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これまで4回に渡って嵯峨塩温泉『嵯峨塩館』の宿泊レポを紹介して来ましたが、最終回となる今回は、自家菜園で栽培された無農薬野菜の他、山菜や川魚などの山の幸を存分にいただける「山家会席」と称された宿の食事について紹介したいと思います。 先ずは夕食の紹介です。 夕食の支度ができたとの連絡が入り、1Fの食事処へと足を運びました。 お風呂の手前に食事処が2箇所設けられていました。 今回の食事処は小上がりとなっている座敷タイプで、他の宿泊客と共にいただきますがテーブル毎に衝立が立っています。 食事処の雰囲気は他の館内のつくりに比べると地味目な印象で、もう少し雰囲気づくりを頑張って欲しい感じがしました。 席に着くと、前菜と鍋物が美味しそうに並んでいました。 先ずは前菜をいただきます。 前菜は5品で、ねっとり滑らかな舌触りのピーナツ豆腐、大根おろしでさっぱりといただく岩魚の卵、幻の茸といわれる珍しいあみ茸の酢の物、郷土の味覚であるあわびの煮貝、甘くてつややかな花豆の煮豆です。 どれも皆、山のご馳走という感じで美味しくいただきました。 続いては、自家製オーガニック野菜と共にいただくいの豚鍋です。 いの豚は猪よりも柔らかくクセの無い味わいで、甘めの味噌の風味と非常に良く合います。 私は猪鍋も好きですが、豚は大丈夫でも猪は少し苦手という人にも美味しくいただけると感じました。 続いて自家製の刺身こんにゃくが運ばれて来ました。 こんにゃくにはエゴマと大葉が練り込まれ、さっぱりとした酢味噌でいただきました。 川魚のお造りなどが出てくるよりも、シンプルで良かったです。 こちらはうずらの焼き物です。 卵は良く食べますが、うずらの肉というのは初めていただきました。 エビのようにぷりぷりとした食感で、臭みなども全く無く塩味が効いていてとても美味しかったです。 次の料理も焼き物が続き、アマゴの熊笹焼きが運ばれて来ました。 熊笹に包まれたアマゴの身に箸をつけて、ビックリ。 ほっこりと焼き上がった身の中には、エノキやしめじなどの茸類が隠されていたのでした。 単なる塩焼き等はよく食べているので、このように一工夫されているだけで美味しさが何倍にも広がります。 続いて口直しとして運ばれて来たのは、無花果の冷製スープです。 無花果の甘みが際だち、飲むヨーグルトの様に濃厚で飲み応えのある一品でした。 続いての料理は、聖護院大根の田楽です。 良く味のしみた大根の煮加減も完璧で、上に乗るねぎ味噌との相性も抜群でした。 酒の肴としてピッタリのような味わいです。 料理はまだ続き、続いての一品は長芋と舞茸のかき揚げです。 軽めにさっくり揚がった甘みのある長芋と歯ごたえのある舞茸に、白髪葱とショウガが添えられてさっぱりといただけます。 味はとても美味しかったですが、残念だったのがあらかじめ天つゆに浸してあったこと。 出来れば汁は別添えにし、好みで浸けていただきたかったです。 そして食事が運ばれて来ましたが、こちらも盛りだくさんな内容で驚きました。 お膳の上には、むかごご飯、香茸の吸物、漬物、よもぎ入りの手打ち蕎麦、大根とフカヒレの卵寄せです。 どれも皆美味しくいただき、すっかり満腹になってしまいました。 最後はデザートで、山栗のアイスとなります。 ほのかな甘みの栗のつぶつぶが口の中で溶け、最後まで美味しくいただくことができました。 午後六時から約1時間半かけて夕食をいただいた後、ロビー脇の談話室へと足を運びました。 こちらの談話室では、夕食後と朝食後に囲炉裏を囲んで自由にコーヒーや紅茶をいただくことができるようになっています。 さらに嬉しいサービスとして、囲炉裏脇にお餅が置かれておりこちらも自由に焼いていただくことができました。 残念ながら夕食で十分にお腹がいっぱいになってしまいましたが、郷愁を誘うあたたかなもてなしの姿勢が感じられます。 