戦後レジームからの脱却

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「闘う政治家」の系譜 ケータイ投稿記事

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■安倍さんは15日午後、柳井元駐米大使から安保法制懇が集団的自衛権の行使を可能とすることを求める報告書を受け取り、夕方6時から国民に向けて会見。
会見では自ら作製指示したパネルを用いながら具体的事例を列挙して日本が集団的自衛権を行使できるようになるべきことが説かれましたが、日本が集団的自衛権を行使できるようになることは、日本の安全保障に直結する課題であると同時に、より巨視的には、地域の安全保障に関わるテーマでもあると言えます。
安倍さんの祖父の岸元首相の手による今の日米安保条約は第5条で集団的自衛権に触れていますが、それは現行の憲法解釈によってアメリカに片務的になっているのであり、それを是正して集団的自衛権を双務的にすることで日米安保体制はより高度に充実する、とは都度主張してきたとおりです。
ところで、5条にある集団的自衛権が片務的であるのを補完するために盛り込まれているのが次の第6条いわゆる極東条項で、そこではアメリカが「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため…日本国において施設及び区域を使用することを許される」とされていて、そのことからは、日米同盟がただ日本の外交機軸であるにとどまらず、極東の公共財ですらあることを確認できるでしょう。
すなわちその日米同盟の充実は地域の安全保障に適うのであり、それは南シナ海における中国問題が深刻化する今こそ、日本が果たすべき、また求められている役割であると言えます。
そしてそのための具体的方法が、集団的自衛権の双務化であるということを指摘したいと思います。
今回の安保法制懇の報告の「方向性」と、安倍さんの目指していることは、高度に国際的であると言うべきでしょう。

ところで、極東条項は先述のように集団的自衛権の片務性を補うために設けられたという経緯があるとはいえ、それは現下の安全保障環境に照らしてむしろ今こそ有意義なのであって、集団的自衛権が双務的になっても、それ自体に存在価値があると言えるでしょうか。
日米同盟に地域の公共財としての性質を持たせている極東条項が岸さんの古くて新しい治績に違いないだろうとは、再三主張しているとおりです。

日米を対等に近づけることは岸さんの悲願であり、現行の憲法解釈によって集団的自衛権が禁治産的なのを埋め合わせるべく極東条項を設けたのもそのためですが、行使解禁による日米同盟強化を目指す安倍さんは岸さんに血縁的にも政治的にも確かに連なっていると言えます。
また、安倍さんは今回に限らず消費増税やTPP交渉参加といった重要な決断に及んでは自ら会見を開いて国民に説明し理解と協力を求めていますが、それは安倍さんの目指すまさに「闘う政治家」の姿であると言うべきでしょう。

■行使解禁について、自民党内の慎重論は「砂川判決」を論拠とする「限定容認論」を受けて既に収束し、焦点は今や公明党との与党協議にあります。
都度述べているように、与党協議の責任者は自民党側で高村副総裁、公明党側で北側副代表がそれぞれ担当。
高村さんは安倍さんとは同じ長州閥の先輩で、内閣や党で外交・安保関係の要職を歴任、他に法相も務めていますが、砂川判決に拠る限定容認論も3月6日の安倍・高村会談で浮上したのに始まり、同月31日の安保法制整備推進本部(以下「本部」)の会合で高村さんが首唱して定着したのであり、集団的自衛権の問題での存在感が絶大な重鎮です。
北側さんは高村さんとは連休中の日中友好議連の訪中で同道した際にもこの問題で協議を持ったとされ、また、4月6日には自民党の佐藤国対委員長とともに安倍さんとゴルフを楽しんでいますが、その佐藤さんはリベラル派の谷垣法相に近く、安倍さんの外遊中3月25日に安保法制懇の報告書の提出時期について、当時4月中とされていたのを5月に先送りするべきだとするなど執行部にあって行使解禁に否定的にも目されたのであり、安倍さんが両者を懐柔する意図を持っていたかとは4月22日の記事で指摘しました。
また、公明党との関係では、大島前副総裁の存在に注目せねばならないでしょう。
大島さんは公明党の特に漆原国対委員長との信頼関係が強いとされ、2月に漆原さんがこの問題で批判を強めた際には理解を示して配慮していますが、今月13日には自公が「「…お互いに真摯に話し合っていけば、道が開ける可能性は十分にある」と語り、合意は可能との見通しを示し」(『読売新聞』同日22:44)ていて、派閥の前会長である高村さんを支援して公明党との調整に乗り出すことも考えられるでしょうか。

