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これまで3回に渡って紹介してきた板室温泉『ONSEN RYOKAN 山喜』の宿泊レポートも今回が最終回です。 今回は夕・朝食とも落ち着いた雰囲気の個室食事処でいただく、宿の食事の様子について紹介していきたいと思います。 夕食時間となり、1Fにある食事処へと足を運びました。 客室同様、食事処の雰囲気も各個室によって異なっていて楽しい感じがしました。 先ずはワイン・ブランデー・ぶどうジュースをミックスしたオリジナルの食前酒で乾杯し、生湯葉と雲丹を醤油じゅれで味わう先付、じゅんさいの酢の物、子持ち昆布の叩きおくら掛け、サツマイモのレモン煮の前菜3品をいただきます。 レモン煮などは一見素朴な印象ですが、サツマイモの甘さとレモンのほのかな酸味が上手に結び付き、繊細な味わいに思わず感動を覚えました。 続いてお造りをいただきます。 山の宿だからと云って必ずしも山・川の幸だけでなく、しっかりと旬の海の幸そ味わうことができるのも個人的には嬉しい感じです。 歯ごたえのある烏賊、じっくりと旨みを引き出した鯛とも大変美味しくいただきました。 続いて岩魚の塩焼きをいただきますが、ここまでがあらかじめテーブルの上に並べられていて、以降の料理ができ次第運ばれてくるといった内容でした。 岩魚の塩焼きは、つけ合わせにエシャレット+行者大蒜味噌及び生姜の甘酢漬けが添えられて美味しかったですが、やはり始めから並んでいて冷めている状態でいただいたので、その辺が非常に残念な感じがしました。 聞くところによると、この宿では板長さん一人で包丁を握っているとのことで、せっかくのいい腕が人手不足によるためかこのような提供にならざるを得ないのは非常に惜しい感じがします。 続いては、蛤のお吸い物をいただきました。 上品な出汁に爽やかな柚子の香りが広がり、蛤も豪勢に入っていて贅沢な味わいの一品でした。 続いては野菜の炊き合わせです。 わらび、かぼちゃ、里芋などが入った煮物は甘さが際だち、優しい味で大変美味しかったです。 続いては熱々の揚げ物です。 海老のアーモンド揚げの他、ヤーコン、明日葉、しいたけなどの天ぷらがボリューム満点でお皿に並んでいます。 揚げたてでどれも皆大変美味しかったですが、中でも海老のアーモンド揚げは海老天のような重たさがなく、さっくり香ばしく揚がっていてお気に入りの一品となりました。 食事は炊き立ての白飯、赤出汁、香の物、そしてご飯の友的なつけ合わせの鯛そぼろ山椒煮をいただきました。 粒の立ったご飯と鯛そぼろは最強の組み合わせで、これだけでも何倍もおかわりできそうなくらいに美味しかったです。 また、赤出汁も具材がすっきりしていてシンプルで美味しかったですね。 最後のデザートは、甘いメロンをいただいて夕食を食べ終えました。 そして全てを食べ終えてテーブルを眺めると、料理が並んでいた敷紙にご覧の文字が現れ、まさに「喜」の笑みを浮かべての大満足の食事となりました。 食べ終えた後にふと気づいたのですが、今回の夕食には肉料理がありませんでした。 肉なしでも十分満足に値する体に優しい料理を提供してくれる辺り、さすが進化した湯治宿といった印象です。 岩魚の塩焼きが冷めているのだけがつくづく惜しい感じはありましたが、、見た目も味も申し分のない夕食にお腹もいっぱいです。 個人的には、最後のデザートが果物というのは多少物足りない部分もあるので、デザートをもうひと工夫してくれたら正に申し分のない食事であると思いました。 続いて朝食の紹介です。 朝食も夕食時と同じ席にていただきます。 写真は中庭に面した別の個室で、私達の席とはまたひと味違う茶室の様な雰囲気を放っていました。 朝食も朝から食欲をそそる美味しそうなおかずが美しく並んでいます。 しっかりとご飯まで完食し、エネルギーの充てん完了といったところです。 朝食後はロビー奥のバースペースに足を運び、珈琲をいただきました。 