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村上春樹

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村上春樹の『1Q84』BOOK 3 <10月−12月>が発売されました。
BOOK 2<7月−9月>を読み終えた時には、きっと誰もが「ええ!?ここで終わり?」
と思ったことだと思います。

とにかく売れている。韓国でも、2009年の最大のベストセラーは『1Q84』だった
ようです。

新たな書下ろしがこれだけ楽しみな作家というのも久しぶりですし、買ってから読むのが
楽しみな作家も他にいない。そして、読み出したら、読み終えるのが寂しくなるような
作家も他にはなかなかいない。

「売れているから」と買って読んで、「何が面白いの?」という人もいる。
別に、そんなの読んでもわからなければ、それでいいじゃない。教えてあげない。
面白い人には面白いのだ。

ゆっくりと味わいながら読もうと思います。
1900円出したんだし、映画1〜2本分くらいは楽しまなくては。
本って自分のペースで、好きなときに好きな場所で読めるのがよいです。

602ページとページ数が多いけど、新潮社も気を遣って、薄めの軽い紙を使って
ますね。だから、それほど重くない。
通勤もこういう本があると楽しくなる。

「やれやれ」

村上春樹の翻訳家たちにとって、苦労していることはたくさんあるようですが、
その1つは、主人公がよく言う「やれやれ」という台詞です。
なんて訳したらいいのか、みなさん困っているようでした。

それと一般論にもなりますが、日本語には一人称で、「僕」「私」「俺」など
たくさんあります。言語によっては1つしかない言葉もあって、訳し分けなくては
いけないような場合、かなり難しいようです。

それから、難しいのはカタカナ。外来語ですが、もとが何語だかわからない。
英語とは限りませんからね。ホッチキスなんて、ドイツ語だし。
しかも、和製英語的なカタカナもある。カタカナの翻訳はとても難しいそうです。

そんな風に考えると、我々日本人が和文英訳で苦しむのも無理はありません。
春樹を訳す人たちは、もちろん、三島由紀夫も川端康成も読む、日本語堪能な
人たちですが、それでも苦労している。我々、普通の日本人が苦労するのは
当たり前ですね。

それでも、外国語で表現しようとすれば、そういう壁は必ずあるわけで避けることは
できない。苦労はするけど、そこに文化の違いもあって、楽しい苦労だと思います。
翻訳家というのは、非常に地味な仕事で、やはり、好きでないとやってられない
と思います。日が当たることは滅多にないですからね。

「やれやれ」って英語ではどう訳すんでしょう?

A Wild Sheep Chase

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『世界は村上春樹をどう読むか』(文春文庫)を読んでいます。今や、村上春樹は
世界40ヶ国語以上の言語に翻訳されているそうです。2006年に世界の様々な国
の春樹の翻訳者を集めて日本で開かれたシンポジウムを本にしたものです。
アメリカ、フランス、マレーシア、ハンガリー、ノルウェー、韓国、カナダ、
ロシア、ポーランド、インドネシア、ブラジル、ドイツ、デンマーク、チlェコ、
台湾、香港などの翻訳者たちの声が書かれています。
(この本には登場しませんが、ヘブライ語のユダヤ圏でも、アラビア語のイスラム圏
でも読まれています)

なぜ、村上春樹は、これほどまでに世界で受け入れられているのか?
日本では文学論よりも社会現象論として論じる人のほうが多いかもしれません。
もちろん、村上文学の無国籍性を言う人もいますが、でも、なぜ、村上春樹?
もちろん、文章が読みやすい。レトリックが面白い。だからといってそんなに
売れるのか?

2006年ですから、まだ『1Q84』も出版されていません。でも、世界では
とっくに火がついていたようです。皆がそれぞれに違うことを語っています。
例えば、ロシアでは『ダンス・ダンス・ダンス』は、ドストエフスキーの『白痴』
を彷彿させる、と。私もドストエフスキーを読みながら、村上春樹を思い出していました。

この本の内容をここで書いていたらきりがないので、時々、豆知識としてご紹介したい
と思います。

さて、今回はA Wild Sheep Chase。
A Wild Sheep Chaseというのは、英語圏での『羊をめぐる冒険』の英訳タイトルです。
A Wild Sheep Chase? なにそれ?って感じですよね。
英語には、A Wild Goose Chaseという表現があるらしく、つまり、「野生のガチョウを
追いかけること」という意味ですが、野生のガチョウなんて追いかけても絶対につかまらないし
やがて見失ってしまう。したがって、A Wild Goose Chaseで「途方にくれること」
という意味になるそうです。比喩的な表現ですね。これにひっかけて、ガチョウのかわりに
羊を持ってきて、A Wild Sheep Chaseとしたそうです。
『羊をめぐる冒険』を読んだことのある人ならば、「途方にくれること」のニュアンスが
わかりますよね。うまい訳だなぁ、と思います。

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『アンダーグラウンド』が地下鉄サリン事件での被害者たちへのインタビュー集である
のに対して、この『約束された場所で』は、加害者たち、オウム真理教徒だった人、
もしくは、今でも(このインタビュー当時)教徒であった人たちへのインタビュー集です。

なぜ、このような本を出そうと思ったか、村上春樹は、こう言う;
”私が目指したのは、明確なひとつの視座を作り出すことではなく、明確な多くの視座を
- 読者のためにそして私自身のために - 作り出すのに必要な「材料」を提供する
ことにあった。それは、私が小説を書く場合に目指しているものと同一である”

