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これまで3回に渡って紹介してきた鹿教湯温泉『三水館』の宿泊レポートも今回が最終回です。 客室、お風呂、館内の雰囲気と、どれも皆大変魅力的であり、「さすが予約の取りづらい人気の宿だけはある」と実感することができましたが、楽しみの一つである宿の食事についても、『三水館』の人気を支える大きな要因となっています。 宿のご主人自ら腕をふるう料理は、ひと言でいうと「スローフード」−。 決して派手さこそありませんが、地の物、旬の食材を活かした滋味溢れる田舎料理の数々は、それをいただく私達宿泊客のお腹と心を優しく満たしてくれるようなものばかりです。 最終回となる今回は、そんな宿の食事の様子を中心に紹介して行きたいと思います。 夕食の支度が整ったという連絡が入り、1階にある食事処へと足を運びました。 食事処の一番奥に席を案内され、「取りあえず地ビールっ!」をオーダーして運ばれる料理を楽しみに待つ瞬間です。 先ずは彩り豊かな前菜からいただきます。 お品書きが無かったのでやや曖昧な面もありますが、茗荷の寿司、サツマイモのレモン煮、筍の天ぷら、ズッキーニのはさみ揚げ、しそ豆腐、しそ入りの卵焼き、ラディッシュ、お浸しといった内容でした。 どれも皆、夏らしくサッパリとした味わいでどんどん箸が進みます。 続いては信州の特産魚、信濃雪鱒(シナノユキマス)のお造りです。 クセが無く非常に淡泊な味わいですが、お造りに関しては至って普通といった感想でした。 時期によっては信州名物の馬刺が登場することもあるようなので、できればそちらをいただきたかったというのが本音です。 続いては飛竜頭と茄子の揚げ浸しです。 薄味かつ上品な出汁で仕上げており、非常に美味しかったです。 続いては胡麻豆腐です。 粗挽きの胡麻が舌の上で香ばしい風味を残し、いかにも手作りといった素朴な味わいで、これもまた非常に美味しくいただきました。 続いての一皿は、夏野菜のサラダです。 大皿に盛られて運ばれるので、木の小皿に取り分けていただきました。 こちらも野菜本来の味がしっかり楽しめて満足のいく一皿でした。 続いては旬の味覚、鮎の塩焼きです。 当然ながら焼きたての状態で運ばれ、あっという間に平らげてしまいました。 そしてこの日のメインとなる料理が、トマトとズッキーニのグラタンです。 実は『三水館』の夕食の名物といえば、春は山菜、秋はきのこといった季節毎に食材が替わる鍋料理なんですが、「夏場はいったいどんな鍋が登場するのか」と、ある意味楽しみにしていました。 正直、夏場に汗をかきながら鍋を囲むというのは全く魅力的なシチュエーションとは云えないわけで、ここで満足できるようなら宿の食事に関する実力をしかと見届けることができると思っていたのでした。 そして実際に目の前に登場したのは鍋物ではなくグラタンだったのですが、それを目にして良い意味で裏をかかれたという思いと、「なるほど、さすがっ!」と感心する気持ちを抱きながら、熱々のグラタンをいただいた次第です。 味はもちろん文句の付けようが無く、ニンニクとオリーブオイルの風味がよく効いていて、本当に美味しい一品でした。 濃厚なグラタンをいただいた後は、サッパリとしたワカメの酢の物に続きます。 ややお酢が強い感じがしましたが、上に乗った揚げジャコとオニオンとの相性も良く、これもまた非常に美味しくいただきました。 そして食事となりますが、これも季節感を感じさせる枝豆ご飯、味噌汁、香の物といった嬉しい内容でした。 ご飯など非常に美味しかったのですが、すっかり満腹となってしまってお代わりすることができなかったのが悔やまれます。 この後はお茶をいただき、 場所をロビーに移してデザートのアイスでしめ、大満足となる夕食を食べ終えました。 続いて、朝食の紹介です。 朝食も夕食時と同じ席に通されました。 テーブルの上には、いかにも体に良さそうな滋味溢れるおかず達が並びます。 極上のお米に具だくさんの家庭的な味噌汁、そして素朴な味わいの浅漬けと、ある意味贅沢な感じさえする素晴らしい朝食でした。 