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みなさんおはようございます。日本とは約8時間の時差のあるイギリスにてキャメロン首相と首脳会談を行い、日英の安全保障分野の協力強化、経済、オリンピックに向けての協力等について合意しました。 そして今夜はイギリスの経済界、世界の投資家を集めたギルドホールでの晩餐会でスピーチをしました。 日本の成長戦略を世界に向けて発信していきます。 服装の規定は伝統に則りブラックタイ。 スピーチ練習終え、服装の最終チェック(笑)。 ■ツイートする ■シェアする +--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.05.02[Fri] 09:08) ▼安倍晋三事務所携帯版HP http://www.s-abe.jp/ *メルマガの配信元です。 ■ブラックタイで決めたシティーでの講演の雄姿と聴衆のスタンディングオベーションは日本でも映像で伝えられましたが、日本国民のためアベノミクスで重要な海外の対日投資呼び込みに余念がありません。 法人減税への決意が改めて明らかにされたことにも注目すべきでしょう。 キャメロン首相との会談では「安全保障分野の協力強化」が議題になったことが本文にありますが、それからは、日英が戦前には同盟関係にあったことが自ずと想起されます。 1914年に始まった第1次世界大戦は7月にオーストリアがセルビアに宣戦、翌8月にはそれぞれを後援するドイツがロシアに宣戦、まもなくイギリスおよびフランスとドイツが開戦して拡大していますが、英仏独はアフリカや太平洋そして極東に勢力範囲を持っていたため戦争はそれらの地域にも波及。 ドイツとイギリスは極東ではそれぞれ山東半島とそれが南接する長江流域を勢力範囲とし、またそれぞれ膠州湾と山東半島北端の威海衛を租借して艦隊の拠点にしていて、『帝国主義の開幕』(中山治一、河出書房新社)によれば、イギリスは対独宣戦した8月4日から僅か3日後の7日、「同盟国である日本にたいして、シナ海でのドイツ武装巡洋艦船の捜索と撃破を要請」。 それを受けた日本では長州出身の元老井上元内相が翌8日に「今回欧洲ノ大禍乱ハ…大正新時代ノ天佑ニシテ…、此天佑ヲ享受セザルベカラズ」「英・仏・露…三国ト一致団結シテ、茲ニ東洋ニ対スル日本ノ利権ヲ確立セザルベカラズ」(『世外井上公伝』)と指摘、翌9日には第2次大隈内閣の加藤外相が閣議で「一は英国からの依頼に基く同盟の情誼と、一は帝国が此機会に独逸の根拠地を東洋から一掃して、国際上に一段と地位を高めるの利益と、この二点から参戦を断行するのが機宜の良策と信ずる」(伊藤正徳『加藤高明』)と提言。 その後15日には最後通牒を発し、それが容れられないと23日にドイツに対し宣戦して日本は第1次世界大戦に参戦していますが、ところで、日本の参戦は加藤外相が「日本は今日同盟条約の義務に依って参戦せねばならぬ立場には居ない」(同上『加藤高明』)と述べているように、極東で伸張しようとしてイギリスの打診を好機に同盟の範囲を超えた、極めて積極的なものだったことが明らかです。 そのため「日本から…積極的参戦の通告を受けたイギリスは、日本の意図がイギリスの期待をはるかに越えるものであったことを知っておどろき、八月一〇日、日本の軍事行動をイギリス商船の保護だけに限定することを申し入れたが、これは、日本への参戦依頼を取り消すための間接的表現であったといってよい」というほか、「かさねて日本の戦闘区域を限定する案も出された」ものの(同上『帝国主義の開幕』)、先述のように対独最後通牒、開戦に至っています。 そして日本は第1次世界大戦後のヴェルサイユ体制では山東半島や太平洋の旧ドイツ権益を継承したものの、それが修正されたワシントン体制では山東半島を中国に返還、海軍力については対米英主力艦保有比率を軍令部の求めた7割を下回る6割に抑えられたほか、太平洋に関する四ヵ国条約(1921.12)で日英同盟、中国に関する九ヵ国条約(22.12)で日米石井・ランシング協定がいずれも廃棄、マルチの関係に取り込まれてバイの関係を失ってしまっていますが、その背景には、ヴェルサイユ体制に飽き足らず、また第1次世界大戦勃発によるヨーロッパ列強の間隙を突いて新たに太平洋に膨張した日本を警戒するアメリカの巻き返しがあったと言えます。 