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 ロシア俳優陣の演技が素晴らしい!


「みじめな演技」というのは、本当に難しい。ともすれば、わざとらしさばかりが目立って、観る者をげんなりさせるのですが、落ちぶれた天才指揮者アンドレイを演じるアレクセイ・グシュコブの「みじめさ」は、全身からにじみ出てました。かつての栄光が素晴らしければ素晴らしいほど、落ちぶれたときの鬱屈した精神というのは、卑屈さに卑屈を塗り重ねるようなものだと思います。そして、そういう卑屈さは、自分ではそんなつもりはないのに、ちょっとした挙動にあらわれてしまうのです。そういうものは、演じようとして出てくるものではないので、ミヘイレアニュ監督が「人柄と演技力で彼を選んだ」といっているように、まさにその「人柄」というのが演技につながっているのだと思いました。

そして、アンドレイの相棒のサーシャを演じたドミトリー・ナザロフやアンドレイの妻のイリーナを演じたアンナ・カメンコヴァ・パヴロヴァの演技も素晴らしかった。アレクセイ・グシュコブとの相性もピッタリで息のあったリズミカルな演技は観ている者を微笑ませるマジックを感じました。

 メラニー・ロランの清楚な美しさにうっとり


メラニー・ロランは、全く知らなかったのですが、本当に美しい女優さんですね。終盤の演奏シーンで彼女の顔のクローズアップが何度もでてくるのですが、キラキラした輝きを放ってましたね。

『ラストの演奏場面はリアリティを持たせるために、バイオリンを弾く右手の80%はメラニーにやってもらった。左手は別の人の演奏で、それを編集でつないだ。左手を4カ月で習得しきるのは不可能だからね。でも肩や頭の動きといったすべてのディテールに至るまで、彼女はプロのバイオリニストを完璧に演じきったと思う。』(※2)と、監督がインタビューで話しているように、メラニーのヴァイオリニストの演技も素晴らしかった。そりゃ何度もみてると、本物の演奏家に比べれば「ちょっと・・」と思う部分はあるけど、映画全体を通してみれば小さなことだと思います。

実は、私も我が家にある誰も弾かないヴァイオリンを取り出して「物まねヴァイオリン(笑)」をしてみましたが、いやあ、物まねでも素人には難しい!彼女は、弓を正しい瞬間に正しい弦にいい角度であたるように、パリ国立管弦楽団の第一奏者のサラ・ネムタニュについて2ヶ月猛特訓したそうですが、それが、どれだけ大変なことか!よ〜くわかりました(笑)

ヴァイオリンがむせび泣く曲調のところでは、例えば五嶋みどりさんのように、もっと、ガーっとかぶりつくように弾いて欲しかった気持ちはあるけど、それでも、十分素晴らしい演技だったと思う。メインテーマは「究極のハーモニー」ですから、監督は、あまりソリストが感情を溢れさせる演出でなく、あくまでオーケストラとのハーモニーを重視したのでしょうね。

それにアンドレイの「ひとつひとつの音符が幸せを求めている」「究極のハーモニーが、観客とオーケストラを高く高く飛翔させるんだ」という内容の台詞がありましたが、そういう意味でも、ソリストがあまりにも感情的に演奏してしまうと、オーケストラも重厚でドラマティックな演奏になるでしょうし、そうなると映画終盤のヴァイオリン協奏曲のシーンの飛翔感が消えてしまう。あくまでも、演奏者も観客も究極のハーモニーで幸せの彼方に飛んで行くのがアンドレイの指揮や監督の演出のいざなうところですから、ソリストの表現はあっさりとしたものになっているのでしょう。

(※2)下記のインタビュー記事より引用

★泣けて笑える『オーケストラ!』の人生讃歌
ロシア人演奏家たちのちょっぴりおかしくて、
感動的な再起の物語を作り上げたラデュ・ミヘイレアニュ監督に聞く
(2010年04月16日(金)14時45分 大橋希 NewsweekJapan.jpより)


 アンドレイがプロコフィエフを嫌いな訳


偽オーケストラのシャトレ座での公演は「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、セレナード、プロコフィエフ」というプログラムの予定でした。セレナードはおそらくチャイコフスキーだと思うのですが、プロコフィエフは曲名は明かされません。

劇中でサーシャがアンドレイに「プロコフィエフは嫌いだったろ?」というシーンがあるのですが、プロコフィエフについては、バレエ『ロミオとジュリエット』の作曲者ということぐらいしか知らなかったので、どうして、アンドレイがプロコフィエフが嫌いなのかよくわかりませんでした。いい機会なので、『ロシア音楽史―<カマーリンスカヤ>から<バービイ・ヤール>まで』(フランシス・マース 著 春秋社)を図書館から借りてきて読みました。本文635ページ!って言っても、好きな作曲家以外は飛ばし読みですが(笑)

