|
秋が嫌いなのは、もうさんざん宣言していますが、雨も嫌いです。 太陽が出てない状態がどうにも苦手なのです。 パーっと明るい日差しのもとのんびりするのがこの上なく好きなので、日が短いのも嫌だし、雨も嫌です。 なんか、こうやって書いちゃうと実にアホっぽいロマンチックなところなど生まれてこのかた持ち合わせていないような感じがしますが、そのとおりです。 いや、ちょっと違うな。 だって、ショパン好きですから。 ショパン好きっていうと、なんとなく「や〜い、や〜い、男のクセに〜!」といじめられそうな感じがしませんか? そもそも、ピアノを弾くっていうと一部の男子から「や〜い、や〜い、女みて〜!」と小学生のころ、いや中学に入っても、ちょっとからかわれたりもしました−−一応、これでも東京生まれの東京の学校にいってた都会の子なのですが。しかも、ショパンとなると、どうにも少女マンガのイメージが付きまとうのか、ますます「男のクセに〜」という声が脳内でこだまするのです。 でも、ショパン好きなんです。 有名どころの夜想曲やマズルカなんかは聴いてみれば、確かにかなり内向的な雰囲気抜群だったりします。それに、実際ショパンがジョルジュ・サンドに囲われているような感じでパリで生活をしていたことを知ってしまうと、ジョン・ウェインやら三船敏郎みたいなマッチョ系のオッサンからすりゃ、男の風上にも置けないでしょう。 でも、ショパンはいいんです。 さて、そんなショパンの数多くあるピアノ作品の中でとりわけ個人的に気に入っているのが、「24の前奏曲」という作品です。 これは24の小曲から成り立つ作品なのですが、特に有名なのが15曲目の「雨だれ」と、日本では大田胃散のCMでおなじみになっている第7番イ長調(胃腸にかけてるんでしょう)だと思います。 この作品、病気療養のためにジョルジュ・サンドとともにパリを離れたショパンがかなりブルーな気分になりながらも、バッハ大先生に敬意を表してバッハ大先生の「平均律クラヴィーア」に倣い24曲すべて調声を変えて書いているというものです。気分的にはめげていたようではありますが、ショパンにとってはかなりの力作なのです。ところが、実は「雨だれ」を除いて、特に人気があるというわけではないらしいのです。どうにも地味に聞こえるらしいし、曲自体も散漫で何でもあり、そんな印象を持たれてしまうようでなかなか全曲通して聴いてもらえない、そんなことをわりと耳にします。 しかし、そんな「24の前奏曲」なのですが、先にもいったように、個人的には大のお気に入りの作品なのです。ワルツ、練習曲、夜想曲、マズルカ、即興曲などショパンの作品のいろいろな要素が混ぜ込まれ、しかも、それを通しで聴くとショパンのひとつの大きな作品として聴けるところがいいと思うのです。 しかし、この作品、いろいろな要素を織り交ぜているのですが、どうにも完成度という点においては、少々ばらばらしているところもあるところもあり、なかなか全曲を通してとなると、これ! と思える演奏が少ないのも正直なところです。 たとえば15番の「雨だれ」はいいけど、他が頼りないとか。 激しい8番や16番、それに22番はいいけど、静かな7番、13番なんかはダメだな、とか。 さらには個々の曲はいいんだけど、全体として聴いたときにつながりが悪くて、小品を小出しに聞かされてる気分だなぁ、などとけっこう聴いていると不満を覚えることが多いのです。 そんな「24の前奏曲」の演奏で気に入っているのが、イヴォ・ポゴレリチという人による演奏のCDです。 ご覧のとおり、けっこう、かっこいいでしょ? 別のジャケットですが、 割とハンサムニイチャンですよね? と、このちょっとイケメンニイチャンの「24の前奏曲」が特に気に入っているんです。 ところが、イケメン風なニイチャンなのに、優等生な演奏では決してありません。とても、クセの強い演奏をします。ポゴレリチは出場したショパン・コンクールで傑出した演奏を披露し、聴衆からも絶大な支持を得たにもかかわらず、優勝できず、ほとんどの審査員から拒絶されるくらいの問題児です。そしてこれを不満に思ったそのときの審査員の一人、マルタ・アルゲリチは抗議し、審査員から降りてしまうというスキャンダルにまで発展したという「実績」の持ち主なのです。 