囲炉裏の火を眺めながら、しばしコーヒータイムを楽しませてもらいました。 以上で夕食の紹介を終わります。 地の物を中心としたジビエのような山里のご馳走をいただき、身も心も満足することができました。 惜しむらくは食事処の雰囲気で、個室とはいいませんが囲炉裏を切ったり、掘りごたつ式にするなどもう少し宿の雰囲気にあったつくりに改装した方が良いと感じました。 引き続き朝食の紹介です。 朝食も夕食と同じ会場・同じ席が用意され、支度が整うと部屋に連絡が入ります。 朝は窓の外が眺められましたが、苔むした通用門や石垣の庭園などが渋い景観をつくり出していました。 朝食はまとまったお膳でいただきます。 様々な山菜の佃煮や川魚の甘露煮、温泉卵に野菜サラダなど、山の宿らしい素朴でシンプルなおかずが並びました。 他に湯豆腐なども運ばれ、炭火が入った器で保温されていました。 良くある固形燃料で温めるよりも、何となく嬉しい感じがします。 そしてご飯と味噌汁です。 味噌汁は山梨名物のほうとうを彷彿とさせるような、かぼちゃなどの野菜が入った具たくさんなもので、非常に優しい味わいでした。 朝食は見た目地味な感じもしましたが、山菜の佃煮が非常に美味しくてご飯が進む満足できる内容でした。 また朝食後、お風呂の正面にあるもう一つの食事処を覗いてみました。 こちらは畳にテーブル席というスタイルで、満室の時などはこちらの食事処も利用するのかも知れません。 場所的にこちらの方が調理場から離れているのと、お風呂のすぐ前という位置があまり良くないのかも知れませんが、今回利用した食事処よりもこちらの方が雰囲気良く感じられたので、利用しないのは少しもったいないような気がしました。 最後にもう一度お風呂に入り、名残惜しい感じで宿を後にします。 チェックアウトの際には、お年をめいた大女将らしき女性の見送りを受けると共に、お土産として柿を何個かいただきました。 最後まであたたかい気持ちと満足感に包まれながら、冬晴れの山道を走って帰路へつきます。 途中、山の向こうに真っ白い富士山のいただきを目にし、また来ようと心に思いました。 今回初めて『嵯峨塩館』に宿泊してみて、温泉、宿の雰囲気、客室、料理、接客と、全てにおいて思っていた以上に素晴らしく、心から満足できる一人旅となりました。 正直、東京から1時間半程度で足を運べるような場所に、このような秘湯感たっぷりの個性的な宿が存在することに驚きを感じさせられます。 今回は平日泊ということでわずかに3組だけという宿泊客であり、何をするにも静かで落ち着いた環境の中で滞在できたことも非常に幸いしました。 実は今年の正月にも日帰りで嵯峨塩館に足を運び、再びゆったりとした湯浴みを堪能して来ました。 宿泊時からわずかに一月後の訪問ではありましたが、道路や山々は所々雪景色となり、ここが標高1300Mの山の宿であるということをあらためて実感した次第です。 次回は新緑や紅葉の盛りに、必ずまた足を運びたいと思いました。 採点(5段階) 接客・・・・・4.5(素朴であたたかい感じ。つかず離れずで程良い接客だった) 館内の雰囲気・・・・・5(吹き抜けのロビーや談話室など、歴史を感じる重厚な木造の建物が素晴らしい) 部屋の雰囲気・・・・・4.5(独創的な民芸調の雰囲気に大変満足) 清潔感・・・・・4.5(黒光りする廊下や浴室など清掃が行き届いていた) 温泉・・・・・5(完全な掛け流しではないが、浴室の雰囲気、泉質、眺望など大変満足) 夕食・・・・・4.5(ありきたりな感じがせず、山のご馳走を存分に堪能でき大変満足) 朝食・・・・・4(質・量とも特に不満なし) コストパフォーマンス・・・・・4.5(一人泊で約2万円。二人以上なら1万円代で宿泊できてほぼ5) 総合満足度・・・・・5(思っていた以上に静かで充実した滞在ができた) 次回リピート度・・・・・5(アクセスも容易なため、季節を変えて必ず再訪したい)