ご飯が本当に美味しく、朝はしっかりとお代わりさせてもらいました。 朝食後はロビーに足を運んで一休みです。 朝のロビーには自由にいただける珈琲が用意されているので、食後の珈琲をゆっくりと楽しませてもらいました。 駐車場へと続く階段を下りていきながら、「次はいつ来ようか」と、すっかりこの宿を気に入ってしまいました。 前日に続き梅雨の晴れ間に恵まれた空の下、初訪問となった鹿教湯温泉を後に車を走らせます。 東京に向かう帰路への途中、以前から一度足を運んでみたかった重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「海野宿」へと立ち寄ってみました。 「海野宿」は、寛永二年(1625年)という遠い昔に北国街道の宿駅として開かれ、現在では日本の道百選にも選ばれている旧き良き宿場町の風情が漂う街並みが魅力です。 道の中央には水路が流れ、江戸時代から明治にかけての伝統的な建物が全長650Mにわたって美しい景観を保っています。 散策にはもってこいの程良い規模の街並みであるため、端から端までブラブラと歩いてみました。 立派な卯建(うだつ)を備えた建物の姿がたくさん目に留まり、思わず見とれてしまう景観が広がっていました。 「海野宿」を1時間ほど散策し、関越道経由で帰京して1泊2日の充実した信州旅行を終えました。 今回、待望の初訪問となった鹿教湯温泉『三水館』でしたが、実際足を運んでみて思っていた以上に素晴らしい湯宿であるという印象を強く持ちました。 いわゆる高級旅館などは全く違う路線でありながらも、客室、館内の雰囲気、お風呂の設え、食事、そして忘れてはならない「にゃんぞう」の存在と、どれも皆大変素晴らしく、極めて個性的で存在感のある骨太のお宿であると感じました。 決して至れりつくせりというお宿ではなく、万人向けではないかも知れませんが、個人的には、1万円台で宿泊できるお気に入りの宿である『時音の宿 湯主一條』、『船山温泉』、『湯どの庵』と並び、最も気に入った温泉宿の一つとして、今後『三水館』の名を挙げたいと思いました。 また季節を替えて必ず足を運んでみたいと思っています。 接客・・・・・4(取り立てて素晴らしい感じではないが、特に不満は無し) 館内の雰囲気・・・・・5(趣のある古民家にモダンな雰囲気を取り入れた館内は大変素晴らしい) 部屋の雰囲気・・・・・4.5(シンプルながらも、落ち着いた雰囲気で大変満足) 清潔感・・・・・5(打ち水された玄関や渡り廊下の清々しさ、磨き抜かれた館内の床やガラスなど大変素晴らしい) 温泉・・・・・4.5(循環浴槽ながらも、工夫を感じる設えに十分満足できた) 夕食・・・・・4.5(滋味溢れる優しい味わいの食事に大変満足) 朝食・・・・・4.5(同上) コストパフォーマンス・・・・・5(1万円台で宿泊できる宿としてお値打ちレベル) 総合満足度・・・・・5(ずっと足を運んでみたかった期待を裏切ることなく、思っていた以上の充実した滞在を送ることができた) 次回リピート度・・・・・5(名物の鍋料理も食べてみたいので、季節を変えて必ず再訪したい)
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鹿教湯温泉 三水館
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『三水館』の館内の様子について、その魅力を言葉で表現するのは簡単ではありません。 古民家を移築再生した建物ということで、レトロな趣を感じさせながらも漂う雰囲気はどこかモダンであり、涼しい風に吹かれながらも温かな空気に包まれている・・・。 いわゆる、囲炉裏を設けて館内に農具などをディスプレイした昔懐かしい正当派の古民家の宿といった設えではなく、家具、器、絵画、木工品といった様々なアートが館内を彩り、まるでギャラリーを思わせるような洗練された空間が広がっています。 関連性は全くないのですが、私は何故かそこに「宮沢賢治」の世界が流れているような感じがしました。 