもる (構文 : concepit 彼女は身ごもった filium 息子を ab から 神 Deo)
concepit は完了形 perfect です。三人称 3rd person、単数 singular です。主語のマリア様は省略されています。彼女は身ごもった、という意味です。
ここでは、言葉から verbo 息子を filium 受け取った concepit という意味か、言葉によって verbo 息子を filium 身ごもった concepit という意味かです。
+ filium > filius (男性名詞) : 息子
filium は単数 singular 、対格 accusative です。息子を、という意味です。 gloria tibi domine
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よい評判があなたに、王よ!
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+ gloria (女性名詞) : 賞賛、よい評判、名誉、栄光、栄華、名声 / 尊重しているしるし、敬意のしるし (Niermeyer) / 永遠の幸福 (Niermeyer)
gloria は単数 singular、主格 nominative です。賞賛が、という意味です。
+ tibi > tu : あなた、君、お前、汝
tibi は単数 singular、与格 dative です。
+ sit > sum (be動詞) : ある、いる / 何々である
与格と be動詞のセットで所有を表せます。
gloria tibi est (栄光はあなたのものである、あなたは栄光を持っている)、
domus tibi est (家はあなたのものである、あなたは家を持っている)、
filius tibi est (あなたは息子を持っている)、
mater tibi est (あなたは母を持っている) 、
gemma tibi est (宝石はあなたのものである、あなたは宝石を持っている)
est は be動詞 sum の三人称 3rd person、単数 singular、現在 present、直説法 indicative の形です。
sit は三人称 3rd person、単数 singular、現在 present、接続法 subjunctive です。接続法はここでは願望を表すために使われています。(賞賛が) あってほしい、という意味です。接続法は命令も表せるので、(賞賛が) あれ、という意味にもなります。日本の古文の言葉みたいに、(賞賛が) あるべし、と訳してもいいでしょう。
活用変化
sim, sis, sit, simus, sitis, sint 接続法、現在
sum, es, est, sumus, estis, sunt 直説法、現在
+ domine > dominus (男性名詞) : 支配者、征服者 / (目下の者が目上の者に言及したり呼び掛けたりするとき使う) 殿、殿下、旦那様、主人、お師匠、先生、頭、リーダー / (愛しい人への呼び掛けに用いて) 殿、旦那様 / 皇帝 / 王 (Niermeyer) / 領主 (Niermeyer) / (キリスト教) 主
domine は単数 singular 、呼格 vocative です。主よ、という意味です。 qui natus es de virgine
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処女から生まれなさった方、
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+ qui (関係代名詞) : 英語の who みたいなものです。
qui は男性 masculine、単数 singular、主格 nominative です。この関係詞節の主語になっています。前の行の domine が先行詞です。
+ natus > nascor (動詞) : 生まれる
natus は過去分詞 (生まれた、という意味) で、男性 masculine、単数 singular 、主格 nominative です。
名詞扱いすると、生まれた者、つまり、子、という意味です。男性形だと男の子、息子、という意味。
+ es > sum (be動詞) : ある、いる / (何々) である
es は二人称 2nd person、単数 singular 、現在 present です。あなたは (何々) である、という意味です。
+ natus es > natus sum (動詞フレーズ) :
nascor の完了形です。natus es は二人称 2rd person、単数 singular。あなたは生まれた、という意味です。ちなみに nascor の完了形の活用変化は次のような感じです。
natus sum わたし (男性) は生まれた
natus es あなた (男性) は生まれた
natus est 彼は生まれた
nata sum わたし (女性) は生まれた
nata es あなた (女性) は生まれた
nata est 彼女は生まれた
+ de (奪格を取る前置詞) : (何々) から
+ virgine > virgo (女性名詞) : 処女、未婚の女性、おとめ、若い娘 / 若い既婚女性
virgine は単数 singular、奪格 ablative です。前置詞 de につきます。 ちなみに virgo は次のように格変化します。
主格 virgo
属格 virginis
与格 virgini
対格 virginem
奪格 virgine
英語の virgin は語幹の virgin- から来ています。 cum patre et sancto spiritu
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父と聖霊にも (よい評判がありますように) !
直訳は : 父と聖霊とともに
----- == -----
+ cum (前置詞、奪格を取ります) : (何々) とともに、といっしょに
cum patre 父とともに、cum sancto spiritu 聖霊といっしょに
+ patre > pater (男性名詞) : 父、お父さん
patre は単数 singular、奪格 ablative です。cum につきます。
+ et : = and
+ sancto > sanctus (形容詞)
神聖で不可侵なものとされた (例 : 建物、土地、法、権利、自由、協定、役職、客人、配偶者、神、皇帝、祭日、火、泉) / 宗教や道徳において正しいものと認められた、清い、有徳な (例 : 人、考え、生き方、慎み、話、話し方)
sancto は男性 masculine、単数 singular、奪格 ablative です。spiritu を修飾するため spiritu と同じ性、数、格になっています。
+ spiritu > spiritus (男性名詞) : そよ風、空気の動き / 呼吸 ; 息 ; ため息 / 命 / 香気 (例 : 香油の) / 神霊の息がかかること、神がかり、霊感、インスピレーション (例 : 詩人の、神官の) / (人や芸術作品などの) 性格 ; (人や役職や芸術作品などの) 風格 / 高慢な態度、プライド / 勇気、意気、エネルギー / (わたしたちの中の) 心、霊、魂 ; (わたしたちの前に現れる存在として) 霊、魂 (例 : 邪悪な)
spiritu は単数 singular、奪格 ablative です。前置詞の cum につきます。
ちなみに spiritus の格変化 (単数) は次のようになります :
主格 nominative - spiritus そよ風は
属格 genitive - spiritus そよ風の
与格 dative - spiritui そよ風に、などの意味
対格 accusative - spiritum そよ風を
奪格 ablative - spiritu そよ風によって、などの意味 in sempiterna saecula.
===== -- =====
我々の世代交代がいつまでもいつまでもつづく、その間ずーっと。
===== -- =====
+ in (前置詞、対格を取る) : (何々) へ、(何々) まで、(何々) の間
+ sempiterna > sempiternus (形容詞) : 永遠につづく、ずーっとつづく
sempiterna は中性 neuter、複数 plural、対格 accusative です。saecula を修飾するため、saecula と同じ性、数、格になっています。
+ saecula > saeculum (中性名詞) : 33 年ほどの期間、一世代分の期間 ; もっと数字的に曖昧にも使える、そのくらいの長い期間について / 世代 ; (複数形で) 世代の連続 / 100 年ほどの期間、人の生き得る期間 ; もっと数字的に曖昧にも使える、とても長い期間について
saecula は複数 plural、対格 accusative です。前置詞 in につく形です。in saeculum は、長い期間を、というような意味です。
amen.
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