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『船山温泉』で味わう食事は、地元の食文化を色濃く伝えるジビエ料理です。 海の物は一切使わないという明確なポリシーの下、山の恵みをふんだんに取り入れたオリジナリティ溢れる料理の数々を、夕・朝食共に落ち着いた個室食事処にてじっくりと楽しめるようになっています。 料理内容は年間を通じてそれほど変わることはありませんが、それもまた『船山温泉』という宿の大きな個性の一つであると云えるかと思います。 私は『船山温泉』でいただく食事が大好きで、毎回足を運ぶたびにいつも変わらぬ満足感を持って滋味溢れる山の幸を堪能させてもらっています。 最終回となる今回は、そんな宿の食事の模様について紹介して行きたいと思います。 夕食時間は午後6時からの固定で、支度が整うと客室に電話連絡が入ります。 客室の窓から何度も食事処の様子を伺っては、今か今かと夕食の時間を待ちわびていました。 時間通りに連絡を受け、1階にある食事処へと足を運びます。 庭園側を向いた個室であれば尚良かったのですが、今回は「ひいらぎ」という部屋に通されました。 ジョッキの生ビールは置いていないらしく、たまには趣向を変えてサッポロ黒ラベルにて乾杯です。 食前酒は自家製の梅酒、お椀に入っているのは鴨肉の入ったそば餅饅頭、手前の小皿三品は左から秘密の和え物、真ん中が鹿肉のタタキ・生姜醤油ジュレ、右が柿と銀杏の白和えといった内容です。 そば餅饅頭はそばがきの様な食感で、柚子の風味が効いた見た目よりも非常に上品なお味。 秘密の和え物は、ノビル・柚子・コラーゲンが入ったコリコリとした楽しい食感、好物である鹿肉のタタキは全くクセが無く生姜醤油のジュレと非常に良く合っていました。 また、白和えも銀杏の苦みと柿の甘みが程良くマッチし、初めから山の幸全開といった料理内容にどんどん箸が進みました。 続いては、この宿のお楽しみである岩魚のお造りです。 刺身のつまには何とクレソンが添えられ、地元山梨産の生山葵や生姜をお好みで薬味に使い、塩または刺身醤油にていただきます。 今回の岩魚の刺身は身が締まっていて非常に歯ごたえがあり、噛むと身の甘みを強く感じました。 相変わらずの美味しさに大満足でしたが、以前に比べると量が少し減ったような感じがしたので、できればもっといただきたかった感じがします。 続いても岩魚料理が登場です。 忍野八海で育ったという焼きたて熱々の岩魚の塩焼きに、付け合わせとして柚子と梅の砂糖漬けが添えられます。 皿に載せ、頭からガッツリといただきましたが、ジューシーかつ絶妙の焼き加減で本当に美味しかったです。 普段は単なる塩焼きに物足りなさを感じる私も、『船山温泉』の岩魚料理はいつも文句の付けようがありません。 続いての料理も船山温泉の定番となる、天然の猪を使った猪鍋です。 まったくクセの無い猪の肉をピリ辛の味噌仕立てでいただく鍋は正に絶品、猪鍋とはこんなにも美味しい物なのかということを改めて感じさせてくれる一品です。 正直言って、私は猪鍋自体はあまり好きではありませんが、『船山温泉』でいただく猪鍋は思わずクセになるほどの美味しさでした。 野菜も肉も本当に具だくさんで、季節を問わず1年中味わうことのできる名物鍋です。 続いての料理は甲州ワインビーフのステーキです。 こちらのサイコロステーキも毎回登場する定番メニューですが、霜降り肉のような脂の甘みや肉の柔らかさを味わうものではなく、よく噛んで肉本来の旨みを楽しむといった感じのステーキとなっています。 焼きすぎると固くなるので、レアかミディアムレア程度でいただくのがベストです。 また、あっさりめのステーキソースも一緒に添えられますが、私は生山葵と醤油でいただくのが一番好みの味でした。 続いては季節の湯葉寄せ豆腐です。 