『帝国主義の開幕』には、日英同盟廃棄は、アメリカや太平洋のイギリス自治領諸国が警戒、反対して決まったことが指摘されていますが、その後の外交的孤立にも無関係ではないそういう展開に、日本が第1次世界大戦で見せた積極姿勢が影響したことは間違いないのでしょう。 なお、日米関係については大局的には悪化していった一方、それを食い止めようとする努力は確かにあったのであり、例えば長州出身で財界から満州に進出していた鮎川義介が自身の率いる満業にアメリカ資本の導入を計画、それをもってアメリカの伝統的な満州政策の原則である門戸開放に応じ日米関係を打開しようとしたことなどは、指摘せねばならないでしょう。 ところで、安倍さんはこの外遊ではシティーでの他にブリュッセルのNATO本部でも講演をします。 先日のドイツでのメルケル首相との会談では日独が立場を近くするウクライナ問題も議題になったといいますが、両国はロシアとはエネルギー問題また特に日本は北方領土問題があって深刻な対立は回避したい立場にある、というのはしばしば指摘されるとおりなのでしょう。 しかしNATOはアメリカとMDを進めて、それによるルーマニアやポーランドでのミサイル施設建設を距離的に近いロシアが嫌っているように、アメリカを中心とする「西側」としての性格が強いとすれば、そこでの講演はむしろ制裁にやや重点を置いたものになるのかもしれません。 日英同盟は1900年5月の北清事変を契機にロシアがシベリアから南下、満州への駐留を続けたのを両国が警戒して結ばれたものですが、ロシアはその後、ソ連時代の1945年8月の終戦の混乱期に北方領土を占領したのであり、2014年2月ウクライナでヤヌコビッチ政権が倒されたクーデターに乗じてクリミア半島を占拠したのは、満州や北方領土の占領に似ていると言えるでしょうか。 さて、日本は今、安倍さんの下で「積極的平和主義」を打ち出していますが、その進め方はどうでしょうか。 戦前の歴史に照らせば、それは国際協調を原則に、特に今の日本の外交機軸としての日米同盟との整合性を付けながら進められるべきことが要諦だということになるでしょう。 そしてまた、それは日米同盟論者でかつ国際協調を重んじる安倍さんによってその通り取り組まれていることが直ちに明らかでしょう。 すなわち安倍さんは日米安保条約5条が触れる集団的自衛権の双務化と、それによる日米同盟関係の強化を、第1次政権期以来の、あるいは今の日米安保体制を築いた祖父の岸元首相以来の課題としていて、第2次政権を率いる現在は憲法解釈変更の閣議決定と自衛隊法や周辺事態法などの個別法の改正でそれを実現しようとしていますが、そういう安倍さんの外交が日米同盟を逸脱することはないのは明らかです。 集団的自衛権の行使解禁について、アメリカのオバマ大統領は先の来日時に安倍さんとの共同声明で「歓迎」と「支持」を明言、2日にはバイデン副大統領も訪米、会談した石破幹事長に「歓迎する」と伝えているほか、知日派のアーミテージ元国務副長官も同様で、戦前に日英同盟を超えて第1次世界大戦に参戦したのとは違って、日本が安全保障上の役割を積極的に果たせるようになるべく同盟国と密接に連絡・調整していることは言うまでもありません。 安倍さんはまた日米同盟を「アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎」と位置づけていますが、そのとき、より重要な意味を持ってくるのは4月29日の記事でも触れた安保条約6条いわゆる極東条項でしょう。 6条はアメリカが「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」ことを述べていて、それはつまり日米同盟に、単に両国の問題であるにとどまらない、地域の財産としての性質を持たせていると言うべきではないでしょうか。 