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海上自衛隊 新哨戒艦考


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海自新規導入の「哨戒艦」どんな船に? 定義あいまい各国様々、日本に必要なのは… 【乗りものニュース】2019.01.25  竹内 修(軍事ジャーナリスト)

海自、新たに「哨戒艦」を導入

 防衛省は2018年12月18日に発表した、2019年度から適用される「次期防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」において、海上自衛隊に「哨戒艦部隊」を新設し、同時に新型の「哨戒艦」を導入する方針を明らかにしました。これによると、2019年度からおおむね5年間に設定されている「中期防」期間中に4隻、これを含め2029年度までに12隻の哨戒艦を導入するとのことです。

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イギリス海軍のリバー級哨戒艦「クライド」。海自が導入予定の新型哨戒艦(1000トン前後)より、ひと回りほど大きい(画像:イギリス国防省)。

「哨戒艦」は、領海や領土の沿岸、港湾の防衛や警備、救難活動をおもな任務とする軍艦です。旧日本海軍は、旧式化した駆逐艦などを改造した、「哨戒艇」と呼ばれる艦艇を運用していましたが、海上自衛隊にとって「哨戒艦」の運用はこれが初となります。

 日本では沿岸、港湾の警備や救難活動は海上保安庁が担当していますが、日本の領海と排他的経済水域を航行する外国海軍艦艇の監視は、海上自衛隊が担当しています。同隊ではP-1、P-3Cの両哨戒機が上空から、はやぶさ型ミサイル艇と乙型護衛艦(DE)に分類されるあぶくま型が海上から、日本近海を航行する外国海軍艦艇の監視を担当しています。

 しかし近年では、中国、ロシア両海軍の活動が活発化したことにより、はやぶさ型ミサイル艇やあぶくま型護衛艦だけでは監視の手が足りず、機雷の処理にあたる「掃海艇」や、護衛艦などの訓練を主任務とする「訓練支援艦」なども投入されています。

 また、はやぶさ型は将来の廃止が決定しており、あぶくま型は新型護衛艦(フリゲート)「30FFM」で更新されますが、30FFMはソマリア・アデン湾での海賊対処などの海外派遣も予定されており、あぶくま型の任務をそのまま引き継ぐわけではありません。このため新たに建造される「哨戒艦」は、現在はやぶさ型ミサイル艇とあぶくま型護衛艦が行っている、日本近海を航行する外国海軍艦艇の監視を主任務とする艦になるものと思われます。

■いろいろありすぎる「哨戒艦」、各国の事例

 アメリカは、領海や領土の沿岸、港湾における防衛や警備、救難活動を、日本の海上保安庁に相当する「沿岸警備隊」の任務と位置づけています。このため、アメリカ海軍における哨戒艦艇というと、海軍の特殊部隊である「SEALs」の火力支援などを主任務とする、満載排水量334トン(船体延長型は387トン)のサイクロン級哨戒艇13隻など、比較的小型なものを運用しています。

 その一方でイギリス海軍は、満載排水量1700トンから2000トンに達するリバー級哨戒艦を4隻保有。イギリス近海と南米のフォークランド諸島に配備して、おもに自国の漁船の保護と救難を行なっているほか、イタリア海軍も満載排水量1520トンに達するコマンダンテ級哨戒艦を6隻保有し、自国の領海と排他的経済水域の監視に使用しています。

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海外領土の警備も行なっている、オランダ海軍のホラント級哨戒艦(画像:オランダ国防省)。

オランダは、現在も西インド諸島のアルバなどといった海外領土を保有しています。オランダ海軍が4隻を運用しているホラント級哨戒艦は、本国から遠く離れた海外領土の領海警備や救難も任務としているため、大洋を航行できるだけの航洋性や、長期の任務にあたる乗組員の居住性などを考慮した結果、大型化し、満載排水量はあぶくま型護衛艦(推定満載排水量2950トン)を上回る3750トンに達しています。

 また、ノルウェー沿岸警備隊が運用している哨戒艦「スヴァールバル」は、北極圏に含まれるノルウェー領スヴァールバル諸島の警備と救難を担当しているため、海上自衛隊が運用している砕氷艦「しらせ」などと同様の砕氷能力を備えており、満載排水量6375トンの大型艦となっています。

