診療日記-障害者歯科編

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グランドラウンド。

日本もそろそろ暑くなってきた頃でしょうか?

マイアミはここのところ真夏日が続いています。
30度越えの日が続いていたところ、夏ばてなのか原因不明のめまいで一週間ほどぐったりしていました。

アメリカは先週の月曜はメモリアルデーの祝日だったのですが、
金曜も仕事をやすみ、木曜の夜からず〜っとベットの上。

う、年なのかなと弱気になりつつも、ひたすらじっとしていたらだいぶよくなってきたようです。



さて。
寝込んでいたせいで、仕上げる予定だったプレゼンテーションがだいぶ遅れてしまいました。
発表はあした、金曜の朝8時。

学生の講義にも使った内容に手を加え、PG用(大学院)の全部の科のレジデント、ファカルティーの
前での発表に耐えるレベルにした(つもり。。。)

題材は Cri-du-chat syndrome。
染色体の大きいほうから数えて5番目の、片方が一部かけてしまっているために起こる疾患です。
日本語で言うと「猫鳴き症候群」といいます。

のどの構造と、脳の構造のためにまるで猫の鳴き声のような声が特徴です。
知能障害があったので、その患者さんは全身麻酔で歯科治療を行いました。

そのケース報告をする予定でいます。
スライドは36枚、三十分ほどの予定。
おおむね仕上がっているものの、やはり不安。
うまく行くかな。。。

がんばってきます!
先日、テーブルクリニックなるものがありました。
カリオーチョというキューバ系の人がたくさん住んでいる地域のBall roomという名前の場所で今年は開催されました。
(去年はパロットアイランドというサウスビーチから近い、動物園?近接の会場。ちょい鶏くさかったです)

レジデント(歯科医師)、衛生士の学生さん、歯科助手の学生さんなどが中心のポスター形式の発表です。
こんなかんじ。
イメージ 1



わたしたちの題目は
「Prader-Willi syndromeの患者さんの全身麻酔下における歯科治療とその偶発症の管理について」
というものでした。
イメージ 2




ちょっとこの病気の説明を書きますね。

このPWSというのは非常に珍しい疾患で、一万2000から1万5000人に一人というもの。

クロモゾーム15の長腕という場所でうまくお父さん、お母さんの遺伝子が混ざることができずに起こるとされています。

この遺伝子の場所がどうやら食欲をコントロールする鍵となっているらしく、疾患の特徴として

*食べ物を探す行動
*異常な食欲とそれに伴う体重の増加

があげられます。

障害者歯科をやったことのないDr方が審査員だったのですが、コメントは
「なぜ全身麻酔が不可欠だったのか、ほかの手立ては考えられなかったのか」
批評口調のピントがずれているコメント。

精神発達遅滞があるために8件の歯科医院をたらいまわしにされて、
やっとわたしたちのところにやってきた患者さんだったのに。。。

治療用の椅子にすわっていることもできない患者さんがいるなんて、想像もつかないのでしょう。

「全身麻酔で歯科治療」というと大げさすぎる感じがするかもしれませんが、
それが治療を受ける唯一の方法の人たちもいるんです。



さておき。

ここのディナーのプリンは絶品でした。
生クリーム+卵黄分がたっぷりな感じで、ねっとり、まったり。

すも入っておらず、なんとも完璧なプリンでした。
イメージ 3

ほっぺにちゅー

障害者歯科。

聞きなれない言葉だと思います。
精神的、肉体的に疾患をかかえている患者さんを診る科です。

わたしは現在、南フロリダでAEGD Special Needsというpost graduate program をしています。
患者さんは知能障害があったり、自閉症、精神病、特定の姿勢しかできない、意思に関係なく動きを止められない、いろいろな方がいます。

年齢が低いと小児歯科で診ることもありますが、だいたい18歳くらいを目処にSpecial Needs に送られます。

「大変そう」といわれることもありますが、ここで(大学のSpecial Needs Clinicというセッティングで)診れなければ、患者さんは他に行くところがありません。
その自負もあるし、純粋な喜びもあります。


今日の患者さん。
20歳くらいの男の子で、知能障害+αがありました。
知能レベルは3歳児くらい。
いつもにこにこしているのでクリニックの人気者です。

ちょっと動いてしまうので、腕で押さえ込みながらチェックアップとクリーニング。
かなり前歯をかみしめているようで磨耗と破折をおこしており、
神経の治療が必要そうです。

ちょっと涙を浮かべてもがきながらもがんばったので、終わったあとスタッフみんなで

「you did good! you are the best patient!!」

と誉めまくり。

と、彼がにこにこしながら握手を求めてきます。
アシスタント(男性)と力強く握手。
次はちょっとかっこいいがっしり系 endo facultyとこれまた力強く握手。

ふむふむ、さすが男の子だと感心してると、今度はわたしに手を伸ばしてきました。

ほい、握手だよね、と思いこちらも手を伸ばします。

と、手をぐいとつかまれて、ほっぺに ぶちゅーとキスされました(^_^;)


ここ南フロリダではラティーノが多い上に、わたしのクリニックの90%のスタッフは
ラティーノなので毎朝ほっぺにキスしたりされたりしてますが、
この奇襲にはちょいびっくり。