毎回違った趣向で登場する創作豆腐ですが、今回はペーストしたほうれん草が練り込まれていました。 豆腐自体はあっさりした物で、上に掛かった甘味噌が田楽のような味に仕立てていました。 そしてようやく食事へとたどり着きました。 『船山温泉』の夕食のご飯は決まって釜飯で、季節によっていろいろと中身が違うため毎回楽しみにしています。 今回は紅鱒ときのこの釜飯、そして最高に出汁が利いた岩魚の骨汁、香の物といった内容でした。 釜飯は濃厚な味わいで本当に美味しかったですが、あまりにも満腹になってしまったため半分は残してしまったのが非常に残念です。 〆のデザートは黒胡麻プリンのマロン添え、そして果物です。 黒胡麻とマロンの風味が非常に濃厚で、最後まで食べ応えのある実に満足度の高い夕食となりました。 すっかり満腹になって客室へ戻ると、 いつも通りにミニサイズの夜食のおにぎりが用意されていました。 非常にありがたいサービスではありますが、満腹のため今まで一度も口にしたことがないので、夜食については希望制にしてもいいかも知れません。 さて、引き続いて朝食の紹介に移ります。 朝食時間は朝の8時から、夕食時と同様に支度ができると電話が入ります。 こちらが朝食の全容です。 テーブル一杯にずらりと並んだおかず達の姿は正に圧巻。 初めて足を運んだ際はそのあまりのボリュームに驚きを隠せませんでしたが、何度か足を運ぶうちにすっかり見慣れた光景になりました。 テーブルの中央に3つ並んだお鍋が、いかにも豪華な朝食を印象づけてくれて嬉しくなります。 こちらは山菜を中心にした小鉢、そして虹鱒の塩焼きです。 虹鱒は夕食の岩魚に比べるとさすがに若干味が落ちる感じがしましたが、しっかりと焼きたてを運んでくれるので嬉しい限りです。 続いてはサラダ、炊き合わせ、温泉卵という比較的定番メニューが並びます。 どれも皆本当に美味しかったですが、取り分けよく味の染みた炊き合わせは特に好みの味でした。 こちらは自家製豆腐です。 火に掛けている間に表面に湯葉が出来てくるので、これもすかさず掬っていただきました。 豆腐自体もほんのりと甘みがあって、実に美味しかったです。 そして朝食のお楽しみと言えば、こちらの抹茶粥です。 胃に優しいのはもちろん、抹茶の風味がよく効いていて実にさっぱりといただくことができるので私の大好物となっています。 もちろんお粥が苦手の人のために普通のご飯もいただけます。 火に掛けた具だくさんの味噌汁もまた、滋味溢れる素朴な味わいで美味しくいただきました。 最後はデザートに寒天と柿をいただき、豪華で印象深い朝食を食べ終わりました。 朝食後は客室に戻って珈琲をいただきました。 この後は、チェックアウト時間の11時ぎりぎりまでごろ寝を楽しむのもよし、再び風呂に浸かるのもよし、人それぞれ自由にのんびりと過ごすのが『船山温泉』の正しい楽しみ方です。 私は一休みした後、最後まで一人貸切状態の露天風呂に身を置きながら、至福の船山時間を名一杯満喫させてもらいました。 やがて名残惜しいチェックアウト時間となり、充実の22時間ステイを終えて宿を後にします。 早朝には車一面に霜が覆っていたのですが、どうやら全ての車にお湯をかけて霜をとっていてくれたらしく、最後まで素晴らしい心づかいを感じながら大満足の思いで帰路へとつきました。 以上で、山の中の小さな一軒宿『船山温泉』の宿泊レポートを終了します。 お気に入りの宿に再訪する際は、初めての宿に足を運ぶ時に味わう期待や緊張やドキドキ感とは違った、大きな安心感を持って宿に向かうことができます。 ただし、癒しを求めて温泉宿へ足を運ぶ以上、どんなに馴染みの宿であったとしても、やはり普段の生活の延長線上からは一線を引いた形で、銭湯や居酒屋に出向く気安さとは別の非日常性を求めたいところです。 そんな時、実にしっくりとくる宿が私にとっての『船山温泉』です。 