美味しい珈琲をいただきながら女将さんと話をさせていただく機会を得ましたが、リニューアルOPENして間もないためにまだまだかなりバタバタしているということで、今後は宿泊客の要望等に少しずつ耳を傾けていければとのことでした。 大胆なリニューアルに至ったため、昔からのお馴染みと新しい客層への対処などいろいろと課題もあるかと思いますが、今後もこだわりを強く持ってより良い宿づくりに邁進していって欲しいものです。 朝食後は身支度を整え、名残惜しい感じで宿を後にしました。 雨上がりの朝もやの中、新緑の板室街道を走り抜けて帰途へと着きました。 以上で板室温泉『ONSEN RYOKAN 山喜』の宿泊レポートを終了します。 これまで紹介してきた通り、かつての鄙びた湯治宿である『山喜荘』から、正に現代人のための進化した新しい湯治宿のカタチへと生まれ変わった『ONSEN RYOKAN 山喜』−。 湯治宿という呼び名は、ひょっとすると今のこの宿にはもうふさわしくないのかも知れませんが、やはりそこには本物の温泉があり、静かで自然豊かな環境があり、何よりも快適そのものの空間が提供されています。 そういった意味で、現代人が日常の喧騒を離れてじっくり疲れを癒す温泉宿としては、正に最適なお宿であるといった印象を持ちました。 これからはますます人気が出て予約が取りづらい宿へと成長していくのは必至と思いますが、是非また季節を替えて訪れてみたいお気に入りの宿の一つになりました。 ONSEN RYOKAN 山喜 http://www.yamaki-onsen.com/ 採点(5段階) 接客・・・・・4(応対は良い。OPEN間もないためか、館内の案内などまだ不徹底な一面も感じた) 館内の雰囲気・・・・・5(モダンな空間、素材の質感、オリジナリティー度など文句なし) 部屋の雰囲気・・・・・4(室内の座椅子がやや座りにくかったのと、ベランダの寝椅子のほこりを除けば素晴らしい) 清潔感・・・・・4.5(真新しい館内はピカピカ。隅々のほこりまでしっかりと目が行き届けば完璧) 温泉・・・・・4.5(泉質、湯温、お風呂のつくりとも大変素晴らしい。露天風呂にしっかりとした屋根が欲しいところ。) 夕食・・・・・4.5(質・量ともに大変満足。岩魚の塩焼きとデザートに更なる工夫を) 朝食・・・・・4.5(質・量ともに大変満足) コストパフォーマンス・・・・・4.5(1万円台で充実した温泉ライフを満喫できる) 総合満足度・・・・・4.5(少ない客室数でゆったりと過ごせ、全てにおいてバランスが取れていて満足できた) 次回リピート度・・・・・4.5(次回訪問時は是非他の客室も楽しんでみたい)
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ONSEN RYOKAN 山喜
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前回は客室とお風呂という、温泉宿における滞在中の居心地の良さを左右する2つの空間を紹介しましたが、どちらもモダンであり、スタイリッシュであり、尚かつ温もり感も兼ね備えているという個性的な空間でした。 今回はそれらに加えて、『ONSEN RYOKAN 山喜』のオリジナリティ溢れる館内全体の様子や、宿周辺の風景について紹介していきたいと思います。 客室のみならず、『ONSEN RYOKAN 山喜』の廊下も自然素材による温かみと、照明を巧みに利用した光りの演出が印象的です。 私は、過去にマイルームを雑誌に紹介されたこともあるというインテリア好きで、癒しの空間における灯りの役割というものを重要視しているので、この宿のように間接照明による光の陰影を上手に創り出しているのを目にすると非常に嬉しく感じます。 また、廊下を始めとした館内の4箇所には、ハワイから取り寄せたという作家もののアートが飾られていて強く目を引いていました。 先ずは階段を下りて1Fに足を運んでみます。 こちらは階段を下りた先と、2F廊下の一角に飾られたハワイの作家によるアートです。 