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涙という名の夢まくら (24)
先へ進もう。少しでもいい。そう思って歩きはじめた。
明るい景色の中、見たこともない自然の中に・・・
僕が行こうとする方向に道がある。夢の中だからなのか?
花や木は、僕が気にいっているものが生い茂り、咲き誇り。
僕が見たこともない花や木も、沢山生い茂り、咲き誇る。
色もなんともいえず素晴らしい。季節はまったくといっていいほど関係ないようだ。
僕のところでは真冬だけど。ここは、春でも夏でも秋でも冬でもないようだ。
天国という場所もこうなっているのか?
「クロ。すごいね。」
クロ。僕はこの猫を名前で呼んでいることに気づいたけど・・・クロは解っている様子だった。
てれくさかったけど、べつにそれもいい。クロの毛が気持ちいいのと、この景色と・・・
しばらく歩いていると僕はあることに気づいた。自分の記憶を歩いている。
「なんか違う。」と僕はつぶやいた。
「これでいいんだよ。」とクロ。
「未来とか新しいものとかじゃないんだ?」
「そうなんだよ。お前の心から出てくるものだから。ぼんやりだけど。」
「なんとなく・・・解るような解らないような・・・僕は未来に探しものが
あると思ってたんだけど・・・」
「過去の記憶の中にだって大切なことがあるんじゃないの?」
てっきり、未来なんだと思っていた。
過去の記憶の中(出来事)にだって探しものはあったかもしれない。
ただそれに気がつかなかった。そして、今ココにいる。
大切なことは未来だと思っていた。未来に目を向け進むことが大切。
だけど、過去にだって大切なものがあったかもしれない。
その時は、それが大切だって気がつかず・・・ただ、なんとなく流されて・・・
なんとなく忘れて過去になる。
そう思っていると、小学生の頃近所の仲間とよく遊んだ川が目に映ってきた。
「この川でザリガニやドジョウをよく捕ったよ。」とクロに教えた。
「それで?」とクロは言った。
僕はジーっと川を眺めて記憶を引き出そうとしていると・・・まるで・・・
スクリーンの中に映し出された小学3年生の自分と、その仲間たちを見ることになった。
懐かしい。穏やかな気持ちで過去を見て・・・1つ。『ハッ』っと思った。
ここでも『お前あっちへ行け。』と言われていた。(笑)
僕はこの頃から弱虫で、いじめられていたんだろうか?
それとも、持って生まれた性質なんだろうか?
『誰も遊んでくれないの?』
『誰かと僕を比較して僕のほうが誰かより、上手くできなくて邪魔者なんだね。』
何かが上手くできないことで、誰かの足を引っっぱってしまうことが
そんなにいけないことなのだろうか?
14才の僕は、小学3年生の自分を含めた子供たちを見て、たまらなく切なくなった。
悪いのは僕なのか?全部が全部上手くできる子なんているのだろうか?
いるわけない。全部が全部なんて。
この中でもみんなボス的存在に気にいられようと一生懸命なだけだ。おだててるだけだ。
そこまでして何にしがみつこうとしているんだろうか?
はたしてこのボスは、いつまでも末永くみんなを助けてくれるのか?そんなの解らない。
「何か思い出したり考えたりしていたねー。」とクロが言ってきた。
「べつに。何も変わったことはないみたい。
この才になると川でジャブジャブしないからね。懐かしいよ。」
僕は懐かしく、ちょっぴり嬉しく、たまらなく切なく・・・
本当はいろんな事を思い出し考えていた。なんで、『べつに。』なんて言ったんだろうか?
素直に<懐かしかったり、嬉しかったり、切なかったり>を言えばいいのに。
ひねくれてる。小学生の頃の記憶なんて思い出したことがなかった気がする。
振り返らなかっただけなのか?嫌な思い出しかないのか?
何の目的もない僕が前へ前へ進んでいたというのか?
ただたんに忘れていただけなのか?
いずれにしても14才からみれば、小学3年生はかわいく、無邪気だった。
たった4才か5才の差なのに・・・
大人からみれば14才はどうなんだろう?けして、かわいく無邪気ではないはずだ。
きっと、うざく。邪気だらけなんだろう。邪気だらけを気づかない大人は幸いである?
幸いなのか?いぃや。要注意が必要だ!!
「そろそろ時間だ。
戻らないと寝る時間がなくなって目の下がクマになるだけならいいけど・・・
ただでさえお前は・・・今日はこのへんで。じゃぁまた明日。」とクロは一方的に喋って
僕の腕の中から飛び降りて、ぺタぺタ歩き、穴に落ちたかのように消えた。
ただでさえお前は・・・ってなんなんだ?つかりすぎるってことか???
それとも起きれないってことか???
そして僕は、そのまま朝までぐっすり寝ていたはずだ。
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