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みなさん、こんにちは。
今回は、Tf化試薬をまとめて紹介します。
Tfはtrifluoromethanesulfonylの略で、OTfは一般にトリフラートと呼ばれています。

エノールトリフラートやフェノールトリフラートは擬ハロゲン化物と呼ばれ、
ヨウ化物や臭化物などと同様に、C-OTf結合に0価のパラジウムが酸化的付加することが知られています。
これを利用して鈴木カップリングなどのPd(0)を用いたカップリング反応を行うことができます。

従って、ケトンやフェノールはクロスカップリング前駆体(C-C結合形成)と見なすことができます。
上手く使えばかなり有用な方法になってくれると思いますので、覚えておいて損はありません。

非対称ケトンの場合、条件選択により位置選択的にエノールトリフラートを合成できます。
エノラートの生成を速度論支配、熱力学支配どちらで行うかによって位置選択性が変わります。

Tf化剤として一般的なものに、以下のものがあります。
.肇螢侫襯ロメタンスルホン酸無水物:Tf2O
 反応性が高く、弱塩基存在下にエノールトリフラートが得られます。
 塩基としては、Et3N、Py、2,6-lutidine、2,6-di-t-Bu-pyridineなどが用いられます。
 この場合、熱力学的エノラート経由で反応が進行します。

 アミンがTf2Oと反応しない様に、2,6-di-t-Bu-pyridineなどN周りが嵩高く、
 求核性の無いアミン塩基が用いられることが多いです。
 ただ、2,6-di-t-Bu-pyridineは高価なので、大量合成には不向きかも知れません。
 安価な2-chloropyridineで代用している例もあるので、こちらの利用を検討するのも手です。
 Pyの2位にClが入ることで、嵩高くなるのと同時に電子密度が下がり、求核性が落ちるという訳です。

 ただ、著者の場合はFirst choiceは文句無しに安価なEt3Nです。
 それでダメなら別の塩基を試します。

McMurry-Hendrickson試薬(Tf2N-Ph):N-phenylbis(trifluoromethanesulfonimide)
 Comins試薬:N-(5-Chloro-2-pyridyl)triflimide

 両方ともTf2Oほど反応性は高くないので、LDAなどの強塩基が必要になります。
 Tf2N-PhとComins試薬のどちらが優れているのか、著者にはよく分かりません。

 この場合、条件選択により熱力学的、速度論的、両方のエノールトリフラートを作り分けられまます。
 以下、それぞれの条件の一例です。
 速度論支配:低温でLDAを用いる
 熱力学支配:Krafft-Holton procedure(TL, 19863, 1345)。iPr2N-MgBrを用いる方法。

 著者はやったこと無いですが、共役エノンの1,4-還元→生じたエノラートをTf化剤でトラップ。
 こんなのもアリです。
 こっちの方が位置選択性という意味では確実かも知れません。
 共役エノンの1,4-還元はL-Selectrideで綺麗にいけるみたいです。

 Tf2Oを用いた実験操作を書いておきます。
 基質、アミン塩基(2当量)のクロロホルム溶液に氷冷下でTf2O(1.5当量)を加えます。
 反応終了後は通常の後処理を行ってください。
 強アルカリ性にさえしなければ、加水分解されることはそんなに無いと思います。
 カラム精製にも耐えるモノも少なくありません。

 ※溶媒にTHFを用いると、ポリマー化してドロドロの状態になります。
  クロロホルム又はは塩化メチレン中で反応を行って下さい。

フェノールのTf化に関してほとんど書きませんでしたが、同じ条件でトリフラートが得られます。
それでは今回はこの辺で。
では、また。


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