 イギリス、イタリア、オランダは、有事の際に哨戒艦を戦闘艦として使用する構想を持っていませんが、マレーシア海軍が6隻を運用しているクダ級哨戒艦や、ノルウェー沿岸警備隊のノールカップ級哨戒艦などは、有事の際には対艦ミサイルや対空ミサイルを搭載し戦闘艦へ改装できる設計になっています。またノルウェー海軍のクヌート・ラスムッセン級哨戒艦は、必要に応じてモジュール化された装備を交換できる構造を採用しており、ノルウェー海軍は有事の際、海上自衛隊の護衛艦にも搭載されている対空ミサイル「ESSM(発展型シー・スパロー)」の発射装置モジュールなどといった兵装モジュールを搭載して、戦闘艦として使用する構想を持っています。


まさかの「三胴船」も? どうなる海自の新型「哨戒艦」

 これまで述べてきたように、ひと口に「哨戒艦」と言っても、大きさや運用構想は国によって大きく異なります。海上自衛隊は防衛大綱と中期防の説明会で、導入予定の「哨戒艦」に関し、装備品などを搭載しない船体だけの基準排水量は1000トン級、乗員は30名程度になると説明しています。

 他方、防衛省はアメリカとのあいだで、複数の船体を甲板で並行に繋いだ「多胴船」の共同研究を行っており、防衛省の外局で防衛装備品の研究開発を任務のひとつとする防衛装備庁は、3つの胴体を甲板で並行に繋いだ「将来三胴船コンセプト」を発表しています。

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防衛装備庁が研究を進めている「将来三胴船」の模型(竹内 修撮影)。

防衛装備庁の発表した「将来三胴船」のスペックは全長92m、全幅21m、満載排水量1500トンで、防衛省が上述の説明会で発表した「哨戒艦」の基準排水量1000トンという数字とのあいだに大きな開きはありません。そして、三胴船は横揺れが少なく、また甲板面積を大きくできるため、大型のヘリコプターを搭載できるといったメリットがありますが、まだ実用例が少ないため信頼性の面で不安があり、価格も単胴船に比べて高くなるというデメリットもあります。このため、新たに建造される哨戒艦は三胴船ではなく、護衛艦などと同様の単胴船になる可能性もあると考えられます。

「将来三胴船」の武装は76mm単装速射砲1門で、ノルウェーのクヌート・ラスムッセン級哨戒艦のように、必要に応じて各種モジュールを搭載することが想定されています。76mm単装速射砲は、イタリアのコマンダンテ級など、外国で運用されている多くの哨戒艦に搭載されています。また、あぶくま型護衛艦やはやぶさ型ミサイル艇にも搭載されているため、退役したそれらのものを流用できることから、どのような船型になるにせよ、新たに建造される哨戒艦の主武装が、76mm単装速射砲となる可能性は高いと考えられます。さらに、必要に応じて各種モジュールを搭載するというコンセプトも、近年の哨戒艦ではトレンドとなっていることから、海上自衛隊の哨戒艦もこのコンセプトを取り入れるのではないかと、筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。

「哨戒艦」は護衛艦に比べて地味な存在ですが、四方を海に囲まれた日本の安全を守る上では重要な艦となることは間違いなく、今後の推移が注目されます。

【了】

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平成30年12月18日の平成31年度以降に係る防衛計画の大綱 中期防衛力整備計画(平成31年度〜平成35年度) が発表されたが、唐突に防衛大綱と中期防の文章と別表に「哨戒艦」・「哨戒艦部隊」「艦載型無人機」という文字が載っていた。

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防衛計画の大綱では定数12隻
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中期防p-5 新水上艦艇部隊2個群の新編
1隻のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)と2隻のイージス・システム搭載護衛艦(DDG)を中心として構成される4個群に加え、多様な任務への対応能力を向上させた新型護衛艦(FFM)や掃海艦艇から構成される2個群を保持し、こ れら護衛艦部隊及び掃海部隊から構成される水上艦艇部隊を新編する。

哨戒機部隊の体制強化・無人化
 能力向上・継続整備
 滞空型無人機※
 艦載型無人機の導入
※ 検討中の事項

中期防衛力整備計画(平成31年度〜平成35年度)において哨戒艦4隻の建造が計画されている。


海上自衛隊は、1999年まで20トン級の機関砲を装備する小型艇を哨戒艇として港湾警備用として地方隊隷下の警備隊へ装備していましたが、哨戒艦はどのような艦艇になるか?興味が湧くところです。

