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会津東山温泉『向瀧』でいただく食事は会津伝統の郷土料理です。 「素朴な会津、質素な日本」というキーワードをテーマとし、伝統の鯉料理を中心に地元の素材を用いたあくまでもシンプルな料理内容となっています。 最終回となる今回は、夕・朝食とも部屋食でいただく宿の食事について紹介したいと思います。 夕食時間の直前までお風呂楽しんでいると、仲居さん達が忙しそうに夕餉の支度にいそしんでいました。 いかにも温泉宿らしい活気のある光景です。 客室に戻ると、テーブルの上に手際よく料理が並んでいきます。 取りあえずメニューに地ビールがあるとそれを頼む習慣となっているので、今回は猪苗代地ビールにて乾杯です。 手前左から、先付けとなる新玉葱の冷やし煮込み、食前酒の赤しそのしずく、強肴のニシンの山椒漬け、ほうずきトマト・キラキラ枝豆・岩魚の美酒佳肴焼き・カステラ玉子・鱒いんげん・モロヘイヤの鰹掛けの6品を載せた前菜、そして秘伝醤油でいただく鯉のたたきです。 先ずは新玉葱の冷やし煮込みから箸をつけましたが、見た目で冬瓜だと思って口に入れたので甘みがあって驚きました。 味はキリッと冷えていて非常に美味しかったです。 また、今回楽しみにしていたのはニシンの山椒漬けです。 鯉料理と並ぶ『向瀧』を代表する伝統郷土料理ですが、山椒の風味が効いた塩辛い独特の味付けは日本酒に良く合いそうな思わずくせになる大人の味わいでした。 そして、一般的には酢味噌などでいただくことの多い鯉の洗いですが、醤油でいただくあたりさすが鯉の味に自信があるのでしょう。 全くくせが無くサッパリとした味わいで、鯉の洗いが苦手な私でも非常に美味しくいただくことができました。 続いては会津伝承の一品、江戸時代から伝わる鯉の甘煮です。 海の無い会津地方では、鯉こそが魚の中で一番位が高いとされており、その料理の頂点とされて来たのがこちらの鯉の甘煮ということです。 鯉料理の中でも鯉の甘煮の美味しさは以前から知っていたので、今回もその伝統の味をじっくりといただいてみました。 どうしても鯉が苦手という人には他のメニューにも気軽に変更してくれるそうですが、食べず嫌いで敬遠している人がいたら、『向瀧』が最も力を入れている料理であると思いますので、是非思い切って食してみることをオススメします。 続いての料理は焼物、会津地鶏と夏野菜の蒸し焼きです。 シンプルな塩味でいただき、サッパリ美味しくいただきました。 お凌ぎは夏のぜいたく磐梯鱒の寿司、煮物は会津伝統のこづゆです。 会津の郷土料理をしめくくる形で登場したこづゆですが、きくらげ・きのこ・にんじん・大根・里芋・竹の子などの具たくさんの野菜類を細かく刻み、帆立の貝柱の出汁で煮込んだ優しい味わいの一品でした。 そして食事となりますが、ご飯は白米にこだわった会津のこしひかり、汁物は揚げ茄子の胡麻味噌汁、香の物は手作りの佃煮と小茄子、キュウリの漬物という滋味溢れる内容でした。 〆のデザートは福島を代表とする夏の果物、桃のジュレ掛けグラス盛りです。 最後のデザートもサッパリ美味しくいただきました。 以上で夕食の紹介を終わります。 決して豪華な内容ではありませんでしたが、海の物をほとんど使わず地元の食材にこだわった伝統郷土料理をいただくのも悪くないと強く感じました。 但し無理に押しつける様なことはせずに、海の物を食べたい場合は希望すれば用意してくれるそうですし、鯉にしても苦手な場合は変更に応じてくれるとのことですので、この辺は宿のもてなしの姿勢が感じられて好印象です。 また、この他にも鯉こくなどの各種鯉料理や、ステーキ、岩魚のカルパッチョ、馬刺などの豊富な別注料理が用意されているようなので、夕食が物足りような方は別注料理をオーダーしてみるのも楽しみが広がって良いのではないでしょうか。 続いては朝食の紹介です。 朝食前には客室の玄関先に朝刊が配達されます。 いかにも老舗旅館らしいサービスであると感じました。 