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もはや私ごときが今さら語る必要もないほど、本館個室料亭でいただく『湯主一條』の食事の人気は絶大なものがあります。 高い料金を支払えば美味しい料理にありつけるのはごく当然ですが、この料金でこれだけ満足度の高い食事を楽しめるという凄さが、『湯主一條』をここまでの人気宿に仕立てたと言っても過言ではないと思っています。 最終回となる今回は、ますますパワーアップした感動の食事内容について紹介して行きたいと思います。 リニューアル後、最高のディナーを演出する第1歩として食事時間になるとスタッフが客室まで迎えに来てくれるようになりました。 以前は「時の橋」の前のホールで混雑する場面も見られたので、よりスマートなサービスが取り入れられたことは素晴らしいと思います。 指定した18時30分となり、一條の吉永さゆりこと大好きなベテランさんに先導されて本館個室料亭「匠庵」へと足を運びました。 夜の本館の風景は感動の美しさです。 いつものように期待に胸を躍らせながら長い廊下を歩いて行きます。 個室料亭は畳に椅子・テーブル席の設え。 正に大正ロマン風の落ち着いた佇まいとなっています。 先ずはチェクイン時にオーダーしておいたフルーティーなベルギービールで乾杯です。 この他にも、食前酒ならぬプラムのフルーツビネガーをいただきました。 始めに箸をつけたのはこちらの前菜・五点盛りです。 毎回この前菜から始まる至福の時間がとても楽しみで、今回も実に感動的な美味しさがギュッと詰まった小鉢達でした。 手前から、鴨のスモーク・焼きねぎ、秋茄子の胡麻浸し、チーズ風味落花生豆腐、秋野菜の絹酢和え、焼き松茸の浸しという内容で、どれも皆単純に「美味しいっ」という言葉しか出てきません。 大好きな鴨ねぎはもちろん、落花生の風味が抜群の非常に滑らかな豆腐や、甘みの利いた秋茄子の優しすぎる味わいなど、正しくこれぞ一條という前菜の数々に脱帽の思いです。 続いては定番の汲み上げ湯葉をいただきます。 今回も3回ほど掬うことができました。 お造りはいつも通り、カルパッチョ仕立てでいただきます。 今回はカンパチと紅葉鯛に香味野菜を添え、柚子の風味を効かせたソースのサッパリ爽やかな一皿でした。 私は一條のお造りが毎回楽しみで、和とイタリアンが融合した最高の一皿であると思っています。 今回は脂の乗った魚に良く合うサッパリ目の味付けだったので、これに醤油を少し加えてみたらこれがまた非常に良くマッチして、一皿で二度美味しい最高のカルパッチョになりました。 続いては蓋物となる南瓜まんじゅうです。 口の中に入れると、生クリームを使っているためか非常に滑らかな舌触りで南瓜の甘みが広がり、具には挽肉やエビといった旨みが凝縮されていて、南瓜料理の最高峰をいただいているような感動を覚えました。 続いては趣向を変えた一皿、一條菜園で取れた旬の野菜をバーニャカウダ風にいただきます。 料理長や社長も自ら足を運んで丹誠込めて育てた取れたて野菜達を、もろみ味噌とアンチョビソースという2種類の味で存分に楽しませてもらいました。 そしてダブルメインといっても良い焼物と鍋物に移っていきますが、リニューアル後は焼物と鍋物をそれぞれ肉と魚から個人毎に選べるようになっていました。 当然ながら私達はそれぞれ別の料理を選ぶことにし、お互い取り分けて4種類の至福の料理をいただいてみることにしました。 焼き物は、香ばしく焼いた鱸のポワレ・野菜のグリルを添えて〜、 そして最高級仙台牛の炭火焼きという内容です。 ハッキリ言って、料理を見れば十分に分かる美味しさなので、ここであれこれ説明する必要はないと思います。 魚が好きな人は魚を、肉が好きな人は肉を選べばまず後悔はしないハズです。 甲乙付けがたい味とは正にこのことであると思いました。 