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池井戸潤の先月上旬に発売された『鉄の骨』。 今年も2ヶ月は残していますが、もしかしたら、これが小生のなかで今年一番面白かった小説かもしれません(マンガ、ノンフィクション、写真集除く)。 500ページを超える大作でしたが正味二日で読みきってしまうほどの面白さだったので、感想文でも書いてみようという気になりました。が読んでみたいという方がいらっしゃれば、その方の楽しみを奪いたくないのでネタバレなしで、感想を書いてみようと思います。さてさて、出来るのか。 ま、やってみます。 『鉄の骨』なんて、ちょっとおどろおどろしさを感じるタイトルの付いている本書ですが、別にホラーでもなんでもありません。 この「骨」とは、土木建築のいわゆる「鉄骨」をさしています。つまり、お話の舞台は、建設土建業界。しかも、あの業界について回る悪名高き「談合」のお話です。 談合の話を入社4年目の若手社員の目を通じて語っているのですが、そのおかげで、「談合」は悪いというイメージはちゃんと保ちつつも、話としてはどろどろとした山崎豊子のような語り口にならずに済んでいるところも、この小説の面白さでもありました。 しかし、主人公こそ違うものの、登場人物のおよそ2.3人ほど、少々、自分と重なる人物が出てきていたのが、今回この小説に対してやや過大とも思えるほど「面白い!」と感じてしまった所以かもしれせん。 特に一人の男は、完全に思い返せば、自分もあんなことやってたんだろうなぁ、あんな物言いしていたんだろうなぁ、と思えるような箇所がいくつも出てくるのですが、すごく共感もしながらも、ちきしょ、バカでうっとうしいぞ、こいつは、と反発も覚えてしまうのです。 そいつは極めて青臭いくせに、その青臭さを周囲の一部の人を除いて感じさせない、ように振舞うのですが、そこは正直読んでいて穴があったら入りたくなるような描写でした。しかもご丁寧にオチはほとんど自分が経験したようなオチというのも苦笑する以外ないし、オレもたぶんこういうことするかもしれないし、大体、今でもうっかりするとやるだろうなと思うほど極めて強烈な嫌悪感を伴った親近感を覚えながらも、そいつには花を持たせるなよ、と思いながら読んでいたので、なかなか自分としてもそのオチたるや複雑な気分にもなりました。明らかに近親憎悪をという感情を抱いたのです。 もう一人のほうはというと、意識がはっきりしているとき、つまりもう少し自分に余裕があるときで、しかも、自分のやっていることを心底楽しく思い、大事に思っているときの自分のようで、これは、反感は覚えずとも、おい、もうちょっとしっかりやってもいいんじゃない? とか、ああ、あそこまで斜に構えていたのに、そこで青臭い正義感を振りかざすのかぁ、やっぱりなぁ、オレもやりそうだなぁ、と、こちらは自分の滑稽さを見ているような気分で眺めていたのです。 少数点以下については、シニカルさに親近感を覚えたのですから、これまた実になんともいいがたいものがあります。 考えてみると、これ、結局は仕事を覚える過程の話と、仕事に対して鈍感になりすぎている人間たちの話なので、いずれにしても自分の身にも覚えのあるような話なのです。 もちろん、自分が身を置いている業界は幸いにして、官製談合と呼ばれるような違法行為には手を出さないで済む業界なのではありますが、それなりに自分の信義にも反するようなこともしてきています。それを考えると、やはりこの小説、決して人事ではない気がする、と常にそんな感情を抱かせながら読まされてしまうのです。 しかし、全体的にいって、目から鱗という話も多いし、それなりに自分の価値観を揺さぶられる面もあるし、さらにはもう少し考えないといけないんだろうという問題提起もされる部分もあり、内容は非常に濃いものだと思います(もちろん、フィクションだよなぁ、と思うところもたくさんあるにはありますし、建設方法などでもほんとうにうまくいくのか? という部分もあると思います)。 そして、最後の結末の持っていきかたも、「そういうこともあるのか」と少々事情通になった気分も味わえるところも心憎いばかりでした。 もしこの本を読まれた方がいらしたら、小生がどの人物に対して自分に似ていると思ったのかちょっと当ててみてください。あそこまで「カッペじゃねーよ!」とは信じているのですが、さて、どうなんでしょう。 蛇足。 ちきしょ〜! もうちょっとまじめに法律勉強してオレも東京地検にいけばよかったよ! と、まるでやる気のかけらもない法学生だったくせに、ふと思いながら昨日今日と過ごしています。 魚の小骨以下のたわごとです。 鉄の骨 池井戸潤 著 講談社 |
