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映画の話が続いておりますが・・・、
「星になった少年」の記事でコメントをいただき、
柳楽優弥くんの映画デビュー作でもある「誰も知らない」について
あらためて思い出す機会がありました。
ずっと前にも少し記事に書いたのですが、
どうしてもまたこの作品を思い出してしまい、
思い出しただけで涙が出てきてしまい、
今日は本格的にみなさんに観て欲しい作品として
オススメしようと思った次第です(・ω・  (;・ω・)
ずっと以前から遊びに来てくれている方で
こんなような記事を読んだことがある人は勘弁ね・・・^^;
日本人初のカンヌ映画祭主演男優賞をとったとして
柳楽優弥くんの名前を知っている方もいらっしゃるでしょう。
写真左が柳楽くん、右は是枝監督。
子役としてすごい演技力があるとか、
そういう理由で選ばれたのではないと私は思います。
この哀しい、切ない実話に基づいたお話の中で、
ものすごい目力を持つ彼の目を通して見えた世界に
きっとみんな吸い込まれたのだと思うんです。
何もかも見透かされてしまうようなあのまなざしの奥に、
子供達が描いた小さな幸せへの期待だとか、
小さな小さな彼らの世界にいつもあった「信じる気持ち」だとか、
そういったものがたくさん見えてくるのです・・・。
是枝監督の特徴というか、この映画の中には
作られたセリフはほとんどありません。
言ってみれば、子供達は演技というより
それぞれのシュチュエーションの中で自然に会話をしていきます。
この手の作品には賛否両論あるでしょうけど、
(セリフが棒読みだとか、演技力関係ないとか・・・)
ぜひ一度は観て欲しい作品です。
この作品は1988年に東京で実際に起こった
「西巣鴨子供置き去り事件」をもとに作られています。
実際の事件について(映画ではなく)私が知る限りの事をやや簡略化して書きます。
ある女性が男性と同棲し、ふたりの息子と一緒に暮らしていましたが、
ある日その男性は蒸発してしまいます。
子供達の出生届は出してあると女性は聞かされていましたが
実は届けは出されていませんでした。
その後も女性は交際相手との間に子供を儲け、
長男・次男・長女・二女・三女という順番で、
上の二人以外はみな父親の違う子供を産んだのでした。
次男は長女が産まれる前に亡くなり、
小さな亡骸は彼らが住むアパートの押し入れに、
たくさんの消臭剤と一緒に隠されていたそうです。
子供達の父親であるどの男性も、女性と結婚することはなく、
子供達は全員出生届を出されずに学校にも行かずに成長していくのでした。。。
女性はデパートで働きながら子供達を一人で育てていきますが、
ある日長男が14歳の時に
20万円ほどの現金と
長男へ「妹たちをよろしく頼む」という置き手紙を残して家を出てしまいました。
長男14歳、妹たちは7歳、3歳、2歳でした・・・。
ここから子供だけの生活が始まります。
母親は長男にときどき会って、7万程度のお金を渡していたようですが、
母親がアパートに戻ることは一度もありませんでした。
そんな中、長男に初めてできた友達がアパートに入り浸るようになり、
一番下の妹を折檻死させてしまいます。。。
長男は友人Aが殺してしまった妹を友人Bと一緒に秩父の山に捨てに行きました。
どこにも行ったことのない妹に山を見せてあげたかったから、
自分が幼い頃訪れた記憶のある秩父を選んだそうです。
子供達だけで生活していることが発覚し
実際に保護されるまでには9ヶ月が経っていました。
電気もガスも水道も当然止まっていたでしょう。
「あの部屋はどうやら子供達だけで生活をしているようだ」
大家さんからの通報でこの事件の全貌が明らかになっていきました。
母親の行方も捜索され、取り調べを受ける中で
彼女の「一番下の子供がいない」、この言葉から折檻死が発覚します。。。
すべての事件が発覚し、母親保護者遺棄、致死で起訴。
次女が重度の栄養失調だったために致傷罪も加わり、
懲役三年執行猶予四年の判決が下されました。
長男は一番下の妹に対する傷害致死、死体遺棄で起訴されましたが、
取調べによって友人の少年たちに非があることがわかり、彼は養護施設に引き取られました。
長男は警察で「今一番何がしたい?」と聞かれた際、
遊びたいでも何かを食べたいでもなく、
「勉強がしたい。」そう言ったそうです。。。
哀しいかな、施設に引き取られ14歳にして初めて
長男は学校というものに通うことができたのでした。。。
そして、最後まで長男は
「お母さんは悪くない、自分がもっとしっかりしていればこんな事にはならなかった」と
自分を責めたといいます。
母親が蒸発しても妹が死んでも長男が警察に通報しなかったのは
姉妹みんながバラバラになるのがイヤだったからだといいます。
幼い頃から度々母親は姿を消すことがあり、
施設に入れられた経験のあった長男は
その時の家族がバラバラになる悲しさを覚えていたのでしょう。。。
映画では兄弟の設定や妹の死因などが事実とは異なっています。
そして、こんなに哀しいお話なのに、
なぜかどこかしら暖かみを感じてしまうことさえあるのです。
母親がいなくなってしばらくは、
小さなアパートの部屋が子供達にとってはユートピアだったかもしれない、
そんなふうにさえ思える瞬間があります。
大人のズルい部分、事件の悲惨さ、社会の無関心さが出ていながらも
子供達の澄み切った目に惹かれてしまうからかもしれません。
是枝監督も悲惨さや事実を訴えたかったのではないのでしょう。
そして、ただひたすら
切ない気持ちでいっぱいになります。
4人で寄り添って生きていた子供達、
14歳の男の子の肩にかかった
妹たちを育てるという使命はどれだけの重圧だったことか、
どんなに心細く、孤独だったことか、
学校を知らない長男に初めて友達ができたとき彼はどんなに嬉しかったか、
それなのに、そのことが原因で妹を死なせてしまったときどんなに苦悩したか・・・
胸が締め付けられる思いがします。
実在する長男は、私と実年齢がさほど変わりません。
自分が家族の中で幸せに育てられていた時に
こんな経験をしていた人がいるのだと思うと
本当にやりきれない思いになります。
それと同時に、
今はこの兄弟達が幸せな人生を歩んでいてほしい、そう願わずにはいられないのです・・・。
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