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嵯峨塩温泉 嵯峨塩館
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武田信玄の隠し湯の一つとして、古くからその効能が知られて来た嵯峨塩鉱泉〜。 無色透明のさらりとした肌触りの鉱泉は、加温・循環式でありながらph10.2という高アルカリ性のつるつるした浴感で、その浴室の雰囲気も合わせて極めて癒し度の高い湯浴みを堪能することができます。 第4回目となる今回は、檜の香りが心地よい内湯と豪快な岩組みの露天風呂を有する宿のお風呂について紹介したいと思います。 お風呂は新館の1Fにあり、階段を降りた先の案内板に沿って先へ進みます。 食事処を通過してお風呂へと進みますが、扉の先にはほんのりとした温泉の香りが漂っていました。 男女別の浴室は隣り合っていて、チェックイン後から夕食後までは向かって手前が男性用、夕食後から翌朝までは向かって奥が男性用という風に男女が入れ替わります。 『嵯峨塩館』は日帰り入浴も受け付けており、お風呂の大きさはあまり変わりませんが、つくりが異なっているため両方入ることができるのは泊まりならではの楽しみです。 浴室前の廊下には、ご覧のようなお手製の温泉成分表が掲示されています。 雰囲気的には良く似合っているとは思いますが、個人的には正確に分析された成分表を取得して掲示してもらいたいと感じました。 ユーモアなひょっとこのお面が掲げられた暖簾をくぐり、中へと入ります。 脱衣所は小じんまりとしていますが、清掃も行き届いていて快適に利用することができました。 貴重品を入れるロッカーなどは設けられていません。 服を脱ぎ、はやる気持ちで浴室の扉を開きます。 浴室内に入ると、HPなどで目にしたよりもはるかに素晴らしい雰囲気のお風呂が目に飛び込んで来ました。 モザイク状の切石の床と檜の湯船とのコントラストが抜群で、落ち着いた風情に加えて山奥の秘湯とは思えないお洒落な雰囲気さえ漂っていました。 内湯には、やや熱めに加温された優しい肌触りの湯が注がれます。 檜の香りが大変心地よく、目を閉じて一人静かに極上の湯浴みを満喫することができました。 洗い場も雰囲気に似合ったつくりとなっています。 特筆すべきは鏡の前に設けられている掛け湯です。 こちらには加温された源泉が常に満たされており、体を洗う際や上がり湯の時など、鮮度の高いお湯を桶ですくって存分に味わうことができるようになっています。 こちらの掛け湯が嵯峨塩鉱泉のお湯の特性を最も感じることができ、高アルカリ性の滑らかなお湯が非常に心地よく肌を伝っていきました。 無くてもいい感じがしましたが、女性などには嬉しいシャワーもしっかり設けられていて安心です。 続いて外の露天風呂にも足を運んでみます。 露天風呂は内湯とは対照的な岩風呂で、こちらも小じんまりとして落ち着いた雰囲気が漂っていました。 柵の向こうには渓流を眺めることができます。 湯口として使用されているネズミサシの木は、日本最古のワイン用葡萄棚の杭を使っているとの標示がされていました。 但しこちらの湯口から注がれるお湯は、内湯に注がれたお湯が穴を伝って流れ落ちているだけであるため、新湯というわけではありません。 岩の間から別にもう1箇所湯口が設けられていました。 ひとしきり温泉を満喫した後は、浴室前に設けられた椅子に腰掛けて麦茶をいただくことができました。 湯上がり時にいただく冷たい麦茶の味は格別です。 引き続いて、男女が入れ替わった後のお風呂を紹介します。 入れ替え後は手前が女性用、奥が男性用のお風呂となり、女性用はひょっとこに対しておかめのお面が掲げられていました。 こちらがもう一方のお風呂の脱衣所です。 細長く狭い空間ですが、常に貸切状態であったので特に不便は感じません。 