今でも、人によっては拒絶反応すら起こすようで、こんなのショパンじゃねー! とさんざんなレビューなんかをネットでも目にします。そういうレビューのなかで思い切り的外れなのもありますが、こき下ろしているレビューであってもそのとおりだな、とファンであっても思わされるものもあります。つまり、好き嫌いがはっきりと分かれそうな演奏であるということなのです。 たとえば、かの有名な「雨だれ」を例にとると、標準的と思われるウラジミール・アシュケナージの演奏は5分16秒、激しさが売りの女傑マルタ・アルゲリチの演奏は4分51秒です。古い世代の大ピアニストのルービンシュタインはアルゲリチよりもさらに短く4分28秒です。いずれもCDからの時間ですが、大体、5分程度の曲だということはお分かりになると思います。 ところが、ポゴレリチは、7分21秒。平均的な演奏からするととてつもなく遅いのです。ところが、遅いのですが(あくまでも個人的な感覚ではあります)、これが実に曲の解釈として「正しい」ように感じさせられるのです。 この曲、雨の降るなか、不安になりながら大事なジョルジュ・サンドの帰りを待っていた時に書かれたといわれています。もちろん、他の演奏家による「雨だれ」もすばらしいのですが、ポゴレリチの弾く「雨だれ」ほど、静かで、今にも崩れそうな不安に満ちた「雨だれ」は稀有な演奏だと思います。揺れ動き、そして雨を憎らしく思い、そして書いた曲は雨をまねするのではなく、曲を雨がまねをする、そういう風にショパンは思い描いて作曲したといわれていますが、まさにポゴレリチの演奏はそんな雰囲気をかもし出しているのです。 いい加減長くなってきたのでこのあたりでやめておきますが、最後にショパン・コンクールの時のポゴレリチによる「24の前奏曲」から最後の4曲を演奏している動画を貼っておきます。最後の24番の終わりに、一番低い「レ」の音を叩くのですが、実にドラマティックに曲を締めくくります。こんな弾き方ってあるんだ! と初めて聞いた時に、すごく感心してしまった覚えがある印象的な演奏です。男だ女だというのはバカバカしいのですが、男っぽいショパンです。 ショパン、やっぱりいいですよ。 蛇足。
タイトルになぜ「かつて」とつけたかというとですねえ。 ショパン・コンクールは30年近く前の話なのですよ。類推してくださいまし。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- クラシック



クラシックは苦手な私のコレクションに、ルービン
シュタインとポリーニのショパンがあります。
不思議です。五味康祐の影響か?小林麻美の
影響でしょう。不思議。
2009/10/27(火) 午前 1:09
ZUMAさん>五味康祐と聞くと、ピアニストだとバックハウス、スピーカーはタンノイ・オートグラフ、それにオルトフォンのSPUなんです。正直いって全部が苦手ってどうなんでしょうね^^;; 氏の小説はけっこう好きなんですが。
やっぱり小林麻美、じゃないですか?^^
2009/10/27(火) 午前 1:17
今、調べてみましたら、やはり五味康祐の
”いい音いい音楽”の中に記述がありました。
何だかんだで五味康祐は、ほとんど読んでいる
はずです。人間臭さが好きでした。時の
流れを感じてしまいます。
2009/10/27(火) 午前 1:39
動画の観客の鳴り止まない拍手に、鳥肌がたつ思いです。
良いものは男女問わずイイ!!てな感じっス
2009/10/27(火) 午前 1:42 [ - ]
ZUMAさん>おお、五味さんのオーディオ本ですね! それは読んだことがないのでわからないのですが、五味康祐からポリーニってなんとなく意外です^^。あ、もしかしたら、吉田秀和がポリーニのショパンの練習曲に関して「これ以上何かお望みですか?」という評を書かれたときと同じころでしょうかね。
その本、絶版になってしまっているでしょうね^^;。見かけたら読んでみようと思います。
2009/10/27(火) 午前 1:51
けんちゃん>うん、もう、これ30年近く前の映像なんだけど、会場、すっごい熱気に包まれたらしいよ〜^^。コンクールの時はオレももちろん聞いてないけど、何度かコンサートでポゴレリチは聴いてるけど、やっぱりすごい^^。
