戦後レジームからの脱却

[ リスト ]

イメージ 1

■第2次安倍政権は9日に発足から500日を数え、安倍さんの首相在任日数は第1次政権と合わせて同日で866日(歴代9位)、また内閣で閣僚の異動が500日間ないのは戦後最長記録であり、現在もそれが更新されています。
政権として初となる内閣改造は6月22日予定の今国会会期末から秋の臨時国会開会までの間に行われるとされていて、そうだとすれば、第2次安倍内閣は今の閣僚のまま最短でも544日、長ければ600日を超えることになります。

さて、内閣改造では新たに安保法制の担当相を設置するものとされていますが、それは安倍さんが集団的自衛権の行使解禁を積極的に目指している以上、改造の看板となるものであると言えるでしょう。
2日7:46の『産経新聞』はその時期について「与党協議の進捗状況によっては、臨時国会直前になって任命する可能性もある」として、流動的であることを指摘していますが、与党協議が進捗して安保法制の担当相新設の機の熟すことが、内閣改造の時機を定める最小律になると言えるかもしれません。
ここで、その候補には例えば岩屋元外務副大臣を挙げられるでしょうか。
当選6回の岩屋さんは初入閣の現実味があり、外交・安保政策に通じて党では安保調査会長や安保法制整備推進本部の事務局長を務め、高村副総裁、石破幹事長、中谷特命担当副幹事長、山本参院幹事長代理とともに与党協議にも参画しており(そのことは岩屋さんの入閣資格を必ずしも制限しないでしょう)、安保法制の議論で安倍さんと同じスタンスであることは間違いありません。
加えて、同じ九州出身の麻生副総理兼財務相の麻生派の所属であるのと同時に、ともに安保政策に通じる石破さんとも近いという党内の立ち位置も、岩屋さんの登用の可能性を思わせます。
ところで、同じように麻生さん石破さんともに近接している議員としては他に当選8回で未入閣の山口元首相補佐官も挙げられます。
また、やはり麻生派で当選4回の井上環境副大臣は麻生さんに近いと同時に同じ東京出身の石原環境相に近いですが、実力者の周辺で見られるそうした関係は何を意味しているのでしょうか。
麻生さんは12年総裁選では高村さんとともにいち早く安倍さん支持を表明してその勝利に貢献しましたが、当初有力視されていたのは大派閥からの支持が厚かった石原さんと無派閥や地方票を糾合していた石破さんだったのであり、それぞれと近い議員が麻生派に見られることは、あの混迷した総裁選の名残であるのかもしれません。

憲法解釈変更の閣議決定による政権内外の動揺が予想され、それを抑えるには人事が一つの手段となり得、また閣議決定を受けた自衛隊法などの改正や10%増税の是非が議論される臨時国会は当初から新たな布陣で迎えるべきことを考えれば、閣議決定→人事という順序も考えられ、閣議決定を今国会中とすることは譲歩したとしても、それらは全て臨時国会開会までに完了しているのが望ましいのでしょう。
すなわち内閣改造・党役員人事を経て第2次安倍政権は来年4月の統一地方選や9月の総裁選を見据えつつも「集団的自衛権シフト」の色彩を帯びることが考えられますが、党では高村さんや石破さんは党外すなわち公明党との与党協議の中心であるため留任されるとして、では党内に向けてはどんな体制が構築されるでしょうか。
「集団的自衛権シフト」において、自衛隊法などの改正では党内の意見集約が必要になるはずですが、総務会が集団的自衛権の問題で紛糾することが多かったのに鑑みれば、その予防を期して総務会長には従前指摘しているように重鎮の額賀元財務相を考えられるでしょうか。
額賀さんは防衛庁長官を二度に渡って務めたほか、党内第二派閥の会長でもあり、「集団的自衛権シフト」と「総裁選対応」の両面に適うと言えます。
また、難航が明らかな与党協議で石破さんが存在感を高めて幹事長に留任する見通しが強まったことで、額賀さんが石破さんとは派閥の問題でかねて折り合いよくないことを勘案するなら、中谷さんを総務会長に想定することも可能でしょうか。
防衛庁長官経験者で与党協議のメンバーでもある8選のベテランの中谷さんは12年総裁選では石破さんの推薦人となっていますが、石破さんに近い議員を党四役に据えることも、石破さんが「周囲に「安倍さんには来年の党総裁選で再選してもらわなければならない」と語るほど、首相のサポートに徹し」、そんな石破さんを安倍さんも「ライバルとみなさなくな」った(『産経新聞』14.5.3-20:08)とされるとおりだとすれば、十分考えられると言えるでしょう。