哨戒艦とは、海外海軍では外洋における警戒監視任務や離島と国境線における法執行任務にあたる海軍艦艇を示します。日本においては現在海上保安庁が担っている。海上保安庁では哨戒艦や哨戒艇ではなく巡視船や巡視船としている。

今回導入される哨戒艦は海上保安庁が行っている警戒監視任務や離島と国境線における法執行任務とは異なる任務だと思います。

新防衛大綱には1000トン級とされております。最有力と見なされているのが、防衛装備庁が研究を進めている「将来三胴船」である。

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満水排水量1500トン   最大速力 35ノット以上
全長 92m         航続距離3500nm(6482km)/15ノット
全幅 21m         76mm砲1門 20mmCIWS1基
喫水 4m          MCH-101 ヘリ1機 


昨年2018年末に起きた韓国海軍艦艇による、海自P-1に対するレーダー照射事件は、南北朝鮮による瀬取り現場の証拠写真を撮られたくなかった韓国海軍による、P-1を近づけさせない為の行為であったことはもはや世界の常識となっている。

北朝鮮漁船、北朝鮮工作機関、北朝鮮政府、韓国政府、韓国国防省、韓国海軍、韓国海洋警察の連携がないと、北朝鮮j工作船、韓国海洋警察の哨戒艦、韓国海軍駆逐艦の3隻が海上の同一ポイントに集合することはできない。

南北朝鮮が連携している事実をを海自哨戒機に接近して見られたくなかったために、射撃レーダーを照射して、嫌がらせを行い、海自哨戒機を追い払ったというストリーが一番合理性がある話だ。 韓国がレーダー照射を否定し、海上自衛隊の哨戒機の行動を非難しているのは、これらの南北の動きを知られないために、韓国による問題のすり替えにほかならない。

文在寅が北朝鮮への制裁解除を求めるために、世界中を使い走りしているが、世界は南北がぐるになって国連制裁違反の瀬取りを行っていると考えている。

瀬取りは南北朝鮮国近海でばかりで行われていない。
中国沿岸から南シナ海〜日本海と広範囲で行われており、圧倒的に隻数が不足している。

瀬取り現場を発見したのは補給艦であったり、掃海艇であったり、多用途支援艦といった補助艦艇である。

おそらく、補助艦艇が瀬取り監視に駆り出されているのが現状だと思う。

海外同盟国海軍も、「瀬取り」に対するる警戒監視活動に参加するために集結し、警戒監視活動に参加して頂いている。

 米国に加え関係国の海軍艦艇が、東シナ海を含む我が国周辺海域において、警戒監視活動を実施。
英国海軍: フリゲート「サザーランド」(2018年5月上旬)
揚陸艦「アルビオン」(2018年5月下旬〜6月上旬、6月中旬)
フリゲート「アーガイル」(2018年12月中旬、2019年1月上旬)
フリゲート「モントローズ」(2019年2月下旬〜3月上旬)
カナダ海軍: フリゲート「カルガリー」(2018年10月上旬及び下旬)
補給艦「アステリックス」(2018年10月上旬〜下旬)
オーストラリア海軍:フリゲート「メルボルン」(2018年10月上旬、2019年5月上旬)
フランス海軍:フリゲート「ヴァンデミエール」(2019年春)

海自も、瀬取り監視用の艦艇としても哨戒艦の必要性が高まっている。

はやぶさ型6隻が将来的に退役し、掃海艦艇7隻が30FFMに置き換えられる。

どちらも哨戒任務についている貴重な戦力なので代艦が必要となり、
はやぶさ型6隻と掃海艇7隻の後継を兼ね哨戒専門の哨戒艦12隻の配備となったのだと思う。

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中国海軍は最新の高速ミサイル艇(Fast Attack Craft-Missile “紅稗型ミサイル艇” (PGGF): 220ton full, Wave piercing catamaran hull, 36kt, SSM sea skimming 150km range, 30mm CIEWS)を60隻以上保有している。
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さらに、中国の056型コルベットがすでに52隻配備され、将来的に60隻規模になる。

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小型艦艇は中国が排他的権益を主張する東・南シナ海の沿岸海域の防衛・警備・侵攻の先兵に任ずる強力な戦力であり、尖閣諸島問題における武力行使へのエスカレートに際して、中国が小規模軍事紛争に留めつつ既成事実の確立を意図する場合、尖閣諸島や、沖縄の島嶼部に小型艦艇の大量襲来の可能性も危惧されている。