宿全体から漂う雰囲気や質の高さは、普段の生活というものをすっかり忘れさせてくれますし、行くたびに何かしら進化し続けている宿のサービスに触れることで、新たな感動もまた同時に与えてくれます。 宿の性質上、必ずしも全ての人に受け入れられるという宿ではないかも知れませんが、自分に取って『船山温泉』は、間違いなく極上の癒しを与えてくれるとっておきのお気に入り宿の一つです。 今回の宿泊レポートにピーンと来て、まだ『船山温泉』を未体験の人がいましたら、一刻も早く予約を入れてみることをおすすめします。 今回滞在時の採点(5段階) 接客(もてなし)・・・・・5(館内の随所でもてなしの心を感じられて◎、スタッフも以前より活気があってよかった) 館内の雰囲気・・・・・4.5(シンプルで洗練された空間は居心地度抜群) 部屋の雰囲気・・・・・4(シンプルかつ機能的なつくりで◎ 広縁の椅子がやや座りづらい感じを受けた) 清潔感・・・・・5(掃除は行き届いて全く不満無し) 温泉・・・・・4.5(循環浴槽ながらも、浴室のつくり・眺望等大変素晴らしい) 夕食・・・・・5(質・ボリューム共、この宿ならではの食事に大変満足) 朝食・・・・・5(同上) コストパフォーマンス・・・・・5(1万円台で泊まれる宿の中では正にトップクラス) 総合満足度・・・・・5(全てにおいて大変満足、文句なし) 次回リピート度・・・・・5(1年を通じて足を運びたくなったらまた行きます)
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船山温泉
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前回は『船山温泉』の大浴場の様子を紹介しましたが、それとは別に『船山温泉』には趣の違う2箇所の貸切風呂が存在します。 この貸切風呂の人気は絶大で、正にこれを目当てに『船山温泉』へと足を運ぶ客も多いのではないでしょうか。 今回は貸切風呂の様子と、館内の風景について紹介していきたいと思います。 湯上処を挟み、大浴場の反対側に貸切風呂が隣り合って設けられています。 手前の扉が内風呂の「清水」、奥が露天風呂の「二人静」という名称で、どちらも扉が開いていれば自由に利用することができ、利用の際は中から鍵をしめる形になります。 大抵はどちらか一方は空いている場合が多いのですが、タイミングに寄ってはどちらも使用中ということもあります。 その場合、手前の湯上処で順番待ちしていればいずれは入ることができると思います。 先客が上がるのを待って、先ずは露天風呂「二人静」の方に入ってみました。 貸切風呂と云えども、タオルやアメニティ類は大浴場の備えと変わることはなく、至極快適です。 浴室に入ると、先ずは洗い場が設けられています。 カラン・シャワーは一箇所のみですが、特に不足はありません。 扉を開け、外へ出てみると、 ご覧のように、丸い桶風呂が待ち構えていてくれました。 広さはちょうど2人サイズ程度、 恐らく湯温の低い方が源泉そのもので、高い方が循環した湯ではないかと思われます。 対面の山々と眼下には渓流を望みながら、正に至福の湯浴みを満喫することができました。 続いて、翌朝に入ったもう一方の貸切風呂「清水」の様子を紹介します。 決して広くはありませんが、「二人静」同様に快適な脱衣所です。 洗い場も1箇所と変わりはありません。 「二人静」と大きく異なる点は湯船の大きさです。 こちらの「清水」は内風呂ですが、4人くらいは入れそうな広めの湯船が大きな魅力となっています。 建物の形状に合わせた浴槽のためか、5角形の変わった形状になっていますが、この浴室を自由に貸切利用できるというのは非常に贅沢な感じがします。 窓付の内湯ではありますが、窓を全開にすればご覧のように半露天風呂感覚で楽しむことができます。 早朝の凍てつくような冷たい空気を感じながら、温かいお風呂に身を沈める快感といったらありません。 