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『徒然草』(2)

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『徒然草』で「常なるものはない」、無常観について書かれた文章の中でも
もっとも有名で、美しい文章の1つは、第137段です。
 
花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。
(桜は満開の花盛りを、月は曇りのない澄み渡った月だけを見て楽しむものだろうか)
雨に対ひて月を恋ひ、たれこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情深し。
(雨が降るのにむかって月を恋い慕い、簾を垂れた部屋にこもって春がくれてゆくのを
知らずにいるのも、やはり情趣の深いものだ)
咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見どころ多けれ。
(いまにも花が咲きそうな頃合の梢や、花が散りしおれている庭などのほうが
見る価値のあるところが多いものである)
 
(中略)
 
万(よろず)のことも、始終(はじめおわり)こそおかしけれ。
(総じて何事でも、始めと終りが特に面白いものだ)
男女の情も、ひとへに逢い見るをばいふものかは。
(男女の情愛でも、ただ逢って契りを結ぶばかりが恋というものだろうか)
逢はでやみにしうさを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとりあかし、
(逢えないで終わってしまったつらさを思い、はかない逢瀬を怨み嘆き、
長い夜を一人待ち明かし)
遠き雲ゐを思ひやり、浅茅が宿に昔を偲ぶこそ、色好むとはいはめ。
(はるか遠くに離れた恋人に思いを馳せ、浅茅の茂った荒れた住まいに
恋人との昔を追想したりするのこそ恋の情趣を解することだといえよう。)
 
まあ、もっと、ざっくばらんに書いてしまえば、恋だって、まっさかりの時よりも
これから恋が始まるとき、愛しい人に逢いたくても逢えないとき、
逢えなくて終わってしまった時、二人の愛が終り過ぎ去ったときを偲ぶときにこそ、
恋の醍醐味がある、ということですね。
 
花が満開の良さはもちろん格別ですけどね。
 
でも、芽が出て、蕾ができて、ああ、これから花が咲くなぁ
という時期も楽しみですし、満開は言うまでもなく素晴らしいけど、
その花が散ってしまって、ああ、散ってしまったなぁ
と、あの満開時は美しかったなあ、と思い出すのもいい、
ということでしょう。
 
そして、このような感覚は、ものごとが永遠でないからこそ、抱くことができるのだ
と彼は言っています。
 
世は、定めなきこそいみじけれ(第7段)
(人の命は定めがないからこそ、素晴らしいのだ)
 
スティーブ・ジョブスのように
「時間には限りがある。他人の人生を生きる暇はない」
だからこそ、自分のやりたいことに熱中してやりなさい、
という意見もあるし、兼好法師のように「感慨」にふける人もいます。
 
でも、兼好も
一事を必ずなさんむと思はば、他の事の破るるをもいたむべからず。
人のあざけりをも恥づべからず。万事にかへずしては、一の大事成るべからず」(第188段)
 
(もし一事を成し遂げようと思うならば、他のことがうまくいかなくても心を痛めてはいけない。
人があざ笑っても、恥ずかしいと思ってはいけない。あらゆることと引き換えにしないと、
一つの大事が成就するはずがない)
 
と言っています。
 
かと思えば、第168段では、
(一つのことを大成した人が老人になったのを見て、ああ、この人は、このことだけで
一生を終えてしまったのだな、と思うとつまらなく思う)
などとも言っています。
 
兼好は、その時代では「何者でもなかった」けれど、非常にバランスが取れた人だった
ようです。
 
金持ちも嫌い、武勇の人も嫌い、若い人も嫌い、女性もめんどくさい、坊主も嫌い、
知ったかぶりも嫌い、自慢する人が嫌い、無駄なおしゃべりが嫌い、権威を疑い、
無益なことで人生を終えてしまう人が嫌い、
となかなか気難しい人で、結局は、隠遁生活をしました。
嫌いなものはたくさんあったのですが、彼独自の美学があり、それを彼は楽しんだ
のです。
 
鴨長明は、もっと厭世的だったようで、よっぽどひどい時代だったのでしょう。
平成も確かにひどい時代ですが、そういう意味では、過去においてもひどい時代はあった。
そういう時代を賢人はどう生きたのか、というのを知るのも面白いです。
 
 
 

閉じる コメント(6)

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オイラはもともと古文が好きでしたが、徒然草をちゃんと勉強すれば中堅大学受験レベルはいけると確信しました。単語も文法も。w

兼好の考え方面白いですよね。高校生が受験でしか読まないのはもったいないですよね。

2012/1/22(日) 午後 6:34 モノケノカラ

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モノケさん、こんばんは。いつもありがとう。私は、古文は嫌いではなかったですが、古文の文法とかは嫌いでした。言語というのは、道具であって、今、使う言語ならば文法は知っておく必要があるでしょうが、古文の文法をなぜ覚える必要があるのか納得がいかなかったのです。声に出して読み、そのリズムと音を楽しみ、意味がわかればいいのではないか、と思っていました。いまでもそうですが。
まあ、単語と文法がわからなければ、教わっていない古文の読解はできないでしょうけど、別に古典文学者になるというわけでもないし。
学校は生徒に、その科目を嫌いにさせてはいけないと思います。「楽しいなぁ」と思わせないと。

2012/1/22(日) 午後 7:45 [ dareyanen22 ]

世は、定めなきこそいみじけれ
これは、日本文学の至宝中の至宝だと
学生の頃から思っていました。
今も、そう思ってます。
「いみじ」と言い切る強さ、潔さ、
この島国にある美徳の中で、一番好きな美徳です。

2012/1/22(日) 午後 11:04 [ - ]

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みきさん、こんにちは。
理由は書けませんが、嬉しいコメントです。

2012/1/23(月) 午前 11:59 [ dareyanen22 ]

なんとなく分かりました。。。

2012/1/23(月) 午後 8:49 [ - ]

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みきさん、そちらにお邪魔して、本当の理由を内緒で書いておきました。くだらなくてすいませんね。

2012/1/23(月) 午後 9:20 [ dareyanen22 ]


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