合計で4枚飾ってあるそのアートは、女将さんの言葉曰く、色彩の違いによって四季が表現されているということで宿の雰囲気に非常によく似合っていました。 階段の下にはアレカヤシが瑞々しい彩りを与えていました。 和と洋が混在した個性的な空間創りが感じられます。 1F廊下を先に進むと、フロント・ラウンジのある空間へと続いています。 こちらがフロント周辺の様子です。 グッと照明が落とされ、余分な物のないシンプルな空間が広がっていました。 フロントに隣接した小さなラウンジには、座り心地のよいソファーと冬場には活躍するであろう暖炉が設けられています。 今回は5月ということで暖炉に火は灯っていませんでしたが、暖炉のある空間というのは心が落ち着く何とも云えない優しい空気が流れているような気がします。 ラウンジの全景−。 右手の扉の奥には、隠れ家的なバー「宙(そら)」なども潜んでいます。 バーの内部には、ご覧のようにワインセラー(酒庫)なども作られています。 私達が宿泊した時点では、まだその存在などハッキリと周知されていない感じでしたが、ゆくゆくは夕食前などに好きな酒を選んでもらえるようにできれば・・・とのことでした。 こちらがバーカウンターの様子です。 朝食後にこちらで珈琲をいただき、女将さんといろいろとお話させていただく機会を得ました。 小じんまりとしてなかなか居心地のよい雰囲気でしたが、ワインセラー同様、宿泊日時点では特に案内もなく、まだ完全に宿泊客に対して門戸を開いている様子ではありませんでした。 知る人ぞ知るという空間であるといった感じでしたが、今現在では宿泊客に対してどのように謳われているか興味があるところです。 続いて宿の外へと足を運んでみます。 玄関を出ると、チェックインの際にも目を引いた現代風の中庭、そしてスタイリッシュな外観が目を引きます。 ウッドデッキに玉砂利が敷き詰められた中庭−。 さりげなく置かれたソファーも造形美が感じられ、アートな雰囲気が漂っていました。 食事処に面した縁側のようなスペースも、のんびりとくつろぐにはもってこいの場所という感じです。 中庭側の壁をガラス張りにしたことで、宿の中と外との一体感を感じさせるのに成功したと同時に、極めて個性的な建物という印象が強まったような感じがします。 中庭の端には無機的な階段が2Fへと続いており、玄関を経由しなくても2Fから直接足を運べる仕組みになっていました。 外階段を上がって2Fから眺めた中庭の様子です。 中央に植えられた梅の木が、春は花を咲かせ、秋は葉を赤く染めるのでしょうか。 極めてシンプルな空間に流れる季節を感じる楽しみが湧いてきます。 客室前の廊下突き当たりの扉を開くと、直接中庭に下りて行くことができる階段とつながっています。 外と館内とを結ぶ扉の脇のデッキ部分には、月見台のようなちょっとした憩いのスペースも設けられていました。 風呂上がり時など、外に出て風にあたるのも気持ちが良さそうです。 こちらが、その憩いスペースからの眺めです。 よく見ると、那珂川に架かる鯉のぼり達がたくさん泳いでいました。 鯉のぼりの姿に引きつけられたので、宿を出て温泉街の散策にも出かけてみました。 少々分かりづらいですが、エントランスに続く階段の脇には、廃湯を利用したせせらぎが作られていました。 館内の灯りだけでなく、癒しの効果が高い水の流れも取り入れた建物の設計には、細部にまでこだわった宿づくりの姿勢がひしひしと伝わって来ます。 那珂川に架かるの鯉のぼりへは、徒歩1分ほどでたどり着きました。 5月一杯まで架かっているという川幅いっぱいの鯉のぼり。 この時期だけの心和む風景です。 今にも雨が降り出しそうな温泉街は、人気も少なくひっそりと静まりかえっていました。 まるで時間が止まっているかのような雰囲気が感じられます。 温泉街を奥に進み、こちらの橋を渡った先には板室温泉のランドマーク的お宿である『大黒屋』が控えていました。 さすがアートの宿と称されるだけあって、庭園などもよく手入れがされています。 