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知人から借りて『スタンド・バイ・ミー』を読みました。とても面白かった。
小路幸也(1961- )のホーム・ドラマ小説「東京バンドワゴン」のシリーズ第三弾。
下町人情物語だ。
東京下町の大きな古本屋「東京バンドワゴン」の大家族の物語。堀田家の三代目店主
勘一(80歳)は頑固で昔は柔道の猛者。息子・我南人(61歳)は伝説のロッカー。
我南人の愛人とかその他?の妻とかの子供たちがいて、その子供などもいて
総勢12人家族?人の出入りも多いので登場人物が多い。
語り手は勘一の他界した妻サチさん。死んではいるけど、あの世からこの一家の人たちを
見て語る。その語り口が優しく、愛情がこもっている。
それほど大きな事件が起きるわけではない。でも、ちょっとした事件が起こって、それぞれの
家族が関わったりしながら、その事件が解決されていく。基本に流れているのは、人間の
絆、信頼、愛だ。泣けるシーンもありますよ。
我南人(がなと、61歳)もいい味だしている。いい年して、かなりいい加減で神出鬼没なんだけど
やるときはやるし、愛されるキャラだ。
「LOVEを歌うんだよぉ。
求めちゃいけない。
欲しがっちゃいけない。
君の心の中にあるLOVEをぉ、与えるんだよ。
出し惜しみしちゃいけない。
全部出して出して出し切るのさぁ。
そうしたらさぁ、そのLOVEは、
きっと君の元に返ってくるよぉ。
そして、君の傍にずっといてくれるんだよぉ。
LOVEっていうのはねぇ、
そういうもんなんだぁ。」
作者の小路さんはロック大好きなようだ。
私はいきなり初めてシリーズ3作目を読んだのだけど、このシリーズの既刊作品は
『東京バンドワゴン』
『シー・ラブズ・ユー』
『スタンド・バイ・ミー』
『マイ・ブルー・ヘブン』
『オール・マイ・ラビング』
『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』
と、5作まで出ています。
登場人物が多いので、最初は若干戸惑いますが、少し慣れると楽しくなります。
最初から全部読んで見たいなぁと思っています。
そのうち、TVドラマになるか、映画化されると思います。
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本
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『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン著)を読みました。
すいすさんのご紹介です。ハインライン(1907-1988)はドイツ系米国人。
とても面白かった。
ある技術者と愛猫の友情を描いたタイム・トラベルのSFといった感じでしょうか。
1957年の作品。時代は1970年で、主人公は冷凍睡眠によって、老化せずに30年間眠り、
2000年に目覚める。しかし、ある重大な用を足すため、タイムマシーンで再び1970年に
戻り、そして、また、冷凍睡眠で2000年に戻る。
ややこしい。未来を描くというのは大変なことだ。
例えば、今は2012年。
2025年設定の物語を書き、その主人公が30年後、つまり、2055年まで冷凍睡眠で同じ
年齢のまま生きて、再度、2025年にタイムマシーンで戻り、そして、また冷凍睡眠で
2055年を年を取らずに迎える、といった感じだ。
あなたは2025年を想像できるだろうか?
2055年はどうだろう?
さすがのハインラインも、彼の描く2000年は実際の2000年とは随分と違う。だから、その点は
読んでいて、若干の違和感があったけど、そんなことはやがて慣れてしまう。
そんなことよりも、猫との友情や、ある女性への恋、裏切り、憎しみ、友情の破綻、人への信頼
といったことがSFの形をとって上手く書かれていて、そして、読後感が素晴らしい。
ニヤリと笑って読み終わる。
爽やかな一陣の風が吹くようだ。
この文庫本の表紙もなかなかいいですね。
ちなみに、この本は日本では大人気(SFとして、ほぼベスト1)らしいのですが
海外ではそれほどでもないようです。日本人向けの何かがあるんでしょうか。
すいすさん、ありがとうございました。
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図書館で借りた『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス著、早川書房)を読んだ。
とても、面白く、引き込まれ、感動した。心を強く動かされました。
(結末にも軽く触れているのでご注意!)