別次元の話かもしれないけれど、随分前に、英国のBBC放送がIRAの代表にインタビュー
をしようとして、政府の許可が得られなかったことがある。政府の見解は
「テロリストに発言の機会を与える必要はない」というものだった。しかし、言論の自由
という観点で反発したBBCは、ある1日、これに抗議して、完全に放送を停止した。

テロリストにインタビューする、ということは、なかなかないことだ。もちろん、この
『約束された場所で』でインタビューを受けている人たちは、実行犯ではない。しかし、
数千人の被害者を出したサリン事件を起こした宗教団体に、なぜ、この人たちは入会した
のか、というのを聞く(読む)ということは、なかなか興味深い。

インタビューをする村上春樹は、『アンダーグラウンド』では、ほとんど自分の意見を
言わなかったが、『約束された場所で』では、積極的につっこんでいる。

インタビュイーのコメントから抜粋;
・幸福そうに歩いている男女を見かけたり、楽しそうな家族を見かけたりすると
「そんなもの木っ端微塵に砕けてしまえばいい」と思ってしまうし、同時にそう思って
しまう自分に対して嫌悪感を抱くことになります。
・オウムの本を読んでいていちばん心地よかったのは、「この世界は悪い世界である」
とはっきり書いていたことです。僕はそれを読んですごく嬉しかった。
・外の世界で普通に暮らしている人たちのことを凡夫って言うんですが、凡夫は
地獄に落ちるしかないんだとか、さんざん悪いことを言います。出家修行者なんか、
たとえば、外で他人の車にぶつかったって、悪いとは思いません。こっちは真理の
実践者なんだという感じで、相手を上から見下ろしています。自分は救済のために
急いでいるんだ。と。(この人は脱会)

オウムを脱会した人は、オウムがやっていることに対して賛同できなくなり、
脱会しなかった人たちは、オウム以外の世界で、依然として強い違和感を感じて
いる人たちです。

「この世」以外に、どういう「世」があるのかわかりませんが、オウム真理教は
この世で精神的に満たされない人たちにとって、別の世だったようです。

この本の最後に村上春樹と河合隼雄のインタビューが載っていますが、これが面白い。
いわく、「善悪」というのは難しい。善意を持って大量殺人が行われるケースが多い、
とのこと。

つまり、オウムの実行犯だって、「よいことをしている」と自分に納得させて
サリンを撒いたのです。原爆を落とした米軍のB29の飛行士が、思ったのと
同じように。「よいことをしたんだ」と今でも思っているかもしれない。

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私が以前から不可解に思っていることの一つに、個人的な殺人事件と
戦争、災害、テロなどで多数の人が死亡した場合のマスコミの報道の仕方です。
小さな事件、と言ったら怒られるかもしれませんが、1人または数人の殺人事件
の場合は、その犯人や犠牲者についてかなり詳しい報道がされます。
でも、戦争、災害、テロなどで何十人、何百人、何千人、何万人、何十万人、
何百万人の人が死んだときには、その報道は、極めて表層的です。
人の「死」がまるで統計のように数字で表されるだけで、詳細情報がない。

こういうことを言うと、大抵の人に
「通常の殺人事件と戦争とは違う」
「全く別ものだよ」
「大勢の死者が出た場合に、その人たちの詳細について報道していたらきりが
ないじゃないの」
と、私の疑問自体が全うでないと言われてしまう。

でも、村上春樹の『アンダーグラウンド』を読んで、あらためて村上さんに
脱帽してしまった。この本は、オウムによる地下鉄サリン事件で被害にあった
人の中で一命をとりとめた人たち約60人のインタビュー集だ。実際に被害を
受けたのは3800人くらいいるのだけれど、被害者を探し出すことも大変だし、
全ての人がこの「忌まわしい過去」の出来事のインタビューに応じてくれるわけ
ではなかった。上下段組で700ページを超えるこの本が大変な労作であることが
よくわかる。事件後1年ほどたってからのインタビューだ。

本来ならば、これは作家がするよりも、マスコミ、もしくはジャーナリストが
ルポルタージュの形でやるべきことだ。しかし、実際のマスコミは極めて表層的
な報道を繰り返しして、そして、勝手に「総括」した。

このインタビューは、一人ひとりの被害者が、いつどこで生まれ、どんな幼年時代を
過ごし、社会人になってどういう職業に就き、どこに住み、どんなことが趣味で
といったことにまで言及している。要するに、一人の人間である被害者個人個人の
生活と人生が見えてくるような形でインタビューしてるのだ。
決して「統計的」には扱われていない。
そして、1995年3月20日の朝にどういうことを体験して、今、どういう状態
にあるのか、を被害者に語らせている。

村上春樹の言葉を借りれば:
”そこにいる生身の人間を「顔のない多くの被害者の一人(ワン・オブ・ゼム)」で
終わらせたくなかった”
ということになる。

一時は植物人間化してしまったものの、なんとか病院でリハビリをしている女性
との面談は涙なしには読めない。新婚の主人をこの事件で亡くした奥さんの
話も、最初は陽気な感じで語っているけれど、最後は涙が止まらない。

あとがきで村上さんは独自にこの「オウム的なもの」について解説を書いている。
面白いけれど、結構難解だ。
でも、私が思うには、作家として村上春樹の素晴らしさは、その「あとがき」に
書いている内容ではなくて、こういう本を書き上げて出版したことだと思う。

殺されてしまった人たちは、物言うことすらできない。でも、せめて生き残った人たちの
証言をこうして丹念に拾い集め、統計でなく、血と肉を与えた村上さんは、さすがだ。

(この本は単行本で出版当時すぐに購入したものの、分厚すぎること、村上さん自信
の文章が少ないこと、などにより読まずにいましたが、今回、文庫本を買って、
米国出張時に読みました)

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