何となく脱衣所内にいい香りが漂っているのに気づくと、洗面台の上にさりげなく置かれた茶香炉に火が入れられていました。 大変嬉しく感じされる宿の細やかな心遣いだと思います。 そしてこちらが檜の内湯です。 隣の浴室とは形が異なり。横長の湯船となっていました。 窓の外には蔓草がうねり、品の良いお風呂に野趣が加わります。 洗い場のつくりはほぼ同じとなっています。 露天風呂へは、内湯の横にある出入口と脱衣所の扉の両方から足を運べるようになっていました。 露天風呂の雰囲気・大きさはほぼ同じようなつくりです。 湯煙に包まれながら少し温めのお湯にゆっくりと浸かり、身も心も癒される瞬間です。 そして柵の向こうには、渓流に注ぐ滝を眺めることができました。 以上で『嵯峨塩館』の癒しのお風呂についての紹介を終わります。 含有成分の薄い冷鉱泉ながらも滑らかで優しい湯の感触、ほのかな湯の香りやすがすがしい檜の香り、センスの良い清潔な浴室と湯船、眼下を流れる渓流や滝の眺めなど、五感を満たす癒しのお風呂に大満足の思いでした。 混み合った時であればまた印象が違ったかも知れませんが、貸切状態でこの素晴らしいお風呂を満喫することができただけでも、この宿に足を運んだ甲斐があったというものです。 以前加入していた「日本秘湯を守る会」は自主退会されたと聞きましたが、この宿のお風呂はそれらの宿を上回る素晴らしさであると思います。 東京近郊にある宿の中では、文句なしトップクラスのお気に入りとなりました。 次回は滋味溢れる山の幸をふんだんにいただける宿の食事について紹介します。
次回へと続く・・・ |
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黒光りする木の床、吹き抜けの空間を支える重厚な柱と梁、優しい光りを放つ照明や古民具などをはじめとした調度品の数々〜。 『嵯峨塩館』の館内には、歴史有る木造の建物独特の落ち着いた雰囲気と懐かしさを感じる心和む空間が広がっています。 第3回目となる今回は、そんなレトロモダンな館内の風景について紹介したいと思います。 部屋に通されてお茶をいただいた後、早速館内の散策へと出向いてみました。 部屋を出て廊下を左手に進み、吹き抜けの空間へと足を運びます。 ロビー上部に広がる本館2Fには、吹き抜け空間を囲むように通路が設けられ、ずっと眺めていたくなるような魅力溢れる建築意匠が広がっていました。 よく見ると梁の上には可愛らしい栗鼠の姿などがあって、遊び心が感じられます。 この他にも、館内至るところに動物や昆虫などの小さな装飾が施され、見つけるたびに楽しくなりました。 続いて1Fのロビーへと足を運びます。 2Fからロビーへと続く階段も重厚な趣で味わい深い感じがしました。 階段を降りると、帳場の前にレトロな趣のロッキングチェアなどが並んでいて、シックな雰囲気をつくりだしていました。 窓の外にはご覧のような庭園風の池を望み、岩魚などが泳ぐ姿を眺めることができます。 ロビーの一角にはお土産処や談話室なども設けられおり、右側がお土産処、左側が談話室となっています。 彫りあげられた「みやげ」の案内も味わい深い意匠です。 お土産処には、地元のお菓子や山菜類などの加工品が並んでいました。 こちらは談話室の入口です。 囲炉裏のある談話室は自由に利用することができ、中へ入ると懐かしい雰囲気が漂います。 夕食後や朝食後には、こちらの談話室でコーヒーや紅茶などを自由にいただくことができました。 囲炉裏にくべられた炭の炎を眺めながら、穏やかな気持ちで読書などを楽しめるようになっています。 またロビー内には、ご覧のような樹齢650年と云われるクスノキの幹が飾られ、一際存在感を放っていました。 最近ロビーに設置されたばかりの暖炉も、あと数年たてば味わいが出てくるものと思います。 その他、館内の至るところに山の宿らしい調度品が飾られていて、まるで古美術館のような様相を呈していました。 宿の外にも足を運んでみます。 