■ところで、今の野田総務会長は退任することになるものと考えられますが、その後はおそらく安倍さんとは距離を置いてポスト安倍を目指していくことになるのではないでしょうか。
野田さんは8日に「集団的自衛権の行使容認について「プライオリティーが一番高いわけではない。…日本を立て直す一丁目一番地は経済の再生だ」と述べ、首相を牽制」(『産経新聞』同日19:14)、安倍さんもこの問題で党内に会合が乱立した際、野田さんの主催した総務懇談会の報告を受けて「これからは私の直轄機関で議論をしていただく」と「不機嫌そうに言った」という(『朝日新聞』14.3.18朝刊)など、両者の距離感が徐々に滲んできていますが、野田さんはおそらく安倍さんと距離のある勢力へのアピールを図り、また総務会長の退任を織り込んでもいるのでしょう。
野田さんは無派閥ですが古賀元幹事長や13年秋まで総務会長代行を務めていた二階元総務会長といった親中リベラルの実力者の評価があり、それを後ろ盾にして台頭を図っていくことは大いに考えられるでしょう。
野田さんは少子化担当相経験者ですが、7日に関係NPOが「母子健康手帳アプリ」を発表、集団的自衛権については「安全保障も少子化とリンクしてくる」と述べていて(『朝日新聞』14.5.8朝刊)、女性・子供・家庭政策を看板にしてソフト路線をとって、安保政策重視の安倍さんとの差異を打ち出していこうというのではないでしょうか。
しかし、強力な党内勢力基盤を有していないため、長期的には、党内の実力者のうちリベラルな外交・安保政策や人脈の重なる岸田外相の勢力に収斂していくことになるのかもしれません。

安倍さんは経済政策では成長戦略を最重要視し、それはアベノミクスで「本丸」と位置づけられていますが、その中核「女性の活躍推進」は内閣や党の人事でも実践されています。
党で総務会長の野田さんと高市政調会長を起用して四役の半分を女性とし、参院でも橋本前政審会長と山谷政審会長が登用されましたが、それはひいては女性首相候補の登場の気運や伏線に繋がるでしょう。
08年総裁選に立候補した小池元総務会長は昨13年11月に「婚活・街コン推進議連」を立ち上げていて、こちらもソフト政策に取り組む一方、第1次安倍政権に国家安保担当の首相補佐官や防衛相として参画しているように安保政策にも積極的なのが野田さんとの違いであると言えます。
先述のように野田さんは岸田さんに収斂していくかとも思われますが、小池さんは12年総裁選では石破さんを支持、同年12月の第2次安倍政権発足に当たっては幹事長に留任した石破さんによって政調会長に推されていて、こちらは石破さんに今後も連携していく可能性が高いと考えられるでしょうか。
小池さんのように第1次安倍政権で要職に就いた後、石破さんと接近した議員としては山本元金融担当相を挙げられます。
山本さんは06年総裁選では再チャレンジ議連を立ち上げて安倍さんの勝利に貢献し金融担当相として初入閣、10年1月には保守系勉強会のぞみを発足させて憲法改正を目指していますが、それに先んじて当時の高村派を退会し無派閥期間を経て石破さんのさわらび会や無派閥連絡会に参加しています。
しかし山本さんは一方では安倍さんとの交流を保持していて、東京谷中の全生庵で座禅を組むのにしばしば同行したり、かつて石破さんの幹事長続投を進言したことなどは都度報じられたとおりですが、安倍さんと石破さんの間に緊張感があるときは緩衝役になり、両者の協調が安定している環境では党内で主流派に位置づけられるということになるでしょうか。

