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今日の私は、足取りが重かった。
仕事帰りの道。
家に帰れば、旦那が先に帰っていて、
「おかえり、夕飯、作っといたから」
なんて、待っていてくれる。
・・・はずだったのに。
最近、喧嘩ばかりじゃない。
今朝も、たわいのないことで喧嘩して・・・。
旦那は、きっと今日も、
スナックなんかに寄って来るんだわ。
なによ、今日はホワイトデーだっていうのに。
カツ カツ カツ 。
ハイヒールの音が響く。
ふと、見慣れない露店が目に入る。
ちっちゃな看板を見ると、
“占い”と、書いてある。
・・・占いなんて、当たるのかしら。
通り過ぎようとした、その時、
占い師が話しかけてきた。
「そこの人。
家庭のことで悩んでいるんですか。」
「えっ?」
思わず、ドキッとして振り返ると、
無造作に置かれた机に、
覆面をかぶった、それらしい占い師がいた。
そして、何やらそれらしい水晶球が光っている。
・・・ちょっと、聞くだけ、聞いてみようかしら。
聞くだけ、なら・・・
「どうぞ。お代は2000円ですけど、
当たってない、と思ったら、お返しします。
さ、どうぞ。」
・・・当たってても、返してもらっちゃおうかしら。
「じゃ、ちょっと聞くだけ、いいかしら。」
座ってみると、妙に落ち着く。
・・・占い師って、何か、
落ち着ける雰囲気を持ってるものなのかしら。
占い師は、お代を受け取ると、
早速、水晶玉に手をかざして何やら唸り始めた。
「むぅぅぉぉぉ。ふんっ。
どりゃぁぁぁぁ。
うむ。出ましたぞ。」
占い師は続ける。
「あなた、旦那さんがいますね。
でも、最近、喧嘩が絶えない、そうですね?」
・・・すごい。その通りよ。
「あ、はい。」
占い師は、また続ける。
「旦那さんの心が、私には見えます。
いいですか?
あなたは、きっと、謝ってくれればいい、
そう思っています。
そして、旦那さんの心も、
謝りたがっています。
しかし、ちょっとしたすれ違いが幾つか重なったために、
なにか、言い出しづらいみたいですね。
しばらく、口を挟まずに聞いてみてあげたら、
どうでしょう。」
・・・それは・・・
「・・・それは、・・・。
わかってるわ。
・・・そうね。
ちょっと、私も意地になってたかもしれないわね。」
「そうですよ。
どうですか。今夜あたり。
ちゃんと、聞いてあげたら。」
「でも、今日はきっと帰ってこないわ。
今朝も、そんな感じだったもの。
それに、どうしても意地を張っちゃうのよ。」
「そうですか。
では、こうしましょう。
今日、ちゃんと帰ってきたら、
しっかり聞いてあげると約束する。
そしてもし、今日、ちゃんと帰ってこなかったら、
・・・別れを考えてもいいんじゃないですか。
だって今日は、ホワイトデーじゃないですか。」
「・・・そうね。
そうしてみるわ。」
彼女は2000円は払ったまま、
家へ帰っていった。
占い師は、いそいそと水晶を片づけ、
露天を手際よくたたんで片づけた。
そして、最後に、
ちょっと周りを気にしながら覆面を取ると、
こうつぶやいた。
「さて、すぐ帰って、
いろいろ謝らなくちゃ。
今日は、ちゃんと聞いてくれるぞ。
その前に、この2000円で、
花を買って行かなくちゃ。
今日は、ホワイトデーだからなぁ。
今日は、喜んでもらえそうだぞ。」
占い師の正体。
それは、彼女の旦那が演じた、
即席占い師だった。
そして、水晶玉には、
元通りの暖かい1組の夫婦が映し出されていた。
“占い師” 完
作品番号:09
ぼそ・・・
9作目にして、やっとハッピーエンドな話が書けました(汗)
〜この記事の画像=フリー素材サイト「Atelier N」〜
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ヒマリだよぉ〜 見に来たよぉ小説面白いйё じーんときたぁ。これからもよみにくるから(★´エ)(エ`★)ネー
2006/3/23(木) 午前 1:39 [ - ]
お久しぶり!来場アリガト。 またゴゴ行くから遊んでね。
2006/3/25(土) 午後 3:08 [ しげぞう ]
はじめまして。こういったオチのお話大好きです。ちょこちょこのぞきに来ますね♪
2006/3/26(日) 午後 9:21 [ rin**_666 ]
ありがとうございます。書き手って、感想がわからないと不安なもんですが、コメントて、すごく嬉しいんです。また気軽に覗きに来てくださいね。
2006/3/27(月) 午前 2:16 [ davidshigechan ]
まさかの楽天にさよならホームランくやしくって眠れません
2006/5/20(土) 午後 10:27 [ ジャイ郎 ]
まさかの楽天にさよならホームランくやしくって眠れません
2006/5/20(土) 午後 10:27 [ ジャイ郎 ]
心暖まるお話ですね( ̄∀ ̄) これからも末永くお幸せに♪
2006/8/28(月) 午前 9:31 [ - ]
心暖まる話、を、できるだけ多く、と思っているのですが、どうしてもシュールな作品が増えてしまいます。ものの見方が、普段から心の底で、そうなのでしょうか。あるいは、シュールな展開のほうが、素人には書きやすいのかもしれません。
2006/11/2(木) 午前 1:39 [ しげぞう ]