|
可能性があるって?
笑わせちゃいけない。
中上健次(1946-1992)。日本の作家。
和歌山県出身。被差別部落出身。
『十九歳の地図』より。新聞配達をする予備校生が主人公。
彼は将来に希望がないだけでなく、この世を憎んでいる。
若いとき、どれだけ言われたことだろう?
「君たちは、まだ若いんだから将来がある」
「大きな夢を持ちなさい」
でも、それこそ、真っ白なキャンバスに好きなだけ
大きな絵を描きなさい、と言われても
どんな絵を描いたらいいのかわからなかった。
今、50歳を過ぎて若い人たちを見ると、やはり同様に
「若くていいなあ」と思う。それは、ただ若いということへの
羨みだけではなく、やはり、まだ、何も確定していない将来の
可能性についての羨望だろう。
でも、誰もが恵まれた環境で夢を育んで行くわけではない。
努力するにも才能が必要だ。そして、運。
マスコミで取り上げられる一部の成功者よりも
失意のもとに社会を憎悪する人たちが多くいても
なんの不思議もない。
|
全体表示
[ リスト ]