湯気の向こうには、朝日に照らし出された山々がまるで紅葉したかのようにオレンジ色に輝いていました。 お風呂の紹介については以上です。 『船山温泉』のお風呂は大浴場も貸切風呂もそれぞれ実に魅力的で、とにかくのんびりと湯浴みを満喫することができます。 どのお風呂も空いていて非常に満足できましたが、今回に限っていえば広々とした大浴場がほとんど貸切状態で利用できたこともあり、貸切風呂はそれぞれ1回づつしか利用しませんでした。 お風呂については今のままでも十分満足することができますが、もし可能であれば小さくてもいいから循環なしの源泉浴槽を設ける、または源泉を溜めた上がり湯などがあれば云うことありません。 引き続いて館内の風景を紹介します。 浴室を出ると、ロビー方面に向かって真っ直ぐに畳廊下が延びています。 左側には個室食事処が連なっていますが、こちらについては次回ゆっくりと紹介したいと思います。 廊下の一角には、窓際に沿ってお馴染みのアジアンリゾート風の籐椅子が並んでいます。 四角い窓や畳、丸形の椅子やテーブル、そして三角の照明がバランス良く配置され、空間の造形美を楽しむことができました。 マガジンラックなども備わり、雑誌などを眺めてのんびりと過ごすことができます。 上段には、『船山温泉』を広く世間に知らしめた貢献者の一人と云っても過言ではない、タビエルさんの著作もしっかり置かれていました。 こちらはお気に入りのパブリックスペースであるロビーです。 雑誌を手にしつつ長い間居座りましたが、私は湯上がり時にこちらで過ごす時間が大好きです。 窓際に玉石を敷き詰めている設えもオリジナリティがあって実にいい雰囲気です。 ロビーの斜め向かいにはシンプルなお土産処が設けられており、 客室のお茶請けにあったクッキーや、抜群の美味しさである桃の瓶詰めなどが販売されていました。 お風呂や客室から眺める外のライトアップだけではなく、日が暮れた後の館内も実に落ち着いた雰囲気が漂っています。 部屋に籠もるだけでなく、昼と夜とで表情の異なるパブリック空間で過ごす時間も、私にとって温泉宿に泊まる上での大きな楽しみの一つです。 客室前の廊下や階段も、夜になると光りの陰影が際だって癒されます。 そして、1年半前には無かった新たなサービスがこちらのティーコーナーです。 2階の階段脇にある自販機コーナーの一角に設けられたサービスですが、各種ハーブティー等のティーバックやドリップ珈琲などが置かれていて、自由にいただけるという実に嬉しい内容となっていました。 いっそのこと雰囲気にそぐわない自販機は全て1階に集約し、こちらの空間はソファーなどを置いたライブラリーまたはティーラウンジなどに改装すれば、より一層の雰囲気アップにつながるような感じがしました。 さて、一夜明けた後は清々しい朝の空気に誘われて宿の周りを歩いてみました。 翌朝も雲一つない見事な冬晴れが広がり、山々を借景にした白亜の外観が一層映え渡ります。 橋を渡った先の向かいの山には、たくさんの野猿たちが声をあげてはしゃいでいました。 写真を撮ることはできませんでしたが、この道ばたにも子猿達が下りてきて実に可愛らしい姿を目にして心が和みました。 船山温泉に来て猿の姿を見たのは今回が初めてで、あらためて自然豊かな場所であることが実感できました。 こちらは宿の庭園に広がる池の様子です。 池の中には大きな鯉たちが優雅に泳ぎ回っています。 網が張ってあるのは夕餉に登場する岩魚達の生け簀で、桟橋の上には獲物を狙った水鳥が水面を見つめて長い間居座っていました。 その姿を眺めている時間もまた楽しく、実に穏やかな年末を迎えている気分になりました。 以上で宿の貸切風呂の様子と館内の風景についての紹介を終わります。
次回は山の味覚を存分に味わい尽くすジビエ料理、豪華な宿の食事について紹介したいと思います。 次回へとつづく・・・ |