また、国際的不法暴力組織等が海上から偽装武装漁船等によって本土に破壊分子を潜入させ政経中枢及び原子力発電所等の重要施設に対するテロ・ゲリラ等による破壊行動を企図する場合、これを未然に阻止するために沿岸水際部における常続的警戒と不法行動の対処に即応する地域配備の哨戒艇部隊が不可欠である。

海自には「はやぶさ」クラスミサイル艇(PG)6隻の更新・強化を図るため機動性と攻撃能力を向上した高速哨戒艇が必要であるが、哨戒艦はミサイル艇(PG)の後継とは考えられていない

哨戒艦は2隻1個隊で、各地方隊及び沖縄に配備し、担当警備水際部の常続的哨戒に任じつつ、万一、島嶼侵攻事態の恐れが生起した場合には地域配備部隊の一部又は全部を機動的に集中して接岸阻止任務部隊を編成して対応するべきである。

また、掃海・敷設作業にも投入できる多目的小型艦艇になると思う。

船型

個人的にはトリマラン(三胴船)を推したいと思っているが、コスト増になる為、三胴船は我慢し、今までのモノコックの船型になるのではないか?


はてるま型巡視船に近い船となると思う。
総トン数 1,300トン
全長 89.0メートル (292.0 ft)
最大幅 11.0メートル (36.1 ft)
深さ 5.0メートル (16.4 ft)
主機 ディーゼルエンジン×4基
推進器 ウォータージェット推進器×4軸
バウスラスター
速力 30ノット
乗員 30人
兵装 30mm単装機銃×1基
搭載艇 1番船建造当初7m型高速複合警備艇×2隻
4.8m型高速複合警備艇×2隻
更新後7m型高速複合警備艇×3隻
C4ISTAR 船テレ装置・ヘリテレ装置
FCS FCS射撃指揮装置(30mm機銃用)
光学機器 遠隔監視採証装置
赤外線捜索監視装置 (FCS兼用)

ヘリコプター甲板を有するステルス型 イタリアのコマンダンテ型も参考になる。


満載排水量 1,520トン全長 88.4 メートル (290 ft)
最大幅 12.2メートル (40 ft) 吃水 4.6メートル (15 ft)

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30FFMが多機能護衛艦 DEXと呼ばれていた頃の初期のCG

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これに手を加えた上記のイメージになるような気がします。

■武装・装備

76mm砲1門 20mmCIWS1基、3連装短魚雷発射機2基、地対艦誘導弾発射装置
水上艦用機関銃架(遠隔操作型) 対ドローン用HPM:高出力マイクロ波発射装置
自律型水中航定式機雷探知機(OZZ5自走式機雷処分用弾薬(EMD) 
20mmCIWS1や76mm砲は、退役する自衛艦の中古を活用
地対艦誘導弾発射装置は17式地対艦誘導弾でもお下がりのハプーンSSMでも可

海自の最大の弱点が人員不足であるが、人員定数は、はやぶさ型21人と中型掃海艇45人から回す。6×21+45×7=441人となるが、新哨戒艦が30〜35人であれば35×12の420人は対応可能である。


哨戒艦を考察するにいたって、参考とした資料なのだが、グレーゾーンや海上警備行動について極めて有用な資料だと思いす。

世界の艦船2019年4月号

第2艦隊と哨戒艦部隊に関する一考察
グレーゾーン事垂の視点から
 THINKINGABOUT“2ndFLEET ”&OPVFORCEOFJMSDF by IzuruFukumoto
 福本 出 (元海自幹部学校長・海将)                                

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新型護衛艦(FFM),輸送艦とともに,海上自衛隊の 「第2艦隊」を編成することが想定される掃海艇群。(海上自衛隊)

はじめに

 昨年12月18日,「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱(以下「30大綱」)が閣議決定された。

これは平成25年12月に決定された「25大綱」以来5年ぶりの改訂となった。具体的絵姿が見えやすい別表を比較すると,海上自衛隊の欄で注目されるのは,「護衛艦・掃海艦艇部隊:2個群(13個隊)」と,「哨戒艦:12隻」との項目が新たに追加されたことだ。このほか初めて陸海空自衛隊以外に「共同の部隊」という区分が創設され,「海上輸送部隊:1個輸送群」が示された。この「海上輸送部隊」については,本誌前号の記事「陸自の新編水陸機動団と海自掃海隊群」で読解されている。

