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気がつけば、もう、年の瀬がすぐそこ。

以前はワクワクして楽しいことばかりだった12月も、義両親をひきとっての介護生活となった後は、年賀状だ、大掃除だ、お節作りだと、それほどでもないことが、ず〜んとプレッシャーのかかることとなり、毎年憂うつだ。

そんな中、一枚のCDで心を癒している。

ウラージミル・トロップの『
チャイコフスキー:四季、ラフマニノフ:幻想的小品集』だ。

『チャイコフスキーの四季』は、年末に1年を振り返るのに相応しいピアノ小品集だ。

なかでも『10月 秋の歌』は大好きだ。夜、眠りにつくとき、メランコリックなメロディに身を任せて浸りきってしまうと、現実と違う世界の住人になれる気がする。

 『12月 クリスマス』は、ほのぼのとするワルツになっているが、チャイコフスキーの迎えたクリスマスもこんな牧歌的な幸せの光景だったのだろうか?こころが暖まる一曲だ。

ラフマニノフの幻想的小品集には、フィギュアファンおなじみの『エレジー』『前奏曲 鐘』が収録されている。

あらためて原曲を聞いて、真央ちゃんとパトリックの演技を思い出してみるのもおつなものだ。どちらもフィギュア史に残る名プログラムだ。


★Tchaikovsky - The Seasons - October ("Autumn Song")





以前に、スヴェトラーノフ先生の『白鳥の湖 全曲』はすごい!と書きましたが、一度これを聴くと、他の白鳥を聴けなくなるくらいすごいです。バレエ音楽の領域を超えてます。この凄さをどうお伝えしたらよいのか、音楽的な難しい話は私には無理なので、レビューをいくつかご紹介します。

まずは、スヴェトラーノフ先生のファンサイトより

★エフゲニー・スヴェトラーノフのページさまより

■スヴェトラーノフの魅力

■ディスク紹介6(Tchaikovsky)
(下の方に白鳥のレビューがあります)


CDレビューより。

★クラシックCD専門店 ライモンダCDさまより

★HMV ONLINEさまより


この全曲バージョンというのが重要で、実は『白鳥の湖』は初演ではそれほど成功せず、しばらくお蔵入り状態になっていたのを、チャイコフスキーの死後、マリインスキー劇場で改訂版が改訂初演され、大絶賛されたのです。この改訂版を振りつけたのがのマリウス・プティパとレフ・イワノフで、台本もチャイコフスキーの弟と劇場監督官のフセーヴォロジスキィによって書き直され、曲順も大きく変更されました。これが、プティパ=イワノフ版として、その後の数々の改訂版の元となっているのです。

ですから、現代観ることが出来る『バレエ 白鳥の湖』は、チャイコフスキーが当初思い描いたものとは、かなり隔たりがあるということなんです。

沢山の改訂版の中でも、ブルメイステル版が、チャイコフスキーの楽譜を元に、プティパ=イワノフ版の振り付けも生かしながら、出来る限り曲順を忠実に再現したものだそうですが、スヴェトラ先生の全曲版と聴き比べてみるとやはり全く同じではないのです。ブルメイステル版は大好きなのですが、そこが残念なところ。どなたか、全曲復活させた『完全版 白鳥の湖』を振り付けてくれないものでしょうか。

また、全曲版といっても、そこにもまたバリエーションがあって、私の知ってる限りでは45曲から55曲まで幅があるので、正直、何がなんだか・・・って感じです。

全曲バージョンを聴いてしまうと、チャイコフスキーの思い描いた世界観がすごく完全に思えて、単なる踊りの伴奏じゃなく、ほんとに深い精神性をもった素晴らしい作品なんですよ。バレエ音楽なのに踊りがなくても、音楽を聴けば場面が見えてくるかのような、音楽で物語や登場人物の感情を表現しつくしていて、しかも何度聴いても聞き飽きない。