今回は、そんなセンス溢れる『三水館』の館内の様子を紹介して行きたいと思います。 客室を出て、館内の散策へと足を運んでみます。 2階の屋根には天窓がいくつか設けられていて、日中は柔らかい日差しが館内に降り注ぐようになっていました。 夕方にちょっとにわか雨が降ったのですが、天窓が閉じる間に雨がやや吹き込んだりするハプニングもあって何だか楽しかったです。 吹き抜けになった2階から下のホールを見渡すとこのような光景が広がります。 三和土にずらりと並んだ下駄が可愛らしい感じがしました。 吹き抜けのホール上部の壁には、木工作家・井崎正治氏の印象的な絵画作品が掲げられています。 井崎氏の作品はこの他にも館内至るところにディスプレイされ、『三水館』という宿の雰囲気づくりに大きな役割を担っている作家さんのようでした。 階段を下り、1階へと足を運んでみます。 階段を下りた先には、2階へとつづく吹き抜けのホールが広がっています。 1階ホールからも印象的な絵画を望むことができます。 ホール内には暖炉を囲むように椅子やテーブルが並び、温かみのある空間が作られていました。 脇に置かれたサイドボードの上には、作家物の器がたくさんディスプレイされています。 こちらは玄関の一角にさりげなく飾られた草花です。 この他にも、客室や廊下など至るところに自然の草花がそっと活けられていて心を和ませてくれました。 玄関・ホールのすぐ横には、ご覧のように木の温もり感漂うシックなロビーが設けられています。 黒光りする床板と、黄色い土の壁のコントラストが非常に美しい表情を見せていました。 こちらのロビーは宿泊者全員の憩いの場所といった空間で、それぞれ思い思いにくつろいで過ごしている姿を目にしました。 もちろん私達もその一員です。 ロビーの一角にはCDプレイヤーが備えられていて、JAZZやクラシックなど好きなCDを自由にかけて楽しめるようになっています。 木の温もり感だけでなく、程良い重厚感も感じられて落ち着きます。 写真のテーブルは、古民家の鴨居を利用して作られているとのことでした。 ロビーと庭を結ぶガラス戸は一部開け放たれ、外と内との隔たり感を一切排除していました。 また、閉じているガラスの扉も驚くほどきれいに磨き抜かれていて、清々しい感じがします。 こちらは外のテラス−。 湯上がり後など、自然の風にあたりながら夕涼みを楽しみました。 『三水館』の館内でも、時折個展などが開かれることがあるそうです。 こちらが館内にディスプレイされたその作品の一部です。 独特の優しい雰囲気が漂い、ずっと眺めていても飽きないような味わい深い作品の数々でした。 続いて支度が始まる前の食事処へも足を運んでみました。 こちらが最も広い食事処で、板張りの空間に座卓が点在しています。 食事処の入口部分にも、作家物の陶器が多数ディスプレイされていました。 中にはこんな楽しい作品もあって、思わず笑みがこぼれてしまいました。 奥のテーブル席はややプライベート性が保たれ、私達はこちらの席で食事をいただくことができました。 メインとなる食事処の他に、いくつかの個室食事処も設けられています。 希望制によるものか、人数によるものか、客室タイプによるものかは分かりませんが、それぞれに味があって、どこで食事をいただいても気分良く楽しむことができそうです。 最後に、昼間とはひと味違った夜の館内の様子をいくつか紹介したいと思います。 夜のホールは静かで、時間が止まっているかのような雰囲気が漂っていました。 そっと階段を下り、 ロビーへと足を運んでみました。 お風呂に行く場合は、正面の扉から外に出て向かいます。 夜も11時を過ぎると、さすがにロビーに人の気配はありません。 雑誌などをパラパラとめくりながら、一人静かに『三水館』という宿の持つ魅力をあらためて噛みしめてみる時間となりました。 以上で『三水館』の館内の様子についての紹介を終わります。 写真や言葉だけではその良さがなかなか伝え切れませんが、黒光りする床、庭を望むシックな雰囲気のロビー、こだわりの家具、さりげなく活けられた野花、そして味わい深い小さなアートの数々・・・。 