こちらは宿の外観です。 落ち着いた山の宿といった雰囲気ですが、その外観以上に館内に広がる空間は魅力的であると感じました。 日川の深い渓谷沿いに建っているため、宿は高台に位置する感じになっています。 玄関前には渓流を眺めることのできる屋根付の休憩スペースが設けられ、夏場は夕涼み、新緑や紅葉の頃などは四季折々の風景を楽しむことができそうです。 山の宿の夜は足早に訪れ、日中とはまたひと味違った表情を現します。 日が暮れた後のロビーは都会の喧噪を忘れさせ、静かでゆっくりとした時間が流れていくことを実感できました。 わずか3組の宿泊客だけだったため、この素晴らしい空間を独り占めしたような贅沢な滞在となりました。 以上で『嵯峨塩館』の館内に広がる風景についての紹介を終わります。 洗練されすぎず、田舎くさ過ぎず、センスの良い独特な居心地の良い空間にすっかり魅せられてしまいました。 お風呂上がりの際など、私はことある毎にロビーや談話室へと足を運んで、くつろぎと癒しの時間を満喫していたように思います。 宿のスタッフが程良い距離感で接してくれることも、自由気ままにのんびりと過ごせる一つの要因かも知れません。 『嵯峨塩館』の館内は、木の温もり感に加えて木の重厚感に心奪われる素晴らしい風景の数々が広がっていました。 次回は昔ながらの鉱泉を引いた、癒し度満点の宿のお風呂について紹介したいと思います。
次回へと続く・・・ |
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嵯峨塩温泉『嵯峨塩館』の客室は全部で12室〜。 和室を中心に和洋室も2室設けられ、部屋毎によって意匠が異なると共に、部屋毎に細かく料金設定されているので、予算や好みに応じて予約することができます。 第2回目となる今回は、宿泊した客室の様子について紹介したいと思います。 今回宿泊した客室は旧館2Fの「すずらん」という名の客室です。 以前から『嵯峨塩館』に泊まるなら、ぜったいに旧館2Fの2部屋、「すずらん」か「りんどう」のどちらかと決めていたので、希望の客室が予約できて良かったです。 女将さんに案内され、早速部屋の中へと足を運びました。 襖を開けると、手作りの電灯が印象的な落ち着いた空間が広がっていました。 宿自家製の干し柿をお茶請けに、先ずはお茶を一杯いただきます。 10畳の和室には初冬ということで電気カーペットが敷かれ、足下の寒さをしのげるようになっていました。 更に和室の隣には、ソファーが置かれたリビングスペース(広縁)も設けられています。 民芸調の装いを強く感じるリビングには、雰囲気にあったテーブルとソファーが置かれ、インパクトのある大胆なデザインの灯りが、部屋の雰囲気作りに一役買っていました。 また、角部屋のために窓も2面取られていて、窓を開けると眺望が効くようになっていました。 客室内の襖は障子だけでなく、黒光りする渋い木の皮が張られた襖が備えられ、部屋に落ち着き感を産んでいます。 リビングスペースから和室を眺めるとこのような光景になります。 掛け軸の下がる床の間のスペースには、ありきたりな花器ではなく大胆なオブジェが飾られていました。 床の間横に置かれたテレビと黒電話も、客室の雰囲気にあった年代物といった感じです。 見ることはありませんでしたが、映画のビデオテープなども何本か用意されていました。 こちらは和室からの眺めです。 眼下には渓流を望み、目の前にはすっかり葉を落とした大モミジの樹がそびえていました。 新緑や紅葉の頃の眺めは、さぞかし素晴らしいものであろうことは容易に想像がつきます。 こちらは客室内の廊下です。 広く取られた木の廊下の奥には、冷蔵庫が設けられています。 冷蔵庫の上には冷水ポットが用意され、冷蔵庫内も持ち込みスペースはわずかですが確保されていました。 こちらは木の温もり感が心地良い洗面スペースです。 