他に党内で将来の女性首相として有力視されているのが小渕元少子化担当相です。
小渕さんは第2次安倍政権の発足時に入閣を取り沙汰されたものの女性閣僚としては森少子化担当相と稲田行革担当相が起用されたことで見送られ、閣僚経験者ながら財務副大臣に就任。
それは財務相が副総理を兼ねる首相経験者の麻生さんで共同の副大臣が8選のベテランの山口さんだったことと併せて、民主党政権で影響力を誇示した財務省を抑えるのに適ったと言えますが、若く知名度の高い小渕さんは人事の「目玉」として、今度は満を持して再入閣することになるのではないでしょうか。
ところで、小渕さんは同じ額賀派のOBの青木元参院議員会長の評価が高いといい、台頭していく上でその後見を受けることは想像に難くありませんが、額賀派では茂木経産相が閣僚や党役員を歴任していて、こちらも将来の首相候補であるとすべきでしょう。
額賀派では、かつて所属していた石破さんに離党経験があって非主流派に位置づけられ、大派閥が伸張した11年9月の人事ではそれまで2期務めてきた政調会長を茂木さんと交代、それを契機に派閥を退会していますが、茂木さんも初当選時は旧日本新党の所属で非自民の経緯があり、小渕恵三元首相の後継者で一貫して自民党に所属している小渕さんの方が派内の首相候補としては本命視されているのかもしれません。
現在7選の茂木さんは58歳、5選の小渕さんは40歳、安倍さんが次の総裁任期を満了する18年9月にはそれぞれ62歳と44歳で、同時に総裁選を争うことになる可能性は低いと言えるでしょうか。
しかし、都度紹介しているとおり安倍さんは第1次政権期に当時の古賀派に対して、また現在も公明党に対して見られるように「分断操縦」を政治手法にしていることがしばしばあるのであり、閣僚や党役員で処遇されるべき首相候補を二人擁するという、党内第二派閥たる額賀派内の勢力図は、安倍さんの党運営で利用できるポイントになっていく可能性があるでしょう。

以上のように野田さんや小池さん、小渕さんという有力女性議員について検討すればそれぞれに近い実力者の存在が見えてきますが、野田さんを評価している古賀さんと、小渕さんを庇護している青木さんはともに大派閥系で、集団的自衛権の問題では慎重論を唱えるなど歩調を合わせていて、小池さんが近い石破さんとは異質であると言えます。
18年9月のポスト安倍の局面で有力なのは石破さんや茂木さん、岸田さんなどだと考えられますが、以上の有力女性議員が奇しくもそれぞれと近いのは注目すべき勢力図であると言えるでしょう。
そのうち、石破さんは安保政策を通じて安倍さんとの協調を続けてその支持を得ようとし、岸田さんは古賀さんの後見を受けて安倍さんや石破さんとは異なるリベラル路線を看板にしていくことなどが考えられるでしょうか。
ところで、12年総裁選で有力候補の一人だった石原さんは山崎元副総裁から継いだ派閥が規模を小さくしている上、当時の推薦人だった茂木さんや岸田さんが「自立」していることで首相候補として再浮上するかは微妙とせざるを得ないかもしれません。
石原さんは安倍さんとは元来疎遠ではないため第2次安倍政権に対しては協力姿勢をとって安倍さんの総裁再選も支持することが考えられますが、長期的には、つまりポスト安倍政局では安保政策で安倍さんの「直系」を目指す(可能性のある)石破さんではなく、大派閥系の岸田さんや茂木さんなどの支持に回ることになるでしょうか。
そのように、12年総裁選の構図は一時的なものではなく、4年後のポスト安倍政局さえ規定する可能性があるほど、党内のパワーバランスとして既にかなり基本的になっていることが指摘できるでしょう。
また、「12年総裁選以来の構図」の中の各勢力が有力女性議員を持つようになるであろうことは第2次安倍政権期に萌した新機軸であると言えますが、日本初の女性首相は、その二段階を経て登場することになるのではないでしょうか。


(R)

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事