読んでみると、プロコフィエフはもの凄い作曲家なのですが、人間的にはどうなんだろうか?という思いを抱きました。

『ロシア音楽史』によるプロコフィエフの経歴をかいつまんで説明しますと、プロコフィエフは、17歳で「アンファン・テリブル(末恐ろしい子供)」としてロシア音楽界に登場すると、次々と作品を発表。ロシアでの評判は上々でしたが、意気揚々と西欧にいって演奏すると、思ったほどの評価を得ることができませんでした。当時は、モダニズムと呼ばれる急進的な作曲がもてはやされていたのですが、プロコフィエフはその最先端と言う訳ではなかったよう。当時としては、どれだけ急進的音楽かということが重要だったようなので、プロコフィエフとしては、自分が西欧では過小評価されているという意識があったのだろうと思われます。その後、ロシア革命の混乱を避けて、アメリカに亡命。アメリカの音楽シーンに進出するのですが、彼が思っているほどの評価は得られず、それどころか、プロコフィエフは、アメリカの音楽シーンを保守的で視野が狭いと見限っており「放蕩息子」の演出をめぐってジョージ・バランシンとの対立し、彼のことを「単なるへっぽこバレエ教師じゃないか!」などと言ったことが記されています。ヨーロッパに戻っても、ここではストラヴィーンスキイと比較されて、必ずプロコフィエフは負けたのです。

立身出世を求めて、亡命までして、西欧やアメリカで音楽活動をするものの、彼が願ったほどの評価を得られず、西欧でのモダニストとしての立場が危うくなったことを感じると、その重圧から開放されたいと思うようになり、それがソ連への帰国につながったということですが、帰った時期がいけなかった。1936年頃ということですが、スターリンは政治的弾圧に着手しており、友人たちの警告もむなしく、あまりにも無防備な帰国でした。

しかも、外国人の奥さんのリーナを伴っており、その後、1948年にジダーノフ批判と呼ばれる芸術家への弾圧が行われると、プロコフィエフも例外ではなく、彼の立場が失われるのと同時に、リーナはスパイ容疑で逮捕され、シベリア送りになるのです。もちろんスパイ容疑は言いがかりで、当局による”みせしめ”といえるものでした。当時はもう、二人の関係は終わっていて、プロコフィエフには新しい奥さんもいたのですが、リーナを救うために彼が何か試みたかというと、その点に関しては、何も知られてないそう。むしろ、友人達は彼にリーナにかかわらないように忠告していたそうです。リーナはプロコフィエフの「有名な芸術家は体制を恐れる必要はないという」素朴な信念の犠牲となったといえます。

ソ連への帰国後、スターリンの粛正の最中に、プロコフィエフは、独裁政権へ協力することに何の疑念も抱いておらず、当局に自分の忠節を信じてもらうべく、できることはなんでもやった。ということにも驚いてしまいました。

ロシア革命が起る以前に亡くなった前時代の作曲家チャイコフスキーが、生前パトロンへの手紙の中で共産主義に対する嫌悪感を示したのとは対照的です。

印象的だったのがストラヴィーンスキイの言葉です。プロコフィエフの帰国を痛烈に批判しています。


要するに、プロコーフィエフは、自分の経歴のためにソ連に帰国したのである。ストラヴィーンスキイが以下のように語っているが、これはおそらく真実に近かったであろう。

『プロコーフィエフは根っからのロシア人的思考の持ち主で、基本的に反教権主義者だった。しかし、わたしに言わせてみればこうした気質はロシアへの彼の帰国と大して関係がない。この帰国は世俗的な成功のための犠牲であり、それ以外のなにものでもない。彼は数シーズンにわたって、アメリカ合衆国やヨーロッパで成功を収められなかった。そんな中、ロシア公演が大成功したのである。……だが彼は政治に関して世間知らずで、親友のミャスコーフスキイの例から何も学んでいなかった。ロシアに戻って彼がようやく自分の状況を把握した時には、すでに遅すぎた』

(『ロシア音楽史』521頁522頁より引用)



本を一冊読んだだけですから、それですべてを判断するのはいけないと思いますが、どうやら、プロコフィエフは自己中心的で傲慢な性格で、まわりのことは全く見えず、時代の空気が読めずに西欧やアメリカで失敗し、逃げ帰ったソ連でも、どうやら、プロコフィエフは、天才作曲家であることは間違いないのですが、時代の空気が読めずに、西欧やアメリカでは彼が望んだ地位を獲得することができず、帰国したソ連でも、はじめは、ちやほやされたかもしれませんが、結局は弾圧されて、元奥さんはシベリア送りになってしまうという、その動向は、あまりにも世間知らずに映ります。帰国後の1938年、最後の外遊となるアメリカ滞在で、ハリウッドからの好条件のオファーを断っているのは、余りにも残念。どうして「帰国するな」という友人達の警告に耳を貸さなかったのか、読んでいて「もう!なんでそうなるわけ!プロコフィエフ!」って思わずにはいられませんでした。 

ブレジネフに弾圧されたアンドレイが、スターリンにおもねたプロコフィエフが嫌いだというのも、彼の経歴を探ればナットクという感じでした。

(取り消し線の部分ですが、やはり、本を一冊読んだだけでこのような判断してしまうのは、あまりにも早計かつ傲慢な態度ですし、また、他の資料を読むと、もっと違う人物像も表れてくるだろうと思いましたので、取り消し線を入れ修正しました。)

(2010年7月22日再修正)

<つづく>

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