鍋物は金目鯛のしゃぶしゃぶ、 そしてもう一方は、以前からの名物料理でもある宮城野ポーク霜降りレッドのしゃぶしゃぶです。 こちらの鍋対決については、やはり豚しゃぶの美味しさに軍配が上がったような感じがします。 霜降り豚のとろけるような味わいはやみつきになる美味しさで、普通の豚しゃぶなどを想像していただくとビックリすることは間違いありません。 今回はこの他に一條菜園で取れた旬の野菜料理を別注してみました。 オーダーしたのはアケビの天ぷらと枝豆の2品で、どちらも素材の味がよく分かる美味しい一皿でした。 別注野菜はそれぞれ315円と手頃な価格のため、気軽にオーダーできるのが嬉しい感じです。 そしてようやく食事に至りますが、新米となる宮城産のひとめぼれ、香の物三点、芋の子汁というこれだけでも十分ご馳走に値するような満足度の高い内容でした。 ちょうど宿泊した10月の連休中から新米が提供されたとのことで、一番の旬の味覚であったような気がします。 〆のデザートはマンゴープリンとレモンのソルベに木苺のコンフィチュール添えです。 今回のデザートは今まででいただいた一條のデザートの中では一番とも思える美味しさで、最後までパーフェクトな感動を提供してくれました。 どうやら宿側が彼女のバースデイ旅行であるということを覚えていてくれたようで、バースデイソングの合唱隊と共に「誕生日おめでとうございます」とチョコでメッセージが書かれたフルーツプレートをいただくことができたのです。 以前も彼女のバースデイを一條で迎えたことがありますが、今回はケーキなどを用意するわけでもなくとにかく佐々木料理長の絶品創作料理を楽しむことに専念しようと足を運んでいたので、一緒にいた私も本当に嬉しかったです。 料理の感動と共にスタッフの温かい心使いにもダブルで感動し、彼女もすっかり涙腺が崩壊してしまいました。 更にチェキで記念撮影もしていただき、翌朝スタッフ手書きのメッセージカードと共に撮した写真を手渡してくれるというありがたいサービスまでありました。 やはり記念日を迎える宿に『湯主一條』はピッタリです。 以上で夕食の紹介を終わります。 2時間半近くかけていただいた食事は、何一つ文句の付けようのない美味しさで本当に大満足でした。 連泊すれば食事内容を全て変更してくれるそうなので、できれば3日間くらい滞在して絶品創作料理の数々を味わい尽くしてみたいものです。 さて、引き続いて朝食の紹介です。 朝食時間は何時でもOKとのことで、今回は8時からお願いしました。 「時の橋」を渡り、再び本館個室料亭「匠庵」へと足を運びます。 以前も紹介しましたが、『湯主一條』では全てのスタッフに生ビールの達人たるドラフトマスターの資格を取得させているようで、廊下の途中にはその証書が誇らしげに飾れています。 テーブル席には既に美味しそうなおかず達が並んでいました。 朝食の定番たるシンプルなおかずの中には、 ご覧のような酒の肴に良く合いそうな蒲鉾などもいただくことができます。 まるではんぺんのような食感の蒲鉾は、甘みがあって香ばしく本当に美味しかったです。 こちらは一條の朝食の定番となった蔵王の高原野菜サラダ、 そして大好物の白石うーめんです。 サラダもうーめんも文句なしの美味しさで、朝から食欲がみなぎって来ました。 続いては、手作り豆腐に感動的な美味しさの出汁巻き玉子、そして一見肉じゃがを思わせる冬瓜の煮物という豪華なおかず達が食卓を彩ります。 どれも皆本当に優しい味わいで、朝食も一切手抜き無しという姿勢がひしひしと伝わってくる感じがしました。 当然ながら、ご飯も味噌汁も心に染みる美味しさです。 最後に自家製ヨーグルトと珈琲をいただき、充実した朝食を食べ終えました。 朝食を食べ終えた後は、渋滞を避けるために荷物をまとめて早めにチェックアウトすることにしました。 