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脱原発社会をめざす文学者の会
原発事故を風化させないために

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 重苦しい時代になりつつある。
 昨年末の総選挙は予め判っていたことではあるが、安倍政権、自民党の大勝で終わった。
 民主党をはじめとする野党の選挙態勢が整わぬうちに、という安倍政権の姑息な延命策が効を奏したということだろう。
 国民はアベノミクスというまやかしに騙され、景気がよくなると期待して、安倍政権を支持したのだろう。それも、また民意であることは認めねばならない。
 しかし、国民の6割以上が、原発への不安を覚え、脱原発を望んでいるという民意には、安倍政権はまったく耳を傾けることもなく、ひたすら原発の再稼働への道を強引に推し進めている。
 そればかりではない。安倍政権は国会の審議も疎かに、閣議決定という姑息な手段で、解釈改憲を行い、日本を戦争が出来る国にしようとしている。
 この日本は、いったい、どこへ行こうとしているのか?
 日本国民は、どうして、放射能汚染水の垂れ流しや核廃棄物の処分場がないという現実から目を背け、経済が上向きになり、景気さえよくなればいい、という無責任で利己的なエコノミックアニマルになり下がったのだろうか、とため息が出る。
 日本人は昔からエコノミックアニマルだったといわれれば、その通りだが、少なくとも戦争や武力紛争よりも、経済活動には平和がいいという思いは抱いていたはずだった。それが、なにはともあれ、平和憲法を遵守するという民意にもなっていたと思う。
 敗戦後70年間、日本はまがりなりにも平和でいられたのは、日本人が政治や軍事よりも、経済優先主義を貫いていたからだ。
 アベノミクスの危険性は、そうした日本人の経済優先主義の気分をくすぐり、景気がよくなるよ、というアメをちらつかせて、国民の支持を集めつつ、他方で、その支持をいいことに、平和憲法を蔑ろにして、戦争が出来る国へ舵を切るというムチを振るところにある。
 アベノミクスのまやかしについては、近代経済学者の伊東光晴さんの著書『アベノミクス批判』(岩波書店)に尽きる。ぜひ、お読みください。
 いずれ、伊東さんが指摘するように、アベノミクスは破綻する。その時、日本国民は経済的にだけでなく、政治的にも手痛いしっぺ返しを受けることだろう。
 ところで、著書の中で、伊東さんは、安倍総理が本当に目論んでいるのは、アベノミクスの隠された第4の矢、「戦後レジーム (戦後体制)からの脱却」だとしている。安倍総理は、政治家にとって命よりも大事な言葉を蔑ろにし、いろいろ言を弄しては、「戦前社会を志向」しているというのだ。
 私は、伊東さんのこの指摘に概ね賛成ではあるが、「戦前社会を志向している」といっても、いまさら旧い「戦前社会」軍国日本に戻ることなどできることではない。
 安倍総理の思惑は、欧米諸国と肩を並べる「大国」日本の復権であり、そのためには、戦争を禁じた現憲法を改め、戦争が出来る国家に改変すること、それにより、国際社会に発言力を持つ日本の復活に違いない。
 国際的に発言力のある「大国」の条件とは何か?
 それは日本の核武装化にほかならない。
 平和憲法が現存するいまは、日本の核武装などもってのほかだが、着々とその布石は打たれている。
 その道は、「原子力の平和利用」を名目に掲げた「原発社会化」だ。
「原発社会」とは、核エネルギーをベースのエネルギーとした社会である。
「原発社会」は、どのような社会なのか?
 それを考える時、私は、いまから30年以上前に読んだロベルト・ユンク著『原子力帝国』を思い出す。
 ユンクはその書で原子力開発が国家や社会をいかに変貌させるのか、その危険性を訴えていた。
 国家は、原子力開発(核開発)を行なうにあたって、核技術を国家秘密とし、その拡散を防ごうとし、その保護と管理を徹底するようになる。
 核開発は、核兵器の開発が主であり、核エネルギーの平和的利用とされる原発は、ほんのおこぼれでしかない。
 火力発電や水力発電、そのほか再生可能エネルギーの開発の技術は、兵器への転用ができないから、秘密にする必要がまったくない。
 そうした非核エネルギーは、いずれも核と違って、止めたい時に、いつでも止められ、人間のコントロール下にある。
