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夏休みを終えて ケータイ投稿記事

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■安倍さんは4日午前、サンクトペテルブルクのG20、そして続けてブエノスアイレスのIOC総会に出席するため、外遊に出発しました。
2週間ほど前まで山梨県鳴沢村の河口湖畔の別荘で11日間の華麗な夏休みを過ごしていましたが、今次の外遊は一転、足掛け54時間で世界を一周するという強行スケジュール。
ところで、1964年10月の先の東京オリンピックの東京開催が決定したのは1959年5月、ミュンヘンでのIOC総会でのことですが、当時の首相は安倍さんの敬愛する祖父、岸信介さんです。
岸さんはその際ミュンヘンには行っていないものの、安倍さんはブエノスアイレスで岸さんと同じように、その首相在任中に東京のオリンピック開催を勝ち取ってくると信じたいと思います。

ブエノスアイレスでのIOC総会に先んじたG20では、ロシアはサンクトペテルブルクを訪問。
そこではシリア情勢に関する意見も交換されましたが、米欧による軍事介入の行方はどうなるでしょうか。
イギリスのキャメロン首相は既に議会の反対によって介入不参加を決めていますが、旧宗主国のフランスのオランド大統領は積極的、そしてアメリカはオペレーションの実施に向けてオバマ大統領が議会の同意を得るのに注力しているとされます。
日本では安倍さんが3日にオバマ氏との電話会談で「両国が緊密に連携していくことで一致」(『産経新聞』13.9.3-13:16)、同じ日には来日中のジリブランド上院軍事委員会人事小委員長などとの会談で「情勢悪化の責任はアサド政権にある」(時事通信社、13.9.3-18:12)と伝えるなど、米仏による介入があればそれを支持する方針にありますが、米国議会の判断が不透明なことや、ロシアが強く反対していることなどは懸念材料として、政府にシリア問題で「突出を避け、慎重に対応を決める構え」(時事通信社、13.9.3-18:24)を取らしめている状況もあります。
しかし、日米安保体制を外交機軸とし、それを周辺への抑止力とする日本にとって、その裏付けである軍事力の実際の行使を米国が躊躇あるいは断念する姿を示すことは、大きなマイナスであるとせねばならないでしょう。
そうだとすれば日本にとっては、一方では米国が「ぎりぎりまで国際社会の合意形成に努め、環境整備をしてほしい」(同上)としつつも、国際の平和及び安全の維持に寄与する存在として健在であるのを示すことに期待するのが、日米安保体制でのあるべき姿であるとすべきでしょう。

なお、日本とは北方領土問題を係争するロシアは、しかし、極東にとどまらず、日本が今後積極的に関与すべき地域である北極圏(日本は北極評議会に中国、韓国とともにオブザーバー参加)においても安全保障やエネルギーの問題でいよいよ重要な隣国であり、シリア問題やあるいはスノーデン事件による米露の対立の深刻化が望ましくないのは自明です。
安倍さんは超党派の北極圏安全保障議連で会長を務めてもおり(幹事長は小池元総務会長)、政権には対露外交について、これまでより視野の広い意識があると言ってよいでしょう。
日露関係では20世紀初頭、満州問題による日露戦争後にはむしろ接近して、両国は1907年から16年までに、満蒙や朝鮮半島での勢力範囲や特殊権益に関して計4次に渡る日露協商(日露協約)を締結、ロシア革命勃発による17年3月の帝政崩壊まで友好関係を築くようにまでなった歴史は示唆的ではないでしょうか。

■さて、安倍さんは先月河口湖畔の別荘で夏休みを過ごしましたが、その間に党内の派閥の多くが研修会を開催したことから、党内における派閥勢力の影響力や、それと安倍さんの政権運営の関係について指摘する報道が相次ぎました。
その中には派閥の「復権」の一方で、実は「ポスト安倍不在」による「衰退」を指摘する記事(『産経新聞』13.9.1-23:49)もあり、各派の勢力伸長という状況からは自ずと想定できる安倍官邸の党に対する主導権の相対化という展開は兆していないと言ってよいのでしょう。
なるほど確かに、安倍体制では野党時代には総務会長に安倍さんと同じ町村派の細田幹事長代行、政調会長に安倍さんと元来近い甘利経済再生担当相という実力者が起用されたものの、政権復帰後はそれぞれの後任に今の野田総務会長と高市政調会長が充てられ、それに石破幹事長を併せて党四役中3人が無派閥であるのが「官高党低」とも称される状況になっています。
安倍さんはかつて官房副長官や官房長官として、党に対し強い主導権を持った小泉政権期の官邸に詰めた経験があるほか、肝煎りの日本版NSC構想も官邸の機能強化と不可分であるなど、官邸の主導権を志向していることが窺え、それが党との関係においても奏功しているということになるでしょうか。
例えば、先の参院選後の参院人事では官邸が主導権を発揮することに拘っており、町村派が山崎議長、岸田派が溝手議員会長、額賀派が脇幹事長を輩出することが決まったほかに、町村派から伊達前参院幹事長代理が国対委員長に内定していることは、官邸の意向に沿う格好になったということかもしれません。
幹事長代行の細田さんや二階総務会長代行といった派閥の実力者を「代行」格にとどめていることも、派閥勢力を取り込もうとすると同時に、それを組織のシステム上抑えて、党に対する官邸の主導権を強めていると考えられるでしょう。
また、通常は会長のみが党の政調会長代理を兼ねる参院の政審で、橋本会長に加えて宮澤同代理にまで政調会長代理を兼任させたのも、独自性の強い参院を党や政調を通じて掌握しようとするものであったと考えてよいかもしれません。

ところで、上出『産経新聞』が派閥衰退の予兆として挙げる「ポスト安倍不在」は、実際どうでしょうか。
記事は町村派以外の「他派に「ポスト安倍」候補が見あたらない」として、額賀派については会長の額賀元財務相を「総裁に推す声は聞かれず」、岸田派については会長の岸田外相以下4閣僚を輩出している現状では「独自色を打ち出すことは難しい」と指摘しています。
しかし、額賀派では額賀さんは派閥オーナー的な会長なのであり、それに代わって茂木経産相が、岸田派では岸田さん自身が、将来的に首相候補となることは十分考えられるでしょう。
茂木さんはこれまで金融担当相や政調会長、岸田さんは沖縄・北方担当相や国対委員長を歴任しているほか、安倍さんの党運営において大派閥を協力的に参画させるために今後も閣僚や党役員として処遇される可能性が高いとすれば、実績やキャリアを積み増して首相候補としての地位をいよいよ固めると想定してよいのではないでしょうか。
また、茂木さんや岸田さんの台頭の一方で、先の総裁選では両者を推薦人として額賀派と当時の古賀派を基盤にしていた石原環境相は、山崎元副総裁から引き継いだ派閥が勢力を大きく減じているほか、両者の「独立」とそれぞれを総裁候補に押し立てるだろう額賀、岸田両派の「独自路線」によって勢力を弱めていると考えられ、その知名度に比して、首相候補からは脱落していると言うべきかもしれません。
石原派の退会者としては現在無派閥の甘利さんや渡海元文科相、田中元副幹事長、麻生派に移った原田元筆頭副幹事長などが挙げられます。
甘利さんについては都度指摘しているように、山崎さんが派閥会長ながら落選中で石原さんも幹事長として派を離脱していた11年6月、翌年9月の総裁選も見据えて所属議員を中心にさいこう日本を立ち上げたものの、派内の主導権は石原さんに渡り、総裁選で派閥から安倍さんの推薦人となったのは甘利さんのみでした。
しかしその安倍さんが総裁ついで首相となるのに伴って甘利さんも経済再生やTPPという重要課題を担当する政権の実力者となったのは石原さんとのコントラストをなしていて、それは甘利さんも華々しく復権したことを象徴するものであると言ってよいでしょう。
また、田中さんは選挙区は神奈川10区ながら出身は安倍さんの地元の下関市、原田さんは麻生副総理と同じ福岡出身であり、両者が総裁選で安倍さんと争った石原さんの派閥を離れたのは、政権実力者との地縁を頼む動きでもあったかもしれません。
渡海さんは第一次安倍内閣期の07年参院選敗北後、小坂元参院幹事長などとともに安倍さんに対する批判的な動きの中心でしたが、今やそれが非主流的な石原派を退会していることは、安倍さんの党内求心力の復活を象徴するものと見たいと思います。