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『船山温泉』で楽しむお風呂は、どちらかといえば泉質よりも眺望、浴室のつくり、快適性といった面がその人気を支えている要因かと思われます。 客室数12室に対して、露天風呂付の男女別大浴場が各1箇所、無料で自由に利用することができる貸切風呂が2箇所と、ほとんど混み合うことのない充実したお風呂の数を備えています。 但し、注がれるお湯は温泉ではありますが、浴槽内で加温循環されていて、湯温、成分含有量とも療養泉を名乗るまでには至らず、泉質名の付かない温泉法上の温泉にとどまります。 とは云っても、ほのかな硫黄臭や肌触りの良い欲感を感じるそのお湯は実にマイルドで、素晴らしいロケーションの中で楽しむ湯浴みは、源泉掛け流しのお風呂に入る満足感に全く引けを取ることはありません。 今回は2つの大浴場の様子を中心に紹介して行きたいと思います。 お風呂は全て1階にあり、一箇所にまとまって作られています。 お風呂に向かう手前の段差には照明を設けるなど、デザイン性と安全性が両立したアプローチに目が留まります。 お風呂の入口付近には、館主セレクトの各種銘柄のシャンプー類が貸出されていて、女性客などは結構利用しているようでした。 隣り合った浴室は奥の青い暖簾が「静山の湯」、手前の赤い暖簾が「渓流の湯」という名称で、夜の8時に男女が入れ替えとなります。 先ずは「静山の湯」に入ってみます。 脱衣所内も畳敷きで、決して広くはありませんが清潔感に溢れたつくりとなっています。 お風呂へは手ぶらで足を運べるのが特徴です。 タオル、バスタオルとも豊富に用意されていて、定期的に補充されるので切れてしまうようなことはありません。 パウダースペースは三面鏡が配置されていて、女性には嬉しいつくり。 ドライヤーから化粧水に至るまで、不足なく装備されていて実に快適です。 いつも空いている大浴場はこの時も貸切状態。 服を脱ぎ、早速浴室へと入ってみました。 「静山の湯」の浴槽は、内湯・露天とも石風呂となっています。 趣はありませんが、クールでスタイリッシュな印象です。 こちらのお風呂はほとんどが貸切状態で楽しもことができ、他の客と居合わせてもせいぜい2、3人程度と混雑とは無縁の世界です。 この日も満室でしたが、静かな湯浴みが保証されているのは嬉しい限りです。 洗い場は五箇所あり、それぞれ仕切が設けられていて非常に便利です。 どこか無機的な感じの浴室ではありますが、椅子・桶が木製というだけで優しい印象が加わりました。 『船山温泉』と云えばやはり露天風呂が一番の魅力です。 踏み石の冷たい触感を足の裏で感じながら、温かい露天へと急行します。 湯口からは加熱された源泉がしずしずと注がれます。 背後には存在感のある荒々しい岩肌がそびえ、苔むした表情がいい味わいを出していました。 そしてこちらの露天風呂のウリは何と云っても眺望です。 渓流の真横というわけではありませんが、堰堤から流れ落ちる川がまるで滝のような景観を生んで癒しを与えてくれます。 冬場ということで、残念ながら眼前の樹木達はすっかり葉を落としてしまっていますが、春から夏は眩しい緑、秋は素晴らしい紅葉に包まれる実に自然派の露天風呂です。 また、たくさんの演出で癒しを与えてくれるお宿であるのを象徴するかのように、夜はライトアップした美しい樹木を眺めながらお風呂に浸かることができます。 写真で見るよりも実際に目にする光景の方が遥かに美しいので、昼と夜とで違った表情を楽しめる、正に一度で二度美味しいといった感じの露天風呂でした。 大浴場と貸切風呂を隔てる空間には、ご覧のような湯上がり処が設けられています。 ドリンクの自販機等の他、冷たい水を自由にいただけるようになっています。 さて、夜8時以降は男女の浴室が入れ替えとなります。 こちらは入れ替えなった方の浴室「渓流の湯」の脱衣所です。 