こちらが朝食の内容です。 夏野菜を中心にした質素ながらも滋味深いおかず達が並びます。 こちらの鱒の蒸し焼きが非常に美味しく、ご飯がすすみました。 そしてご飯に味噌汁です。 この日は長時間の山道歩きが控えていたので、朝からしっかりとお代わりをして栄養補給に努めました。 朝食後は、部屋の案内の中にあった面白そうな珈琲を頼んでみました。 その名も「進駐軍直伝!煮出し珈琲」というもので、ケトルに水と珈琲豆を入れ、15分もかけて煮出した珈琲をいただきます。 こちらがその煮出し珈琲です。 出来上がった状態の物を運んでもらうこともできるそうですが、待つことおよそ15分、ガラスの蓋に珈琲が吹き上がって来たら飲み頃のサインです。 初挑戦ということで味は正直微妙でしたが、何度も火に掛けてみれば出来映えも変わってくることでしょう。 珈琲をいただいた後は、荷物をまとめて客室を後にします。 チェックアウトの手続きを済ませて宿を出発する際は、女将さんや仲居さんらによる大勢の心温まる見送りを受け、最後まで感動の思いを胸に次の目的地に向け車を走らせました。 以上で会津東山温泉『向瀧』の宿泊レポートを終了します。 今回憧れの宿に宿泊してみて、名建築に名湯、伝統の郷土料理を守り伝えて来た『向瀧』を支えているものは、最終的には人に行き着くのだと強く実感しました。 記事の中ではあまり紹介しませんでしたが、『向瀧』のスタッフの皆さんの接客姿勢は大変素晴らしく、老舗旅館を支える強い志と客をもてなす温かさをひしひしと感じ、この宿に泊まって本当に良かったと心から思っています。 最先端のデザイナーズ旅館も当然大好きですが、『向瀧』のような歴史ある素晴らしい温泉宿に出会うと、あらためて日本旅館の良さを再認識することができます。 『向瀧』は正に会津の誇り、日本温泉旅館の象徴として今後もその素晴らしさを後世に伝えて行って欲しい思いました。 採点(5段階) 接客・・・・・5(皆さん丁寧で大変素晴らしい) 館内の雰囲気・・・・・5(何一つ文句の付けようのない素晴らしさ) 部屋の雰囲気・・・・・4(レトロで落ち着いた佇まい、庭園と川の眺望が両方楽しめたのが良かった) 清潔感・・・・・4.5(特に徹底して磨き抜かれた廊下に輝きには感動さえ覚える) 温泉・・・・・4.5(湯使い、お風呂の雰囲気とも大変素晴らしかった。お湯の温度がもう少し低ければ文句なし) 夕食・・・・・4(会津伝統の郷土料理、たまにはこういう食事も悪くない) 朝食・・・・・3.5(特に強い印象はないが、概ね満足) コストパフォーマンス・・・・・4.5(1万円台で感動体験できる納得の料金) 総合満足度・・・・・5(期待を裏切らない感動を味わうことができた) 次回リピート度・・・・・4(雪の降る季節に再び足を運んでみたい)
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会津東山温泉 向瀧
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これまで『向瀧』の美しい木造建築の素晴らしさを中心に紹介して来ましたが、温泉宿としてこの宿が多くの人に支持される理由はやはり、加水・加温・循環一切無しという本物の温泉力にあると思います。 露天風呂こそ無いものの、風情漂う数種類の浴室には会津藩から受け継いだ伝統ある掛け流しの湯がとうとうと注がれ、旧き良き温泉旅館の醍醐味を存分に味わうことができる貴重な存在となっています。 今回はそんな『向瀧』のお風呂の様子について紹介して行きたいと思います。 『向瀧』が有するお風呂は、伝統の「きつね湯」と称される趣ある男女別の内湯が1箇所、シャワー設備も備わった快適でレトロモダンな男女別内湯の「さるの湯」が1箇所、そして空いていれば自由に利用できる貸切家族風呂が3箇所と、充実した数を誇っています。 先ずは建物同様、以前からその美しい浴室の姿に憧れを抱いていた「さるの湯」に入ってみました。 