どれも皆自分好みの雰囲気であり、決して大きくはないその空間に散りばめられた『三水館』らしさという個性がひしひしと伝わって来て、そこに居るだけで癒されるような不思議な魅力に満ち溢れていました。 冬場にはロビーに床暖房が入り、また三和土のホールには暖炉が灯って、夏とはまた異なる温かい雰囲気に包まれることと思います。 小さな宿ならではの一つの完成系の姿を、この宿に見たような感じがしました。 次回は評判名高いスローフード、野菜を中心とした優しい味わいの食事について紹介したいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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念願の鹿教湯温泉『三水館』宿泊レポート第二弾は、シンプルながらも古民家の居心地の良さを感じる宿泊した客室と、風情溢れる宿のお風呂の様子について紹介したいと思います。 玄関をくぐると、足下にはどこか懐かしさを感じる三和土(土間)が広がっています。 夏場ということで玄関の扉、ロビーの窓が全て開け放たれ、ひんやりと涼やかな風が吹き抜けて行くのを感じました。 先ずはこちらのフロントにてチェックインの手続きを行います。 家族経営の宿で人手が少ないので、鈴を鳴らして到着を伝えました。 三和土を奥に進むと、2階まで続く吹き抜けの空間が広がります。 建物の魅力に早くも心奪われる自分を感じながら、女将さんの後に付いて客室へと向かいました。 今回予約した客室は2階にあり、階段を上がって足を運びます。 2階に上がると、目の前に突然インパクトのある光景が広がっていました。 宿の廊下に無防備な姿で堂々と寝そべるメタボ猫・・・。 うわさに聞いていた宿のアイドル、「にゃんぞう」です。 いつの間にか住み着いてしまったという、やや不細工ながらも愛嬌たっぷりの猫の姿は、到着仕立ての私達の心を興奮させるに十分な演出でした。 取り立てて猫が好きというわけではありませんが、この「にゃんぞう」が寝そべる姿は、宿に流れる癒しの雰囲気を見事に表現しているかのようで、この宿にはかかせない存在であるような感じがしました。 但し、猫が苦手という方には厳しい環境かも知れません。 「にゃんぞう」に出会って笑顔がこぼれたら、廊下の先の客室へと到着です。 「三水館」の客室はわずかに7室で、今回は「長沢」という和室を予約しました。 この他に蔵を改装した離れや、ベットのある洋室タイプの客室も設けられています。 客室内に入ると、事前に予想していた以上の趣と風情を感じることができ、一目で気に入ってしまいました。 古民家を改装した宿らしく、天井には太い見事な古木の梁がうねります。 ポツリと置かれた椅子とテーブルも、部屋の雰囲気によく似合ったこだわりの家具が選ばれています。 広く取られた窓からは、一面の緑が広がっていました。 客室の窓からは四季折々、豊かな自然に囲まれた里山の風景を望むことができます。 右手奥に見えるのがお風呂のある湯小屋です。 電話台を兼ねた調度品も客室にぴったりの雰囲気です。 しばらくすると、お茶と女将さん手作りのブルーベリーのタルトが運ばれます。 ロビーの雰囲気が大変素晴らしいので、個人的にはチェックイン直後にロビーでいただきたいところでしたが、手作りのタルトの味は本当に美味しく、もっと食べたい感じがしました。 続いて玄関周辺の水回りの紹介を。 このようなミニキッチンを思わせる設備なども備わっています。 給茶セットは普通のお茶の他に紅茶のティーパックなども用意されています。 また、思わず見落としてしまいそうなお茶請けの饅頭を発見して嬉しくなりました。 そしてウォシュレットを備えたトイレです。 特に必要ありませんが、客室内にお風呂はありません。 こちらは浴衣の他、タオルなどの温泉セットです。 アメニティは必要最小限といった感じですが、足袋も用意されていて助かります。 但し巾着や籠の用意が無いので、できれば籠を備えて欲しいものです。 最後に夜布団を敷いた状態です。 落ち着いた色調の布団の印象もよく、寝心地等に問題はありませんでした。 