本稿では,30大綱に登場した「グレーゾーン事態」と,別表に追加された新水上部隊について私見を述べてみたい。

■30大綱に見る「グレーゾーン事態」とその対応 

30大綱において,わが国自身で強化していく総合的防衛体制で果たすべき役割の筆頭に「平時からグレーゾーンの事態への対応」が挙げられている。

“多次元”が示すように,30大綱では宇宙およびサイバー・電磁領域に及ぶ防衛体制の強化が謳われる一方で,従来領域における能力強化についても強調されている。

30大綱が目指す真に実効的な防衛力としての「多次元緻合防衛力」は,新たな領域と従来領域との荘L合せによる戦闘様相に領域横断(クロス・ドメイン)作戦により対応すると同時に,南西諸島方面で日常的に起きている法執行機関公船や海上民兵などの準軍隊(パラ・ミリタリー)による,これまでは必ずしも防衛事態ととらえてこなかった次元の事態,いわゆる“グレー”な事態においても,自衛隊をもって対応できるようにすることが示された。これは,限られた国家資源の有効活用という視点からも重要だ。

 このような方針のもと,わが国の防衛力が「シームレスかつ複合的」に,「平素からさまざまな役割を果たしていくことがこれまで以上に重要」と指摘し,これが具体的に果たすべき役割として6項目が列挙された。そのうち,

 ア)平時からグレーゾーンの事態への対応
 イ)島惧部を含むわが国に対する攻撃への対応
 エ)大規模災害への対応

の3項目が別表に追加された新編・新造艦艇部隊に関連する。

 このうちイとエに関連する水陸両用戦部隊に関しては,これまで本誌でも折に触れて取り上げられているので,ここからはアの「グレーゾーン事態」について論述してみたい。

30大綱の上記ア項では,次のように書かれている。

           *       *       *

 1(3)ア 平時からグレーゾーンの事態への対応
積極的な共同訓練・演習や海外における寄港等を通じて平素からプレゼンスを高め,我が国の意思と能力を示すとともに,こうした自衛隊の部隊による活動を含む戦略的なコミュニケーションを外交と一体となって推進する。

また,全ての領域における能力を活用して,我が国周辺において広域にわたり常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動(以下「常統監視」という。)を行うとともに,柔軟に選択される抑止措置等により事態の発生・深刻化を未然に防止する。

これら各種活動による態勢も活用し,領空侵犯や領海侵入といった我が国の主権を侵害する行為に対し,警察機関等とも連携しつつ,即時に適切な措置を講じる。

           *      *      *

 新たに追加される新型護衛艦および哨戒艦によって編成される各部隊は,平素のプレゼンスを向上し,幅広い情報収集とネットワークをもって常統監視を行ない,かつその装備武器等により,対処すべき現場を相手の意のままにさせず,“ゲームメーカー”(主導権を握る側)となり,事態を未然に防止し得るものでなければならない。

かつ,共同で作戦行動する警察機関等(海保)との,ハード・ソフト両面におけるインターオペラビリティが必須である。

■「グレーゾーン事態」とは――事態の理解と問題の所在

「グレーゾーンの事態」とはどんな事態を指すのだろうか。

 第2次大戦後,とりわけ冷戦終結を迎えてから,極東を含む世界各地で武力紛争や武力による威嚇,力による現状変更,国家主体を持たない集団によるテロ,国家崩壊と貧困がもたらした海賊行為などがとどまるところを知らず生起し続けている。

わが国を巡っても,北方領土,竹島,尖閣諸島,EEZや大陸棚等の領土問題や境界線未確定領域の問題,冷戦構造の残揮としての朝鮮半島情勢や大陸と台湾との情勢等々,山積する問題に収束の兆しは見えない。

 ここで留意すべきは,先の大戦後,大国間のいわゆる「戦争」という事態は生起せず,戦争や紛争は人道や平和維持等のため,単独または国連や多国籍軍の枠組みで行なわれたことだ。いずれも“国権の発動たる戦争”という法的根拠では起きていない。

