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「コーヒーはレギュラーに限る」というコーヒー好きでも、忙しい朝などには重宝するのがインスタントコーヒー。最近ではレギュラーのように産地名を冠した製品も登場し、風味の多様化が進んでいる。専門家にインスタントを飲み比べてもらった。
1位はUCC上島珈琲の「ザ・ブレンド有機栽培珈琲(コーヒー)」。歴史の長い製品が多いインスタントでは比較的新顔の、2006年9月発売。有機栽培で育てたコロンビア産の豆を使用する。「華やかさはないが深煎(い)りで重厚感」(吉田さん)、「もう1杯飲めそうなクセのなさ」(川口さん)。酸味、苦みとも今回の評価では中程度で、バランスの取れた風味を推す声が多い。
2位に入ったのは豊産業(横浜市)が販売する蘭ダウェ・エグバーツの「モッコナブラックラベル」。国内製品が多いなかで、海外製品はこれと7位のキャピタルの「クライス ロイヤルセレクション」の2品。「しっかりとした苦みがあり“コーヒー感”が強い」(鈴木さん)、「苦みがしっかりとしてアイスコーヒーにもよさそう」(市田さん)など、濃いめの風味がアピールしているようだ。
3位はネスレ日本の「ネスカフェ香味焙煎(ばいせん)」。同社の製品では「違いがわかる男の」というコピーで一世を風靡(ふうび)した「ネスカフェゴールドブレンド」が9位に入ったが、香味焙煎は同社が日本人向けに開発したブランド。「コーヒーらしい香り、余韻が残る」(遠山さん)、「酸味、苦みのバランスが良い」(天野さん)などの声があった。香味焙煎シリーズには他に「モカブレンド」「キリマンジャロブレンド」などがある。
上位3製品はいずれも100グラムあたり1000円前後からそれ以上となる中・高級製品。一方、4位で並んだキーコーヒーの2製品はともに100グラムあたり400円前後で、価格を考えればお買い得だ。
インスタントコーヒーの製法は、大別するとフリーズドライとスプレードライの2つ。前者は抽出したコーヒーを凍結させ、それをくだいていく。後者はコーヒーを高熱のタンク内に吹き込み、水分を蒸発させて粉末化する。6位にはランクインした製品のなかで唯一スプレードライ製法の、味の素ゼネラルフーヅの「ブレンディインスタントコーヒー」が入った。
日本ではスプレードライの登場が早かったが、現在ではフリーズドライの製品が多い。ブレンディは冷たい牛乳や水への溶けやすさをアピール。「クリアな味で風味も深い」(森島さん)と、フリーズドライ製品を相手に健闘している。
◎「お湯は80度」おいしさの秘訣
「インスタントのいいところは、常に同じ風味が出せること」(ネスレ日本の村井達也さん)。確かにレギュラーコーヒーを入れるときのように、細心のテクニックが不要な手軽さが魅力。それでも、おいしい1杯のための工夫はある。
お湯の温度は80度前後が良いとされる。レギュラーは抽出するのに高温が必要で90度以上が推奨されるが、インスタントは熱すぎずぬるすぎず、飲んで快適な温度がベストだ。カップをあらかじめ温めておくと、温度が維持しやすい。
粉の分量は、多くのメーカーの基準がお湯140ミリリットルあたり2グラム(ティースプーン1杯)。120ミリリットルを指定するところもあるが、各社とも「濃さは飲む人の好みに合わせて」(キーコーヒーの田口賢一郎さん)と口をそろえる。
アイスコーヒーを楽しむなら、スプレードライ製法のコーヒーにアグロマート加工を施した製品が使いやすい。この加工は粉末にしたコーヒーにわずかに水分を加え、大きめの粒に仕上げるもの。ブレンディを含め、各社が販売している。
1 ザ・ブレンド有機栽培珈琲(UCC上島珈琲) 333
(1)500円前後(50グラム)(2)フリーズドライ(3)普通(4)普通(5)有機栽培で育てたコーヒー豆を原料にした
2 モッコナブラックラベル(豊産業) 300
(1)1575円※(100グラム)(2)フリーズドライ(3)少なめ(4)多め(5)ブルンジ、コスタリカ産の豆を使用
3 ネスカフェ香味焙煎(ネスレ日本) 297
(1)868円※(80グラム)(2)フリーズドライ(3)少なめ(4)普通(5)深煎りの豊かな香りとコクを目指した
4 スペシャルブレンド(キーコーヒー) 282
(1)400円前後(100グラム)(2)フリーズドライ(3)普通(4)普通(5)コロンビアとブラジル産の豆を使用した
4 プレミアムブレンド(キーコーヒー) 282
(1)400円前後(100グラム)(2)フリーズドライ(3)多め(4)普通(5)コロンビア豆をベースにした上品な酸味
6 ブレンディインスタントコーヒー(味の素ゼネラルフーヅ) 276
(1)630円前後(100グラム)(2)スプレードライ(3)普通(4)普通(5)冷たい水や牛乳にも溶けやすい
(以下略)
(注)(1)実勢価格、※は希望小売価格。カッコ内は内容量(2)製法(3)酸味(4)苦み(5)特徴。酸味と苦みは選者の平均から判断
【調査方法】 東京都内の百貨店、食品スーパーが取り扱うインスタントコーヒーから17製品を選び、コーヒーに詳しい専門家10人に試飲してもらった。酸味、苦み、香り、好みに合うなどを基準に採点、順位を加味して集計した。専門家は次の通り(敬称略、50音順)。 天野岳夫(三越商品本部食品部食品第三担当)▽市田哲朗(バンタンフードクリエイション)▽川口葉子(サイト「おとりよせネット」「東京カフェマニア」)▽下川泰弘(ドトールコーヒー生産管理統括部)▽鈴木桂水(フードライター)▽遠山敏之(「日経レストラン」編集長)▽平岩理緒(サイト「幸せのケーキ共和国」主宰)▽松永恵太(明治屋仕入業務課)▽森島孝文(服部栄養専門学校)▽吉田宏一(キリンビバレッジ開発研究所飲料開発担当)
http://www.nikkei.co.jp/p1/ranking/
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