裏表紙から内容をざっくりとご紹介します;
「32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリィ・ゴードン。
そんな彼に、夢のような話が舞い込んだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれる
というのだ。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に
連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリィは天才に変貌したが・・・・。
超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、
全世界が涙した現代の聖書」
1959年に最初の中篇が発表され、その後、1966年に長編となって再登場した。
SFに分類されているらしい。米国、カナダ、フランスで映画化され、日本、韓国でも
ドラマ化されたらしい。
すべてチャーリィによる一人称の手記による表現だ。最初は、頭の悪い子供のような
手記(経過報告)だったのが、やがて、普通の文章になり、そして、天才となっていく。
IQは68から185となる。
自分の手術の前に、アルジャーノン(ネズミ)が動物実験で知能向上手術の成功をして、
チャーリィは人間としては実験第一号だった。チャーリーは、みごとに天才になったが
やがて変調を来たしていくアルジャーノンを見て、自分の末路を予見する。
日本語版文庫の序文によせて、ダニエル・キイス(1927- )は、こう書いている。
「他人に対する思いやりをもつ能力がなければ、そんな知能など空しいものです」
心優しい白痴のチャーリィが、天才になってからは他人に対して傲慢になり、優しさを失っていく。
そして、その彼は、また、運命的にまた、もとの優しい白痴に戻っていく。
白痴化していくチャーリィの手記の最後は;
「どーか、ついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束を
そなえてやてください。」
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心が洗われるような小説ですよ。
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NHKの「100分de名著」という番組は、なかなか素晴らしい。25分x4回でちょっと難しいけど興味深い
有名な本の解説をしてくれる。3月はブッダの「真理のことば」。昨年9月の再放送だ。
録画取りしたものをまとめて見ました。
欧米人にとってのキリストが、我々にとっての仏陀なのではないでしょうか。
仏教についてもいろいろと難しいけど、ブッダについても私はあまり知らない。
そもそも「ブッダ」とは誰のことか?
現在のインド・ネパールあたりに紀元前500年頃、本名(俗名)ゴータマ・シッダールタという王子がいた。
「釈迦」は彼の部族名もしくは国名で、牟尼は聖者・修行者の意味。つまり釈迦牟尼は、「釈迦族の聖者」という意味の尊称である。
彼は16歳で結婚し、子供も持ち、王子として何不自由なく暮らしていたが、あるとき、場外で「生」「老」
「病」「死」を目にして、人は老いて、病気になり、死んで行くのだ、ということを知り、29歳で出家する。
様々な修行もするが肉体的な修行の意味はないことも悟る。死にそうな彼にミルク粥をあげたのが
スジャータ。やがて、彼は菩提樹の下で悟りを開く。35歳だった。
「ブッダ」(=仏陀)とは「悟りを開いた人」「目覚めた人」という意味です。
ただし、「目覚めた人」すべてが仏陀ではなくて、あくまで仏教の開祖であるシッダールタだけに
しか仏陀という言葉は使用しない。
その仏陀が弟子たちに多くの教えを詩にして残した。『真理のことば』(ダンマパダ)は、数ある仏教聖典のなかで、ブッダの語った言葉をそのまま日常に役立つ指針として説く。
「修行することで自らの心を鍛える。それが苦しみから抜け出す唯一の道」
とブッダは悟った。
体を鍛えるのではなく、心を鍛えるのです。
奥が深いので簡単に説明されてもなかなか難しい。
NHKの番組では、4回に分けて、以下のテーマで放映しました。
第1回 生きることは苦である
第2回 うらみから離れる 第3回 執着を捨てる 第4回 世界は空(くう)なり 仏教というのは「心の病院」のようなもので、元気で健康な人には不要なようです。
しかし、人間は多くの苦しみを抱えながら生きて行きます。悲しみも多くやってきます。
そういうとき、仏教は心の病院になるようです。
苦しみには2種類あります。
1つは避けがたいもの。例えば、老いること、死ぬこと、天災など。
もう1つは、自分の心が生み出すもの。嫉妬や恨みなど。
これらを心の持ちよう一つで苦しみから脱却ができる、と。
「無明」(むみょう)という言葉があります。
「明」(みょう」とは、知恵のことであり、「知恵」とは、この世のありさまを正しく見る力
のことです。無明とは、そういう知恵がないことです。自分が無明であることを
自覚している人は賢者である、と。
ついつい人間は自分中心に物事を勝手に考えてしまいますよね。
そういう場合には、大体が正しくこの世のありさまを見ているとは言えないのです。
世の中は諸行無常である。例えば、自分の子供を失ったとする。しかし、自分の子供
と言えども、自分の所有物ではない。それどころか、自分自身だって、自分のものでは
ないのだ。たまたまこの世に生を受け、生き、そして、老いて、死んで行く存在なのだ。
そのようなこの世のありさまを正しく理解することで、悲しみも苦しみも減らすことができる。
「執着」もしてはいけない、と言う。諸行無常なのだから。
たとえそれが仏陀の教えだとしても執着するな!と。
例えば、ある旅人が目の前を大河があるために渡れなかった。
彼は木を使って筏を作り、なんとかその大河を渡りきった。
さて、渡りきった彼は、その筏をどうすべきか?