続いてお風呂の紹介です。 浴衣に着替え、独立した湯小屋のあるお風呂へと足を運んでみます。 ロビーの脇で下駄に履き替え、渡り廊下の風情を楽しみながらお風呂へと向かいます。 宿のお風呂は露天風呂付の大浴場が男女各1箇所で、夕食後に男女が入れ替えとなります。 到着時は手前が女性用、奥が男性用の浴室となっていました。 先ずは奥の浴室から。 木の香漂う脱衣所はシンプルかつ明るい雰囲気です。 扉の奥には、魅力的なお風呂が待ち構えています。 浴室内に入ると、内湯の扉が全て開け放たれていて、内と外の隔たりを感じさせない開放的なつくりとなっていました。 内湯は桧葉、露天は石風呂と、木と石という異なる素材を楽しむことができます。 こちらの内湯の風情は格別です。 循環浴槽ではありますが、塩素の匂いなどは特に感じることなく気持ちの良い湯浴みを満喫することができました。 小ぶりではありますが、宿の規模に見合ったセンスの良いお風呂のつくりであると思います。 洗い場は4箇所あり、不足することはありません。 こちらは丸い石造りの露天風呂です。 まるで前方後円墳を思わせるユニークな形状でした。 庭園に囲まれるように備わる露天風呂−。 景色はほとんど望めませんが、入っていて落ち着く不思議な魅力を持ったお風呂でした。 わずかではありますが、奥の湯口からは源泉もそのまま注がれています。 露天風呂から内湯を眺めるとこのような絵に。 夏場ならではの開放感ですが、気温が下がってくるとしっかりとガラス戸が閉まるので安心です。 続いては、入れ替えなったもう一方のお風呂について紹介します。 脱衣所内はしっかりとエアコンが入っているので、湯上がり時も快適でした。 扉の先には、ひと味違った表情のお風呂が覗いています。 浴室に入ると、隣とは対照的に内湯が石風呂、露天風呂が木風呂という異なる材質となっていました。 また、湯船の形状も変えるという工夫が見られ、例え同じような作りであってもちょっとした変化で楽しみが幾重にも広がります。 扇形をした石風呂の内湯も、なかなか落ち着いた雰囲気です。 湯船には外の緑が映り込み、湯の心地よさだけでなく目でも癒されるお風呂でした。 洗い場は隣と同様に4箇所設けられています。 そしてこちらがすすき野原をイメージしたという5種類のすすきに囲まれた木の露天風呂です。 飛び石を伝って風情溢れる露天へ足を運びました。 湯船のサイズも小ぶりで程良い大きさで、入っていて非常に落ち着きます。 こちらの露天風呂にもわずかではありますが、源泉が注がれていて嬉しく感じました。 朝食前でも全く混み合うことが無く、常に貸切状態で十二分に湯浴みを満喫させてもらいました。 湯上がり後はロビーの一角で冷水をいただくことができます。 お風呂でゆったりと汗を流し、爽やかな自然の風が吹き抜けるロビーでいただくお水の味は格別でした。 以上で宿泊した客室及び宿のお風呂の紹介を終わります。 温泉宿に宿泊して、快適な滞在を送る上で極めて重要な位置をしめる空間と云えるのが客室とお風呂ですが、どちらも大変居心地が良く、事前にHPなどで目にしていたものよりも実際に目にしたものの方が遥かに素敵な雰囲気の空間が広がっていました。 どちらもご主人の宿づくりに関するセンスの良さを強く感じることができて非常に満足です。 特にお風呂について云えば、循環式のお風呂であるにもかかわらず、質感や雰囲気を上手に組み合わせた設えに感心し、掛け流しの湯ではなくても癒しの効果が十分得られたような感じがしました。 これで内湯・露天のどちらか一方でも掛け流しの浴槽であったり、他に貸切風呂の一つでもあれば正に完璧と云えるかと思いますが、限られた湯量を最も有効活用した姿が今の状態であるのだろうと納得しています。 次回は、築150年という古民家が醸し出す魅力溢れる館内の様子について紹介して行きたいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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『三水館』という、小さな宿の存在を知ったのは今からおよそ5年ほど前−。 