さて、以上のように額賀派が茂木さん、岸田派が岸田さんをそれぞれ首相候補とするようになるかと考えられる一方、現在の総裁派閥である町村派はどうでしょうか。
町村派は総裁選で対応が分裂したものの今や総裁派閥として結束していることは、総裁選で町村元官房長官を支持した細田さんや橋本さんなどが要職に起用されたことや、既述の通り官邸が関与したという参院役員人事で伊達さんが参院国対委員長に内定していることに表れていると言えますが、安倍さんの次の総裁候補となり得る実力者が今のところいないのが実態でしょう。
上の『産経新聞』によれば町村派は参院選を経て88人を擁する党内最大派閥となっているのに加え、安倍さんが更なる拡大を図っているとされ、それは町村派が総裁派閥であるうちは結束して政権運営にプラスであるとしても、安倍さんが将来的には父、晋太郎元官房長官も率いた派閥を継承する可能性を考えたとき、派独自の総裁、首相候補を擁さないことは派閥の結束が弱まる素地であり、今後の課題となるでしょう。
なお、安倍さんが総裁選で町村派より創生「日本」を中心とする保守派を主に勢力基盤としたように、既存派閥とは別の「保守派」も独自の勢力として見ることができます。
党内保守派は安倍さんの忠実かつ安定的な支持勢力と見なしてよいと思われますが、その中で、グループの結集軸となる将来の首相候補としては誰を挙げられるでしょうか。
それには新藤総務相、また今後の閣僚や党役員として台頭すると思われる西村元政調副会長、柴山前副幹事長などが考えられますが、党内保守派に対しては安倍さんがオーナー的に強い影響力を持ち続けることになるでしょう。

党内各派閥、グループの情勢については以上のように考えることができますが、それに、事実上の石破派ともされる無派閥連絡会を率いる石破幹事長を含めて、各領袖級の実力者が政権に参画してそれを支える中で将来の首相候補として浮上してくる、というのが今後の党内の大まかな流れになる可能性は看取してよいでしょう。
そしてそれは安倍さんや麻生さん、谷垣法相や福田元首相などの実力者が揃い、かつ競った小泉政権に通じる構造の予感でもあり、長期政権維持の要訣であると言い換えられるでしょうか。
なお、小泉長期政権のうちには額賀さんや高村副総裁がその間の世代交代によって総裁候補から脱落していった経緯があり、茂木さんや岸田さん、石破さんなどいずれも安倍さんより1〜3歳若いだけの今の実力者たちが、「安倍長期政権」のうちに焦慮を抱くようになることは、あるいはあるかもしれません。
そうだとすれば、15年9月の次の総裁選で安倍さんへの統一的な対立候補が擁立されるリスクを回避するためにも、党内各実力者各勢力に対し求心力を持って、それを挙党的に取り込む必要性がいよいよ高まるのは明らかです。
その点例えば、現在俎上に乗る消費増税というリスキーな課題に対して、町村さんや額賀さん、野田元自治相や中谷元防衛庁長官といった重鎮が揃って協力的に、「安倍首相が消費増税を決断しやすいように環境づくりをすることが我々の使命だ」(額賀さん、『朝日新聞』13.9.5朝刊)などとしていることは安倍さんの今後の党運営の成功例となるかもしれません。
それは逆に言えば、消費増税ひいては財政再建という国際公約的課題を先送りすることが、将来的に党内で「非安倍路線」の温床や口実となって政権運営や党操縦の上でのリスクとなる可能性があるということでもあるでしょう。


(R)
■参院選が自民党と公明党の勝利に終わり、次の国政選挙が3年後の16年7月の参院選あるいは衆参同日選となるなか、第二次安倍政権の命運にとって一つの大きなポイントは2年2ヵ月後の15年9月、安倍さんの今の総裁任期の満了による総裁選での再選戦略ということになります。
6月29日の記事で指摘したように、改憲を最大目標とする安倍さんにとって、その進捗状況と総裁再選戦略は連動するでしょう。
すなわち具体的には、今の総裁任期が満了する15年9月までに改憲が実現していれば敢えて再選を目指さずに総裁一期で首相も退任、新総裁に代わることも考えられるはずであり、逆にそれまでに改憲が達成されていなければ、自らの手による改憲に向けて、総裁再選に意欲を持つはずでしょう。
そうだとして、では安倍さんは改憲のロードマップをどう展望しているでしょうか。
23日の『朝日新聞』朝刊によれば、参院選勝利で政権基盤を強化した安倍さんは、「長期政権の青写真を描き始め」、「憲法改正は1、2年でできるものではない。6年くらいかけなければ」と発言しているのだといい、そのため「2期6年の総裁任期を全うしようというシナリオ」を想定しているとされます。
すなわちそれは上述の二つの展開のうち後者であり、記事はそれを改憲を見据えた「6年スパン」の政権構想と指摘、その上で「長期政権を確実にするために政権の政治的パワーをどう維持するのか」という課題の「最初のハードルは消費増税だ」としています。
消費増税については実施、見送り、あるいは1%ずつの段階的税率引き上げなどで対応したとして、では一体他には何が「ハードル」となるでしょうか。

既述のとおり、15年9月の総裁選の後には翌16年7月に参院選もしくは衆参同日選があることから、その指揮を取れることは新総裁の条件の一つとなるのでしょう。
すなわち、それにはそれまでの「安倍ブランド」の維持が必要なのであり、例えば靖国参拝や歴史認識の問題での右傾化とそれによる対中韓、東南アジア、そして対米外交の逼塞、消費増税による支持率低下の可能性などは不安要素として挙げねばなりません。
また、その間に野党勢力が再建されて、生活の党の小沢代表が訴えるように非自民の新たな受け皿が成立することも阻まねばなりません。
その中心になると考えられる民主党では海江田代表が選挙大敗のゆえにむしろ留任すると見られていますが、民主党との接近以外に戦略のない小沢氏にとって、11年8月の代表選で擁立した経緯のある海江田氏が留任することは、旧脱小沢系の非主流派から岡田最高顧問や前原元代表、枝野元幹事長などが復権するのより好都合ということになるでしょうか。
しかし、民主、生活両党は消費増税を巡って姿勢が決定的に異なるため、両党の接近があるとしてもそれは早くても14年4月の税率引き上げ以後と考えられるほか、維新でも仮に分裂があればその一部とみんなの党あるいは民主党の将来的な協力が考えられなくはなかったものの、情意投合して維新の一体性を体現する石原、橋下両共同代表の留任が決まって、むしろ自民党に比較的近い改憲勢力と見なされているなど、16年の衆参各選挙で自民党に代わりうる野党の再建は厳しいと見てよいかもしれません。

