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帰りの機内で映画「ヤング≒アダルト」を見ました。
2011年米国作品。
「安っぽいタイトルの映画だなぁ」と思って見始めたのですが、とてもいい映画でした。
男には「青春の尻尾」みたいなものがいつまでたってもあるのですが、女性にもある
んだなぁ、と思いました。極めて繊細で青春(アラフォー)文学的な映画です。
主演:シャーリーズ・セロン
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:デイアブロ・コディ
舞台は米国ミネソタ州。37歳のバツイチ女性が都会のミネアポリスから故郷の田舎に
戻ってくる。彼女は自称作家、実はゴーストラインター。一時は売れていた本も最近はさっぱり。
高校時代は美人でもてはやされ、数々の男子生徒たちと思うがままに楽しい青春を過ごした。
結婚に失敗し、仕事もうまくいかず、そんな彼女に1通のメールが届く。
元彼から、「赤ちゃんが生まれたんだ」と。
超傲慢な彼女は、「元彼こそが自分にふさわしい」と思い込み、元彼に赤ちゃんが生まれたばかり
だというのに、彼を奪い取るためのアプローチを始める。
元彼は純粋で真面目な男で、彼女のアプローチを拒否する。
村の皆、とくに女性たちから彼女は非常に評判が悪い。
「女王様が戻ってきたわ。なに、あの傲慢女!」と。
彼女は、犬とアルコールが大好き。ある日、故郷の酒場で一人で飲んでいると
近くに座っていたさえない男性が話しかけてくる。
彼は高校のもとクラスメート。チビでデブで、ホモと疑われた彼は、同級生の男子たちに
暴行のいじめを受けて、足を複雑骨折、性器も使えなくなってしまっている。
この映画に、もし、彼との伏線がなかったら、きっと、つまらない映画になっていたと思う。
彼を見下していた彼女だが、だんだんと彼がいいお酒の飲み相手、話し相手になっていく。
彼、いわく
「君は病んでいるんだよ」
二人は懐かしい高校の裏の林に散歩にでかける。
彼女いわく
「懐かしいわね。この林で私、一体、何人の男の子たちとセックスしたかしら」
彼「僕はそんなことがおこっていたなんて、全然知らなかったな。
君がフェラチオをしてあげた奴らに、僕はひどいいじめを受けてこんな体になっちゃったんだ」
彼女は元彼のパーティーを台無しにして、一人しょげて、足の不自由な彼に会いに行く。
「私、誰にも愛されていないんだわ」
と落ち込む彼女。
かつての女王様と、かつてのいじめられっ子。
この二人になにが起こるか。ここでは書きません。
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いろいろと考えさせられる映画でした。
高校時代にハンサムでスポーツマンでもてたからといって、その後、素晴らしい生活を
しているとは限らない。
高校時代に美人で、頭が良くて、男性にもてもてで、都会に出て行ったからといって
その後の生活がハッピーとは限らない。
往々にして、都会人は田舎をバカにする。
私も2回ミネソタ州には行ったことがある。冬は寒くてマイナス20−40度くらいまで下がる。
とても外は歩けない。夏場は雪は解けているけど、基本的に森と湖の州だ。
かろうじて、ミネアポリスとセントポールは都会だけど、あとは「田舎」を超えて、
トナカイの出そうなところ。産業もあまりないから、有色人種も少ない。
私の米国のエージェントの女性もミネソタ出身だ。
田舎には田舎の苦労と幸せがある。
都会には都会の苦労と幸せがある。
若い人は、夢をもって都会に出る。
夢破れて田舎に帰る気持ちも分かる。
過去の栄光があればなおさらだ。
この映画の主人公は37歳。アラファーだ。
いつまでも結婚しない女性たち。
一体何を希望しているのか?
自分で金を稼ぎながら、いまでもかつての若さと美貌がある
とでも思っているのか。
40歳近くなっても、きっと、白馬にまたがった王子様が登場する
とでも思っているのか。
もんもんとした気持ちにもなりますが、この映画のラストは、彼女が一皮剥けて
新たな旅立ちとなります。ちょっと、すっきりします。
オスカー女優シャーリーの「美人で傲慢で嫌な女、でも少し愚かで寂しい」の演技も素晴らしい。
脚本も素晴らしい。大作ではないですが、小さな名作と言えると思います。
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主演のシャーリーズ・セロンは、フランス人とドイツ人の両親から南アフリカで生まれた。
父親は家庭内暴力がひどく、彼女が15歳のときに、母親が父親を射殺しています。
母親は正当防衛で無罪。
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