雑誌であったか、誰かのHPであったかはすっかり忘れてしまいましたが、里山に佇むわずか7室ばかりの古民家の宿の姿を目にしたその時から、「いつか必ず行ってみたい・・・」という思いをずっと胸に抱き続けて来ました。 しかしながら、さすが人気の宿だけあってオンシーズンの週末などは半年先まで常に予約が一杯。 「そのうち泊まれるだろう・・・」などという生半可な気持ちで宿泊できるほど、世の温泉好き達がほって置いてくれるような宿では無かったようです。 そういったわけで、訪問する機会がなかなか訪れることなくすっかりと歳月を費やしてしまいましたが、「今年こそ三水館に訪問するぞ!」との思いは消えることなく、1月に意を決して半年先の予約を入れることに成功しました。 これから数回に分けて、この夏に念願かなって初訪問を成し遂げた憧れの宿、信州・鹿教湯温泉『三水館』の宿泊レポートを紹介して行きたいと思います。 鹿教湯温泉自体も初訪問ということで、今回は宿に到着する前に立ち寄った湯巡りの模様を中心に紹介します。 梅雨の晴れ間が広がった7月上旬、中央道〜ビーナスライン経由で上田入りして鹿教湯温泉を目指します。 蕎麦処信州への訪問ということで、先ずはお目当ての蕎麦屋へと車を走らせました。 今回足を運んだ先は、上田の名店「おお西」の流れをくむ「奈賀井」というお店で、おお西流の暖簾分けらしく「手打百藝」の冠が掲げられています。 以前、「おお西」で蕎麦を食べてすっかりその味が気に入ってしまったので、鹿教湯温泉のすぐ近くにおお西流の蕎麦屋が軒を構えていたのは非常に好都合でした。 古民家風の重厚なエントランスを中に入ると、テーブル席と座敷に分かれたゆとりある空間が広がります。 入店直後は他の客がおらずに心配しましたが、この後あれよあれよという間に来客の波が押し寄せて来たので、わずかの差で早く入店できてラッキーでした。 おお西流の名物といえば何といっても発芽そば切りです。 発芽玄米ならぬ、発芽させた蕎麦の実を挽いて蕎麦を打つというオリジナルな蕎麦切りですが、これが今までに味わったことのないモチモチとした独特の食感で、初めて食べた時は非常に驚きました。 今回も迷わずそれを注文し、お通しの蕎麦の実が乗ったナマスをいただきつつ出来上がりを待ちます。 待つことおよそ10分。 本家、「おお西」とほとんど変わることのない発芽そば切りが運ばれて来ました。 わずかに繊維質を感じるモチモチした舌触りは健在で、あっという間に平らげてしまいました。 また、今回は蕎麦の他にも天ぷらを別注しました。 こちらもカラッとさっくり揚がっていて、美味しくいただくことができました。 おお西流の発芽そば切り、値段が1,365円というかなりの高値であり、好みも分かれそうな感じがしますが、蕎麦が好きでまだ試したことのないという人は、是非一度味わってみる価値のある蕎麦であると思います。 ちなみに今回いただいた「奈賀井」の他、本家「おお西」や県内に支店もいくつかあるようです。 手打百藝 奈賀井 http://www.soba-nagai.com/ 「奈賀井」にてしっかりと信州蕎麦を堪能した後は、わずか5分ほどの距離にある鹿教湯温泉街へと到着しました。 駐車場に車を停め、初めての鹿教湯温泉の湯の感触を確かめるべく、早速立ち寄り湯へと繰り出します。 共同湯へと続く路地を進むと、お目当てのお宿が見えて来ました。 今回立ち寄り湯に選んだ先は、こちらの『つるや旅館』です。 共同湯を始め、鹿教湯温泉では立ち寄り可能なお宿がたくさんあって選ぶのに随分と悩みましたが、ダンカミさんのHPで紹介されていたこちらのお宿がどうやら良さそうだという感じがしたので、初鹿教湯のお風呂として選びました。 老舗の風格漂う玄関をくぐり、館内へと足を運びます。 こちらのお宿では反対側にもう一箇所立派な玄関を有し、そちらはバリアフリー対応の新しいつくりとなっていました。 レトロな雰囲気の館内。 すぐ先のフロントで料金を支払い、奥のお風呂へと向かいます。 ちなみにフロントで受付をしてくれたお婆ちゃん(女将さん?)