■以上のような「「安倍ブランド」の維持」と「野党再建の阻止」が、16年の衆参各選挙とその先の改憲を見据えた長期政権維持、総裁再選戦略のハードルあるいは要諦だとして、それに加えねばならないのは、党運営における主導権を確立、維持することです。
昨年12月の総選挙と今年6月の都議選、そして7月の参院選を指揮した石破幹事長は知名度も高く、将来の首相就任への意欲も依然秘めていると考えられ、15年9月の総裁選が近づけば側近が推すこともあり得、それへの備えとして、今後の政権運営を通じて党役員や閣僚として処遇し、協調していくことは欠かせません。
また、憲法問題において、先述のとおり安倍さんは96条改正で漸進主義をとる一方、改憲の主目的である9条について解釈変更を優先させて集団的自衛権の片務性を是正、日米同盟の充実化で実を上げることを志向しているとされますが、安保通の石破さんもそれに積極的であることは、公明党や、岸田外相に一定の影響力のある古賀元幹事長など慎重派がいる中で、意味が大きいでしょう。

総選挙と参院選を経て自民党では議員の数が増え、各派閥やグループが勢力拡大を図っていますが、その中で、既出23日『朝日新聞』記事は「首相側近の一人は最近、首相からひそかに「安倍シンパを増やしてくれ」と指示を受けた。派閥横断的な勉強会を立ち上げ、事実上の「安倍グループ」を結成し、主に経済政策を議論する当選1回の議員の会を立ち上げる構想だ」と、安倍さん自身、勢力拡大を見据えていることを伝えています。
「派閥横断的な勉強会」としては安倍さんは既に創生「日本」を率い、また総裁選では「新経済成長戦略勉強会」を立ち上げていますが、それについて、昨年の総裁選決戦投票で安倍さんに敗れた石破さんの側近の山本元金融担当相や鴨下国対委員長は4月21日の『朝日新聞』朝刊によれば、安倍さんが「「創生日本」と出身母体の町村派を基盤に国会議員票を集めた」ことに注目していたとされるように、「派閥横断的な勉強会」の効果は上がっており、「主に経済政策を議論する」という「安倍グループ」は、実現すれば、保守派の集まりである創生「日本」と並ぶものとして位置づけられるでしょうか。
また、6月7日の『朝日新聞』朝刊は、同月5日に「新人を中心に派閥横断で約50人の議員」を集めた鳩山元総務相が3月に「安倍さんから派閥を立ち上げてくれと言われ」ていて、「首相支持のグループ結成を模索している」と伝えていますが、これは鳩山さんの豊富な資金力に着目したものと考えられ、これも安倍さんの党内掌握に向けた動きの一つでしょう。
安倍さんの出身の町村派は今月4日の参院選公示前段階で83人を擁して党内最大派閥で、昨年の総裁選では安倍さんを支持するグループと町村元官房長官を支持するグループに割れたものの現在は後者からも細田幹事長代行や木村首相補佐官、橋本参院政審会長、森少子化担当相が要職に起用されていて、安倍さんの一つの勢力基盤として回復されていると考えてよいのではないでしょうか。
なお、それは、谷垣体制期11年10月の参院役員人事の際に額賀派で石破さんに近かった小坂前参院幹事長が、また12年9月の総裁選では当時の古賀派出身の総裁だった谷垣法相がいずれも派主流派から排撃されて派閥が分裂していることと比べて、貴重な事実だったと言えます。

主導権を示して乗り越えるべき党内政局でまず焦点になっているのは、参院議員会長選挙と参院議長選定です。
会長選は26日告示30日投開票で、これまでの各報道を総合すると溝手参院幹事長や脇参院国対委員長、岩城元参院政審会長の名前が浮上していますが、有力なのはやはり溝手さんでしょう。
溝手さんはこれまで参院政局では中曽根議員会長や鴻池元防災担当相といった創生「日本」所属の実力者と対立、昨年3月には安倍さんを「もう過去の人」と評し、参院選公示直前には溝手さんの地元で2人区の広島選挙区に安倍さんが「2人目の候補擁立を模索したとの情報が流れ」「岸田派幹部は「参院議長や参院議員会長を狙うわが派候補への当てこすりだったのでは…」といぶか」ったとされる(『産経新聞』13.7.13-11:47)など、安倍さんとは距離があったかと考えられますが、22日のTBS報道は両者が参院選前に会談し関係を修復していると報道、確かに安倍さんは6月21日の昼前に30分間、溝手さんおよび吉田参院幹事長代理と面会しており(『産経新聞』「安倍日誌」13.6.22-3:04)、「党運営に関与でき…首相との距離感が決め手となるケースもあった」(『朝日新聞』12.7.20朝刊)参院議員会長ポストについて、溝手さんが昇任する素地は整っているのかもしれません。

また幹事長以下の役職あるいは参院からの閣僚については町村派の岩城さんや伊達前参院幹事長代理、橋本さん、額賀派の脇さんや吉田さん、関口参院国対委員長代理、岸田派の岸参院幹事長代行、麻生派の鴻池さんが各々候補になるでしょう。
党内には「今回は中曽根氏が参院議長、溝手氏が議員会長、脇雅史参院国対委員長が幹事長に就任するのが自然」(『産経新聞』13.7.19-7:55)との見方があるとされますが、脇さんは68歳で既に前回10年に3選していて、将来の議員会長就任に向けても、次の次の内閣改造での初入閣も既定的でしょう。

従前紹介しているように安倍さんは中曽根さんが当選した10年8月の会長選に関与し、以後参院を重視してきていると言え、今回の会長選出についても「首相周辺は「官邸主導で決める」と、決定過程に官邸が関わることへ意欲を示」(同上『朝日新聞』)しているとされますが、上記のように溝手さんと気脈を通じ協調することで、参院自民党への官邸の影響力確保を図ろうとするのかもしれません。
また既出TBS報道は議長に今の副議長の山崎元参院幹事長が有力と報じていましたが、山崎さんは町村派出身であり、岸田派の溝手さんが会長に有力、額賀派の脇さんが幹事長に想定されているというのと併せて、参院で三大派閥のバランスをとることが意識されていることは看取してよいのでしょう。
そのように「参院自民党への官邸の影響力確保」と「参院で三大派閥のバランスをとること」のためには、町村派から、名誉職的な議長の他に参院三役の一角を輩出することも考えられます。
今の参院町村派で三役候補になり得るベテランは殆どが総裁選で町村さんを支持していますが、既述のように町村派は総裁選時の分裂危機を乗り越えて総裁派閥として結束しているのであり、安倍さん側近の山本沖縄・北方担当相や世耕官房副長官、衛藤首相補佐官が既に台閣にあることもあって、官邸が町村派ベテランを安倍さんに近い存在として三役のいずれかに推すことは大いに考えられるでしょう。
町村派が今の政審会長に輩出している橋本さんは会長交代に伴う退任や今回4選としているため初入閣の可能性もあるとすれば、今回3選、74歳で参院自民党最長老の伊達さんが替わって町村派から政審会長となることもあり得るでしょう。
あるいは、福島県選出で3選の岩城さんが、今の少子化担当相でやはり福島出身の森さんが参院当選1回ながら入閣したのと同じように原発事故被災地を重視することの表れとして役員または閣僚に、今回4選した鴻池さんは麻生副総理の側近であり、これも官邸の参院対策として参院幹部に、それぞれ推されるかもしれません。