『大黒屋』の敷地内の通路を伝って、那珂川の河原へと足を運んでみました。 こちらが那珂川の河原です。 鮎釣りで有名な那珂川ですが、上流部となる板室周辺は美しい清流の姿をしっかりと今にとどめています。 ほとんど人気のない温泉街でしたが、しばらく歩いて行くとようやく地元のお婆さんの姿を見かけました。 それにしても喧騒とは全く無縁の鄙びた温泉街の姿です。 温泉街で唯一見かけた商店です。 特に何をしたわけでもないのに、ノスタルジックな雰囲気がプンプン漂よっていました。 温泉街の最奥部には、ご覧のようにいかにも昔の湯治宿といった木造旅館が存在感を放って佇んでいました。 実はこの辺りを歩いているときに雨降りに見舞われたのですが、嬉しいことに宿のご主人が傘を持って私達を追いかけて来てくれました。 どこに行くとも告げずに散策に出かけたのに、わざわざ濡れるのを心配して傘を届けてくれたご主人の優しさに感謝です。 モダンな『ONSEN RYOKAN 山喜』とは対局にあるレトロな木造旅館には、しとしとと降る雨と傘がよく似合う風景でした。 一通り温泉街の散策を楽しみ、宿へと戻ります。 宿に戻った頃には、すっかりと本降りの雨になっていました。 雨は夜半過ぎまで降り続きましたが、雨に濡れた宿の表情もどことなく絵になる光景でした。 以上で、板室温泉『ONSEN RYOKAN 山喜』の館内及び周辺の風景の紹介を終わります。 この宿における建物の個性を強く表しているのは、何といっても中庭を中心に据えた設計にあると思います。 ラウンジなどのパブリック空間が少なく、作ろうと思えば中庭をつぶして大きなラウンジやサンルームのようなスペースを設けることも可能だったであろうし、実際その方が館内全体により大きなゆとり感も生まれたような感じがしますが、あえて特徴的な中庭を創り出したことで、この宿ならではというオリジナリティー溢れる空間が出来上がったのだと強く感じました。 実際にギャラリーを備えた『大黒屋』もアートの香りが強く漂うお宿ですが、『ONSEN RYOKAN 山喜』においても、『大黒屋』とはまたひと味違った現代風のアートの香りが感じられるお宿であると思います。 その様な方向性を意図した宿づくりを進めているのかどうかは分かりませんが、今後もオリジナリティー溢れるセンスで、より個性的でカッコイイ空間を広げていって欲しいと感じました。 次回は旬の素材を使った、見た目も味も美味しい和会席が楽しめる宿の食事について紹介します。
次回へとつづく・・・ |
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板室温泉『ONSEN RYOKAN 山喜』の客室数はわずかに8室〜。 以前は20室あったという客室数を大幅に減らし、リニューアル後の客室は源泉掛け流しのビューバス付や書斎付、インナーバルコニー付など各部屋毎に特色のある内容となっています。 また、宿の命綱とも云うべき温泉については、以前は無かった露天風呂を新たに大浴場に設けるなど、薬効高い板室の湯をよりゆったりと楽しむことができるように改装されました。 第2回目となる今回は、私達が宿泊した客室と宿のお風呂の様子について紹介して行きたいと思います。 今回予約した客室名は「柚」−。 客室の名前については、8室共全て最近の流行りである漢字一文字の植物の名が付けられていました。 客室に入ると、美しい杉板が敷かれたフローリング床と、客室を照らす優しい暖色系の灯りが印象的でした。 客室の作りは、手前側がフローリング床に椅子・テーブルが置かれたリビングスペース、奥が琉球畳にマットレスベットの寝床というしつらえです。 和モダンかつ自然素材で創り上げられた室内は正に出来たてホヤホヤという感じで、非常に温かみのある空間となっていました。 床は温泉を利用した床暖房となっており、冬場でも寒さ知らずといった感じです。 置かれた椅子などもお洒落な家具でしたが、座ってくつろぐにはやや不便な形状でした。 