また、それはアメリカが「太平洋国家」を自認し、「リバランス政策」で南シナ海における中国問題に対応しようとしている現状と符合するのであり、54年前に集団的自衛権の片務性を補完すべく生まれた極東条項が今やそれ自体で自存的な意義を持つ「古くて新しい治績」なのではないかとは、先の記事で述べた通りです。 そして、日米同盟が地域の財産として充実して機能することは、集団的自衛権の双務化などの「積極的平和主義」が、国際協調という原則の下で運用されることの端的に現れにほかならないでしょう。 保守主義は恐らく本質的に反米主義や民族主義、国粋主義、エスノセントリズムと親和的な部分があり、不作為でいれば、それは容易にそういう独善的な方面に漂流していくのでしょう。 その点、日米同盟論に積極的に立脚する親米保守や国際協調主義は多分に抑制的かつ理性的で、政治科学的に編み出されて、保守主義としてより高度であるに違いありません。 また、究極的にはアメリカの核の傘を背景とする日米安保体制をとる日本においては民族主義や反米保守とは理論上しか存在しない虚数のようなもので、親米保守路線こそが、日本の保守主義における唯一の現実的な解であるとすべきでしょう。 ■2日7:46の『産経新聞』は、「政府・自民党が、集団的自衛権の行使に必要な法整備に向け…担当閣僚を新たに設置する方向で検討に入った」と報道。 その理由には「憲法解釈がからむ答弁を外相や防衛相に任せるわけにはいかない」という「指摘」を挙げていますが、安倍さんは今国会閉会後から秋の臨時国会開会までの間、28日の報道だと8月末以降に内閣改造・党役員人事を行う考えを明らかにしているので、集団的自衛権に関する担当閣僚の新設が、党内の関心事である次の人事と関連していくことは必然的でしょう。 ところで、「憲法解釈がからむ答弁を…任せるわけにはいかない」とされている岸田外相と小野寺防衛相はともに岸田派の所属で、その前会長である古賀元幹事長は25日に内閣改造について小幅に済ますことを求めて「所属の4閣僚の続投に期待をにじませ」(『産経新聞』14.4.25-23:56)ていますが、集団的自衛権の問題で外相や防衛相に代わる新たな担当相が新設されることは、岸田派の占めるそれらの閣僚ポストも交代の対象外ではない、というメッセージとして受け止められる向きもあるいはあるかもしれません。 古賀さんは集団的自衛権の行使解禁に消極的であることを隠さず、「宏池会政権の再現」を訴えているほか、岸田さんも将来の総裁選立候補に意欲を見せています。 それらは来年9月の総裁選で岸田派が安倍さんと対決することを意味するのではなく、むしろより直近、次の人事で岸田さんが再任されるなど岸田派が現政権で引き続き一定数の閣僚・党役員ポストを与えられることを求めていると受け止めるべきかと思われ、また実際に、安倍さんも岸田派としての閣僚の数を大きく減らすことはせず、岸田さんは外相に再任することになるのではないでしょうか。 またそもそも、実際に新たな担当相が設置されたとして、その人選自体が焦点になることは間違いありません。 石破さんをその有力候補に挙げることは強ち筋違いではないでしょうが、石破さんは安倍さんとは集団的自衛権の行使解禁を巡って路線の違いが見え隠れすることもあったように依然一定の距離があり、それはなお不透明だとすべきでしょうか。 石破さんについては1日に幹事長続投の可能性が報じられた一方、党内で重鎮・長老や派閥勢力と距離があることもしばしば指摘されるのであり、安倍さんが来年9月の総裁再選を念頭にその再任を躊躇することも考えられるでしょう。 その場合、石破さんを集団的自衛権の担当相に新任する可能性も考えられますが、この連休中に訪米して存在感の発揮に努める石破さんの処遇が安倍さんにとって最大の思案のしどころであるのはやはり間違いないでしょう。 (R) |

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