いつもながら女将さんやスタッフの皆さんのあたたかい見送りを受け、最後まで気分良く宿を後にすることができて大満足です。 非日常の世界から、現実の日常の世界へ・・・。 帰りもまた温泉街へと続く坂道を一歩一歩踏みしめながら駐車場へと足を運びました。 見事な秋晴れが広がったこの日、鎌先温泉から紅葉の蔵王方面目指していざ出発です。 以上で鎌先温泉『時音の宿 湯主一條』の宿泊レポートを終了します。 リニューアルOPEN後、待ちに待った形で足を運んだ『湯主一條』でしたが、期待通りに、いや期待以上の感動と満足感を持って私達を迎えてくれたので、さすがノリにノッている宿は勢いが違うと、あらためて実感することができました。 人気が出た最近は週末などなかなか予約が取りづらくなって来ていますが、来年も必ずまた一條の森でのタイムトリップを楽しみに再訪したいと思っています。 時音の宿 湯主一條 http://www.ichijoh.co.jp/ 採点(5段階) 接客・・・・・4.5(ホテルライクな接客ながらも皆さん本当に良くしてくれた。新人さんに笑顔が身に付けば完璧) 館内の雰囲気・・・・・5(レトロな木造本館とモダンな別館とのコントラストは一條ならではの素晴らしさ) 部屋の雰囲気・・・・・4.5(改装して素晴らしい雰囲気の客室になった) 清潔感・・・・・4.5(概ね満足、見えにくい場所にも更なる努力を期待したい) 温泉・・・・・4.5(今回はいつも以上に薬湯の良さが実感できた) 夕食・・・・・5(何一つ文句なし、大変満足) 朝食・・・・・5(夕食と同様の評価) コストパフォーマンス・・・・・4.5(今回は休前日で2万円台に突入したので、リーズナブルな和室であればほぼ5) 総合満足度・・・・・5(何回足を運んでも変わらぬ満足感、安心して人にも勧められる宿) 次回リピート度・・・・・5(リピートは確実、後は訪問時期をいつにするかだけ)
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鎌先温泉 湯主一條
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『時音の宿 湯主一條』が持つ宿の魅力は実に様々ですが、屋号にもある「時の音」を感じることができるレトロな木造本館とTOPデザイナーによるモダンな別館という比類無きツインタワーの美しさ、そして開湯600年を誇る効能高き自家源泉を有する点など、魅力ある温泉宿としてハード面で大きな武器を備えていると思います。 現代人が温泉旅行に向かう際に求めるキーワードの多くは、「癒し」や「非日常」を味うためと良く耳にします。 そういった面で、長い年月を培った来た『湯主一條』の建物やお風呂は、我々現代人の心と体を日常から解き放ち、大いなる癒しを与えてくれる格好の場所であるのは間違いありません。 今回は、そんな『湯主一條』の館内とお風呂の様子について紹介して行きたいと思います。 7月にリニューアルしたのは客室棟である別館のみ。 個室料亭が連なるこちらの木造本館は今も変わらぬ凛とした空気に包まれていました。 磨き抜かれた廊下に波打つガラス窓、そして釘一本使われていないという宮大工による見事な建物〜。 そこに居るだけで思わず吸い込まれてしまいそうな魅力が漂っています。 写真左の角部屋は個室料亭の中でも特等席です。 初めて『湯主一條』を訪問される方は一番奥の角部屋をリクエストしてみることをオススメします。 そして廊下の一角には知る人ぞ知る波動スピーカーが・・・。 『湯主一條』ではJAZZの音色と共に食事を楽しむことを一つのウリにしていますが、以前は単なるCDデッキが置かれているだけでした。 そんな中、今回のリニューアルによって取り入れられた装備の目玉の一つがこちらの波動スピーカーにあると思います。 