フローリング床の素材感が設計上の売りだと思われますが、小上がりの畳部分とフローリング部分が入れ替わった方が過ごしやすいような感じもします。 客室に通されてしばらくすると、抹茶とお菓子が運ばれて来ました。 どちらも美味しくいただき、ホッとひと息つく瞬間です。 ふかふかの寝具は寝心地も満点でした。 そしてこの客室の特色を現したのがこちらの画像で、丈の低い窓の向こう側にベランダが備わっています。 ベランダにはリゾート風のソファーが置かれ、寝そべって読書を楽しんだり、鳥の声や風の音などを感じることができます。 こちらでの楽しみ方は人それぞれですが、肝心のソファーが室外に置かれているため埃を被っている感じだったので、この辺の掃除は徹底して欲しいと思いました。 寝床側から室内を見渡すとこのようになります。 客室に備わったTVは液晶アクオス・世界の亀山モデルでした。 TVの置かれた脇の壁にはさりげなく草花がディスプレイされています。 この様なちょっとした気づかいが客室の印象をより良いものにしてくれました。 冷蔵庫は収納棚の中に収まり、その上には給茶セットなどが置かれています。 洗面所はシンプルで使いやすい形状で、ポップな柄のタイルがお洒落でした。 トイレは当然ながらウォシュレット、こちらの床面もフローリング素材が使われていて明るい雰囲気です。 こちらは客室に置かれたタオルや館内着です。 浴衣ではなく、アオザイ風のリラックスウェアが用意されていました。 宿泊日時点で、お風呂時に使用する巾着や籠などが用意されてなくて残念だったのですが、女将さんに聞くと手配中であるとのことだったので、現在は籠等が用意されていると思われます。 宿泊した客室の紹介は以上です。 予約する際には、様々なタイプの客室があって選ぶのにずいぶん悩みましたが、宿泊した客室の「柚」は木や珪藻土といった自然素材の質感も心地よく、間接照明を巧みに取り入れた空間は非常に癒されました。 ベランダ付ではありましたが、意図的に外光を遮断したのかとも思われる室内の作りはお籠もり感が強く、見た目こそ違いますが『湯どの庵』の客室にどことなく近いような印象です。 この他の客室もちらりと覗かせていただきましたが、どのタイプの客室もそれぞれ特色のある癒しの雰囲気で、リピート時など客室を替えて訪問する楽しみがあるように感じました。 続いて宿のお風呂の紹介です。 チェックイン後、混まないうちにと早速お風呂へと向かいました。 『ONSEN RYOKAN 山喜』のお風呂は1Fにあり、露天風呂を備えた男女別の大浴場が各1箇所となっています。 更に夜間は無料でどちらかのお風呂を貸切で利用することもでき、早めに宿に到着して予約を入れることをオススメします。 こちらは男性用の脱衣所です。 シンプルな籠が棚に並んでおり、キーボックス等は特に設けられていませんでした。 浴室への動線上に洗面台が設けられています。 ガラス扉の向こうにクールな印象の内湯が目に入りました。 こちらが内湯の様子です。 切石の浴槽や壁がキリッとした雰囲気を醸し出しています。 注がれるお湯はもちろん源泉掛け流し。 柔らかく肌触りの良い板室の極上湯を存分に味わうことができます。 湯の温度も41℃程度と適温で、湯につかっていると全身が溶けてしまいそうな気持ちよさでした。 内湯にはこんな仕掛けも設けられています。 板室古来の立湯を再現したとのことで、浴槽内の一角が深くなっていて、天井から下がったロープに捕まって湯浴みを楽しみます。 実際はさほどの深さはないのですが、何となく遊び心がくすぐられて楽しい仕掛けでした。 また、湯口のすぐ脇には大型のシャワーが備わっていて、蛇口をひねると気持ちの良い源泉のシャワーを浴びれるようになっています。 但し水圧が強いので、他に入浴客が居るときは控えるなどの配慮も必要です。 浴室内の一角には、防水製の本なども用意されていて読書をしながら長湯を楽しむこともできました。 シャワー・カランは3箇所で、衝立が設けられていて便利なつくりです。 