 いかに2国間の“戦争”が生起しがたいか。たとえば休戦状態にある南北朝鮮間において,「天安号」沈没事件や延坪島砲撃事件など,多くの犠牲者を伴う明らかな主権侵害が起きたときでさえ,開戦は避けられた。ましてやわが国が今後見通しうる将来において,高い緊張事態になり,国内世論が沸騰したとしても,防衛出動を下令することは相当厳しいだろう。

この前提に立てば,防衛出動事態未満で事態を収束し,勝利しうる防衛力を持つ必要がある。

 平和憲法は口本だけの“専売特許”ではないことは,いわずと知れたことだ。国連加盟国,不戦条約批准国はもとより,他国との間で生じた問題を武力に訴えて解決するような憲法を持つ国など存在しない。

それでもなお生起する武力侵害,あるいは力による現状変更が試みられたケースを見てみると,自国民の保護や不法占拠領土奪回,人道や平和維持という大義名分で,あえて軍隊を使用せず,準軍隊を巧みに用いた作戦が展開されている。

このような「戦争未満」の烈度で主権を侵害するような事態は増加するなか,世界情勢を見渡すと,軍警察,国家憲兵(ジャンダルマ),国境軍,沿岸警備隊等の準軍隊(パラ・ミリタリー)や,日本の警察,海上保安庁(以下,海保)のような純文民警察が国家主権や国民保護の前面に立ち,軍隊がそれを遠巻きに見守るという構図が見えてくる。

 尖閣列島周辺で生起している事態は,まさにそのとおりだ。

 防衛自書では,「いわゆるグレーゾーンの事態」について,「国家などの間において,領土,主権,海洋を含む経済権益などについて主張の対立」があり「武力攻撃に当たらない範囲で,実力組織などを用いて,問題に関わる地域において,頻繁にプレゼンスを示したり,何らかの現状の変更を試みたり,現状そのものを変更したりする」行為と説明している。

 わが国は,このような事態に対応するため,2015年9月に「平和安全法制」および,それに先立つ「無害航行に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について」など3つの閣議決定により対処することとなった。

これらの法整備等により,いわゆる「グレーゾーンの事態」に対処しうることになったとされるが,筆者を含め,いまだ十分ではないと考えるオピニオン・リーダーが少なからずいる。グレーゾーン事態は,あからさまな武力攻撃に至らない烈度の主権侵害であるので,適時適切に対応しなければ,事態が知らぬ間に既成事実化されてしう危険性すらある。

 現状では日本政府が武力攻撃事態と認定しない限り日米安保条約は発動されず,米軍の来援は得られない。わが国は国際世論を味方につけ,グレーゾーンのレベルで行なわれる主権侵害に対抗し,単独で勝利できる法整備や態勢/体制の整備が急務である。

■海上における警備行動の問題点

 安倍首相と習主席との首脳会談以降,日中の防衛交流も再開されるなど,融和の傾向にあるが,そのような情勢においても中国公船等による尖閣諸島周辺での領海侵入はやむことなく,常態化の様相を示している。

このような主権侵害に対し,わが国は法執行機関たる海上保庁の巡視船艇をもって対応し,海自はその周辺において警戒監視を行なっている。

2016年8月には約200〜300隻の中国漁船が中国公船とともに尖閣諸島周辺に現れ,約5日間にわたり多数の公船と漁船が領海侵入を繰り返すという事態も発生した。

 海保はこのような事態により的確に対応すべく,質量両面において急速にその能力向上を図っているが,一方の中国海警はそれを凌ぐ勢いで増強されており,その差は広がりこそすれ,将来において勢力の均衡は望むべくもない。

中国海警は世界最大級の1万トン・クラスの警備艦の建造を進めるほか,その武装には海保巡視船のそれを凌ぐ76ミリ速射砲を搭載している。

 さらには,国土資源部国家海洋局の組織であった中国海警局は,昨年6月からは人民解放軍と同じく中央軍事委員会の指導を受ける人民武装警察に編入された。

組織変更後,中国海警の法的地位や権限がどのように変更されたのかについては,いまだ根拠法も公開されておらず明らかではなV)が,アメリカの第5軍である米コーストガードをモデルに,より軍事的側面を強化することが予想される。

