暑い。
といっても、山の空気は違う。漆喰の壁の蔵のような建物の中は
覆われた木々の影を抜けた風と、水の気化熱で、ひんやりとしていて。
クーラーに慣れた私には、なんだか本能を呼び覚まされた。ここで仕事を始めた。
人が集まり、夜が更けてくる。仕事はあとにして「ごはんにしよう」って。
この山には、いったいなにものが住んでいるんだろう。
たき火は、今日はお預け。
でもね。
雨もぱらつくというのに。
お手製の窯は赤々と燃え。部屋で仕事する私の口にも、次々と熱々がほうりこまれる。
「さ、一旦仕事は置いといて、ごはんたべよ」って、案内されたのは、おうちを通り抜けて、テラスへ。
木々のはっぱの重なりがが傘代わりだよ。と、
せせらぎの音を聞きながら、お家から張り出したテラスで車座になって、持ちよりご飯。
有機農家のクライアントさんは、自家製の野菜でラタトゥユ。それから、濃い濃い味のほんのり甘い卵焼き。
キッチュあり。トウモロコシあり冷えたトマトあり。ズッキーニは美味しく焼かれて。
タタキきゅうりはニンニクやゴマ入り。それから、瓜と茗荷のさっぱり酢のもの・・・
山の主の豪快な笑い声。アハハ、アハハ・・・・美味しい美味しい・・・奥の真っ暗な山のもの達も混ざりたいよね。
雲の切れ間から月が見えてきた。
空気はひんやり。日付が変わる頃には、最後の人の仕事が終了。
去年も入った、山の暗闇からは、完全丸見えになる外のお風呂は遠慮して・・・
風の抜けるおうちに向かった、
真っ暗な山道を小さな車が走りぬける。そこでまっててくれたのは・・・
アハハ、ちがうちがう!!!って、あら?羅漢さんみたい。いつかどこかで見たよう人がいるね・・・
ほんとに待っててくれたのは。
あれ!!!かあしゃんだけちゃうやん!!!!えっと・・・どうしたらいい、おれ・・・
ああ、でも。
「知ってるぞ。その顔。また来たな〜〜」って顔してる。
そして、そーっと、ちょっとだけ、触らせてくれるたのが、疲れが飛ぶ位の幸せ。
そと行きたーい!
あ〜〜そといきたい〜〜〜〜!
あああ。もう、やだ〜〜。
お外に行きたいよ・・・行きたいんだよ〜〜〜。あそんでほしいんだよ〜〜〜!!!!
長い事お留守番してたんだよ。ご褒美は?って、
鳴いて鳴いて、みゃあみゃぁおしゃべりして、必死にかあしゃんに訴えてる。ふふ。かわいい。
お風呂上がっても、抜ける風が気持ちよくて、汗も引く。
今度こそはもう寝なきゃって思いながら、眠りに入りにくい夜に、誰かがいるって、幸せだな。
なんとなく、あれこれ、日常の話をしているのだけど、
生身の人間を触る私。
生身の人間以上の物を作り出す彼女。
人体構造から始まって、人は。って・・・って話はどこまでも、突っ込んで突っ込んで。
生きてくって、凄いのだ。でも、シンプルで、複雑で。楽しくて、哀しいのだ。なんて話してる、
目の前にいるのは、だれ?
お坊さんのような、ゼミの先生の話のような。子どものような、おばあちゃんのような・・・自分のような。
夢か現か・・・
風が通り抜ける家の深夜の時間は、二時を回ると、異次元に飛んだように、どこかに吸い込まれていく。
今夜も、深夜も深夜か・・・・外はすっかり冷たい空気。
クーラーをつけずに夜を過ごすなんてね。天然クーラーの風の中、ゆったりする私に
やわらかな木の板と、やわらかな肉球のコラボか、かすかな音、静かな振動を私におくりつづける。
ここちよい・・・
この日は、東からの光がさす窓のしたで、すいこまれるように眠った。