今の参院からの閣僚は、8月初めの参院役員人事と臨時国会開会から9月末の内閣改造まで2ヵ月弱空くため、自ずと参院新役員や国会の各委員長などの候補から外れることになるのでしょうか。
そうだとすれば、例えば参院岸田派の実力者の林農水相などは幹事長や参院予算、議運両委員長の候補であると言えますが、仮に内閣改造で退任した段階では政治日程的に既に枢要ポストが埋まっているため無役となるか、議員副会長や幹事長代行などの名誉職で処遇されることになるのかもしれません。

■安倍さんにとって総裁、首相復帰の奇蹟と衆参のねじれ解消を果たして得た「6年スパン」の長期政権運営のチャンスは、必ず、祖父岸信介元首相以来の宿願である改憲の実現に生かさねばならないものということになるでしょう。
同じように宿願を持って臨んだ首相、総裁のうち、小泉元首相は総裁再選に成功して郵政民営化を実現、一方谷垣さんはそれに失敗して政権奪還を僅か3ヵ月の差で逃しています。
両者の決定的な違いは総裁としての党への主導権の強弱であり、小泉さんの勝利は安倍さんの長期政権維持戦略にとって参考すべき事例でしょう。
党内政局や、政権として実績を上げるべき外交再生、それに直結する靖国問題なども全て、最大目標たる改憲のための「6年スパン」の政権運営から逆算して対応していくことが望まれます。


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■安倍さん以下自民党と連立与党公明党は21日投開票の参院選での衆参のねじれ解消と政権、政治の安定に向けて選挙戦に臨んでいますが、安倍さんは参院選については第二次小泉内閣の与党幹事長を務めていた04年と最初に首相であった07年にいずれも敗北し、04年には幹事長代理に降格、衆参にねじれの生じた07年には首相退任に繋がっており、今回の選挙戦はリベンジマッチにほかなりません。
また、安倍さんと参院の関わりについては、自民党が勝利して参院が民主党政権への攻勢の最前線となった10年参院選の後の参院議員会長選挙を挙げねばならないでしょう。

10年参院選の直後には当時の参院議員会長であった尾辻両院総会長の任期が満了、後任候補には早くから当時政審会長の林農水相が挙げられ、また同じ参院執行部から国対委員長だった鈴木元官房副長官が幹事長、国対筆頭副委員長だった脇国対委員長が国対委員長の候補にそれぞれ浮上。
すなわち尾辻参院執行部の幹部の居抜きが当初図られたと言えますが、新体制から外れることになる幹事長の谷川元参院幹事長がそれに反発、鈴木さんなどは参院副議長を退任する山東元科技庁長官の後任に谷川さんを推すようにすることで事態収拾を図るも谷川さんは所属する町村派前会長の森元首相や当時の古賀派の会長の古賀元幹事長などと連携して自ら会長選に立候補。
町村派や古賀派といった大派閥の実力者を中心とした動きに対し、古賀派出身の林さんは立候補を断念しましたが、一方、山本沖縄・北方担当相や世耕官房副長官が今の中曽根参院議員会長を立てて対抗し、選挙戦が行われた結果、中曽根さんが当選したことは、当時の一連の記事で紹介したとおりです。
10年の会長選は中心人物であった中曽根さんが当時の伊吹派、山本さんが町村派をそれぞれ退会した無派閥であり、世耕さんも所属する町村派の方針に反して行動したことから、前年09年総選挙で下野していた自民党における既存派閥の影響力低下という文脈で解せるものであったのと同時に、山本さんや世耕さんは安倍さんの側近として創生「日本」のメンバー、中曽根さんは会長代行であることから、野党多数となったばかりの参院で、保守派が、安倍さんや菅官房長官などの後援を受けてその存在感を増した契機であったと理解したい、というのも当時の記事で指摘したとおりです。
実際、中曽根執行部で政審会長に就いた山本さんは対民主党政権対決路線の代表格となり、幹事長代理となった世耕さんは仙谷元官房長官の「自衛隊は暴力装置」との国会答弁を引き出し、また西田元参院国対副委員長は11年3月に当時外相の前原元代表の外国人献金問題を追及しているように、いずれも安倍さんに近く民主党との異質性の強い保守派が政権との攻防で実績を上げたことは、安倍さんを中心とする保守派の動きとして、会長選での勝利と地続きに位置づけてよいでしょう。

その後安倍さんが参院を重視していることは、11年7月末に対菅内閣首相問責を模索していることや、12年6月末には民自公三党合意が成立したことによって衆院を通過、参院に送付されていた消費増税法案の参院採決より当時の野田内閣打倒を優先すべきとしていたことなどの解散戦略に窺えます。
すなわち前者については、同年6月初めの「内閣不信任案政局=衆院での攻勢」の中心が森さんや古賀さんで、安倍さんはそれに主導的でなかったのに対し、安倍さんの倒閣構想が「問責=参院での攻勢」によるものだったという違いには注目してよいでしょう。
後者について、それは消費増税法案の“成立後”の解散を探っていた当時の谷垣執行部で幹事長であった石原環境相が安倍さんに参院での法案審議が速やかになるように「「参院の若手を抑えてほしい」と頼んだ」(『朝日新聞』12.6.28朝刊)ことに関し当時の記事で、その解散戦略が不透明であることや、安倍さんが当時野田内閣への不信任案や首相問責の提出の可能性に言及していたことから、安倍さんは「参院の若手を抑え」ないことで政権を行き詰まらせ、法案“成立前”の解散を目指しているのだろうと指摘しましたが、これもまた安倍さんの解散戦略の舞台が参院であったことを物語っています。
また、昨年10月17日の記事などでも指摘したように安倍体制の政調ではまず野党時代に世耕さんや衛藤首相補佐官といった複数の側近が参院から会長代理に充てられ、世耕さんによる参院政審会長と党の政調会長代理の兼務が一年ぶりに復活しているほか、関口参院国対委員長代理が党の国対副委員長を兼任、次いで党の政権復帰後には政審会長に加えて同代理も政調会長代理との兼任とされていることなど、党と参院の連携が高度になったことも、安倍さんの参院重視の表れと見てよいでしょう。
これらは、安倍さんの動きとしては10年の参院議員会長選挙以降の参院との関わりとして、一連で理解すべきものでしょう。

なお、この10年の参院議員会長選挙は、町村派が派閥として推す谷川さんを支持する鈴木さんやそれを支える森さんなどのグループと、それに反して脱派閥的な動きをとった中曽根さんを支えた安倍さんや世耕さん、丸川前参院政審会長代理や西田さんなどのグループとに割れたという点で、派内から安倍さんと町村元官房長官の二人が立候補した昨12年の総裁選の展開を暗示する最も早い事例として、政局史上重要であったと言うべきでしょう。