 事態が海保の能力を超えると判断された場合,「海上における警備行動(以下「海上警備行動」)が発令され,現場には海自が派遣されることになる。

その場合,海自艦艇には警察官職務執行法と海上保安庁法の一部が準用される。

しかし司法警察権はないので,見かけは“いかつい”が,海保巡視船以下の権限しか持たないのだ。この点だけみても,海賊対処行動で海上保安官を乗艦させるような工夫が必要なことが分かる。

 このような情勢を前にして疑問なのは,「そもそもグレーゾーン事態は海上警備行動で対応できる事態なのか」だ。制定の経緯を紐解くと,海上警備行動で小規模主権侵害に対処するなど,想定外だったことが分かる。

 質,量のどちらか,あるいは両方で海保の能力を超えた事態となって,海自艦艇を出動させること自体は,国内法.国際法的にヰ)適法である(英米やオーストラリアなど,外国では軍艦が法執行を行なっている。

しかし,「海上警備行動」で自衛艦を増援する事態の推移を国際世論はどう見るだろうか。

白い船(巡視船)同士の事態に自衛艦(軍艦)を出動させた日本が,エスカレーション・ラダーを上げたとしか見えない。日本がいかに遵法性,正当性を主張したところで,分が悪い。しかも先方も“自国の領土”と主張する領域である。分が悪いどころか,中国海軍に招待状を送ることになり,事態を悪化させるだけだろう。

 グレーゾーン事態に自衛隊が出動する際の問題点は他にも指摘できる。

本稿でそれをすべて説明する余裕はないので,末尾に示す,筆者も委員の一人であった中曽根康弘世界平和研究所グレーゾーン研究委員会による資料を参照されたい。



■第2艦隊の編成等

 水陸両用戦,機雷戦およびグレーゾーンにおける哨戒,海保と連携した法執行等に従事することとなる第2艦隊の編成や装備について考えてみたい。

 大綱別表に示された護衛艦・掃海艦艇から成る2個群(13個隊)の編成について,筆者の私案は次のとおりである。

 まず,この2個群を束ね統括する,護衛艦隊に次ぐ新たな水上艦隊の創設が必要だ。この新艦隊を本稿では便宜上「第2艦隊」と仮称する。護衛艦隊(第1艦隊)は,作戦指揮を行なわず練成訓練のみを担当する“フォース・プロバイダー”だが,第2艦隊が担う「水陸両用戦」と「機雷戦」の専門性,特殊性,独自性,統合運用時における陸自水陸機動団との相互運用性,海保との連携を考えると,現掃海隊群や潜水艦隊,航空集団と同じく「フォース・ユーザー兼プロバイダー」とするべきだ。

 第2艦隊を構成する2つの群は,水陸両用戦を担当する群と,機雷戦を担当する群とする。護衛艦隊所属の4つの群のように,どの群も同じ編成にして複数正面・代替的に運用することも考えられるが,水陸両用戦と機雷戦を複数正面で行なう蓋然性は極めて低い。

さらには水陸両用戦と機雷戦に必要な作戦指揮/練成訓練を担う指揮官・幕僚組織を2つ維持するには人的リソースが厳しいと考えられる。

なにより,専門部隊とする方が,作戦を効率よく割り当てられるだろう。

 第2艦隊の水陸両用戦群は,現有輸送艦3隻と陸自予算で共同部隊として建造する新輸送艦艇から成る1個輸送隊(別表の13個隊とは別枠),新型護衛艦(FFM)4隻から成る護衛艦5個隊(20隻)で編成する。