この人、すごい神経質というか、完ぺき主義のところがあって、ちょっとでも具合が悪いとすぐにキャンセルしちゃうんだわ^^;;
2009/10/27(火) 午前 1:53
まぁ、イケメン!ピアノも弾けてイケメンなんて、千秋先輩のようなひとですね〜(って、わからなかったらスミマセン^^;)。
ファティーグさんもピアノが弾けるのですね!今度生演奏聴かせてくださーい!ピアノも弾けて料理もお上手・・・パーフェクト男子ではないですか〜。すごいなぁ(尊敬)。
ちなみに私も雨は鬱陶しくて嫌いです^^;でも、雨音を聴きながら眠るのは好きです^^
2009/10/27(火) 午前 1:55
べるさん>千秋せ〜んぱい♪ こんなに弾けるのに、どしてベトベンやらないんですかぁ? でしょw(既刊分は全巻持ってますよw)
ピアノは〜、諸般の事情により中3で弾けなくなったんですよ(交通事故で肩を脱臼して、人工じん帯いれてから指が小指がちゃんと動かなくなったんです)。当時は、練習は面倒だし、思い通りには弾けないしで嫌で嫌でしゃーなかったんですが、今となってみては、ちょっと残念です^^;。もっとも続けてたところで、お聞かせするようなピアノなんかにゃなってないでしょうけどね〜^^;(大体、イケメンってジャンルからは程遠いというのが最大のネックです♪)
あははは! 雨の音を聞きながら眠るというか、雨が降るとさすがのオレも眠くなります^^;。
2009/10/27(火) 午前 2:01
ショパンといえばブーニンを思い出したσ(゚∀゚です。
このイケメンさんは今はどうなってるんでしょう?
『アイ・ライク・ショパン』って曲をガゼボが歌ってたなぁ・・・
2009/10/27(火) 午後 2:06
にしやんさん>この人は、ブーニンが優勝した前の回ショパン・コンクールの出場者なんですよ^^。
むしろ日本で大ブームになったブーニンよりも世界での評価は高く、リサイタルなどは(キャンセルしちゃうという問題なところもあるので)プラチナチケットになってますよ^^。
一言メッセージにも書きましたけど、ガゼボよりも小林麻美バージョンが気に入ってました。
2009/10/27(火) 午後 2:42
うん、間違いなくイケメンですな。ふらには、どこがどう問題児的な演奏なのかはわかりませんが、その怒って審査員をおりたていうマルタ・アルゲリチってお方に興味がわきました。
審査員の会議の場面に居合わせたかったな〜♪
今日は太陽がでているから良い気分ですか?こっち方面は、いきなりカメムシ大発生中です。洗濯物が出せません。
2009/10/27(火) 午後 3:14 [ - ]
ふらさん>いや〜、食いついて下さって感謝感激雨霰です♪ ね? かっこいいでしょ〜^^。しかも、背が高くて、手がで〜っかいんです。ある意味理想的なピアニストじゃないかと思っているんですよ。
アルゲリチ女史はですねえ、アルゼンチン生まれの情熱的なラテン美女ですよ^^。この人もなかなかも白い人なのでいずれこの人のCDも取り上げようと思ってます^^。
今日はほんと天気がいいですね。外を見てれば気分はいいですよ。ただ、見積書を見てると心は雨模様ですがorz
2009/10/27(火) 午後 4:14
げ。何このレ。すげぇ・・・レレレのレ。これショパン?確かに男だなァ。やっぱそうするとルービンシュタインは女っぽいのかねぇ。あの人のノクターンは超絶だと思うけど、これまたなんというか・・・
・・・っていうかショパンてやっぱすげんだな。勉強させてもらいましたっす。こういうコンサートっていうかリサイタルっての?行ってみたいなぁ・・・。世の中まだまだすごいこと面白い事あるなぁ!!あんがと!!
2009/10/27(火) 午後 9:06
Firoswiさん>ちょ〜っと頭のなかで思い描いているショパンとは響き方が違うと思いません? かなり表情豊かに演奏しているのにもかかわらず、甘さは微塵もなく、実にストイック。
ルービンシュタインのショパンだって決して甘いわけじゃないのですが、ルービンシュタインはショパンが女性に対して持っていたやさしさを表現したとすれば、ポゴレリチはショパンの抱えている苦悩を表現している感じがしますよね。
ポゴレリチのリサイタルって、なかなかスリリングですよ〜^^。機会があればぜひ^^。
2009/10/27(火) 午後 11:16