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今日のテーマは、「感覚過敏・鈍麻」についてです。
感覚過敏の子どもたちは、約10%位いると言われています。自閉症スペクトラムの子どもたちのなかに感覚過敏が多いというのは有名ですが、定型発達児にも多数います。幼稚園、保育園の現場でよく見られます。しかし、保護者や保育者には、あまり感覚過敏について知られていないようです。
感覚過敏を持っている子どもに対して、大人が十分に理解して、適切に対応していく必要があります。けれど感覚過敏の当事者の苦しみは、なかなか気づきにくいといえます。そしてその苦しみを想像することはとても難しいと言えます。感覚過敏からくる子どもたちが起こすさまざまな行動が、問題行動に発展していくことも少なくありません。また、大人になってもその苦しみが続いていくことがあります。そのため適切な対応をしていくことが大切です。
例えば、靴下をはかない子、上靴をはかない子は、足の触覚の感覚過敏があることが多いようです。靴下を履くと足が痛くなったり、靴下を履いた時の締め付け感や、ざらざら感が嫌だったりして靴下をはかない子が多いようです。また、上靴をはくと足が痛くなる。だから履かない。でも、そのことを本人が自覚していない場合がとっても多いようです。また、保護者や保育者は、靴下を履くと痛いという感覚を持たないし、靴を履くときには靴下を履くものだと思っているので、この子どもたちの感じている感覚に気づきにくいようです。
足の感覚過敏の子どもたちがどのように感じているのか想像すると、砂が入っている靴下を履いているような感じが近いのかなあと思います。砂の入った靴下を履くのは嫌ですね。少なくとも僕は嫌です。それを履きなさいと言われると、つらいですよね。
「だから靴下を履かなくてもいいですよ。」 と、子どもたちに言いたいのですが、大人になった時、靴下を履くということは重要なことです。ですから、普段このような子供たちの保育者に、おうちで足裏マッサージをしてもらうようにアドバイスをしています。マッサージをすることで、徐々に足の触覚の感覚過敏が収まっていきます。触覚刺激を与えることにより、触れている感覚を脳に伝える新しい神経のバイパスを作っていきます。すぐにはできませんが、数か月も頑張れば徐々に足の裏の感覚過敏は収まっていくことが多いです。
触覚には、原始触覚と、後天的に発達する触覚があります。原始触覚とは、例えばイソギンチャクが魚や人に触れると、あっという間に縮こまってしまいますね。あるいは僕たちは、肝試しで、突然冷たいこんにゃくなどがほほに触れると、顔をすぐにそらしたり、しゃがみこんだりすることがあります。こうした反応は、生命の危機を感じた場合に反射的に起こっていた原始感覚の名残です。こう言った感覚を、子どもたちは色濃く持っています。
一方、生まれてから、いろいろな肌着、服を着る経験、抱っこされる経験をするに従い、原始触覚とは別の触れられたときに感じる感覚が発達していきます。保護者や保育者が優しく楽しく接触刺激を与え、その時に、優しい言葉、あったかい雰囲気、笑顔を添えることにより、やわらかい、あったかい、心地よいなどの感覚の記憶がマッサージされて感じている感覚とともに、経験していきます。
こうした心地よいマッサージ経験を経て、人は様々なものと触れ合っていきます。そうしていろいろな布、皮、そのほかの様々なものに触れていけるのです。
こうした経験を子どもたちにも気持ちよく経験してもらうためにも、触覚過敏をマイルドにしていき、新しい触覚のものに対してもふれていく経験をさせていきたいです。
「感覚鈍麻」の子どもたちは、靴をいつも右左とはき違えています。左右違う靴を履くと、つま先が窮屈に感じるので靴をはき違えていることに気が付きます。しかし、感覚鈍麻の子どもたちは、その窮屈感を感じにくいのです。ですから左右反対の靴を履いていても平気なのです。また、感覚鈍麻のため、痛いという感覚も感じにくいようです。足を怪我していても気づかなかったり、骨折をしていても気づかなかったりすることもあるようです。ですから、感覚鈍麻も早めの対応が必要となってきます。感覚過敏と同じように足のマッサージが家庭で行いやすいと思います。
具体的には、お風呂上りや寝る前など、足の裏、つま先、足の甲など、ベビーオイルやベビーローション、保湿剤などを丁寧に塗っていきます。その時、優しく話しかけたり、歌を歌ったりしながら塗っていきます。また、ガーゼやタオルなどで優しく触れるようにこすることもいいかと思います。大切なのは、楽しく、あったかい雰囲気で、皮膚を傷つけないように、優しくマッサージすることです。
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