クラシックは苦手でシンフォニーとか聴くのに根性がいるから・・・と嫌煙している方でも、スヴェトラーノフの『白鳥の湖 全曲』はめくるめく音楽世界が展開されるので、ぜんぜん根性いりません。気がついたらその世界に没頭してます。

そして、スヴェトラーノフ先生は、チャイコフスキーが思い描いた世界観を誰よりも忠実に再現しているんじゃないのかなあと思うのです。

チャイコフスキーは作曲にあたって「ジゼル」のようなロマンティック・バレエとワーグナーの楽劇の影響を受けたと伝えられてます。幻想的なロマンティック・バレエ世界観とワーグナーの楽劇のような重厚なドラマ性をあわせたのが「白鳥の湖」だとするなら、スヴェトラ先生の演奏はそうなんだろうと思います。

特にフィナーレの2曲はスヴェトラ先生の入魂の仕上がりではないでしょうか。

悪魔との闘いでオデットと王子の運命はどうなってしまうのか、手に汗握るスリリングな展開を、凄まじいまでのスピード感と怒濤のマキシマム・フォルテッシモで聴く者を圧倒します。

そして、最後のクライマックスのマキシマム・フォルテッシモで響くトランペット(正確にはコルネット)の白鳥のテーマは、まさに「最後に愛は勝つ!」的な勝利のファンファーレで、ここは普通の演奏なら「タムタム」のドラの響きがおおげさに聞こえてくるところなのですが、スヴェトラ版では、大迫力のトランペットによって「タムタム」が、かき消されています。

スコアを確認してみると、他のすべての楽器はfff(フォルテシッシモ)なのに対して、タムタムだけf(フォルテ)なんですね。

「タムタム」という楽器は、死や喪を意味する楽器だそうで、それをトランペットがかき消してるというのは「悪魔を倒した愛は、死に打ち勝つ」ということを表現してるんじゃないかと思うのです。

ところが、初演の台本はそういう結末ではありませんでした。そういった勧善懲悪的な結末ではなく、もっと幻想的でロマンチックな悲劇でした。


第4幕、夜、第2幕と同じ湖の岸辺。白鳥たちが踊っていると、王子の裏切りにあって絶望したオデットに戻ってくる。雷鳴が近づき、湖が波立ち始める。そこへ王子が駆け込んで来て、自分のあやまちをオデットにわびる。しかしオデットは許すことができない。王子は愛する王女から魔除けの王冠を取って愛をつなぎ止めようとするが、オデットは継母の魔法使い(大ふくろう)によって破滅させられ、王子の腕の中に倒れる。そして、王子とオデットは嵐と洪水に荒れる湖に呑まれて死んでしまう。嵐が過ぎ去り静かになった湖に月の光が差し込み、白鳥達の群れが姿をあらわす。(音楽の友社『OGT 2123 チャイコフスキー バレエ組曲「白鳥の湖」作品20』楽曲解説より)



上記の楽譜集の解説よると、二人が湖に呑まれるシーンのスコアは「白鳥の主題」と「死の動機」そして下降する「悪の半音階」が同時演奏され、真のクライマックスを築いているそうです。

スヴェトラ先生が原典通りの「悲劇の結末」を意識したのか、それとも「愛は悪に勝利する」という結末を意識したのか、どちらなんでしょうか。

私の買ったCDはこちらです。
スヴェトラーノフ指揮、ソビエト国立交響楽団演奏のチャイコフスキーの三大バレエの全曲版です。

★Tchaikovsky: Ballets - Swan Lake Op.20, Sleeping Beauty Op.66, Nutcracker Op.7
演奏/Evgeny Svetlanov 、USSR State Academic Symphony Orchestra



CDのライナーノーツには、ソビエト時代の(勧善懲悪的で)楽観的な結末についてmispresentationだと批判的に書いてあるのと、あらすじには、原典通りの結末が書かれていることから、「悲劇の結末」を意識していたと考えるのが自然なのでしょうか。