その日の予約状況によって浴室が入れ替えになるらしく、この日は手前が女湯、奥が男湯となっていました。 但し滞在中に男女の入れ替えはありません。 脱衣所は簡素な印象、写真にはありませんが全ての浴室にバスタオルが用意されているので大変便利です。 曇りガラスの扉をワクワクする思いで開けると、美しい浴室の姿が目に飛び込んで来ました。 こちらが「さるの湯」の男湯の全景です。 窓を開けると半露天感覚で湯浴みを楽しむことができ、外にはミニ庭園風の緑が覗いていて癒されます。 また、大理石で作られているという浴槽は極めて美しく、思っていたとおりの素晴らしさに感動がこみ上げて来ました。 マーブル模様の壁には女性像のレリーフも飾られ、独特の雰囲気を醸し出しています。 しっかりと掃除も行き届いた清澄な湯に身も心も癒され、極めて満足度の高い湯浴みを満喫することができました。 「さるの湯」にはしっかりとシャワー設備が備わっているので安心です。 続いて女湯を紹介します。 女湯の浴室は男湯よりも一回り小ぶりな大きさですが、こちらもまた負けず劣らずの美しさで、男女の入れ替えがないことがつくづく惜しまれます。 女湯にはシンプルな壁のみでレリーフはありません。 ローマ風呂のような大理石のお風呂はあまり好きではありませんが、こんなに風情ある雰囲気を作り出すこともできるんですね。 さすが『向瀧』、センスの良さがひと味違うとつくづく感心しました。 女性には必需品と思われるシャワー付の洗い場は4箇所でした。 続いて貸切家族風呂の紹介です。 貸切家族風呂は庭園を望む廊下をさらに地下へ下る場所に設けられていました。 貸切風呂にもこのようにバスタオルが積まれていて便利です。 特に夏場は脱衣所にエアコンなどがあるわけではないので、汗を拭くには複数枚あると非常に重宝します。 貸切風呂は、階段を下りて3箇所の浴室が隣接して作られており、手前から「蔦」、「瓢」、「鈴」という名前が付いていて浴室の大きさがそれぞれ微妙に異なっています。 私達はその中でも一番広い作りの「蔦」に入ってみました。 こちらが「蔦」の様子です。 広いといっても2人入ればいっぱいになってしまうような小さな浴室ですが、いかにも湯治場風情を感じさせるようなレトロな雰囲気に溢れていて落ち着きます。 湯口付近には泉質の濃さを実感させるカルシウム成分の結晶がびっちりと付着していて感動的でした。 こういう温泉の析出物を削り取ってしまう宿も見受けられますが、本物の温泉力を実感させてくれる貴重な造形美であると思うので、しっかりとその姿を目にすることができる宿というものは、必然的に温泉にもこだわっている姿を感じることができます。 他の貸切風呂も全て空いていたので、様子を伺ってみました。 こちらは隣の「瓢」の脱衣場です。 「瓢」の浴室は3つの中で最も小ぶりな作りとなっていました。 全ての浴室でこの様な温泉成分の結晶を目にすることができます。 そしてこちらが一番奥の「鈴」の脱衣場です。 どの浴室も湯船の大きさ以外はそれほど変わらない雰囲気で、シャワーやカランの無い昔ながらのお風呂となっていました。 湯船が小さい分、新鮮な掛け流しの湯を独占したような気持ちよさを感じることができます。 さて、最後はいよいよ『向瀧』を代表するお風呂となる「きつね湯」の紹介です。 入口にある「昔ながらのあつめの温泉になっております」との注意書きのとおり、およそ44度以上はあろうかとのピリっと熱い湯を楽しむことができます。 浴室の前にはレトロな洗面所が設けられていますが、よく見ると洗面台が大理石をそのままくり抜いたと思われる珍しい作りになっていました。 このような小さなスペースにも意匠の楽しさが感じられます。 「きつね湯」も予約状況で浴室が入れ替えになるとのことですが、滞在中の男女の入れ替えはありません。 この日は通常どおり、手前が男湯、奥が女湯となっていました。 「きつね湯」は最もレトロ感に溢れているため、脱衣場なども棚などがなく籠に直接浴衣を入れて置いておくスタイルになっています。 