■さて、翌11年の参院役員人事では町村、古賀両派に額賀派を加えた三大派閥勢力が巻き返しを図り、議員副会長とされていた林さんが上表、中曽根さんが保守派で麻生派の鴻池元防災担当相を新たな幹事長にしようとしたのが否決され、山本さんや幹事長を務めていた小坂前参院幹事長、丸川さんなどが幹部を退任して、新役員には額賀派から国対委員長に再任された脇さんのほか古賀派から溝手幹事長、町村派から岩城元参院政審会長が揃って参院三役を三大派閥が分割する体制となり、中曽根さんに近いのは国対委員長代理に移った世耕さんと、伊吹派出身で参院幹事長代行に新任された衛藤さんのみという状況になるなど中曽根さんの主導権が低下しましたが、そのことは、従前着眼しているように中曽根さんの会長職の3年の任期が参院選後に満了することを考えたとき、注目せねばなりません。
改選組で5選を目指す溝手さんは参院の実力者として新たな議員会長の候補であると言えますが、参院選が終わって議員会長選が具体的になってくれば、溝手さんを推す声は恐らく上がることになるでしょう。
参院三役では11年10月以降も今の岸田派の溝手さんと額賀派の脇さんが留任、町村派も世耕さんと今の橋本政審会長を輩出していることで三派体制が継続しており、今の参院では三大派閥の協調が秩序を形成していると言えますが、その中では、2月21日の記事で述べたように、無派閥の中曽根さんが再選されるということには、山本さんや世耕さんが閣僚や政府高官の地位にあることも相俟って、容易にならず、大派閥出身の溝手さんが従来のように無投票で新会長となる可能性は十分あるのでしょう。

三派は参院で主導権を得た11年秋には、党人事でも当時総裁として脱派閥体制をとっていた谷垣法相を牽制、総務会長を町村派(塩谷元総務会長)、政調会長を額賀派(茂木経産相)、国対委員長を古賀派(岸田外相)が押さえて谷垣さんの主導権を後退させ、それは翌年の総裁選での谷垣おろしの伏線にまでなっていますが、それに鑑みれば、かつて非主流派であった頃とは一転、今や党総裁となった安倍さんにとって、参院での三派の協調による秩序を刺激しないことは、党運営上のリスクを抱えないこととして意識されるかと考えられます。
組閣の際、安倍さんなどは外相には経験者を充てることを考えていたものの、麻生内閣の外相だった中曽根さんについては入閣に伴う参院議員会長の辞任で参院執行部に波乱要素が生じるのを懸念して見送ったともされるのは、それを示唆していると言えます。
5月末に起きた「参院選公約の取りまとめ時期をめぐる“内紛”」(『産経新聞』13.5.31-21:58)で、高市政調会長に対して溝手さんや宮沢政審会長代理(兼政調会長代理)が不満を高めたことも、それが安倍さん側近と参院幹部の対立であるという点で、気になる問題であったでしょう。
上述の通り、参院では10年の参院議員会長選挙以後は安倍さんが影響力を持つようになりましたが、今回13年参院選後からは溝手さんや林さんを擁する岸田派が参院を勢力基盤とするようになるのかもしれません。
例えば林さんなどはTPP交渉参加が決まっていることを一区切りに農水相を退任、参院執行部に移って幹事長などになる可能性はあるでしょう。

参院ではこれまで、村上、青木両元参院議員会長のような絶対的な実力者がしばしば現れ、例えば小泉元首相は郵政民営化を見据えて青木さんとの協調を旨としていたことはよく知られますが、溝手さんは参院の新たな実力者となれば、参院選後の安倍さんの党運営においてキーパーソンの一人となるでしょう。
また溝手さんの所属派閥会長の岸田さんが閣僚や党役員を歴任、古賀さんにも推されて、安倍さんとは違うリベラル派の将来の首相候補であることや、安倍さんと同じ下関出身で将来の議員会長候補の林さんも参院岸田派所属であることにも留意すべきでしょう。
青木さんや村上さんはいずれも「所属派閥の代表」(それぞれ額賀派と江藤・亀井派)としてより「参院の代表」として行動しており、安倍さんは第一次内閣組閣の際に当時の丹羽・古賀派に対しては自身と近い丹羽元総務会長や菅さん、塩崎政調会長代理、柳沢元厚労相を要職に起用し、距離のある古賀系からの閣僚起用は唯一参院から溝手さんのみとしましたが、それには青木さんの意向があったと考えられるほか、内閣改造で今の新党改革の舛添代表を無派閥で参院当選1回ながら入閣させられたことも舛添さんが青木さんからの評価が高かったことと不可分でなかったでしょう。
現在安倍さんが参院から要職に起用しているのは山本さんや世耕さん、森少子化担当相、衛藤さん、礒崎首相補佐官など側近が主で、かつての青木さんのような実力者の影響を受けていませんが、今後の参院ではそういう「参院の代表」としての実力者は現れるでしょうか。

■参院選後の内閣改造、党役員人事は9月とされますが、中曽根さんの会長任期はその前に満了するため、入閣の可能性のある今の参院役員はそれを前提に退任、1〜2ヵ月のブランクを経て閣僚となることになるのでしょう。
そしてその中では国対委員長としてねじれ参院の司令塔という困難な党務に当たってきた脇さんの入閣はほぼ確実、五輪女性メダリストで知名度や発信力を期待できる橋本さんや、あるいは安倍さんの総裁復帰後の人事で参院三役のうち唯一退任となった岩城さんの入閣の可能性もあるでしょう。
安倍さん側近の代表格の一人として初入閣の期待される世耕さんは、しかし側近重用批判に配慮して、更に次の改造まで待つことになるかもしれません。

また、民主党出身の今の平田参院議長が引退、選挙での自民党の勝利と第一党の地位奪還が確実なため後任議長は自民党が輩出することになると思われますが、それにはちょうどほぼ同時期に議員会長任期を満了する中曽根さんが棚上げされることは有力で、また改選組で当選すれば最多7選となる山東さん、尾辻さん、山崎元参院幹事長という各副議長経験者の昇格も考えられるでしょうか。
中曽根さんの会長任期満了と参院選に伴う議長交代とがリンクする可能性(中曽根さんの棚上げと溝手さんの昇任)は既に2月21日の記事にて指摘していましたが、それは、10年会長選以後の参院執行部内の主導権の移り変わりや、参院自民党独自の秩序が安倍さんの政権運営に及ぼしうる影響に鑑みれば、大いにあり得る展開かもしれません。
参院選を制した後の第二次安倍政権の安定、長期化に向け、現実的な政権運営を考えるとき、重鎮や長老、そして「参院のドン」と呼ばれる党内実力者の存在は要諦になり、それとの協調は安倍さんなどにも意識されることになるでしょう。


(R)
■参院選後に想定されていた内閣改造、党役員人事について、具体的に総裁以外の党役員の任期が満了する9月末にも行われるものとされています。
安倍さんは4月2日に日本経済再生本部の会合で「今後5年間を緊急構造改革期間と位置付け」ると宣言しているほか、今月12日には今秋の臨時国会を「成長戦略実行国会」とする決意を示しており、「私の経済政策の本丸」(5日の首相演説)と位置づけるアベノミクスの第三の矢「成長戦略」を最重要視する姿勢も明らかですが、一連の人事によって首相、党総裁としての求心力を高めることは成長戦略や構造改革への抵抗勢力を制するのに直結するものともなるでしょう。

ところで、今後の政治日程は15年9月に安倍さんの総裁任期が満了、翌16年7月には衆参同日選となると考えられます。
従前指摘しているように安倍さんは憲法改正では漸進主義をとると考えられますが、その上で、改憲案への賛否を問う国民投票を15年9月まですなわち2年以内に見据えるか否かが重要なのであり、それを過ぎる場合、16年7月の衆参同日選には改憲案の国民投票が併せられる可能性も見えてきます。
そのように今の総裁任期中に改憲が実現しておらずに課題として残っている場合、「第二次安倍政権の手による改憲」に拘る立場からは、当面の照準は総裁再選のかかる15年9月予定の次期総裁選ということになります。
従って、今後の党運営で安倍さんの総裁再選を脅かす有力者を制していくことの重要性は、改憲の進捗度に反比例するようになっていくかもしれません。