洗面台のすぐ隣はゆとりある空間のトイレとなっていて、ウォシュレットもしっかりと装備されていました。 こちらは浴衣類とタオルです。 浴衣・バスタオル共、用意されているのは一つずつでした。 標高1300Mにある山の宿のため、夜はかなり冷え込みます。 敷かれた寝具は、掛布団のサイズが自分にはやや小さく、一晩中電気カーペットを付けて寝ることにしました。 ストーブを付けて寝るのは個人的に好きではないのですが、真冬にはストーブを付けて寝る必要がありそうです。 リビングルームが設けられているため、布団を敷いた後でもソファーに座ってくつろぐことができるのは嬉しい気がしました。 以上が宿泊した客室「りんどう」の紹介ですが、この日は他に2組だけしか宿泊していないとのことで、他の空いている客室も見学させてもらいました。 先ずは新館客室の方へ足を運んでみます。 新館の建物は、廊下や壁も重厚さは少なく、明るいナチュラルテイストな雰囲気を感じました。 こちらは新館の和洋室「あけび」です。 落ち着いた内装の和室にベットルームを備え、シックな雰囲気が漂います。 新館の客室は、趣よりも快適さを感じるような意匠が多かったので、極端な民芸調客室を好まないような人には、モダンでシンプルな新館客室の方が向いているかも知れません。 再び本館の2Fへと戻り、宿泊した客室の隣にある「りんどう」の部屋内を見学させてもらいました。 客室の入口は「すずらん」と同じつくりです。 中に入ると、「すずらん」よりもかなり広めのつくりとなっており、14畳もの和室に6畳ほどのリビングスペースが設けられていました。 ソファーの置かれたリビングスペースも、個性的で落ち着いた佇まいとなっています。 新館客室に比べて、いかにも古民家の宿を感じさせる独特の空間が広がっていました。 こちらの「りんどう」の間は、かなりゆとりのあるつくりとなっているため、2人程度ではその空間を持て余してしまうような感じも受けました。 個人的には、自分が宿泊した「すずらん」の間がこの宿で最も趣のある客室であるように思います。 装飾がやや懲りすぎのような気もしないではないですが、宿主のこだわりの空間に滞在し、非日常的な時間をどっぷりと満喫することができて大変満足な滞在となりました。 次回は、趣とレトロモダンな空気が調和した館内の風景について紹介します。
次回へとつづく・・・ |
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山深い大菩薩の峰嶺を望む甲斐の国は大和村(現・甲州市)に、以前から是非一度足を運び、思う存分に味わってみたいと自分の中で温めていた二つの場所があります。 一つは、蕎麦切り発祥の地とされる天目山の蕎麦屋にて、新蕎麦を食すということ。 もう一つは、標高1300Mという山間に佇む秘湯の一軒宿、嵯峨塩温泉『嵯峨塩館』に宿泊し、レトロモダンな湯宿の雰囲気にどっぷりと浸かってみたいということです。 時はちょうど11月の末日〜。 紅葉狩りで賑わった山はシーズンオフで人手も少なくなり、蕎麦は一年で最も美味しいとされる季節を迎えようとしている頃でした。 そんな絶好の条件の中、休日出勤の代休日で運良く金曜日に休みを取ることができたため、前日に急遽宿の予約を入れ、念願の『嵯峨塩館』へと足を運ぶことになりました。 そういうわけで、今回は男の一人旅です。 これから数回に分けて、嵯峨塩温泉『嵯峨塩館』の宿泊レポを紹介していきたいと思います。 初めとなる今回は、宿にチェックインするまでの様子について紹介します。 最寄りの国立府中ICで中央高速に乗り、わずか40分ほどで大月ICへ到着しました。 インターを出て、国道20号線をしばらく走った後、笹子トンネルの先を右に折れて旧大和村へと続く山道をひた走ります。 晩秋の山道は平日のためか車も少なく、どこか哀愁が漂っていました。 途中、品の良さそうな蕎麦屋を横目に眺めつつ、目指していた「天目庵」のある日川渓谷レジャーセンターへと到着しました。 