こちらが「きつね湯」の全景です。 やはりカランやシャワーなど無い極めてシンプルな浴室ですが、存在感があって強く惹かれてしまいました。 湯口の上に並んだシャンプーのボトル類が、シンプルな浴室に美しい彩りを与えているような感じがします。 私は朝風呂に「きつね湯」に入りましたが、貸切状態でつかる湯船のお湯は極めて熱く、目覚めのお風呂としては正にピッタリといった感じのお風呂でした。 湯上がり後はサッパリとして非常に気持ちが良く、温湯好きの私でも思わずくせになりそうな刺激的なお湯を堪能することができて満足です。 「きつね湯」や貸切家族風呂の天井には、湯気を吸収し水滴のしたたりを防止する効果があるというヒル石が使われています。 続いて女湯の紹介です。 男湯と同様、脱衣場は籠だけが置かれた極めて簡素なつくりとなっています。 曇りガラスの扉を開けて浴室を覗いてみると、 やはり男湯よりも一回り小さな湯船がひっそりと待ち構えていました。 「きつね湯」に注がれるお湯は自然湧出による源泉を落差によって浴槽内に引き込んでいるとのことで、昔ながらの浴室を守り、提供してくれる姿勢に頭が下がる思いでした。 「温泉遺産を守る会」で認定された「源泉掛け流し風呂」の認定証書も誇らしく、正に後世に残したい温泉遺産としての価値あるお風呂の数々でした。 以上で『向瀧』のお風呂の紹介を終わります。 基本的にどのお風呂も頑固に100%源泉掛け流しを守っているため、お湯の温度がやや熱めであるというのが多少気になりますが、どの浴室もそれぞれに特徴があって大変満足することができました。 また、専用の内湯が付いた離れの客室などもあり、部屋に居ながらにして掛け流しの湯を思う存分楽しめる環境も整っているので、予算に余裕がある人は皇族気分で湯浴みを満喫されてみてはいかがでしょうか。 次回は伝統の会津郷土料理を客室で楽しむ宿の食事について紹介したいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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歴史ある木造旅館というものは、宿全体に安らぎと温かさ、そして大いなる浪漫が満ち溢れています。 しかしながら、ただ古ければ良い、ただ木造であれば良いといったわけでは決してなく、しっかりと手入れを施し、そこに美しさを感じることが出来なければ色褪せた単なるオンボロ宿になってしまいます。 数多ある木造旅館の中でも、とりわけ会津東山温泉『向瀧』が放つその魅力は絶大で、自分が今まで目にして来た温泉旅館の中では間違いなく一番であると思われる、群を抜いた風情と建築美を味わうことができました。 第二回目となる今回は、そんな『向瀧』の宿泊した客室と名工の技が光る宿の館内の風景を中心に紹介して行きたいと思います。 『向瀧』の客室数は全部で24室、眺めやつくりなど全て異なる客室となっているため、自分の好みのタイプを選んで予約することができます。 今回はリーズナブルな川側の客室で予約を入れたところ、「つくし」という名の明治時代から現存している風情抜群の部屋に通されました。 扉を開けると、先ずは板の間の前室が設けられています。 こちらが客室内の様子です。 部屋に入ると歴史のある宿特有の「匂い」が感じられますが、それは決して不快なものではなく、やがて趣として転化して行きます。 床の間の設えも上品で、角部屋のため奥には小さな窓もつくられていました。 障子を開けると、窓の向こうには歴史ある建物、 川側に面した部屋で、「つくし」の間は唯一庭園と川の眺めを両方楽しむことができる客室とのことでした。 こちらは絨毯の敷かれた広縁です。 椅子にかけられた白いカバーが、レトロな雰囲気を助長しているかのようでした。 広縁に面した窓は懐かしいネジ式、簾が下がっているので残念ながら川側の眺望はあまり利きませんでした。 広縁の奥にはトイレと洗面所が設けられています。 