広さは「静山の湯」とほぼ同じで、快適性についても変わりはありません。 石づくりのクールな「静山の湯」とは対照的に、こちらの「渓流の湯」は湯船の縁に木を用いているので、温かい雰囲気も持ち合わしていました。 大きく取られた窓ガラスの外には、ライトアップした樹木が輝いています。 「渓流の湯」もやはり貸切状態。 一人静かな浴室の中で、注がれる湯の音だけが響き渡ります。 洗い場も「静山の湯」とほぼ同じ作りとなっています。 一人サイズの檜の露天風呂は、『船山温泉』の中で私が最も好きなお風呂です。 ほのかに漂うお湯と檜の香りが鼻孔を巡り、極限の癒しへと導いてくれる感じがしました。 循環浴槽でこれだけ気に入ってしまうお風呂は、自分の中でもそうはありません。 肩まで身を沈めて一人独占する露天風呂〜。 慌ただしく過ぎて行った一年が、そっと安らぎに変わる瞬間です。 朝は一転して、眩しい朝日が浴室内に差し込みます。 マメに清掃時間が設けられており、脱衣所もいつも清潔感が保たれているので嬉しい限りです。 クシやカミソリはもちろん、歯ブラシやマウスウォッシュに至るまで、凡そ1万円台で宿泊できる宿のアメニティとは思えない充実ぶりにはいつも頭が下がる思いです。 こちらのお風呂もやはり、夜と朝では全く違った表情が楽しめました。 洗い場も掃除が行き届いていて実に快適です。 「静山の湯」と唯一異なる点は置き台に木の板が用いられていることで、木と石という異なる素材を対照的に使用しているのがよく分かります。 できれば内湯の浴槽も総檜であれば尚嬉しいところですね。 朝の露天風呂に浸かっている際、渓流の上をカワセミが飛んでいる姿を目にしました。 他にもサギなどの鳥が水辺に下りてきたりするので、バードウォッチングを楽しみながら湯浴みを満喫することも可能です。 チェックアウトの直前までこちらの露天風呂に浸かり、正に一年の入り納めの温泉となりました。 以上で『船山温泉』の大浴場の紹介を終わります。
次回は絶大な人気を誇る2箇所の貸切風呂の様子と、館内の風景について紹介したいと思います。 次回へとつづく・・・ |
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2008年12月末、一年を締めくくるという意義を込めて、この年最後の温泉旅行に足を運んで来ました。 行き先についてあれこれ考えましたが、年末の喧騒を避けた少ない客室数、抜群のホスピタリティと納得のコストパフォーマンス、そして極めて満足度の高いきめ細かなサービスを受けられる宿として導き出された宿が、山の中の小さな一軒宿『船山温泉』です。 これまでこのブログの中でも何度も書き連ねていますが、『船山温泉』は、『時音の宿 湯主一條』、『湯どの庵』と並び、一万円台で宿泊できる温泉宿の中では自分の中で不動の御三家として君臨している最もお気に入りの宿の中の一つです。 『船山温泉』については、世の温泉(宿)愛好者達には既に広く知れ渡るところであり、今さら私がどのような宿であるか詳細に語るまでもありませんが、足を運ぶたびに進化し続けるその充実したサービスには毎回のことながら感心し、感動を受け、大いなる癒しを得て宿を後にするというパターンは決して揺らぐことはありません。 何回通っても色褪せることのないその魅力の滞在について、これから数回に分けてレポートして行きたいと思います。 今回は主に、チェックイン時から宿泊した客室の様子について紹介します。 暮れも押し迫った12月29日、これ以上無いという青空の下を山梨方面に向け車を走らせます。 心配していた帰省ラッシュの渋滞も全く皆無で、今回は河口湖経由で富士山の眺望を楽しみながら宿に向かうことにしました。 行き交う車もまばらで、富士の樹海を快調にひた走ります。 