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自分は誰にも知られない人間だなぁと考えてみる。 |
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雑音を消して音楽を聴くのはもちろん好ましいけれど |
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浮かない顔の目眩まし |
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吸い尽くしたはずなのに、希薄で味もなにもない。 |
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台風が過ぎて掃いたような雲が空にある。鱗雲なのか羊雲なのか、それと一緒に空にある。軽い足取りで駆けていく犬と飼い主の後ろ姿を見送り、その視線を再び空に移す。掃いたような雲はもこもことした雲にほぐれていた。小さな雲らしい雲が空を覆っていく。秋なのだ。2ヶ月前との温度差を着込んでは埋め、徐々に内側へ向かう季節。 |
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すっかり春めいて日中の室内は汗ばむ程です。 |
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優しい夕食の香りをマフラーの中から「くんっ」と捕まえ家路を急ぐ。信号機は赤色ばかりで、頼りのバスは30分後。満月に満たない月が浮かぶ。運動不足を口実に次のバス停までのんびり歩く。時刻表が今を示したら立ち止まり、黄色の光を待つ。じきにバスが現れ斜め右で扉が開く。カードを通すその背後で扉はすぐに閉まる。急いで椅子に座るが思いのほか感触が柔らかで身動きに詰まってしまった。どうにか体勢を立て直し鞄を膝の上に乗せる。車内は暗い。床は板張りだった。学生が多い、部活帰りだろうか、少しだけ五月蝿い。坂を上り下り、終点まで同じ要領だ。駅につく。雲が月を覆っていた。電車は目と鼻の先で行ってしまった。10待つ。今度の電車には乗ることが出来た。座ることは出来なかった。読みかけの小説を広げる。主人公たちの最後の戦いの場面まで読んだ頃目的の駅につく。あとは歩いて帰るだけだ。音楽の音量を上げ歩き出す。焼き芋の車がいる。小さな惣菜屋さんには天ぷらやひじきの煮たものが残っている。市営のアパート前で以前猫を見たのを思い出し淡い期待を隠せない。ただ暗いだけだった。 |
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