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なんだかこの帯、ふぁ〜さんが作ったのかなって思っちゃう。
そそられるけど、我慢、我慢。
2009/11/1(日) 午前 2:22 [ - ]
ふらさん>わっははは! 確かにw オレがやりそうな帯かもw いわれるまで思いもしませんでしたけど^^;;
たぶん読めば面白いと思われると思いますが、ふらさんの状況で読むとまずいことになりそうなのであまり強くはお勧めしまへん^^;
2009/11/1(日) 午前 3:26
あと三人待ちっ!記事は冒頭だけ読んで、後は読むまで我慢しておきます。ファティーグさんのお墨付きなら絶対間違いなさそうですね。楽しみだなぁ。広告に談合小説って書いてあったので、ちょっととっつきにくそうなイメージがあるんですけど、きっと池井戸さんのことだからそれを一気に読ませる面白さがあるんでしょうね。私はやっと貫井さんの新刊が読み終わったとこです。割と正統派な警察小説でした。なんだか、最近妙に警察小説づいてます^^;
2009/11/1(日) 午前 8:41
それはそれは、ものすごく興味をそそられますなぁ〜。さっそくチェックを入れときます。ニヤリ!
ミッション!OKU…もといファティーグさんを探せ!
2009/11/1(日) 午後 2:02 [ - ]
ああ〜〜〜〜〜っ!
確かに〜〜〜〜っ!
ふぁ〜さんが作ったみたいな帯だ(笑)
なるほどね〜、ふぁ〜さんが言ってる事解るような気がします
そういう本って面白そうですね。
うん…でも2行目から3行目にかけての括弧内で
ガッっとブレーキが利いてますんで…(笑)
2009/11/1(日) 午後 4:01 [ Nobrin ]
べるさん>おっと、着々と近づいてますね^^。「談合」に「ゼネコン」ということで、ほんとうにお堅い社会派小説を期待していると、ほんとうにいい意味で期待を裏切られます。20代の頃の仕事を覚えようとしている時期の仕事と自分のかかわり方や、それと男女の間の微妙な心境の変化なんかは、たぶん、誰にでも経験があるんじゃないかと思うのですが、その辺のところをほんとうに上手に描いていると思いますよ^^。さてさて、べるさんのお好みにあうかどうか^^; これだけ面白いといった手前ちょっと心配です^^;
貫井徳郎、もしかして、相変わらずやったらと前フリ長かったのではないでしょうか〜^^;;。最近、またちょっと警察物増えてるような気がしますね、そういえだけなので正確なところはわかりませんが。ば。もっとも、世の中に出ている本のすべてを読んでいるわけじゃなくて、単にチラッと広告を見ている
2009/11/1(日) 午後 9:57
けんちゃん>あはははw ぜひとも探してみてくださいなw。かなりむかつく奴だと思うよ^^;
2009/11/1(日) 午後 9:58
のぶりんさん>なんていうか、文字の感じと文言が^^;。
文字の本も、マンガも、雑誌も、こうしてブログを読むのも文字を読むということでは、オレは大差ないと思うんですけど^^;;。もちろん文字の本は読みにくいのたくさんありますけどねぇ。
基本的にはこの本は読みやすいですよ。気が向いたらぜひww。
2009/11/1(日) 午後 10:00
建設談合にとても近い場所にます。でも50を越えて
まだ青臭い生き方の為、マッタク関わりがない。
私は何処に行っても異端児、天邪鬼、負け犬
ですなぁ。何時までたっても雑用係り(ファティーグ)
です。
2009/11/1(日) 午後 11:12
ZUMAさん>関係がないですむのなら、関係なくいられるほうが幸せそうでした^^;;。大きな建物や、大きな橋、深いトンネルや、複雑なプラントが出来上がるのを見るのはわくわくして好きなのですが、それだけをやれるのであればあれほど魅力的なところもそうはないと思っていたんですけど、難しそうです。
とりあえず、小説のなかでは、結局青臭いのも悪くなく、それで最後は救われるという感じでしたよ^^。
2009/11/1(日) 午後 11:51
あ、この本、昨日の我が家の朝刊の宣伝、講談社の新刊の宣伝で出てた!