歴史ある建物ながらもトイレはしっかりとシャワートイレが備わっていて快適です。 こちらはレトロな柄の備え付けの浴衣、嬉しいことに足袋も用意されていました。 客室に通されてしばらくすると、仲居さんが抹茶と羊羹を運んで来てくれました。 宿の雰囲気によく似合った正統派のおもてなしです。 客室紹介の最後は夜に布団を敷いた状態です。 真夏ということもあり布団はやや湿気を含んだ感じであったので、この辺りは乾燥機などをこまめに入れて管理して欲しい気がしました。 さて、続いては客室を出て『向瀧』の館内に広がる風景を紹介します。 歴史ある建物であるだけに、館内は全て階段と廊下で結ばれており、適度なアップダウンが散策の楽しみを広げてくれます。 『向瀧』の廊下は、歩くのを忘れて思わず見とれてしまうような雰囲気を放っています。 館内の最奥部に差し掛かると、斜面に沿って増築された建物の中を自然の傾斜に合わせて作ったという階段が入り組んでいました。 庭園方向から眺めると、傾斜地に増築された建物の様子がよく分かります。 螺旋を描くようにして作られた階段。 階段一つ取ってみても、その造形の美しさに惚れ惚れしてしまいました。 庭園と渡り廊下。 いかにも日本建築らしい絵になる風景が続きます。 廊下を先に進むと、庭園を望む特等席が設けられています。 池を覗いてみると、エサをもらえると思ったのか錦鯉たちが近づいて来ました。 廊下の一角から庭園に下りて行けるようにもなっています。 斜面を上って庭園の全景を眺めてみると、庭師達が日々手入れをし、訪れる客達の目を楽しませてくれる非常に美しい風景が広がっています。 こちらの庭園に雪が降る冬の季節には、雪見ろうそくに火が灯って、何とも云えぬ幻想的な光景を楽しむことができます。 再び館内に戻り、長く延びる廊下を玄関方面に向かって歩いていくと、 途中に「登録有形文化財」の登録証や、温泉名人として名高い野口悦男さんが代表を務める「温泉遺産を守る会」の認定証書などが展示されていました。 こちらは玄関脇にある売店です。 各種土産物の中には、食事の際にもいただける会津伝統の郷土料理なども購入することができます。 宿を出て、温泉街をぶらっと散策してみることにしました。 橋の上は宿をバックにした絶好の記念写真スポットになっています。 橋の上から上流を見やると、川の真ん中に立派な櫓が組まれていました。 数日後の夏祭りの夜には、きっと大きな賑わいを見せていたことと思います。 こちらは橋の上から下流を眺めた様子です。 湯川に沿って歴史ある建物が長く延びている様子が伺えます。 会津東山温泉の温泉街は、寂れた感じがいかにも郷愁を誘う昔懐かしい風景が広がっていました。 路地に交差する階段を下りてみると、 ご覧のように足湯を楽しめる場所なども設けられています。 散策から帰って来てあらためて眺めて見る『向瀧』の勇姿。 その美しさと存在感は会津の誇りであり、正に日本温泉文化のシンボルの様な佇まいです。 最後は夜の『向瀧』の姿をいつくか紹介したいと思います。 美しい木造旅館は、昼と夜とで全く表情を変えて宿泊客の目を楽しませてくれます。 日中は明るく飴色に輝いていた廊下も、夜は艶っぽく黒光りして静寂な雰囲気に包まれていました。 ライトアップされた庭園も、暗闇に緑が浮かび上がって幻想的な光景です。 建物の外にこぼれ落ちる灯りがほのかに池を照らし、その美しさに思わず見とれてしまいました。 長い年月を重ねたこの『向瀧』の建物を目にすることができただけでも、はるばる足を運んだ甲斐があったという感じがしました。 以上で、『向瀧』の宿泊した客室と館内の風景についての紹介を終わります。
今回『向瀧』の建物を紹介する上で、「美しい」という言葉を思わず何度も連発してしまいまいましたが、滞在中およそ250枚も写真を撮ってしまうほどとにかく絵になる光景が至るところに点在していました。 とても全てを紹介することはできませんが、写真や言葉でその素晴らしさを表現することは難しく、やはり実物に勝る美しさはありません。 是非多くの人に足を運んでもらって、『向瀧』の風情を生で感じてもらいたいと思います。 次回は『向瀧』が温泉遺産たる所以、極上の温泉を楽しむことができるお風呂の数々について紹介したいと思います。 次回へとつづく・・・ |