しかし、この演奏の録音は1988年。ソ連はペレストロイカの真っ最中、ソ連崩壊なんて誰も思いもしなかった頃。翻って、このCD集の発売は2011年。つまり、ライナーノーツも2011年に書かれたこのだと考えるのが妥当でしょう。

CDの解説では批判的でしたが、やはり、録音時期からして、スヴェトラ先生は、ソ連式の「最後に愛は勝つ」的結末で演奏していたのではないのかなあと私は思います。

実際、そうとしか思えない演奏ですから。

このCD集が素晴らしいのは、チャイコフスキーの三大バレエを全曲演奏していることです。
ライナーノーツにはこう書いてあります。



Regretfully,   the  tradition  of  ballet performances  extremely  rarely  conveys  the  composers'  original  scores to the  spectator  and  listener  sacrificing  them  to  the  choreographic concept through shortenings   changes   in    the succession  of  the  scenes  and,  sometimes,  shameless  replacements  of  fragments  with  alien  "inserts."  That  is  why this  album  offering  full  versions  of  the scores  to  the  three  ballets  is  particularly  valuable.  It  lifts  a  heavy  curtain of  the  later  developments  unveiling  the entire  beauty  of Tchaikovsky's  original concept.



英語は苦手なんで自動翻訳のお手を借りておおざっぱに訳しますと、

「残念なことに、バレエの伝統はチャイコフスキーのオリジナルスコアを観客やリスナーに伝えていないので、三大バレエのスコアの完全版を提供できるこのアルバムは貴重で、チャイコフスキーのオリジナルのコンセプトの美しさが明らかになるでしょう。」

といった感じのことを書いていると思います。

バレエでは、テンポの設定などにおいて、音楽性よりも舞踏の方が優先されてしまいます。ですが、このCDでは、音楽としての完成度の高さ、構成力など、チャイコフスキーの素晴らしさというものが伝わってくるだろうと思います。

白鳥の湖の全曲演奏は数あれど、スヴェトラーノフ指揮のこの演奏ほど、躍動感溢れる、ドラマティックなものは他にないでしょう。


風に吹かれて

早朝、川べりを散歩しました。

風が強くて、その風に吹かれていると、
木々草花のゆらめきや、水面の波紋で、風のリズムを感じます。

たまたま、ipodで「エステ荘の噴水」「水の反映」「水の戯れ」を聞いていたのですが、これは、非常に意外だったのですが「水の戯れ」のリズムが今日の風のリズムとぴったりと呼応していたのです。

ラヴェルの「水の戯れ」は、自然のもつリズムのダイナミズムというものを、とてもよく表現していたのだと、今日はじめて気がつきました。

いやあ、やっぱ、大作曲家はスゴいですね。
昨日、ヨーヨー・マとイツァーク・パールマンのアカデミー賞の動画を紹介しましたが、オバマ大統領の大統領就任式典での演奏も有名ですよね。

これが、その時の動画です。

★Itzhak Perlman Yo-Yo Ma Inauguration Performance(YouTubeより)



この時、米国CBSがヨーヨー・マにインタビューしています。
その動画がこちら。

★Yo-Yo Ma's Obama Groove
January 17, 2009 1:00 AM CBSNEWSより

こちらは、そのインタビューのテキスト版です。

★Yo-Yo Ma Thrilled To Play At Inauguration
BOSTON, Jan. 16, 2009
CBS Evening News: Sneak Preview Of Song Cellist Who Has Played For Five Presidents Will Play For Obama
By Michelle Miller

このとき演奏されたのが、ジョン・ウィリアムズ作曲の『Air and Simple Gifts』で、この曲に関して、高森郁哉氏のコラムに詳しくありました。

★高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

CBSニュースには、ヨーヨー・マが、子供の頃、故ケネディ大統領の前で演奏する姿もありました。すごいですね。奇しくも、二人の歴史的なリベラル派の大統領のために演奏するヨーヨー・マ。彼もまた、偉大なるチェリストですよね。
以前、真央ちゃんの来季の楽曲提案をしました。