さて、以上のように参院選後の人事では「緊急構造改革期間」の緒となる「成長戦略実行国会」に臨む態勢の構築と、究極的には改憲を視野に政権の維持安定に繋げることがポイントになると考えられますが、例えば以下のような陣容は期待していいでしょう。

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《内閣》
首相:安倍晋三(町、山口4/7)
副総理兼財務相:麻生太郎(麻、福岡8/11)
官房長官:菅義偉(無、神奈川2/6)
総務相:石破茂(無、鳥取2/9)/岸田文雄*/脇雅史*
外相:岸田文雄(岸、広島1/7)/石破茂*
法相:脇雅史(参・額、比例/3)/岸田文雄*
経産相:茂木敏充(額、栃木5/7)
農水相:西川公也(二、栃木2/5)
文科相:下村博文(町、東京11/6)
国交相:太田昭宏(公明、東京12/6)
厚労相:田村憲久(額、三重4/6)/加藤勝信*
防衛相:江渡聡徳(大、青森2/5)
環境相:山口俊一(麻、徳島1/8)
国家公安委員長:古屋圭司(無、岐阜5/8)
復興相:根本匠(岸、福島2/6)
経済再生担当相:甘利明(無、神奈川13/10)
沖縄・北方担当相:山本一太(参・無、群馬/3)
行革担当相:望月義夫(岸、静岡4/6)
少子化担当相:橋本聖子(参・町、比例/3)

首相補佐官:衛藤晟一(参・二、比例/衆4参1)
首相補佐官:木村太郎(町、青森4/6)/萩生田光一*
首相補佐官:礒崎陽輔(参・町、大分/1)
官房副長官:加藤勝信(額、岡山5/4)
官房副長官:世耕弘成(参・町、和歌山/3)


《党役員》
総裁:安倍晋三(町、山口4/7)
副総裁:高村正彦(大、山口1/11)
幹事長:河村建夫(二、山口3/8)/二階俊博*
幹事長代行:鴨下一郎(無、東京13/7)
総務会長:二階俊博(二、和歌山3/10)/河村建夫*/額賀福志郎(額、茨城2/10)
政調会長:塩崎恭久(岸、愛媛1/参1衆6)
国対委員長:佐藤勉(谷、栃木4/6)
国対委員長代行:高木毅(町、福井3/5)
総裁特別補佐:萩生田光一(町、東京24/3)/細田博之(町、島根1/8)
幹事長代理:棚橋泰文(谷、岐阜2/6)/木村太郎*
幹事長代理:小此木八郎(無、神奈川3/6)/田村憲久*
総務会長代理:浜田靖一(無、千葉12/7)
総務会長代理:金子原二郎(参・谷、長崎/衆5参1)
政調会長代理:林幹雄(石、千葉10/7)
政調会長代理:新藤義孝(額、埼玉2/5)
国対委員長代理:小野寺五典(岸、宮城6/5)
筆頭副幹事長:小此木八郎(無、神奈川3/6)/今村雅弘(谷、佐賀2/6)

〈参院〉
議員会長:溝手顕正(参・岸、広島/4)
議員副会長:鴻池祥肇(参・麻、衆2参3)
幹事長:林芳正(参・岸、山口/3)
幹事長代行:岸宏一(参・岸、山形/3)
国対委員長:吉田博美(参・額、長野/2)
政審会長:伊達忠一(参・町、北海道/2)
幹事長代理:関口昌一(参・額、埼玉/3)
国対委員長代理:山本順三(参・町、愛媛/2)
政審会長代理:森雅子(参・町、福島/1)


◇敬称略、括弧内は、町=町村派、額=額賀派、岸=岸田派、麻=麻生派、二=二階派、石=石原派、大=大島派、谷=谷垣グループ、出身選挙区、29日現在の当選回数、の順
◇*の人物は多箇所に重複

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9日の記事で具体的に指摘したとおり、次の人事では総裁経験者と総裁選対立候補が多く登用されている「総裁選後体制」が改められ、また最大の焦点は石破幹事長の処遇になると思われますが、石破さんに対してはその党運営や選挙対策に重鎮や長老からの批判があり、また安倍さんにとって石破さんが幹事長として党内での影響力を強めることは警戒されるだろうことからも、従前指摘しているとおり幹事長は退任、替わって閣内で重要閣僚に充てられることになるでしょう。
それには官房長官か総務相、外相、財務相、あるいは党前総裁である谷垣法相が充てられている法相もあるかと考えられますが、麻生副総理兼財務相と菅官房長官は留任となると思われ、また法相はこれまで歴代経験者から首相が全く輩出されていないことから石破さんが敬遠するとすれば、外相か総務相が有力かと考えられます。

ところで、次の人事で閣内で処遇されるべき実力者としては、ねじれ参院で司令塔を担ってきた脇参院国対委員長を挙げねばなりません。
脇さんは例えばかつて参院自民党の実力者であった維新の片山参院議員会長の例に倣って総務相への就任も考えられ、だとすると石破さんは外相ということになりますが、その場合には今の岸田外相はどうなるでしょうか。
安倍さんは憲法問題で96条改正が難航している状況に対応して9条の解釈変更による集団的自衛権の双務化をまず目指す考えであるともされ、それに積極的であるという石破さんはその点で外相に相応しいと思われますが、一方、岸田さんはハト派系の派閥の会長であり、安倍政権と距離を置き改憲にも反対する古賀元幹事長の影響もあって、集団的自衛権の問題の関係閣僚たる外相には敬遠されるかもしれません。
それによって岸田さんが外相を石破さんに代わり、また脇さんは総務相に想定され、岸田さんは法相に横滑りすることが考えられますが、しかし、閣僚、党役員を歴任し党内第三派閥を率いる岸田さんは将来の首相候補であり、こちらも法相を嫌う可能性があります。
従って、脇さんが法相その他に就き、石破さんと岸田さんがそれぞれ総務相か外相のどちらかに充てられることになると考えることもできるでしょう。
8月に任期満了する中曽根参院議員会長の後任に有力と言える溝手参院幹事長は閣僚としては第一次安倍内閣で国家公安委員長(防災担当相を兼任)を務めているだけであることは、将来の議員会長候補である脇さんの閣僚キャリアも、首相を輩出している総務相に拘らないことを思わせます。
石破さんと岸田さんのどちらが総務相あるいは外相に有力かは、上述のとおり集団的自衛権の問題を考慮すれば外相に石破さん、岸田さんは総務相となるのが適当かと思われますが、しかし「石破外相」体制が周辺諸国に日本の右傾化を印象づけることが警戒されれば、外相には岸田さんを留任させ、石破さんは総務相に起用されることになるでしょう。
既述のように改憲が安倍さんの今の任期中に実現していなければ、15年9月の総裁選での再選と翌16年7月の衆参同日選対応が視野に入ってきますが、その戦略上は国民に人気のある石破さんとの協調を維持することは不可欠となるはずで、場合によっては改憲実現後の禅譲が俎上に載ることも将来あるのかもしれません。

