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『星を継ぐもの』(Inherito the Stars)を読みました。
1977年英国人、ジェームズ・ホーガン(1941−2010)によるSF小説です。
内容は少し難しいところもあるけど、とても面白かった。
アイデアが素晴らしい。
月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。綿密な調査結果、この死体は、
5万年前に死んだものである、ということがわかった。
この発見が、世界の科学者で大変な論争となり、「彼」は一体何者なのか?
という調査が進められていく。
壮大なスケールで、科学的な理論の積み重ね、そして、奇想天外なアイデア、
文章も素晴らしい。この作家の想像力というものが、半端でないことを示してくれる。
主人公の原子物理学者ハントが、月面に立ち、地球を見て思うところの描写が
素晴らしい。
**引用**
長いこと彼は人類がオアシスを建設した荒涼たる岩石砂漠を陰鬱な視線で眺めやった。
地球は青と白の縞模様の円板となって中空に浮かんでいた。それを見ると、ハントは急に
今まであまりにも身近なために何とも思っていなかったヒューストンやレディングや
ケンブリッジといった場所から自分がいかに離れたところにいるか思い至った。
放浪の生涯を通じて、彼はかつてただの一度もある特定の場所を自分の故郷として
意識したことはなかった。というよりも、彼にとっては特別な場所などありはせず、
どこへ行っても、そこが故郷と思えばそれで満足だったのだ。ところが、月面に立って
地球を見た途端、ハントは生まれて初めて、故郷を遠く離れていることを強く意識した。
**引用終わり***
そして、ハントはさらに6か月かけて木星の衛星の1つの移動する。そこで、彼が木星の
衛星(月)から見た木星の巨大で美しいこと!
**引用**
頭上を仰いでハントは思わずあっと息を飲んだ。そこには、地球から見た月の五倍の
大きさで、真ん丸い木星がぽっかりと浮かんでいた。かつて見たどんな写真も、ディスプレイ
スクリーンの映像も、その壮麗な姿には遠く及ばなかった。木星は絢爛たる輝きで
夜空を満たしていた。
虹の七色の光の帯は交錯した綾を織り出しつつ赤道付近から幾重にも層をなして
拡がっていた。惑星の外縁に近づくにつれて光は混じり合い、溶け合って桃色に霞んだ。
桃色はさらに紫に変わり、やがて紫紅色となって、空との境を限る大円弧にくっきりと
断ち切られていた。不変不動、そして永遠なその姿。神々の王の名に相応しく、木星は
威風堂々として孤高の光を放っていた。
**引用終わり***
この写真?は、木星=ジュピター(Jupiter)。
人類の起源、月の起源の通説を覆す壮大なスケールのSF小説です。
2009年に創元SF文庫の人気投票で第一位となっています。
興味のある方は、ぜひ。
「すごいなぁ」の一言につきます。
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