さて、15日の『朝日新聞』朝刊は与党協議に当たるメンバーとして自民党側では高村さんの他に石破幹事長、中谷特命担当副幹事長、岩屋元外務副大臣、山本参院幹事長代理、公明党側では北側さんの他に井上幹事長、上田政調会長代理、遠山衆院議員、西田参院幹事長の各5人ずつを挙げています。
自民党側の5人のうち高村さん石破さん中谷さんは防衛閣僚経験者、岩屋さんも党安保調査会長で外交・安保政策に通じていると言え、また山本さんは参院を代表して加わっているのでしょう。
参院では脇幹事長がかつて慎重姿勢を強くし、その背後には青木元議員会長の存在がしばしば指摘されていましたが、そういう額賀派ラインに対し、山本さんはむしろ安倍さんの出身の町村派の所属で、それは好条件だったと言えるでしょうか。
公明党の上田さんについては都度紹介しているように安倍さんから「彼の様な人物に公明党の議論を良い方向に導いて欲しいと思っています」(メルマガ、12.4.14)という高評価があり、公明党側のキーマンであると言えるでしょう。
また、自民党側の顔触れが本部の幹部と重なることも自ずと着想されます。
すなわち本部では石破さんが本部長、中谷さんが事務総長、岩屋さんが事務局長、また高村さんが顧問の一人とされていますが、そのうち中谷さんと岩屋さん、また副本部長の一人で防衛相経験者の浜田幹事長代理がいずれも石破さんに近いことは指摘してよいでしょう。
本部のそういう構成から、3月26日の『朝日新聞』朝刊は「「安倍・石破体制」で党内議論を主導する」としていますが、集団的自衛権を巡っては、4月22日の記事で既に紹介したように、3月31日に高村さんが砂川判決に拠る限定容認論を本部の会合で披瀝(上述)した2日後、4月2日に石破さんが憲法解釈変更の閣議決定の先送りを提案し、安倍さんがそれに難色を示したこともあったのであり、「安倍・石破体制」では両者が協調する一方で、路線の相違があることも暗示していると言えるでしょうか。
そうだとすれば、安倍さんに直結するラインが高村さんや本部で本部長代理を務める高市政調会長など、対する石破さん以下のラインが浜田さんや中谷さん岩屋さんなどと解することは可能でしょう。
実際、参院を中心に強かった慎重論を鎮めたのは上述のように限定容認論を唱えた高村さんだったのであって、それは派閥会長経験者の重鎮である高村さんの主張が党内で発言力のある長老やベテランに浸透しやすいだろうことや、逆にそれらと距離のある石破さんが主導的でなかったことに符合します。
ところで、石破さんが閣議決定先送りを提案した理由は「公明党への配慮」ですが、石破さんは13年参院選では埼玉選挙区で自民党が古川参院議員を公認するのと同時に、得票の分散を懸念する党内の反対を押し切って公明党新人の矢倉衆院議員の推薦を決定しており、公明党との信頼関係構築を特に意識しているかと窺うことは可能でしょう。
そうだとすれば、石破さんのラインは党内議論では高村さんの陰に隠れがちであったとしても、公明党との与党協議で存在感が期待されていると言えるでしょうか。