客室数も少なく、数が不足するようなことはありませんでした。 内湯を楽しんだ後は、外の露天風呂にも入ってみました。 こちらが露天風呂で、3人くらいで一杯になってしまいそうな小ぶりの浴槽ですが、外の空気を感じながら入る露天は最高の気持ちよさでした。 露天風呂も当然ながら、温めのお湯が掛け流しで楽しめます。 露天風呂のすぐ眼前には裏山が広がり、森林浴気分で湯浴みを満喫することができました。 続いて女性用大浴場の紹介です。 こちらの脱衣所には窓が付いてお洒落な印象でした。 さすが女性用ということで、洗面台も1つ多く備わっています。 浴室の雰囲気や浴槽のつくりは似た感じですが、サイズがいくぶん小ぶりとなっていました。 男性用と違うのは外のデッキに置かれたソファー(寝椅子)です。 湯浴みを楽しみつつ、リゾート気分で一休みできるようになっていました。 露天風呂の大きさは男性用とほぼ同じ感じでしょうか。 ウッドデッキに埋め込まれるようなカタチでつくられています。 女性用の露天は目隠しに配慮したためか、いくぶん望める景色の視野が狭くなっていました。 それでも裏山の緑を目一杯楽しめることには変わりありません。 洗い場の数やつくりは男性用と同様です。 こちらは夜の内湯の様子です。 今回の宿泊での貸切風呂は、女性用のお風呂を利用することになりました。 貸切で気兼ねなく利用できるお風呂タイムは格別で、こちらの宿は大浴場の男女の入れ替えは行っていないため、私は両方のお風呂を楽しむことができてラッキーでした。 但し、夜は雨が降っていたため露天風呂の利用が難しく、できれば雨天時でも気兼ねなく楽しめるようにしっかりとした屋根があると便利だと思いました。 以上で、板室温泉『ONSEN RYOKAN 山喜』の宿泊した客室と宿のお風呂についての紹介を終わります。 浴室の大きさは小じんまりとしていますが、風情とは別路線のクールでモダンな雰囲気は好印象で、何より板室温泉の優しい泉質がすっかり気に入ってしまいました。 お風呂をいたずらに大きくして循環式などにせず、湯量に見合った適切な湯使いを行っている辺り、さすが湯治宿系の宿として温泉に対するしっかりとしたこだわりが感じられました。 個人的に昔はインパクトの強い濁り湯が大好きだったのですが、最近はこのような控えめで清澄な湯の素晴らしさもだいぶ分かって来たような感じがします。 誰しもが負担を感じることなく、じっくりと湯浴みにいそしむことができる板室のような優しいお湯こそが、本当の意味での名湯と呼べるのかも知れません。 次回は、魅力溢れる宿の館内及び周辺の様子について紹介します。
次回へとつづく・・・ |
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下野の薬湯して名を馳せ、古くからの湯治場風情を今に残す那須・板室温泉〜。 板室のお湯の素晴らしさは温泉好きの間では有名ですが、いざ東京から足を運ぶとなるとどうしても個性派揃いの塩原や那須の方に目が向いてしまいがちです。 板室温泉の宿として思い浮かぶのは後にも先にも『大黒屋』で、その他の宿はどんぐりの背比べ、正直、個人的に足を運んでみたいと思える宿はこれまで皆無だったと云えるかも知れません。 そんな地味目な印象の板室温泉の中で、2008年4月、約1年間の休業を経てキラ星の如くリニューアルオープンに至った宿があります。 その旅館の名は『ONSEN RYOKAN 山喜』、かつての鄙びた湯治系旅館から、正に現代人のための新しい湯治宿のカタチを提唱するかのような大幅なリニューアル(進化)を遂げた旅館です。 ある日、全国の温泉宿に精通しているその道のエキスパートであるAさんが、大胆にもリニューアルオープン前に宿泊して来たとの情報を耳にし、しかもかなりの好評価であったとの感想をいただいたため、その真偽を確かめるべく私自身も足を運んでみる次第になりました。 そういうわけで、今年5月に足を運んだ板室温泉初訪問のお宿、『ONSEN RYOKAN 山喜』の宿泊レポートについて、これから数回に分けて紹介して行きたいと思います。 