夏場はキャンプ場や釣り堀などで賑わっているようですが、シーズンオフの平日のためか人っ子一人の姿も見かけず、閑散とした雰囲気でした。 駐車場に車を停め、長年足を運んでみたかった「天目庵」の暖簾をくぐります。 外観は場末のB級蕎麦店の香りがぷんぷん漂っていましたが、暖簾にはしっかりと「そば切り発祥の郷」の記載がされていて少しほっとしました。 店内に入ると、いかにも大衆食堂といった雑多な印象を受けました。 私が一番客のようだったらしく、テーブル席に座って談笑していた主人達でしたが、私の姿を見るとすかさず立ち上がって厨房内へと入って行きました。 先ずはおやきを注文してみました。 もろこし粉に熱湯を入れて作るらしく、この地方の郷土料理にもなっているようです。 中には高菜(野沢菜だったかも)が入っており、熱々ピリ辛で美味しかったです。 そしてこちらが蕎麦切り発祥地の伝統を今に受け継ぐ、せいろ蕎麦です。 地元で栽培された蕎麦粉を仕入れ、店内で自家製粉しているという蕎麦は、水切りがやや甘かったのが気になりましたが、適度な歯ごたえと喉ごしがバランスの良い美味しい蕎麦でした。 付け汁はやや濃い口でしたが、別に薄めの汁でいただくメニューもありました。 店の外観から心配しましたが、蕎麦の味はまずまずだったので満足です。 また、「天目庵」から少し離れた場所に「天目山栖雲寺」という寺院があり、江戸中期の国学者・天野信景の残した文献に、こちらの寺の参詣者に蕎麦切りを振る舞うようになったことが蕎麦切りの始まりとの記述があるようです。 翌日に立ち寄ってみましたが、寺の境内にはご覧のような石碑が佇んでいました。 http://www.koshu-kankou.jp/leisure/nikkawa.html 諸説はいろいろとあるでしょうが、何事もルーツをたどるという旅は楽しいものです。 「天目庵」で蕎麦をいただいてひと息着いた後は、宿に入る前にひとっ風呂浴びていくことにしました。 5分ほど車を走らせた先に、次の目的地となる日帰り温泉施設、やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」の看板が見えてきます。 橋を渡った先に駐車場がありますが、平日にもかかわらずたくさんの車が並び、結構な賑わいをみせていました。 こちらが玄関で、券売機でチケットを購入して受付に渡します。 利用料金は市外者のため、800円とやや高めでした。 「天目庵」同様、外観はセンター系B級温泉施設の香りをぷんぷん感じました。 普段なら、このようなセンター系温泉施設はあまり好まない私ですが、こちらのやまと天目山温泉は、ph10.3という日本屈指の高アルカリ性の温泉として、滑らかな肌触りがNET上の口コミでも評判を呼んでいたので、温泉好きとしては是非一度体感しておかなければなるまいとの思いで、今回の訪問に至った次第です。 男女別に並んだ暖簾をくぐると、やや狭めの脱衣場となります。 コインロッカーは別料金かと思いましたが、コインリターン式なので助かりました。 服を脱いで一通り体を洗った後は、楽しみにしていた源泉温度31,9度の湯がそのまま注がれる、極ぬる湯の源泉浴槽へと入ります。 評判通り肌触りはとても滑らかで、高アルカリ泉特有のつるつる感をかなり感じました。 湯温も不感温度に近く、いつまでも入っていられそうな感じがしましたが、塩素の消毒臭がかなり強く、プールに浸かっているような感覚を覚えてしまったのが非常に残念でした。 お決まりの保健所の指導によるものと思いますが、最近は循環式の浴槽でなくても、源泉に直接塩素投入するような湯使いの施設が増えて来ているような気がしてなりません。 源泉浴槽の他には、ジャグジーが付いた寝湯や、加熱した湯が注がれる内風呂が並んでいました。 窓の外には、露天風呂も設けられています。 