■3月15日の記事では今国会閉会から秋の臨時国会開会までの間に行われる内閣改造・党役員人事について、それは憲法解釈変更の閣議決定の時期と相関し、人事が先で閣議決定が後だった場合、人事が「集団的自衛権シフト」の性質を強くするかと指摘しました。
安倍さんは人事について2月に吉田参院幹事長代行や石井副幹事長との会食で「通常国会が終わったらすぐか、臨時国会前のどちらが良いか悩んでいる」(時事通信、14.2.28-23:42)と発言したとされるほか、4月28日には8月末に行う方向で調整しているとの報道がありましたが、それまでに与党協議が妥結していなければ、その自民党側責任者である高村さんはもちろん、石破さんも留任される可能性が高くなるかもしれません。
石破さんはかねて「幹事長続投をにら」(『朝日新聞』14.3.7朝刊)んでいるとされ、1日9:26の『読売新聞』によれば「「ポスト安倍」の有力候補でありながら、首相を支える姿勢に徹しており、党内では…「幹事長続投論」が強まっている」ということ。
そこでは理由として「選挙対策で実績を上げている」ことや「憲法解釈見直しに向けた党内の意見集約にも力を注」いでいることが挙げられていますが、しかし、石破さんの選挙対策にはこれまで上述の13年参院選での埼玉選挙区における対応や党員獲得にノルマを設定したことなどに重鎮や長老から反発があったほか、集団的自衛権に関しても党内の慎重論を抑えたのは砂川判決を引いた高村さんの貢献が大きかったという経緯があるのであり、石破さんの幹事長留任が有力視されるようになってきたのは、与党協議における継続性と、「首相を支える姿勢に徹して」いることで「首相が石破氏をライバルとみなさなくな」(『産経新聞』14.5.3-20:08)っているともされることが関係していくのではないでしょうか。
そうだとすれば、12年総裁選を争った2人による「安倍・石破体制」は今や総体としては安定して、来年9月総裁選で再選を目指すのとも連関しながら、安倍さんの党内勢力基盤の一つとなっているということになるのでしょう。
ところで、与党協議との関連という「集団的自衛権シフト」によって、当初は入閣も有力視された石破さんが仮に幹事長に留任するとして、それは内閣改造にどう連動するでしょうか。
3月6日の記事では岸田外相の異動の可能性は低いかもしれないことなどから石破さんを重要閣僚に位置づけられる総務相に仮定しましたが、幹事長に留任するなら、総務相には参院の実力者として入閣の有力な脇さんを想定できるでしょう。

さて、高村さんや石破さんが臨む公明党との与党協議が困難なものとなることは間違いないと言えます。
自公はこれまでにも特定秘密保護法制定や教育委員会制度改革で温度差のあることがありましたが、自民党は前者では法案に「知る権利」を明記し「第三者的機関」の設置を打ち出すなど「公明党側の要求を次々の」み、後者では「教委を名目上の執行機関として残しつつ、運用面で首長の権限を強める折衷案をまとめ」(『朝日新聞』14.2.19朝刊)ていて、あくまで自公の枠組みでそれら保守的な安倍カラー政策を前進させています。
それは高い理想を掲げて国民に示す一方でリアリストとしての評価が広く高い安倍さんらしい軌跡であったと言えますが、集団的自衛権の行使解禁についても、それが見られることになるのでしょう。
辺境の島嶼部への重武装漁民の上陸や、他国の潜水艦が領海内に侵入、潜航して退去命令に従わない場合などのグレーゾーン事態への対応の検討を先行させる方針であるのも、合意の積み重ねを通じて公明党との距離を縮めていこうとするものであるとされているとおりです。
その路線を首唱したのは石破さんであり、グレーゾーン事態をまず取り上げる与党協議ではやはり石破さんが今まで以上に存在感を高めることになるのでしょう。
グレーゾーン事態を先行させることは閣議決定を今国会中に拘らないことに繋がりますが、石破さんは既に1月にそれに言及、菅官房長官も7日にそう説明し、衛藤首相補佐官も「私は公明党を取る」(『産経新聞』14.1.25-10:12)と早くに明言しています。
集団的自衛権を含む安倍カラー政策の進め方は、高い理想を掲げると同時に譲歩と妥協を懐柔策にして、漸進的に成果を上げるという政治のリアリズムを教えているかのようです。
それはまた、リアリストでなくしては「闘う政治家」たりえない、ということでもあるでしょうか。


(R)

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コイズミの
マネするバカ安倍
死罪なり

2014/5/16(金) 午前 7:22 [ 少数意見尊重 ]

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国際法では 集団的自衛権も防衛のための武力保持もどちらも認められてますよね

2014/5/17(土) 午前 0:12 [ 道後 ]

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先日『竹田先生』がこう申して居られました

『我が国は侵略戦争はしないが、自衛のための軍隊はもつ』

これで良いと考えます(^^)

もし仮に僕が娘と街を歩いていて、眼の前から中国人が来て、娘の頭を小突いて行ったら、僕は躊躇することなくその中国人を殴り倒します(大笑)

果たしてこれが少数左翼のいう『右傾化』なのでしょうか?

「やられたら やりかえす」これはごくごく普通のことであると僕は思います(^^)

2014/5/19(月) 午後 6:42 kingboy


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