先ず第1回目の今回は、宿に到着するまでに立ち寄ったカフェや温泉の様子を中心に紹介します。 5月下旬の那須は緑一色の世界です。 緑のトンネルを通り抜けながら、ブランチを取るべく目的のお店へと車を走らせました。 那須といえば、美味しいパン屋やカフェの宝庫。 いつもどの店に足を運ぼうかと悩んでしまうのですが、今回目指した先はこちら、那須温泉の高級宿『山楽』に隣接するフレンチカフェ「モンカシェート」です。 「モンカシェート」も今回が発訪問で、ちょうど11時からのランチタイムをねらって到着しました。 まだ午前中ということもあって、店内は比較的空いていました。 私達がオーダーしたのはこちらのクロワッサンサンドのランチセットです。 極上のスモークサーモンにチーズ、新鮮な野菜がサンドされたボリューミーなクロワッサンに、スープ・グラタン・デザートが付くというブランチには正にもってこいのメニューでした。 ランチセットにはもちろん、珈琲か紅茶が付いて来ます。 美味しいパンに美味しい珈琲、これぞ正に那須でいただくブランチタイム!といった感じでした。 さて、程良くお腹も満たされた後は、当然ながら温泉巡りへと突入です。 今回は温泉マニアには名高い、しかも一般観光客にはあまり知られていないという高雄温泉にある温泉宿へと車を走らせました。 賑やかな那須湯本の中心地から林道を走ることおよそ15分。 視界が開けた先に、轟々と音を立てて流れる湯川が出現しました。 この川は実は全て源泉が流れ落ちているもので、川の少し上流を見上げると板で囲まれた豪快な露天風呂の姿が目に入ります。 そして湯川のすぐ先には、今回の立ち寄り湯に選んだ1軒宿、高雄温泉『おおるり山荘』が建っていました。 こちらの『おおるり山荘』、激安温泉宿として有名な「おおるりグループ」が経営する団体客中心の旅館です。 泊まりではぜったいに訪問したくない宿ではありますが、立ち寄り湯も500円という手頃な値段で受け入れており、湯量豊富な硫黄泉を比較的ゆったりとした雰囲気の中で楽しむことができるという評判を耳にしていました。 以前から気になる存在だったのですが、今回が待望の初訪問です。 フロントで料金を支払い、早速お風呂へと向かいました。 大浴場(内湯)と露天風呂は離れているため、先ずは開放感抜群との評判が高い露天風呂に入ってみます。 こちらが男湯の脱衣所です。 あるのは棚板のみで極めて簡素なつくりですが、雨さえ降らなければ全く支障はありません。 こちらが露天風呂の全景です。 かなり広めの岩風呂で、さえぎる物の無い開放感抜群の野天風呂となっています。 当日は曇り空のため展望には恵まれませんでしたが、晴れた日であれば関東平野を見渡す絶景が広がるとのことでした。 お湯は青みががった透明な硫黄泉です。 もう少し白濁しているかと思いましたが、源泉が近く湯量が多いためこの日はさほどの濁りにはなっていませんでした。 湯船の底には多量の湯の花が沈殿し、いかにも硫黄泉といった感じがします。 温度も40度前後と温めのため、いつまでも入っていられそうな露天風呂でした。 続いて女性用露天の様子を紹介します。 女湯も基本的に男湯と作りは同じで、脱衣場は棚があるのみです。 こちらがお風呂の全景で、広さや眺めは一見男性用と変わりない感じですが、女性用ということもあって前面に目隠し用の板が貼られていました。 少々分かりづらい写真ですが、浴槽の角の方から豪快に源泉が注がれています。 評判の露天風呂を満喫した後は、そのまま大浴場(内湯)へと直行です。 内湯の脱衣所はいかにも団体仕様といった広めの作りとなっていました。 扉の先には、魅力的な青白い硫黄泉が見え隠れしています。 浴室に入ると、露天風呂と同様にゆとりある湯船が待ち構えていました。 窓の向こうには、今が盛りといった真っ赤なツツジの花が咲きほこっています。 露天風呂に比べて、内湯の方は那須の硫黄泉らしい真っ白なお湯が満たされています。 