でもまた天使のような笑顔でにこにこしてるので、なんだかこちらもいいことをしたような
いい気分にさせてもらいました。

その後もしばらく観察したところ、どうやらある程度若い女性スタッフにはほっぺにちゅー、
男性は握手というのが彼のポリシーらしいです。

男性というものは。。。(笑)
その後クリニックで男性論議になったのは言うまでもありません。

全身麻酔下の歯科治療

明日はBroward General Hospital Center で全身麻酔下のケースがふたつ。

一ケース目は朝7時半開始。

。。。ということは、集合は6時半なわけです。むーん。
アメリカってむやみに朝が早いと思うことがあります。
(大学の講義も朝8時開始です)。


全身麻酔のときの流れはこんな感じです。

    ↓↓↓

オペの前の日。
患者さんのチャート(日本語だとカルテ)の内容の確認。
アレルギー、薬、持っている疾患の把握。
必要な検査値がそろっているか確認。


オペの当日。

がんばって朝おきる。迷いながら病院につく。中でもちょっと迷う。

レジデントが治療の同意書を本人もしくは保護者からとって、麻酔科の先生にバトンタッチ。
(点滴のラインの確保はしなくていいので、日本と比べるとちょっと楽。上の先生がじーっと見てる前で点滴するのって、結構緊張するものなんです。。。)


その間スクラブを着替えなおして、オペ室に行って道具のセットアップ。
コンポジットレジン(白いプラスチックの詰め物)、アマルガム(銀色の詰め物)、クリーニング、バー、歯を抜く道具などですね。歯科専用の大きなカート(高さ、幅一メートルくらい)があるので
大概のものはそろっています。

そうこうするうちに患者さんがオペ室に入室して、全身麻酔の開始。
これは麻酔科のDrがやってくれます。

患者さんが寝たところで、レントゲン(いわゆる、日本の言い方だとデンタル18枚法と
いうものです。小さいフィルム。アメリカだとFull mouth Xray, full mouth seriesと言います)
を撮ります。
ひとりが現像している間に(これもポータブルの自動現像器がオペ室内にあるのです)
術者として入るレジデントがオペ着に着替えて手洗い。

で、ここからは「一応」清潔操作で進んでいきます。
(ドラマのオペ室っていう感じです。)
 ・
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 ・
 ・

で、終わると患者さんは日帰り手術の待機場所にもどり、状態が落ち着くまで待ちます。
その間にレジデントは医局のドーナッツ+コーヒーを飲みながら、その術式の詳細をカルテにカリカリ書くわけです。カルテ書きが終わるころには患者さんもだいぶ目が覚めているので、付き添いの人と本人に当日の注意をして、おしまい。

こんな流れになっています。
たまに「歯の治療はコワいから、全身麻酔でやりたい」という話を聞きますが、
管が入るので喉は後からヒリヒリするし、麻酔からおきる時はとても気持ち悪そうだし
どんなものかなとは思います。
じぶんが受けたことはないので分かりませんけれど。

ちょっと書くつもりが思いのほか長くなってしまいました。

。。。明日、おきれるかな(汗)?
このブログは日本の診療所の患者さんに見ていただくためにはじめました。
ちょっと、お仕事モード入っています。

パソコンを開ける
  ↓
ブログを書く
  ↓
院長がプリントアウト
  ↓
診療所の掲示板(ひまわり通信)に貼る 
  ↓
日本一時帰国のとき、患者さんから感想もらう


という流れ?が非常に望ましいというか、あるべき姿なのですが、たまに


パソコンを開ける
  ↓
つい日本のドラマを見てしまう
  ↓
ブログは後回し
  ↓
院長から苦情
  ↓
気分転換にドラマを見る
  ↓
院長から苦情
  ↓
(繰り返し)

ということや、なんだか疲れていて文をかけないことや本当に勉強が忙しくてブログを更新する暇がないときもあります。

今回のブランクがどちらかは推測にお任せして(笑)、今日は新しい仕事場の紹介をしようと思います。


開業医に近い内容のNorth Miami Beach Clicicから、メインキャンパスに移動して一ヶ月。
一番の変化は患者さんです。

North Miami Beach Clinicでは通常の健康な患者さんがほとんどでしたが、いまの診療所の患者さんのほとんどは「Special Needs」です。

つまり、身体的、精神的に疾患をかかえている患者さん。
治療も歯科治療そのものより、どうやって患者さん管理を行うかにフォーカスがかかってきます。

飲んでいる薬が10種類を超えることはザラ、薬の種類、患者さんのもっている疾患の理解、具体的な管理法。

週に一、二回はBroward General Hospital Centerという病院で通常の診療には耐えられない患者さんの全身麻酔下の治療も行います。

一年目とは大きく方向性がちがうので、あらたに勉強しなおしている最中です。
クリニックの治療も、いわゆる笑気ガス(laughing gas (一般用語),Nitrous oxide sedation(専門用語))を使ってリラックスしてもらった上で治療すること、薬を飲んでもらって寝た状態で治療することも多々あります。

おととい、来年の春に発表するreseach projectの題目がきまったところ。
ちょっと専門的な話になりますが、ミダゾラムを用いたOral Sedationについてレジデント5人でリサーチを進めていくことになりました。



おもしろいもので、先月からはじまったこのSpecial Needsの環境はわたしが日本で臨床研修医をした都立病院のセッティングと非常に似ています。

ふつう、オペ室の全身麻酔下の治療なんてやらないですからね〜
おかげさまでこちら(アメリカ)でオペ室にはいったときも手洗いから清潔操作までまったく困ることはありませんでした。

数年前に勉強した内容を、またアメリカにきてやることになるとは。
数ヶ月前まで、まったく予想していませんでした。

やっぱり、人生おもしろい。
無駄な勉強などないのですね。

という訳で、これからはSpecial Needs 編です。

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