いまだそのような構想が示されたことはないが,水陸両用戦群の旗艦とLて強襲揚陸指揮艦タイプの“護衛艦”が必要と考える。

新型護衛艦22隻の内数として2隻の旗艦(強襲揚陸指揮艦タイプ)を建造し,群または艦隊直轄艦とし,横須賀および佐世保に配備するのが望ましい。

5つの護衛隊の母港は全国の各基地に配備することになろうが,係留施設の増設が課題となる。

予備クルーを何チームどこで待機させるかにもよるが,教育訓練は江田島地区が妥当だろう。将来的には各母基地で予備クルーのVR訓練が可能になるかも知れない。

 陸自水陸機動団(佐世保市)との協同連携を考えると,水陸両用戦群司令部は佐世保基地におくべきだ。

 第2艦隊のもう一つの群は機雷戦群である。この群は,現掃海隊群隷下3個隊に加え,現在は地方隊に配備されている6個掃海隊すべてを群議下に編成替えする。

このうち,横須賀に2個隊維持する必要はないので,第41掃海隊を第1掃海隊に編入し,計8個掃海隊をもって対機雷戦と,機雷敷設戦を担当する。

木造の中型掃海艇(MSC)は,順次掃海艦(MSO)に入れ替える。

なお同群の任務は掃海(Mine Sweeping)だけではないので,掃群の英語名称(Mine Warfare Force)どおり「機雷戦群」とした。

 新型護衛艦にも機雷敷設任務が付与されることになるが,専門性の高い機雷原計画を立案できる幕僚補助システムも必要になるだろう。

 USV(SAM)を運用する第101掃海隊の廃止はやむをえないが,これを財源として特別警備隊所属の水上部隊(小型高速ステルス艇部隊)とするのも一案である。

 第2艦隊司令部および機舌戦群司令部は横須賀在籍とし,艦隊司令部は護衛艦隊,潜水艦隊とともに船越の新自衛艦隊司令部庁舎に入ることになるだろう。

 第2艦隊司令官は,将補(一)指定職である現掃群司令ポストを格上げし海将を充て,各群司令は将補(二)配置となるだろう。ただし水陸両用戦の統合作戦指揮を考えれば,水陸両用戦群司令は陸自旅団長相当の将補(一)が適当かも知れない。

哨戒艦部隊

 30大綱で新たに加えられた哨戒艦12隻は,沿岸の哨戒監視・防備任務に就くことになろう。

南西方面の常続監視を考えれば,西日本に重点配備という考えになるが,基地の係留設備や乗員の捻出,総監の手足となる艦艇の必要性に配慮すれば,各地方隊所属とせざるをえない。

2隻で1個隊を編成し,6個隊を総監部のある5つの基地および沖縄基地の6カ所に配備するのが妥当ではないかと考える。

新型護衛艦(FFM)と哨戒艦の装備/武器使用関連法規の見直し                                                         防衛出動事態未満で活動する自衛隊部隊には,このような事態に対応できる装備(たとえば殺傷力の小さいノンリーサル・ウエポンの装備)や法執行活動に関する教育の充実,さらには防衛出動未満の事態における武器使用等,自衛隊の権限に関する法律の見直しが不可欠である。

 グレーゾーンの事態に的確な対処をするために欠かせない機能がある。

それは,海保と互換性ある指揮情報通信能力と,証拠記録機能だ。いまだ尾を引いている昨年末に生起した韓国軍艦による海自P−1哨戒機への射撃指揮レーダー照射事案は,その重要性を示す典型的事例となった。

名探偵コナンの決めぜりふは「真実はひとつ!」だが,現実の世界に“真実”はいくつも存在する。

自己の正当性を証明する確かな証拠資料を示せた方に,世論という行司の軍配があがる。このため,現場の映像,音声のみならず,航海機器,武器および機関等,必要なデータを自動収集するレコーダーを備えておくことは死活的に重要である。

■おわりに――人員および基地の問題

 自衛隊を巡る課題の第一は,外敵ではなく募集難だとの指摘もある。

第2艦隊および哨戒艦部隊を構成する艦艇は省人化するにしても,潜水艦や航空機も増加する中,輪番クルーまで,どうやり操りしても現在の定員で賄えるとは思えない。

定年延長や募集年齢上限の引き上げ,後方職域等で自衛官でなくともできる仕事をさらに民間委託する方針も打ち出されているが,少子化の影響は官民同じであり,人の確保がむずかしくなるのは外国人労働者に頼れない防衛産業とて同じである。

 たとえば,余市,新潟,由良,佐伯,奄美(瀬戸内町)の分遣隊等,さらには函館,阪神,下関の各基地も,地元とのしがらみ等を理由に聖域視せず,自衛官以外による管理運営または閉鎖も検討の狙上に上げるべきだ。

他方で室蘭,高知,志布志,馬毛島,奄美(奄美市),宮古等,艦艇の大型化と新しい事態対応に適した基地開発と,燃料・弾薬等の前進補給拠点も必須だ。

 第2艦隊構想を画餅としないためには,コペルニクス的な発想の転換を排除せず,多くの難関を乗り越えていかねばならない。

 ◆参考文献
「海と空のグレーゾーン事態への対処−その間題と対策」公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所グレーゾーン事態研究委員会(2018年6月26日)=同研究所HPから閲覧可能



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