湯の香りや肌触りは、有名な鹿の湯源泉などに比べるとかなりマイルドな印象で、私はすっかりこちらの内湯が気に入ってしまいました。 毎分1000Lという圧倒的な湯量を誇っているため、露天・内湯とも大きな湯船を作っても湯量不足とは全く無縁という素晴らしい環境です。 洗い場のカラン・シャワーの数も充実していました。 驚きだったのは、安価や宿にもかかわらずボディソープ・シャンプー類が高価な馬油製品だったこと。 好みのシャンプーなどが置かれていると思わず嬉しくなります。 「鹿の湯」などはいつ行っても大人気で、なかなかゆっくりと湯浴みを満喫するには至りませんが、今回足を運んだ『おおるり山荘』は正に那須の穴場、ほとんど貸切状態で楽しむことができて非常にラッキーでした。 晴れた日であれば更に雄大な眺望という楽しみも加わるので、那須方面に足を運んだ際はいずれまた立ち寄ってみたいと思います。 おおるり山荘 http://www.ohruri.com/nasu_ohrurisansou.html もう一箇所ぐらい立ち寄り湯をと考えていたのですが、思いの外『おおるり山荘』で長湯してしまったため、板室温泉に向かって先を急ぎます。 板室温泉の中心部に差し掛かると、温泉街の入口付近に一際目立つモダンな建物が見えて来ました。 正面に見える茶色と黒のコントラストが印象的な建物が目指すべき今宵の宿、『ONSEN RYOKAN 山喜』です。 コンクリート打ちっ放しの外壁に掲げられた看板−。 宿のご主人が考案したという格好の良いデザインです。 駐車場に車を停め、ワクワクする気持ちを抑えながらエントランスの階段を上ります。 一見しただけでは、湯治場にある温泉旅館とは分からないほどスタイリッシュな雰囲気のアプローチ部分でした。 恐らく改築前の『旧 山喜荘』の姿を知る者にとっては、驚愕の変貌ぶりを遂げたのではないでしょうか。 階段を上がると、中庭を左に見ながら玄関に到着です。 まるでギャラリーを彷彿とさせるような都会的なデザインの建物に思わず見とれてしまいました。 玄関から中に入ると、木の質感が美しいホールが広がっています。 館内に入るとすぐにスタッフの先導で客室へと通されました。 個人的には、ロビー・ラウンジ等でウェルカムドリンクなどをいただいてから客室に向かうのが好みなのですが、今回は先客とチェックインが重なったようで、館内のパブリックスペースが少ないこともあるため、この辺は致し方なしといったところかも知れません。 客室は全て2階にあり、階段を上がって向かいます。 エレベータ等の設備はありません。 階段を上がると、中庭を囲むようにコの字形に客室が広がっています。 黒光りするフローリングの廊下と明るい珪藻土の壁が、自然素材特有の優しい印象を生みだしていました。 こちらは廊下から眺めた中庭です。 壁を一面ガラス張りにしたことで、内と外との隔たりを感じさせない明るい雰囲気が感じられます。 廊下の突き当たりを左に折れ、一番手前の客室が今回私達が予約をした客室です。 以上で、宿に到着するまでの行程を中心としたレポートを終わります。 訪問当時はまだ宿のHP等も完成していなかったため、事前の視覚的な情報も少なく、これほどまでにオリジナリティ溢れる建物が待っていようとは思いもしませんでした。 加えて、モダンな外観から想像して室内も無機的な空間が広がっているのかと思いきや、自然素材の材料や、外光や照明を巧みに取り入れた作りで実に温かみのある雰囲気が漂っていました。 改装ではなく、全面的に改築した建物ということで、恐らく細部においてまでこだわり抜いた設計がなされているのでしょう。 客室に入る前から、すっかりこの宿の建物に魅せられてしまいました。 次回は宿泊した客室、及び下野の薬湯が存分に楽しめる宿のお風呂について紹介して行きたいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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