オーディオ好きの知人に言わせると、その臨場感と澄んだ音色は圧倒的な迫力らしく、正に音の波が体全体に突き抜けて行くのだそうです。 宿の雰囲気にも実に似合った素晴らしい装備ですね。 私が『湯主一條』に足を運ぶ際は、迷惑にならない程度に木造本館の素晴らしさを存分に楽しませてもらっています。 そしていつも同じ場所にて記念撮影を。 気分は昔の文人墨客、タイムトリップが実感できるお気に入りのスペースです。 こちらは外に出て眺めた本館の様子です。 この坂道も、『湯主一條』に足を運んだら必ず写真に残して置きたくなる印象的な風景の一つです。 親から子〜そして孫へと、訪れる客達に取っても世代を越えて常に変わらぬ光景を目にすることのできる木造本館は、後世に残して行きたい温泉遺産と云っても過言ではありません。 そして見事にリニューアルを果たした別館の玄関周りも、本館に負けないくらいの魅力を放っていました。 今回のリニューアルで玄関前に水盤が作られ、流れ落ちるせせらぎが目と耳で癒しの効果を演出しています。 宿からこぼれ落ちるオレンジ色の灯りと、頭上に広がる茜色の空−。 優しい時間が流れる夕暮れ時の玄関周りは、私が最も好きな風景の一つです。 館内に戻ると、琉球畳が敷かれたシックな玄関ロビーが広がっています。 以前の玄関ロビーも決して悪くない雰囲気でしたが、リニューアルしてワンランク上の上品さが備わりました。 ロビーにも波動スピーカーが置かれています。 波動スピーカーから流れるヒーリング系の音楽を聴きながら、ロビーでゆったりと過ごすのも悪くありません。 こちらのお土産処は以前と変わらぬ設えです。 お土産品の中には一條のロゴが入ったオリジナル傘なども販売されていましたが、できれば宿オリジナルのお菓子なども作ってもらえたら嬉しい感じがしました。 こちらは朝のロビーの光景です。 磨き抜かれた窓ガラスの向こうから朝日が差し込み、清々しい雰囲気に包まれていました。 ロビーに隣接するラウンジ「都路里」は、午後9時以降はバータイムとなります。 今回利用はしませんでしたが、シックなバーで食後にカクテルをいただく時間も楽しそうです。 続いてお風呂の紹介へと移ります。 お風呂は以前と特に変わりは無いので、今回は簡単な紹介で済ましたいと思います。 『湯主一條』のお風呂は、薬湯と名付けられた源泉掛け流しの湯が注がれる内湯が男女各1箇所、露天風呂も備わる大浴場が男女各1箇所、そして1日2組限定の貸切家族風呂が1箇所となっています。(但し貸切風呂は主に湯治客用なので案内などは特になし) こちらの螺旋階段を下りると、お目当ての薬湯が待っています。 男女別の薬湯は右が男湯、左が女湯となっていて男女の入れ替えはありません。 先ずは夜の男湯の様子です。 以前は味気ないように感じられた浴室のつくりですが、今となっては馴染みの姿、レトロな雰囲気に抜群の肌触りの湯が心と体に染みいります。 今回は体が薬湯を欲していたようで、夜も朝も繰り返し薬湯に浸かってじっくりと鎌先の湯を堪能させてもらいました。 開放感がある浴室ではありませんが、窓の向こうにレトロな本館を望む風景もまた味わい深いものがあります。 見事に変色した湯口からは、貴重な自噴泉が今も変わらず注がれ続けています。 浴槽内には茶色い湯の花がたくさん舞っていますが、今一度かつてのような濁り湯の姿を取り戻して欲しいと願うファンは多いのではないでしょうか。 薬湯前の湯上がり処も、今回のリニューアルで広々とした空間に生まれ変わっていました。 湯上がり処の一角では冷水をいただくことができます。 そして以前は湯治客用の売店が置かれていたスペースも休憩所+自販機コーナーとなっていました。 既に本館での宿泊は受け入れていないようですが、かつての湯治宿の火が消えてしまうのは少しだけ寂しい感じがしました。 こちらは女湯の様子です。 男湯にくらべて湯船もだいぶ小さい感じですが、混雑さえなければレトロな雰囲気で極上の湯浴みを満喫することができそうです。 