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美しまふくしまを巡る旅〜、初日・二日目は『湯守玉林房』、『おとぎの宿米屋』という比較的和モダン系の宿に宿泊したため、三日目となる宿は似通った雰囲気を避け、飽きの来ないような宿に泊まりたいと慎重に考え抜いて選び出しました。 今回宿泊した先は、栄えある我が国登録有形文化財第1号の宿として、歴史と伝統を今に伝える会津の至宝、会津東山温泉『向瀧』です 数年前『向瀧』を紹介したある雑誌を眺めていた際、雪灯籠に浮かぶ感動的な日本建築の写真を目にして一目惚れし、「ここに行くならぜったいに冬だっ!」と自分の中で思い描いて来たのですが、やはり少しでも早く泊まってみたいという気持ちは消えなかったようでした。 福島の温泉を知るためには、やはり『向瀧』を知らねばならない・・・。 そんな憧憬を抱きつつ足を運んだ会津東山温泉『向瀧』の宿泊レポートについて、これから数回に渡って紹介して行きたいと思います。 今回は、丸1日懐かしい日本的な情緒を楽しもうとの思いで立ち寄った場所を中心に、宿に到着するまでの様子について紹介します。 『おとぎの宿米屋』を後にし、峠道をひた走りながら先ずは岩瀬湯本温泉へと向かいました。 山あいに鄙びた温泉街が広がる岩瀬湯本温泉−。 こちらの温泉地に以前からずっと足を運んでみたかった小さなお宿があります。 その宿の名は『ひのき風呂の宿 分家』で、空いていれば日帰り入浴も受け付けているとのことだったので、期待を込めて足を運んでみました。 こちらが待望の初訪問となる憧れの宿の玄関です。 茅葺き屋根に白壁が映えるレトロな外観、しかし決してボロさを感じさせない宿の佇まいは期待通りの趣に満ち溢れていました。 中に入ると、磨き抜かれた木の廊下に思わず目が奪われます。 女将さんらしき人に声をかけ、入浴可能かどうか問い合わせしたところ2人であれば大丈夫であるとのこと。 お風呂を含め、ちょうど館内を掃除中らしく忙しそうにしていましたが、入浴OKの返事をもらったので喜び勇んでお風呂へと向かいました。 服を脱ぎ浴室の扉を開ける瞬間、憧れのお風呂との初対面に期待と緊張が高まる感じがしました。 浴室に入ると、そのあまりに美しいお風呂の佇まいに「おぉ〜」と思わず感動のため息が・・・。 3人も入ればいっぱいになってしまうような小さな湯船がポツリと一つあるだけの浴室ですが、温泉好きの心を満たすにはそれだけでもう充分です。 湯船にはピリッと熱めの食塩泉が掛け流され、一つのアートを見るような思いでただただ静かな湯浴みを楽しませてもらいました。 洗い場は三箇所、しっかりとシャワーも備わっていて便利です。 続いて女性用のお風呂も紹介します。 女性用のお風呂は脱衣所、浴室内とも壁に窓ガラスが多く、外光が差し込んで比較的明るい雰囲気でした。 そしてこちらがお風呂の様子です。 男性用に比べて更に一回り小さな湯船で定員はおよそ2名といった感じでしたが、その鄙びた雰囲気は負けず劣らず非常に素晴らしい光景でした。 湯上がり後は非常によく温まるため、夏場ということもあってなかなか汗が引かずに大変でした。 こちらのお宿、檜風呂だけでなく客室も非常に趣があり、料理の評判もまた高いようです。 お風呂が混んでいる時など窮屈感は否めないとは思いますが、宿の雰囲気にすっかり魅せられてしまったので、いつか宿泊してじっくりと楽しんでみたいと思いました。 ひのき風呂の宿 分家 http://www7.ocn.ne.jp/~bunke/ 待望の『分家』への初訪問を果たした後は、昼食を取るべく「大内宿」方面に車を走らせました。 「大内宿」へも今回が初訪問となり、のどかな田舎の風景に心が癒されます。 