が非常にフレンドリーで、せっかく東京から来たのだから長湯して行けとか、お湯の素晴らしさ、夜になると宿にムササビが出るということなど、ずいぶん長々と話を聞かせてくれました。 ホントは早くお風呂に入りたかったのですが、立寄り客も両手を上げて歓迎してくれる姿勢は大変嬉しかったです。 こちらはフロントの先のロビーで、お似合いの雰囲気の卓球台なども置かれていました。 『つるや旅館』にはいくつかのお風呂が設けられていますが、先ずは男女別の露天風呂付大浴場「薬師湯」に入ってみることにしました。 脱衣所は比較的ゆとりのある作りで、貴重品を入れるキーボックスなどは特に設けられていません。 浴室に入ると、外の木々の緑が差し込んだ何とも美しい空間が広がっていました。 決して大きくはありませんが、貸切状態で入る良質なお湯は格別そのものです。 飲泉もできる鹿教湯のお湯は極めて優しい肌触りで、湯温も温めのためいつまでも入っていられそうな気持ち良さです。 露天風呂で外の風に吹かれながら、掛け流しのお湯をゆっくり楽しむ時間は正に至福の瞬間でした。 こちらは洗い場で、ケロリン桶が郷愁を誘います。 湯上がり後は、こんなスペースで一休みすることもできます。 続いて『つるや旅館』のメインのお風呂となる混浴大浴場「文殊湯」も覗いてみました。 中は混浴ですが、脱衣所は男女別にしっかりと設けられています。 こちらが「文殊湯」の内湯です。 趣のあるレトロなタイル風呂で、「薬師湯」よりもわずかに高めの湯温でした。 外には露天風呂を望み、いっぱいに取られた窓から降り注ぐ光が明るい雰囲気を演出しています。 横に長く延びた大きな露天風呂も開放感抜群で非常に気持ちがよさそうですが、渓流を挟んだ対岸の遊歩道からも丸見えといった様相なので、昼間の時間帯に入るには女性はかなり厳しいかも知れません。 ちなみにこちらは「文殊湯」の女性用脱衣所と、女性専用の小さな内湯の様子です。 1時間ほどかけ、ゆっくりと鹿教湯のお湯を満喫して宿を後にしました。 国民保養温泉地としても指定され、湯治場として栄えた名のある温泉地だけあって、その優しい肌触りは前回紹介した板室温泉の湯を思い浮かべました。 『つるや旅館』はバリアフリー化で高齢者・体の不自由な方にも優しく、また家族風呂なども別途作られており、幅広い客層のニーズに応える人情派の旅館といった感じがしました。 つるや旅館 http://www.kakeyu.org/kumiai/yado/yomi.cgi?mode=kt&kt=08_01 この後、鄙びた温泉街、 歴史ある共同湯へと続く小径、 その先の渓谷にかかる趣のある吊り橋、 そして美しい渓谷沿いの遊歩道をブラブラと散策しつつ、 温泉街から少し離れた場所にある目指すべき今宵のお宿、『三水館』に向けて車を走らせました。 のどかな水田沿いの道を3分ほど走った先に、さりげなく『三水館』は佇んでいます。 一瞬スルーしてしまいそうになりましたが、宿の看板を見つけて駐車場に車を停めました。 駐車場からはゆるやかな階段が玄関へと続いています。 わずか10数メートルの距離ですが、草木に囲まれて宿の全貌が見えない辺りに期待感が高まります。 アプローチを上りつめると、築150年という古民家を移築した風情溢れる宿の玄関が見えてきました。 打ち水された玄関に、ささやかな持てなしを感じる野草の活花。 長い年月を経て、やっとたどり着いたという喜びと安堵感が胸をよぎりました。 玄関の脇にはテラスが広がり、ロビーから続くオープンエアーなスペースが広がります。 きっと滞在中何度も利用するであろう、素敵な空間です。 凛とした空気を感じる宿の中へと、いざ足を踏み込みました。 以上で『三水館』宿泊レポートの第1回を終わります。
宿に向かう前に足を運んだ、蕎麦屋、立ち寄り入浴とも充実した時を過ごし、いよいよ旅の目的地となる『三水館』に到着となりました。 次回は、居心地の良い宿泊した客室と魅力溢れる宿のお風呂について紹介したいと思います。 |
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