マネー・ボール MONEY BALL
【著】マイケル・ルイス 【訳】中山宥 RHブック+プラス
野球本というより野球を題材にしたビジネス書と言った感じでした。
アメリカはもちろんですがイギリスでもベストセラーになったのも納得です。
登場人物も実名でメジャーリーガーの選手や、
昔日本で活躍した選手の「フィルダー」や「マット・キーオ」などの
名前も出てくるのでとても懐かしく本に入りやすかったです。
多額の入団金で進学をやめメジャーへ
入団した高校生超有望選手の挫折からセカンド・チャンスに
かけ成功したサクセス・ストーリーです。
本を開くとこの言葉から始まります。
「先日、カルフォルニアの沈没船を調べたところ、
乗客のひとりが、90キロの金塊をくるんで腰に巻きつけ、
その重みで船底に沈んでいた。はたして---−男が金塊を放さなかったのか、
それとも金塊が男を放さなかったのか?」
ビリーのメジャー決断を予見させる言葉に思えました。
そして、この言葉も印象に残りました。
神々は破滅させたい人間をまず、「前途有望」と名づける。
シリル・コナリー「希望の敵」
ビリーのメジャーでの失敗を暗示していると思います。
有望な高校生ビリーが入団か大学進学か迷い、
目の前の大金とメジャー球団からの甘い誘惑に乗り入団、
そして学生時代に味わった事のない初めての挫折、
かつてスランプを経験した事のない超エリート選手は、
壁の乗り越え方までは知らなかった。ついに限界を感じ若くして引退。
そして風変わりだと批判されながらも、
セカンド・チャンスにかけ成功するまでの話でした。
1970年代に食品工場の夜勤で働く「ビル・ジェイムス」の書いた「野球抄」と言う本が元になります。
徹底的にデータを調べ統計学的に野球を分析し野球の面白さを違った面から見る本です。
その後、セイバーメトリックスSABR(アメリカ野球研究協会)と命名。
その後にビル・ジャイムス→アルダーソン→エリック・ウォーカー→
そしてビリー・ビーン→ポール・デポデスタと受け継がれ
ビリーが見事に開花させたような感じです。
ビリーの凄いのは現状を打破したガッツとサイバーメトリックスを理解しやり通した事です。
ただ鵜呑みにしていたのでは失敗していたでしょう。
ビル・ジェイムスも
「猿マネはするな!理性に従って自分で考えろ。仮説を立て検証せよ。
答えを他人に頼るな。有名選手が太鼓判を押したからと言って正しいとは限らない」と言っています。それを周囲の反対を押し切って実現、実行させたのが、
このマネー・ボールがベストセラーになりビジネス書とし売れた要因だと思います。
しかし、ビリーは、短気。三振したバットをへし折り、
気に入らなければモノを壊しベンチで暴れるといった感じです。
車の運転でも激しさが表れ現役引退と共に結婚生活も終わったそうです。
現役中なら遠征も多いので我慢できたけど引退し毎日一緒にいると我慢も限界だったようです。
映画でビリーの補佐役はピーターでしたが、本ではポールです。(後のドジャースのGM)
出身大学も映画ではイエール大学ですが実際はハーバード大卒です。
なんで映画になるとイエール大で名前まで変わるのか不明です。変なの(笑)
解説の「丸谷才一氏」のコメントに
「思考と生き方のためのマニュアル」とありますがまさにその通りだと実感しました。
【内容紹介】Amazonより
原題:Moneyball: The Art of Winning An Unfair Game
「マネー・ボール:不公平なゲームに勝利する技術1997年GMに就任。
1999年メジャーリーグのコミッショナー、バド・セリグは
アスレチックスの成功は「異質な例外」と言った、
毎年のようにプレーオフ進出を続け
全球団で最高の勝率を記録したのだ。
【ビリー・ビーン】
193cm 88kg
最後にはメジャーに向かない事を悟り引退。
アスレチックスの球団マネジャーのアシスタントとして働きその後、GMへ。
2002年ア・リーグ新記録の20連勝達成。
でもプレーオフでは勝てない。レッドソックスへ5年で1250万ドル(GM最高額)を辞退。
金では動かなかった。
【目次】
ジョン・ラスキン「この最後へ」
第一章:才能という名の呪い
第二章:メジャーリーガーはどこにいる
第三章:悟り
第四章:フィール・ドオブ・ナンセンス
第五章:ジェレミー・ブラウン協奏曲
第六章:不公平に打ち克つ科学
第七章:ジオンビーの穴
第八章:ゴロさばき機械
第九章:トレードのからくり
第十章:サブマリナー誕生
第十一章:人をあやつる糸
第十二章:ひらめきを乗せた船
エピローグ
【参考までに】
アルダーソン軍隊式鉄則(ビリーの上司の野球方針)
①打者は全て1番バッターの気構えで出塁を最大の目標とする。
②打者は全てホームランを打つパワーを養え。長打を警戒し四球が増える。
③プロになれるだけの才能があるのだから、教わる事は肉体面より精神面である。
現在のメジャーリーグについて
既に他球団(ヤンキース、ブルージェイズ、レッドソックスなど)も
セイバーメトリックスを採用しだした為。
資金力に乏しいアスレチックスは勝てなくなっている。
なので現在はバントも盗塁も行い戦略も元に戻しながらの闘いとなり
以前よりも更に厳しい現状である。補佐のポール・デポデスタはドジャースのGMに。
今後のメジャーの動向が楽しみです。
知れば知るほど野球全体のレベルの違いや差を感じました。
フロント、GMが野球経験者なしってドライになり過ぎるようでちょっと怖いです。
来年はダルビッシュや青木、中嶋、和田、川崎などがメジャーに挑戦。
どこまで通用するか!?楽しみが増えて嬉しいです!
寝不足の日が増えそうですね(笑)