捨てればいいのだ。もう要らない。筏に執着する必要はない。
旅は人生であり、大河は人生における苦しみや困難、そして、筏が仏教だ。
仏陀はとても合理的な人だった。
科学はこれまで長い間、物質を中心に研究してきたが、やっと20世紀あたりから
仏陀の教えに近いような内容を認知脳科学で研究をやりはじめているらしい。
まあ、ちょっと難しいですけど、すごく面白いですよ。
私の説明もへたくそですいません。
DVDに落として、また、いつか見たいと思っています。
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『ふしぎなキリスト教』を読んだ。とても面白かった。
橋爪大三郎と大澤真幸という二人の社会学者が片方がボケ、片方がツッコミのような対談形式をとって、
キリスト教について、素朴かつ、基本的で重要なことについて明らかにしてくれる。
我々の社会は「近代社会」「現代社会」などと呼ばれるけれど、それは「西洋文明」を基礎として
おり、そのバックボーンにはキリスト教がある。しかし、世界的に見て、日本人ほどキリスト教に
ついて無知な国民はいない。ガラパゴス的な発展を遂げた日本は別文化であり、キリスト教に
対立もしないけど、理解もない。イスラム社会、中国、インドとも日本人のキリスト教に対するスタンス
は違う。
あとがきで橋爪さんがこう書いている;
昔むかし、あるところに、7人家族が暮らしていました。
「戦後日本」と、表札が出ていました。
家族は両親と、五人の兄弟。
「日本国憲法」
「民主主義」
「市場経済」
「科学技術」
「文化芸術」
という名の、いい子たちでした。
でもある日、5人とも、養子だったことがわかります。
「キリスト教」という、よその家から貰われてきたのです。
そうか、どうりで。
ときどき、自分でもおかしいなと思うことがあったんだ。
本当の親に会って、自分たちがどうやって生まれてきたのか、
育てられたか、教えてもらおう。
忘れてしまった自分たちのルーツがわかったら、
もっとしっかりできるような気がする・・・・。
この本では、例えば次のようなことが質疑応答されています;
・ユダヤ教とキリスト教とは何が違うのか?
・旧約聖書と新約聖書とは何が違うのか?
・原罪とは何か?
・全知全能の神は、どうしてこんな不完全な世界を作ったのか?
・イエス・キリストは実在したのか?
・イエス・キリストは人か?神か?神の子か?
・イエスはなぜ処刑されたのか?
・イエスの処刑によって、なぜ人類の贖罪となるのか?
・イエスは復活することを知っていたのか?
・預言者とは何か?
・精霊とは何か?
・なぜ、キリスト教文明は、イスラム教や他の宗教文明よりも科学・経済の発展をしたのか?
・科学と宗教は矛盾しなかったのか?
などなど。面白そうでしょう。
様々な宗教文化の中で、大航海時代以降20世紀終りまで、キリスト教国家が栄えていたのです。
ユダヤ教ともキリスト教ともイスラム教とも全くベースが違う文化の日本。
それでも、なんとなく戦後の日本はキリスト教文明の大波に乗って発展してきた。
でも、やっぱり「養子」だった。
そして、今や新興国として中国やインドというキリスト教文化以外の国々が台頭して
来ています。これからどうなるのか。
まあ、まずは、キリスト教について、もう少しお勉強しましょう、って感じです。
わかりやすい本です。でも内容は深いので、決して簡単とはいえないけど。
読んで損はないです。
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