モダンな館内にこの様なレトロな浴室が残ることもまた、『湯主一條』の大いなる魅力の一つだと思います。 「傷に鎌先」と謳われる薬湯ですが、事実私は今回の旅で絆創膏を貼っていた指の切り傷がすっかり良くなりました。 剥がれた絆創膏を付け直さずお湯に浸し続けたのが正解だったようです。 続いて露天風呂付の大浴場「洞窟の湯」へと足を運んでみます。 「洞窟の湯」と云っても洞窟風呂というわけではなく、宿の前にあるいわく付の洞窟より自噴している源泉が注がれる浴室です。 加温循環しているお風呂ではありますが、広く取られた窓ガラスの外には一條の森を望み、開放的な気分で湯浴みを楽しむことができます。 ただし、いつもはこちらのお風呂にも必ず入る私ですが今回は薬湯のみひたすら入り続けていたので写真を撮しただけでした。 男湯の露天風呂はほとんどオマケのような感じで付いている状態なので、個人的には無くても良いような感じもします。 こちらの露天の壁の向こうは散策路となっていて、人通りもあるのであまり落ち着きません。 一方、こちらの女性用の「洞窟の湯」は露天風呂がメインとなっています。 四季折々の一條の森の姿を望みながら入る露天風呂は開放感抜群で、薬湯の湯船が小さい分女性だけの特権です。 毎回述べていますが男女別のお風呂は全て趣が違うので、目隠し対策などを上手に施して浴室の入れ替えを行い、いつか全てのお風呂を楽しんでみたいものです。 以上で『湯主一條』の館内とお風呂の様子についての紹介を終わります。 こうして記事を書いている今、鎌先温泉はすっかり雪に覆われているとのことです。 私はまだ一度も冬に足を運んだことはなく、雪景色に佇む本館や一條の森の美しさを知りません。 お風呂もまたしかり。 雪見風呂や、凍てつく寒さの中で浸かるお風呂の心地良さは恐らく最高の贅沢と云えそうです。 既に心はすっかり鎌先温泉へと飛んで行っているようで、想像の中で一面の雪景色に佇む『湯主一條』の美しい光景が浮かび上がって来ます。 変わらぬ美しさと進化する美しさ〜。 この二つを兼ね備えた『湯主一條』は、今後もますますその魅力が増してくることは間違いないことでしょう。 そしてその魅力を生み出し、維持しているのは女将や社長他、一條を支える全てのスタッフ達です。 人が良い旅館を創る−。 『湯主一條』の館内を歩いていると、その言葉が強く実感できると思います。 次回は感動のフィナーレ、本館個室料亭でいただく絶品創作料理の数々を紹介したいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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私が最も気に入っている宿の中の一つである鎌先温泉『時音の宿 湯主一條』が、2008年7月満を持してリニューアルオープンを果たしました。 『湯主一條』といえば、温泉宿の命でもある薬功高い名湯を筆頭にして、レトロモダンな世界を体感できる風情溢れる建物や、ツウでも思わず舌を巻くような絶品創作料理、ホテル仕込みのスマートな接客など、その魅力を上げればきりがないような質の高いサービスを提供してくれる宿として、ここ数年飛ぶ鳥を落とすような勢いで集客数を伸ばしている大人気のお宿です。 大の『湯主一條』ファンを名乗るからには、本来であればリニューアルしてすぐにでも足を運ぶべきというのが筋であるかとは思いますが、真っ先に駆けつけたいという思いを必至でこらえながら、リニューアル直後の喧騒が落ち着くのを待って、10月の3連休にようやく待望の再訪を遂げることができました。 10月まで訪問を引っ張った理由はもう一つあり、恒例となっている彼女のバースデイ旅行の行き先として、新生『湯主一條』こそが最もふさわしいお宿であると考えたからです。 