階段を降りた先が、湯口から直接お湯が注がれるやや熱めの露天風呂、そしてその左側には、熱めの露天風呂から溢れた湯が流れ込むかたちの温めの露天風呂がつくられていました。 露天風呂からの眺めはなかなか良かったですが、左側の露天はかなり湯の鮮度が悪く、とても入る気にはなりませんでした。 総じて、山梨の日帰り温泉施設はレベルの高いものが多数あり、こちらの施設も行く前はかなり期待していたのですが、残念ながら個人的にはイマイチといった印象でした。 家の近所にあればたまには入ってもいいですが、場所的にも遠いので恐らく再訪は無いと思います。 ただ温泉スタンドを設けるなど、本来のお湯はかなり良質なものだと思いますので、一度くらい足を運んでみても良いかも知れません。 http://www.city.koshu.yamanashi.jp/koshu_wdm/html/fun-1/13723483609.html やまと天目山温泉を後にし、より一層高度を上げながら嵯峨塩温泉への道をひた走ります。 わずかな距離で道はすっかり深い山の中となり、ひっそりとした空気が周囲を包んでいました。 途中、対向車とすれ違うのに苦労するような幅の狭い箇所を通り抜けながら先へ進むと、ようやく嵯峨塩温泉『嵯峨塩館』への入口が目に入りました。 以前は秘湯を守る会の会員宿であったということで、宿名を記した提灯もお似合いです。 宿の前の駐車場に車を停め、落ち着いた佇まいの外観をしばし眺めて見ました。 いかにも山の宿といった様相ですが、どこか品のある佇まいに期待が高まる感じがします。 古めかしい看板が、宿の歴史を物語っているかのようです。 鉱泉から温泉へと名称が統一された現在でも、昔からの『嵯峨塩鉱泉』の名を掲げていました。 標高1300Mの山中であるため、11月末といえども気温は10度以下で非常に肌寒く感じます。 冷えてきたので、宿の館内へと足を運びました。 玄関の下駄箱には、それぞれ客室の名前が書かれています。 到着時はまだ部屋名が分からないため、そのまま靴を脱いで中へ入りました。 昔懐かしい引き戸の扉を開ける瞬間は、大きな期待と心地良い緊張感が伴います。 入口に並べられたスリッパを履き、館内に入ってロビー周辺を見上げると、思わず「ほぉ〜」と声を漏らしてしまいました。 黒光りする太い梁が印象的な吹き抜けの空間は、正に「静謐」といった言葉が良く似合う、非常に落ち着いた雰囲気が漂っています。 チェックインは午後2時からですが、2時を30分廻ってのチェックインとなりました。 大きなのっぽの古時計といった感じで、宿の雰囲気に良く合っています。 ロビー周辺に人の気配はせず、取りあえず帳場の方へ足を運んでみました。 どうやらこちらの鐘が呼び鈴代わりのようです。 少々控えめに鐘を鳴らすと、すぐに奥から女将さんらしき人が出て来て応対してくれました。 帳場で宿帳に記名するとすぐに、客室へと案内されます。 館内の雰囲気は民芸調の趣で、奥飛騨辺りの古民家の宿を思わせる佇まいでした。 お風呂や食事処などの説明を聞きながら、階段を上がり旧館の2階へと進みました。 旧館2Fにはわずか2室しか無く、この宿で最も趣のある2室が並んでいます。 こちらが客室への入口です。 今宵の客室はこちらの「すずらん」という名の部屋になりました。 10畳の和室とリビングが備わった、一人泊には極めて贅沢なつくりの客室です。 以上で、『嵯峨塩館』に到着するまでの行程とチェックイン時の紹介について終了します。
うわさに聞いていた『嵯峨塩館』の館内の雰囲気は大変素晴らしく、シーズンオフの平日と云うこともあって、この日の宿泊客は自分を含めてわずか3組だけという、非常にゆったりとした滞在が保証されるカタチでの幕開けとなりました。 次回は、宿泊した客室の様子を中心に紹介していきたいと思います。 次回へと続く・・・ |
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