平日とはいえ夏休みシーズンでもあり、観光客の姿はそれなりにあって賑わいをみせていました。 テレビや雑誌では幾度と無く目にしてきた場所ですが、このような山の中に江戸時代の宿場町の姿がそのまま現存している事実にただただ驚かさせます。 まるで時代劇のセットのような茅葺き屋根が連なっている様は感動の光景でした。 水路で冷やされているラムネや野菜など、いかにも夏の田舎のワンシーンを切り取ったようで郷愁を誘います。 さて、「大内宿」で味わう味覚の代表といえばこちら、「三澤屋」にていただく「高遠そば」です。 ご存じの方も多いかと思いますが、丸ごと1本のネギを箸代わりにして食べるという変わり種の名物蕎麦で、蕎麦好きを名乗るからには以前から是非一度食べてみたいと思っていました。 広々とした店内には囲炉裏が切られ、岩魚の塩焼きが香ばしい匂いを放っています。 整理券を配るほどの繁盛ぶりで、20分ほど待ってようやく座敷に入れました。 吹き抜けになった屋根裏を見上げると、黒光りする柱と梁が力強くそびえ立っています。 メニューはいくつかありますが、二人ともお目当ての「高遠そば」を注文し、蕎麦茶などを飲みながら出来上がりをしばし待ちました。 待つこと5分、こちらが見た目のインパクトも強烈な「高遠そば」です。 大根おろしと鰹節が乗った豪快なぶっかけ蕎麦で、ネギは箸と薬味を兼ねていてある意味合理的です。 割り箸も添えられていますが、やはり果敢にネギの箸にてチャレンジです。 なかなか蕎麦が引っかからず、おまけにネギを薬味として囓るとどんどん短くなってしまうため食べるのにはかなりの労力を要しましたが、蕎麦の味も大変美味しく名物蕎麦を堪能することができて大満足でした。 「大内宿」で旧き良き日本を楽しんだ後は、城下町・会津若松の市街地を通りつつ奥座敷たる東山温泉へと向かいました。 湯川の渓流に沿って長く延びる温泉街の道を進んでいくと、向こう岸に圧倒的な存在感を放つ日本建築の姿が目に入って来ました。 Y字路を右手に入り、橋を渡ると間もなく到着です。 こちらが『向瀧』の勇姿。 ちょうど夏祭りを数日後に控え、温泉街一帯に情緒ある提灯の飾り付けが行われていました。 玄関前に車を着けると、番頭さんに鍵を預けて駐車場へと移動してもらいます。 宿のスタッフによる和やかな歓迎の出迎えを受けつつ、その風格ある玄関を見上げながら館内へと入りました。 館内に足を踏み入れるとそこは正に別世界、飴色に磨き抜かれた木の床を目にすると感動がこみ上げて来ます。 玄関脇のホールには、皇族や現職時代に宿泊されたという小泉首相らの写真が飾られ、国内外のVIP達も足を運ばれるという老舗宿の格式が感じられます。 到着すると先ずは客室へと案内されます。 途中、同行の彼女が埃一つ無いそのあまりにも美しい廊下に見とれて何度も立ち止まってしまい、仲居さんに思わず笑われてしまうほどでした。 たとえ歴史ある建物であっても、痛みや古さが目につく建物を好まない彼女がこれほどまでに目を奪われること自体が、多くの人に絶賛され続けてきた『向瀧』の素晴らしさを物語っているような気がしました。 廊下から眺める庭園も手入れが行き届いていて素晴らしい光景です。 こちらの庭園の写真を見たのがこの宿に泊まりたいと思ったきっかけでしたが、雪景色ではない夏の緑もまた違った美しさを感じます。 明治・大正・昭和と、時代をまたにかける木造建築の美しさは、写真ではなかなか伝えられません。 そしてこちらの階段を2階に上がると、 ようやく今宵の客室へと到着しました。 以上で、会津東山温泉『向瀧』の宿泊レポート第1回を終了します。
この日は1日中、日本的な懐かしい風景を巡る旅を楽しんだ感じでしたが、やはり『向瀧』に到着した際に感じた圧倒的な存在感は他に類を見ない素晴らしいものでした。 次回も引き続き、宿泊した客室と宿の館内の様子についてじっくり紹介して行きたいと思います。 次回へとつづく・・・ |
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