当然ながら彼女も『湯主一條』をこよなく愛する一人であり、今回の訪問を2重の楽しみで心待ちにしていたというわけです。 生まれ変わった『湯主一條』は果たして私達の目にどのように映ったのか・・・。 そんな『湯主一條』の宿泊レポートをこれから数回に分けて紹介して行きたいと思います。 秋の行楽シーズンである10月の3連休初日、首都圏を過ぎると東北道もずいぶん空いて来ました。 この日は生憎の曇り空でしたが、宮城蔵王の高原地帯を鎌先温泉目指して快調に車を走らせます。 鎌先温泉の入口に差し掛かると、すぐに『湯主一條』の大きな駐車場が目に入ります。 こちらの駐車場に車を停めて宿に連絡すると、すぐに送迎車が迎えに来てくれる運びになっていますが、私達はいつも宿までの道のりを歩いて向かいます。 ほぼ1年ぶりとなる鎌先温泉−。 歓楽的要素が全く無い極めて小じんまりとした温泉街ですが、私はこの鄙びた雰囲気が大好きです。 鎌先温泉のほぼ中心に位置する『最上屋旅館』は、最近「秘湯を守る会」に加盟したようです。 文字どおり秘湯の趣漂う風情満点のお宿の姿ですね。 『最上屋旅館』の脇を抜けて、温泉街を奥へと進んで行きます。 目指すべき『湯主一條』は最奥部の高台に位置しているので、この時点ではまだ見えてきません。 こちらの標識が目に入ると、いよいよタイムトリップへの道のりが始まります。 宿まで車で乗り付けることも可能ですが、ご覧の通り道幅は非常に狭く尚かつ急坂となっているので、素直に手前の駐車場に停めてから足を運んだ方が無難です。 毎回のことながら、宿に向かうこの坂道を歩いていく時の何とも言えない期待感とドキドキ感を感じる瞬間がたまりません。 そしてさらに歩みを進めると、宿名の通り時の音を感じる『湯主一條本館』が目の前にそびえ立っていました。 何回足を運んでも変わらぬ風情、風格、そして圧倒的な存在感・・・。 10年、20年、100年先になっても、ずっと威厳あるこのままの姿で建ち続けてくれることを願ってやみません。 あえて文化財指定の話を断ったという木造本館のその雄々しい姿は、現代では再現不可能な名建築です。 懐かしい本館の玄関と、その先に見える生まれ変わった別館の佇まい。 メジャー中のメジャーとも云える、かの石井建築設計事務所が手掛けただけあり、パッと目にしただけで思わず「今回のリニューアル大成功!」と感じてしまいました。 玄関の位置もいくぶん奥へと移り、期待を持って館内へと足を踏み入れました。 館内に入ると、先ずは畳敷きのホールに存在感のある花器が置かれています。 花だけではなく、葉ものが活けられているので一際瑞々しい印象を受けました。 以前は玄関だった部分は、シックな色調のロビーへと生まれ変わっていました。 廊下も含め、全体的に茶系でコーディネートされた館内は落ち着いた雰囲気が漂っています。 こちらでスリッパに履き替え、チェックインの手続きためにお馴染みのラウンジ「都路里」へと通されます。 案内役のスタッフは見慣れぬ顔の新人さんらしく、まだ笑顔等がぎこちない印象。 1日も早く一條の名に恥じない一流スタッフへと成長できるように応援したい気持ちになりました。 チェックイン時のサービスは以前よりも向上していました。 ウェルカムドリンクの深蒸茶のお茶請けには、嬉しいことにずんだ餅が添えられています。 以前は市販のお菓子がお茶請けであったので正直物足りない感じを受けましたが、これで全くの不満なしです。 チェックイン時に食事の時間や夕食時の飲み物などのオーダーを一通り済ませた後は、浴衣のサイズを選びます。 こちらの浴衣選びですが、以前にあった女性用の色浴衣サービスは無くなり、希望者は有料で色浴衣をレンタルするスタイルに変わりました。 この辺はややサービスの低下と捉えられる印象を受けたので、再考を期待したいところです。 