 原発は人間のコントロールが難しく、濃縮ウランや原発から産み出された核廃棄物プルトニウムは原爆の材料にしかならない。
 だから、アメリカをはじめとする核保有国は、北朝鮮やイランの核開発に神経を尖らせているのだ。
 国家は核開発や核技術を秘密として国民から隠すようになるだけでなく、国民が原子力開発に反対しないように、普段から国民を監視し、マスコミを統制し、世論をコントロールする。
 そうした結果、民主主義は、いつの間にか、息苦しい不自由な全体主義に変質してしまう。たしか、ユンクはそう指摘していたと思う。
 ユンクがいう「原子力帝国」こそが、まさしく「原発社会」なのだ。
 いま日本には、特定秘密保護法なる「国家秘密法」が制定施行された。これから、国民監視が一層厳しくなり、マスコミも自由な報道ができなくなるに違いない。
 いまや日本は、ユンクのいう「原子力帝国」、原発社会になっているといっていい。
 脱原発社会をめざす私たちの発言や国民の反原発運動もすでに監視されている。
 これからは、マスコミやテレビから、反原発の発言をする人が締め出されていくだろう。
 すでに、NHKをはじめとする報道機関は原発事故報道や反原発運動の報道を萎縮しはじめている。
 その一方で、政府与党は、しゃにむに「憲法九条」の改定を急ぎ、それが難しいと見ると、閣議決定という荒業で強引に解釈改憲して、日本を戦争が出来る国にするだろう。すでに、憲法で禁じている集団的自衛権も行使できるように着々と進められている。
 私が今後を予想するに、安倍総理をはじめとする自民党タカ派は、さらに戦争が出来る国にする布石として、いずれ「徴兵制」を出してくると見ている。
 現在の自衛隊は総兵力25万人台で、兵力が300万人の中国軍や100万人北朝鮮軍、50万人の韓国軍と比べて、あまりにも少ない。
 自衛隊の現況は、空自や海自はともかく、陸上自衛隊では部隊定員割れさえ起こっている。いざという有事に戦える戦力とはとてもいえない。
 将来に備えるとしたら、若者を召集する徴兵制が不可欠になる。
 さすがに「徴兵制」ともなると、日本国民も戦前社会の軍国日本へのアレルギーがまだあるだろうから、反対するに違いない。
 だが、それはタカ派も読んだうえでの施策だと見ている。
 どういうことか?
 もし、国民がどうしても徴兵制を嫌だというのなら、それに代わる現実的な防衛策は核武装しかない、という究極の二者択一を言い出すのではないか。
 すでに日本列島には、これまでに54基の原発が産み出した核廃棄物のプルトニウムが何十トンもあり、すぐに核兵器に転用できる態勢にある。
 捨て場のない核廃棄物を核兵器に転用できれば、核廃棄物処理の一方策になり、一石二鳥ではないか、というわけである。
 徴兵制を梃子にして、日本を核武装させる。これが、タカ派の本当の究極の狙いであるだろう。
 おおむね、日本の情況は、戦争が出来る国になるところから、核武装化に一歩一歩進んでいるといわざるを得ない。
「脱原発社会をめざす」とは、そうした「原子力帝国」といった超管理全体主義的社会に日本を踏み出させない、日本を核武装への道へ進ませないということでもある。
 そのためには、核エネルギーを基盤にした社会でなく、再生可能エネルギーや自然エネルギー、あるいは、水素エネルギーなどを基軸としたエネルギーへの転換を図る社会にしなければならない。
 福島原発事故独立検証委員会の委員長だった北澤宏一さん(前科学技術振興機構理事長)の試算によると、日本政府が地球温暖化を防ぐために、原発に遣う4、5兆円を止めて、毎年五兆円を再生可能エネルギーや自然エネルギーの開発に投資すれば、日本は原発依存のエネルギー社会から脱することができるとともに、日本経済は活性化し、新たな経済発展をする、としていた。
 北澤さんの科学者としての提言は、貴重である。
 電力会社や原発維持を望む官僚たちは、再生可能エネルギーへの転換を望まず、ありとあらゆる汚い手を使って、阻止しようと乗り出して来ている。
 私たちは、そうした復活した〝原子力ムラ〟の陰謀を見破り、着実に脱原発社会をめざしていく必要があるだろう。
 今回の総選挙は、野党が敗北したが、それでも、まったく希望はなくなったわけではない。
「3・11福島原発災」を目のあたりにした国民の大半は、原発に対して、いまだ不安を抱き、脱原発への思いを捨てないでいるということを、私は信じたい。
 
 
 
 
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