面白そうって思ってたの。
ふぁさんがお勧めなら、太鼓判を押されたようなもの。
定価では買えないから、古本屋もしくは、これも文庫落ちになるのを待ちます♪
2009/11/2(月) 午前 9:54
デネブさん>この間の東野圭吾の『新参者』と並んで今年後半の講談社の目玉ですからね〜^^。なかなか力の入ったPRやってますよね。
これ、500ページオーバーの単行本だから2000円近くしますもんね。うーむ、なかなか本って高い^^;;。たぶん文庫は2〜3年もすればでるのではないでしょうか? 個人的には今年一番の面白さでした^^
2009/11/2(月) 午後 4:42
今日、本屋さんに行ったけど、見つけきれませんでした。
もっと市内の本屋に行かないと駄目なんでしょうか…
ファティーグさんを探す前に本を探せ!ミタイナOrz
2009/11/6(金) 午前 2:52 [ - ]
大根・危・けんちゃん>え? なかった? 一ヶ月も過ぎちゃうと平積みから外されちゃうのかな^^;。地方に限らないけど、小さい本屋さんはすぐに返本しちゃうから、新刊の単行本ってほんとうに買いにくいよね。しゃーないから、そういう場合は、ネットのアマゾンとか、BK1あたりを使う^^;。お値段が高めだから間違いなく送料無料になるはずだよ〜^^
2009/11/6(金) 午後 7:16
とても興味があったので、先日仕事の合間に書店を覗いたのですが、
空飛ぶタイヤしかありませんでした、また探してみますね。いつか
感想をお知らせします!。
2009/11/8(日) 午後 4:54
浪速さん>なんだか、回転が早いんですかね^^;。先月の初めに出たばかりの本で、それなりにベストセラーを期待出来るはずの本なのですり部数は少なくはないと思うんですが、ためしにアマゾンを見てみたら、あのアマゾンですら在庫がなくて取り寄せとなっていました。うーん、こんなところでもなんだか出版不況を感じてしまいます^^;。
「空飛ぶタイヤ」はロングセラーになってますね〜! この本は、個人的にとても好きな本です^^。いろいろと理由があって直木賞を取り損ねてしまっていますが、ほんとうならばぜひとってもらいたかった作品なんですよ^^。
2009/11/8(日) 午後 9:18
浪速さんのところから遊びに参りました。これからも遊びに来させていただきます。よろしくお願いいたします。
2009/11/9(月) 午後 9:29
賭博師さん>こんばんは、コメントと登録ありがとうございます^^。
かなり雑多なブログですがよろしくお願いします^^。
2009/11/9(月) 午後 11:43
読みました〜^^面白かったです〜。私も途中からはノンストップで一気読みでした。この人、馴染みのない題材でも絶対エンタメにしちゃうからすごいなぁって思います。
さて、ファティーグさんの近親憎悪。一体だれだろう・・・。むむー。一人はやっぱり平太でしょうか。もう一人、まさか園田じゃないですよね・・・そうじゃないことだけを願います・・・もう、やつにはムカついて仕方なかったんで^^;もしそうだったらすみません・・・^^;;
2009/11/13(金) 午前 0:25
べるさん>面白いですよね^^。ほんとうにノンストップで読めてしまうし、しかもちゃんと、なるほど! と思わせる部分もたくさんありますよね〜^^。
平太くん、ほんとにいい味だしていたでしょ?^^。それと先輩^^。
もちろん、「天皇」も好きになりそうでしたしね。
キャラの設定もよかったので、ああ、いそういそう! って思わされますよね^^。
TBありがとうございました^^。
2009/11/13(金) 午前 0:33