男性の私にはあまり関係のないことではありますが・・・。 さて、浴衣を選んだ後はいよいよ客室へと向かいます。 リニューアル前に最も見栄えが悪いと感じていた無骨な階段周りも、すっかり見違えて嬉しく感じました。 今回予約した客室は掘り炬燵の付いた洋和室、客室名はホテルライクな303号室です。 扉を開け客室内に入ると、思わず「おぉ〜」と声をあげてしまうほど美しい空間が広がっていました。 温もり感のあるフローリング床にツインベット、そしてくつろぎスペースとなる畳敷きの広縁部分には掘り炬燵が備わり、和室主体ではなく、あくまで洋室に和の要素を取り入れた文字通り「洋和室」というネーミングがピッタリの客室です。 くしくも昨年宿泊した際の「有明の間」とちょうど同じ部屋に通される形になったので、リニューアルによりどれほど変わったかが一目瞭然となりました。 社長も女将さんもホテルマン出身だけに、ベットルームへのこだわりは一際強いようです。 畳敷きにベットを置いた流行りの和ベットルームは好きではないそうで、こちらの客室のベットはもちろん世界のシモンズ、ゆったりとしたセミダブルサイズで寝心地感は抜群であり、更にベットを寄せればハリウッドスタイルも楽しめるという正にホテル仕様となっています。 但し温泉旅館である以上、和のくつろぎも重要です。 わずかなスペースを活かして、そんなくつろぎ感を上手に組み入れてくれました。 客室の鍵は何かと便利な2本組、テーブルの上にはお茶請けの野菜スナックが置かれていました。 こちらのお茶請けも、以前のモノに比べてかなり工夫をこらした一皿となっています。 客室からの眺めはさすがに変わりナシといった感じです。 紅葉はまだずいぶんと先のようで、眼前には緑に覆われた「一條の森」が広がっていました。 サイドデスクなども、ホテルのような機能的なつくりとなっています。 引き出しを開けると、中にドリップ珈琲や電気ポットなどの備品が収納されています。 続いて水回りの紹介です。 こちらのスペースも、今回のリニューアルによって格段に使い勝手がよくなりました。 こちらはシンプルな洗面台、 更にかつては非常に狭かったトイレもゆとりのある空間に生まれ変わりました。 利用はしませんでしたが、しっかりとバスルームも備わっています。 タオルやアメニティなどは専用の棚にスッキリと納められていました。 また、新たに加わった便利な装備がこちらの乾燥機能付のタオル掛けです。 バスタオルをかけるにはやや小さかったため、もう少しサイズが大きければありがたかったのですが。 客室の隅に設けられたクロゼットや金庫も余裕のサイズで、丈の長い洋服もバッチリ収納できます。 最後にすっかりくつろぎ状態の写真を2枚ほど。 とにかく居心地度抜群の客室に大満足で、ただでさえ大好きだった『湯主一條』がますます好きになったのは言うまでもありません。 今回は宿泊した客室の様子を中心に紹介しましたが、大幅なリニューアルを遂げた『湯主一條』では、この他にも温泉付客室となるスイートルームや、女将さんらの最もこだわりが込められたセミスイートルーム、そしてやっぱり和室派という方にも嬉しい標準和室など実に様々な客室タイプが用意されています。 『湯主一條』のエスプリをより強く感じてみたいという人には洋室系の客室を、また『湯主一條』の持つ抜群のコストパフォーマンスを重視したいという人には和室を選択するのが良いのではないでしょうか。 普段使いから特別な記念日まで・・・。 『湯主一條』の客室には実に懐の深い選択肢が散りばめられています。 私達は今回洋和室を選びましたが、次回訪問する際は木造本館を眺める和室、または再び今回と同じ洋和室に泊まってみようと思っています。 次回は館内及びお風呂の様子について紹介したいと思います。
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