★来季への展望 浅田真央編

★それでもやっぱりクラシック

牧神の午後、映画ショコラやホリデイのテーマをなどを紹介しましたが、自分でもいまひとつピンとこないし、映画はまあ少しは観てる方だと思うんで、映画音楽はちょっとは知ってるけど、そもそも、音楽に詳しくないので、ネタ探しにレンタルショップでCDをいくつか借りました。(←振り付け師でもないのに何やってんの? 笑)

借りた中でも大当りだったのが「Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone」でした。

エンニオ・モリコーネの作品をモリコーネ氏がプロデュース、作曲、オーケストレーション、指揮をてがけ、ヨーヨー・マ、ローマ・シンフォニエッタ・オーケストラ、ピアノをジルダ・ブッタが演奏するというなんとも豪華なアルバム。

いやあ、素晴らしかったです。

エンニオ・モリコーネもヨーヨー・マも大好きなんで最高に堪能しました。

あと、フィギュアファンとしても、お宝CDなんですよ。

アシュリー・ワグナー選手の09-10シーズンのショートが「映画 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のテーマなんですが、はじめて演技を観たとき「音楽がサントラじゃなくて、チェロの演奏がいいねえ。もしかして、これって、ヨーヨー・マのチェロじゃないの?」って思ってましたが、やっぱり、そうでした!

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」は、私がはじめて観た大人の映画で、それまで、アニメやアイドル映画しか観た事のなかったので、もの凄い衝撃をうけたし、いろんな意味で思い入れが深いのです。当時中学生だったのですが、あの時、セルジオ・レオーネの最後の映画を観られたのは、今振り返ると、凄く幸せなことだったなあと思います。

そんな思いもあって、アシュリーの演技は素晴らしいし、ヨーヨーのチェロも素晴らしいし、至福のプログラムでしたね。

そして、このアルバムには、美姫ちゃんのフリー「クレオパトラ」で一部使われた曲(Main Theme From Marco Polo)も入ってるし、ジョニー・ウィアーのフリーの「Fallen Angels」でも、このCDに収められてる曲(The Lady CaliphよりNocturne)が一部使われてるんですよ。

フィギュアの音楽って、オリジナルのまま使う事はあまりなくて、演技にあうように編集して、いろんな楽曲を切り貼りしてるんですけど、思わぬところで、思わぬ出会いがありました。

映画「ミッション」や「海の上のピアニスト」のテーマもフィギュアではよく使われますよね。これらも収録されてます。

モリコーネファンとしても、ヨーヨー・マファンとしても、フィギュアファンとしても、すごく醍醐味のあるアルバムでした。

あと、モリコーネとヨーヨーの出会いって、2001年の第73回米国アカデミー賞だったそうですね。アマゾンの商品情報に書いてました。それを読んで「ああ!あの時なんだ〜〜!」って、マニア的には「うわ〜〜〜」って感じでしたねえ。

その時のアカデミー賞の作曲賞のノミネート作品をヨーヨー・マとイツァーク・パールマンが演奏したのですが、それがもう素晴らしくって!近年のアカデミー賞の中でも忘れられない至福の時間のひとつなんですよ。

その時の動画をみつけたんで、紹介しますね。

★oscar YO-YO ma & Itzhak Perlman academy awards(YouTubeより)




エンニオ・モリコーネも『マレーナ』で作曲賞にノミネートされてました。この時のアカデミー賞の出会いがなければ、このアルバムも生まれたどうかわからないし、二人を出会わせてくれて、神様ありがとうって感じです。

この第73回米国アカデミー賞で、ヨーヨーも制作に参加した『グリーン・デスティニー』のタン・ドゥンが作曲賞を受賞しました。

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