さて、6月27日の『朝日新聞』朝刊は、岸田さんとともに外交・安全保障政策に関わる小野寺防衛相について両者が「ハト派集団」の岸田派の所属で「連携を強めている」ことについて「外交、安全保障に強気で臨む首相が、2人の好きにさせるわけがない」との声のあることを紹介していますが、それも受ければ、参院選後の内閣改造では両者ともにかいずれかが交代するかと見られると言えます。
岸田さんについては上述のとおり外相に留任する可能性がありますが、小野寺さんについては以前にも指摘したように退任することになるかもしれません。
そうだとすれば、その後任には今の防衛副大臣の江渡前副幹事長を想定してよいでしょう。
28日には例えば日米グアム協定に関する日米外務・防衛閣僚会議の年内開催方針が報じられたように、防衛相は日米間の懸案を多数担当するため小野寺さんが留任となることももちろん考えられますが、江渡さんは第一次安倍政権でも防衛副大臣に起用されているように防衛政策に通じていて政策の継続性を担保できると考えられるのに加え、高村副総裁の出身の大島派所属で当選5回といわゆる入閣適齢期。
大島派は小派閥ですが、政権主流派の麻生派と参院選後にも合併、岸田派を抜いて党内第三派閥に躍進するともされ、会長の大島前副総裁が実力者であることもあり、人事で配慮すべき必要性があると言えるでしょう。
また、TPPに慎重な大島さんはその点では推進派の安倍さんと齟齬があるほか、6月7日の『朝日新聞』朝刊によれば麻生派との合併に慎重姿勢を見せることもあるといい、元来谷垣前執行部の幹部として、同じ派閥の前会長の高村さんと違い安倍さんとは必ずしも親密ではないであろうことも懸念材料です。
谷垣体制期には町村派の森元首相や当時の古賀派の古賀さんといった大派閥のオーナーが実力者として谷垣さんの党運営に干渉、特に11年9月の執行部人事に影響力を発揮しましたが、今の実力者は麻生さんや大島さん、二階総務会長代行などいずれも中〜小規模派閥の会長であるのは党内勢力図の重要な変化でしょう。
その変化は、安倍さんは党運営で重鎮や長老といった実力者に対し、谷垣さんと違って主導権を持って当たれることを示していると言ってよいのでしょう。
なお、大島派からの政権幹部候補には、7月に改選を迎え当選すれば3選となる有村治子参院議員も挙げてよいのではないでしょうか。

今度の内閣改造は18人の閣僚中7〜9人が異動する中規模なものになるのではないかと思いますが、党役員人事はどうなるでしょうか。
今の執行部幹部は幹事長の石破さんが離党経験者で党内勢力基盤は強固でないものの国民に人気があることが評価され、異例の女性幹部である野田総務会長と高市政調会長は発信力を期待されてそれぞれ起用されていたり、それらに河村選対委員長を含めて四役体制がとられるなど選挙が強く意識されていますが、参院選後にはそれは改められることになるでしょう。
その中では高市さんの処遇も一つの焦点ですが、恐らく退任はほぼ確実で、後任には安倍さんの盟友で第一次安倍内閣で官房長官、総裁選では新経済成長戦略勉強会の中心にもなった塩崎政調会長代理が昇格することを期待したいと思います。
塩崎さんは根本復興相とともに岸田派内の親安倍系なので、安倍さんの人事においては岸田派を立てつつ登用できる盟友として、額賀派の新藤総務相や加藤官房副長官などと同じように、派閥横断的に重要な存在でしょう。


(R)
■参院選まで1ヵ月となり、メディアの世論調査によれば自民党と第二次安倍内閣の支持率が好調を維持している一方、民主党や維新は停滞を続けており、安倍自民党の勝利と参院のねじれ解消の可能性は高まっていると見てよいのでしょう。
しかし、維新が橋下共同代表の歴史認識に関する発言以降失速していることは、憲法96条改正に向けた改憲派による多数派形成に暗雲が差したことでもあると言わねばならないでしょう。
それが18日の『朝日新聞』朝刊にある「首相としては…公明党を改憲論議に巻き込み、連携の幅を広げる必要が出てきた」との状況に直結したのは明らかですが、一方、改憲以外のテーマも広汎に扱う実際の政権運営において、全国での選挙協力関係もまた確立されている公明党と距離を置くことがもとより現実的でなかったということも確かであり、安倍政権の改憲が公明党との協調を旨として漸進主義によるであろうと考えられるのは従前指摘しているとおりです。
それは高市政調会長が4月に連立の組み替えに言及した際の顛末や、現有議席19改選議席10の公明党がこれまでの選挙の例を見れば堅調に10議席前後の獲得(=現有議席の維持か上積み)を見込めるのに対し、現有3改選2の維新がそれを上回るのは難しいと思われることからもそう考えるべきであると言えます。

96条改正への政権のスタンスの変化については前回記事で2日の『朝日新聞』朝刊に掲載された星特別編集委員による「日曜に想う」に拠って、憲法問題での二大方法論すなわち「9条の解釈変更=親米」と「96条の改正=離米」を挙げ、安倍さんは前者に「軸足を移してきたようにみえる」ことを紹介しました。
星さんは「9条の解釈変更」を目指すグループを「集団的自衛権派」とも称呼していますが、集団的自衛権については、81年の政府答弁書で「日本は国際法上は集団的自衛権を有しているが、行使することは許されない」との見解が確立(『朝日新聞』13.2.14朝刊「集団的自衛権と9条「戦争の放棄」」)されている経緯があり、集団的自衛権派はその行使を「許さ」ない根拠となっている9条2項の解釈を改めることを目指すことになります。
9条2項とは「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」のことであり、それと自衛隊を整合させるための「「必要最小限度の自衛の範囲」なら実力組織である自衛隊も「軍隊ではない」と主張」するのを条文自体の改正と併せて止めることは、党の改憲草案に盛り込まれた自衛隊の国防軍化にも連動しますが、安倍さんが現代日本を代表する親米保守政治家であることを考えればより重要なのは、当ブログでも再三取り上げている日米同盟における集団的自衛権の双務化=片務性是正という視座でしょう。
1960年6月に岸信介政権が改定成立させた現行の日米安保条約ではまさにその9条によって日米集団的自衛権がアメリカに片務的になっていますが、安倍さんは岸政権期以来の「宿題」(『朝日新聞』13.6.2朝刊「政治断簡」)であるそれをかねて問題視し、「双務性を高めることは、信頼の絆を強め、より対等な関係をつくりあげ…日本をより安全に」(『美しい国へ』131頁)するとも指摘、野党総裁時代の12年10月15日には来日していたアメリカのバーンズ国務副長官との会談で「政権をとったら集団的自衛権の行使の解釈を改めたい。日米同盟強化にもなるし、地域の安定にも寄与する」(『朝日新聞』13.10.16朝刊)と発言し、首相復帰後の今年2月には柳井元駐米大使を座長とする有識者会議の議論が再開。
既出2月14日『朝日新聞』特集は「集団的自衛権の行使容認には、憲法9条の改正が必要との意見もあるが、安倍氏はこれまでの政府解釈の変更で行使容認を目指す」考えであると指摘しており、星さんの「安倍首相はジワリと集団的自衛権派に軸足を移してきたよう」との見立てなどとも併せれば、安倍さんは日米の同盟関係と安保体制を最重視する立場から、憲法問題では実利的に集団的自衛権の行使容認という成果を上げることを優先したいものかというのがいよいよ鮮明になると言ってよいでしょう。
現在の日米関係は、安倍さんの首相復帰後初の外遊を訪米にしようとしたのが頓挫したり、歴史認識の齟齬や都度の首脳会談のあり方に気懸かりな点が見られたりしていますが、それはあくまで今のオバマ民主党政権との問題であり、中長期的なスパンでは、太平洋国家として極東、西太平洋地域での対中国優位や今の秩序を維持しようとするアメリカにとって日米同盟の強化が国益であることには自信を持ってよいはずです。

