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友人に借りて『モーニングサービス』(2012年、三田完著)を読んだ。
浅草の下町の喫茶店「カサブランカ」を営む夫婦と、常連客の織り成す人情物語です。
常連客には、ベテランの芸者、若い芸者、ソープ嬢、医大生(性同一性障害)、
近所の中華屋で働くベトナム人、などが登場してくる。
それぞれの人たちが、様々な過去と現在の悩みや喜びを抱えながらも、助け合って
いく。どこか昭和の香りがする。
喫茶店自体も、古いタイプの小さな喫茶店で、トーストに小岩井農場のバター、
サイフォン・コーヒー、ナポリタン、オムライスなど、日本の美味しいB級洋食を
提供する。
下町の人情と、風流を感じる。
作者の三田完(1956- 、本名:長谷川敦)は、もとNHKのディレクター、プロデューサーで、作家、俳人でもある。父親はフルート奏者、母親は俳人、祖母も祖父も俳人である。俳人家系と言える。
(NHKって育ちのいい人が多いのでしょうかね)
高校二年生で学校の先生との間に子供を作ってしまった菊江ちゃん(若い芸者、子供は田舎においてきた)
が、光君(医大生、性同一性障害)のお父さん(医者)に
「あの・・・、先生、子供さんを育てていくって、どんな気持ちのものなんでしょう?」
と聞いたら、光君のお父さんは少し困ったように考えて、
「・・・・そうですねぇ、なんていったらいいんだろう。
そうだ、こういうことです。子供が成長していくのに、
親はまだ大人になりきれない。
だんだん偉そうなことは言えなくなってくる」
というお父さんのセリフ、私も最近実感しています。
出生の秘密、男と女、親と子、性同一性障害、人の死、運命など
いろいろなドラマがありますが、かなり爽やかで心温まる小説です。
喫茶店好きの人、下町人情ものが好きな人にお勧めです。
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2012年08月16日
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