96条の改正から9条の解釈変更へのシフトチェンジが兆しているようだというのにはそのように安倍保守主義がリアリスティックかつ親米的なものであることが符号しますが、第二次安倍政権の進退という最重大テーマからも論じてよいでしょう。
すなわち河村選対委員長の5月11日の「96条改正案を否決されたら内閣不信任に等しいので、考えながらやらなければいけない」(『朝日新聞』13.5.14朝刊)との発言をこれまでの記事でも全く共感するものとして紹介していますが、安倍さん自身「最近周囲に「国民投票で否決されたらその打撃は大きい。そんなに気楽に発議なんてしないよ」と漏らしている」(『朝日新聞』13.6.18朝刊)のであるといい、河村さんの指摘がいち早く正鵠を射たものであったことが窺われます。

■安倍さんが外遊先のポーランドで16日夜(日本時間17日未明)に「7月の参院選後の結集を目指す「改憲勢力」に民主党議員の一部を含める考えを初めて示した」(『産経新聞』13.6.18-2:47)ことが民主党内に警戒感を及ぼしていますが、政権が96条の改正より9条の解釈変更を優先させるようになるのだとすれば、それは「改憲勢力の結集」などの参院選後の野党工作にも影響することになると考えられます。
安倍さんの発言が「日本維新の会の失速により…「自維み」で発議に必要な162議席の確保が微妙になった」(前出『産経新聞』)のを受けたことは明らかですが、参院における多数派形成が必ずしも必要ない「9条の解釈変更」(その方法論として星さんは「法制局の幹部を更迭してでも、解釈変更を断行すべきだという強硬論もある」ことを紹介)を優先させて「96条の改正」については漸進主義をとるのだとすれば、民主党の分裂誘発を含む「改憲勢力の結集」が直ちに進むということには、報道の波紋に反して、ならないのかもしれません。
そもそも、「自維み」に加わって162をクリアするだけの規模(10〜15人程度?)の改憲派が参院民主党に存在するか、という点も重要です。
また、民主党は参院選でも敗北する可能性が高いですが、党内改憲派が敗北後の民主党を割って二大政党の一角を壊す「戦犯」となることに慎重になるという判断もあることでしょう。
民主党改憲派が仮に党を割って自民党に協力したとしても、選挙区では競合関係にある以上合流まですることはあり得ず(先の総選挙において大阪14区で当時の自民党現職が維新に移り、民主党保守派の長尾前衆院議員が自民党に移籍できたような巡り合わせは起こり得ないでしょう)、また維新への参加も現実的でない今、二大政党の一角を離れて新党で議席を維持するのが難しいことは消費増税に反発して民主党を離党し旧日本未来の党に移った生活の党の小沢代表の没落を見れば明らかであることも、参院選後の民主党分裂の実現性が低いことを物語っています。

ところで、民主党保守派としてはいずれも安倍さんや石破幹事長からの評価もある前原元代表や長島元首相補佐官、松原国対委員長代行、渡辺衆院議員が挙げられ、また野田最高顧問も集団的自衛権の行使容認に向けた解釈変更が「持論」であり、首相在任中には「現時点で憲法解釈を変えることは考えていない」としていたものの野田政権の「国家戦略会議フロンティア分科会」から「憲法解釈の変更を求め」られたこともあり(『朝日新聞』12.7.7朝刊)、含めてよいでしょう。
このうち一時期維新との合流が取り沙汰されることや5月には安倍さんの盟友の塩崎政調会長代理などと訪英することもあった前原氏は、民主党現職の代表と衆参議長の経験者の中でただ一人最高顧問の処遇を受けていません。
前原氏と同じ野党時代の代表経験者である岡田氏は与党当時から副総理と兼務で、閣僚経験のない横路氏も衆院議長辞任後から最高顧問とされていることに鑑みれば前原氏の動向は注意を引きますが、それは恐らく、代表復帰に意欲があるという前原氏が形式上は代表より格上となる最高顧問に棚上げされるのを敬遠したためなのでしょう。
民主党が参院選に敗北すれば、既に海江田代表自身がその場合の進退に言及しているとおり体制が刷新されることになるはずですが、その際前原氏は新代表候補に挙げられ、また自らも代表選立候補を模索するかもしれません。
しかし、過去記事でも述べたように自民党で保守派の安倍さんが首相であることがそれに影響し、野党としての差別化が求められて前原氏は支持の広がりを得られず、立候補を断念することになるかとは十分考えられ、そうだとすれば、その後の前原氏の動きは参院選後の焦点の一つになることでしょう。
それについて、既にいくつかの観点から指摘したように選挙後の民主党分裂の可能性は低いと言え、従って前原氏など民主党保守派も党に留まることになって(それには安倍さんが谷垣体制期に非主流派であった時にも維新からの合流要請に応じなかったことが通底的です)、96条改正案発議のための多数派形成は少なくとも直ちには進まないと考えられます。
そのように民主党分裂を前提とする「改憲勢力の結集」が実際には起き難いだろうことと、政権が現実的に「9条の解釈変更」を優先しようとするかとされることは、相関関係にあると言ってよいのでしょう。

■民主党は今回の参院選で党幹部では石井、岡崎両副代表や一川参院幹事長、高橋参院政審会長など、閣僚経験者では羽田前国交相や長浜前環境相が改選。
それらのうち、地盤の強固な羽田、高橋両氏、知名度の高い大塚前政調会長代理や労組の支持の厚い藤原前参院議員副会長などの当選は確実かと思われますが、一川、岡崎、長浜各氏や川上前首相補佐官などは苦戦することになるのではないでしょうか。
川上氏の鳥取は石破さんの地元であり、また長浜氏の千葉は3人区ですが自民党で再選を目指す石井前参院国対副委員長を推す県議団「千葉政経懇話会」と対抗する「県盛会」が党として2人目の候補となる豊田俊郎元八千代市長を擁立しているものの、今の支持率では民主党が他の野党を制して千葉自民党の分裂を好機とできるかは不透明かもしれません。

民主党が敗れればそれは海江田氏以外にも輿石参院議員会長の進退にも直結するはずですが、そのように、党内への影響は甚大でしょう。
参院は首相問責決議案を可決できる野党多数状況のため、民主党には衆院区割り法案の扱いを巡って「問責につなげる構想もある」(『朝日新聞』13.6.19朝刊)とされ、それ自体は野党共闘による可決の見通しがないものの、参院民主党は民主党の最後の拠点となっていますが、参院選を制することはそれを崩すことにもなります。
上述のとおり選挙後の民主党分裂は考えにくいとしても、民主党が参院第一党の地位を失って対決姿勢を後退させることは、次の選挙まで3年という大きな時間を得うる安倍さんにとって、その間の政権運営につきまとう不安要素を大きく減じることにほかならないのは確かでしょう。
今の民主党は輿石氏や高橋氏などの他にも大畠代表代行や中川幹事長代行など労組系議員が主流派となっていますが、保守派の安倍さんの率いる自民党がそれを破って政権を安定させることは象徴的です。
また、それら左派議員が刷新された民主党がどのような新体制となるか、政権へのスタンスに関わるその点には今後注目されるでしょう。


(R)

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