河口湖から精進湖へ、 そして精進湖から本栖湖へと、そのあまりにも雄々しき富士の姿を目にして思わず車を停めて写真を撮らずにはいられません。 見る場所によって幾重にも表情を変える姿は実に美しく、飽きるほどシャッターを切ってしまいました。 途中、身延の駅前で昼食休憩などを取りつつ、船山川に沿って延びる馴染みの林道を遡って行きます。 実は冬場に『船山温泉』に足を運ぶのは今回が初めてで、冬枯れの山々が何となく郷愁を誘うアプローチとなりました。 赤いレンガが目印となる船山橋を渡ると、日常の喧騒を離れた癒しの22時間ステイの始まりです。 チェックイン時間の10分前に到着してしまいましたが、駐車場には既に数台の車が停まっていました。 車を停めると、いつも通り手早く女将さんが中から出てきてくれるので、手荷物を預けて館内へと向かいました。。 予定より早めに到着してしまった非礼を詫びながらも、快く出迎えてくれる姿勢に感謝です。 『船山温泉』のエントランスの特徴は、重厚な二重の自動扉です。 扉の先にもう1枚扉が控えているという演出を受け、必然的に宿への期待感が高まります。 館内に入ると、和風プライベートリゾートを謳った洗練された空間が目に飛び込んで来ます。 真っ直ぐに延びた畳の床が凛とした空気を醸し出し、外観からは想像し難い、正に「和モダン」という言葉がピッタリの美しい空間が広がっています。 玄関の脇には、山の宿らしく熊の剥製が訪れる客達を出迎えてくれます。 更にロビーの手前には、正月を前にした華やかな活花が飾られていて一際美しい彩りを与えていました。 チェックイン時間は午後1時からなので、客室の準備が整うまでこちらのロビーで待たせてもらいました。 黒いソファーが鎮座するロビーは、いつ見てもシックで落ち着く空間です。 ゆったりとソファーに身をゆだねながら窓の外の緑を眺めていると、耳にはJAZZの音色、鼻孔には優しい香の香りが漂います。 五感をフルに稼働させるためには、あと一つ味覚が足りないことに気が付いたので、できればウェルカムドリンク・スイーツの類をチェックイン時にいただくことができれば嬉しい気がしました。 一刻も早く客室に通されたいという方も多いと思いますが、私はロビーでほっとひと息つく瞬間が好きなタイプなので、つい無いモノねだりを思ってしまいました。 ロビーで待っている間、代表者はこちらのフロントでチェックインの手続きを行います。 データに変更がない限り、リピーターは簡単な記帳で済ますことができました。 また、夕食時の乾杯のドリンク等をこの時に決めて置くことができます。 客室の準備が整うと、スタッフの案内で客室へと向かいます。 途中、食事処やお風呂の説明を受けますが、リピーターには説明を簡素にするなど機転が効いた対応でした。 『船山温泉』の客室数は全部でわずか12室、客室は全て2階にあって階段を上がって行きます。 館内全て畳敷きという空間は、一度その味を覚えてしまうとこれ以上の快適さは他にはありません。 今回予約した客室はいつもと同じ和室のAタイプ、広さ7.5畳の211号室です。 たまには違うタイプの客室をとも思いましたが、残念ながら予約の時点でこちらのタイプの客室しか既に空きがありませんでした。 扉を開けると正面がトイレ、右手に客室が広がっています。 美しさと機能性が調和した『船山温泉』では、客室においてもちょっとした工夫が随所に感じられます。 全ての温泉宿に取り入れて欲しいと願う2本のルームキーや、それらを置いておくスペースの設置など、宿泊客の目線に立ったさりげない気づかいの心がよく伝わって来ます。 こちらが客室内の様子です。 床の間などは設けず、無駄を省いたシンプルで機能的な設えとなっていますが、趣という点にはやや欠ける面があるので、人によっては好みが分かれるかも知れません。 テーブルの上には、各種お茶請けが用意されています。 今まではレーズンサンドなどが置かれていた記憶がありますが、今回はお土産品としても販売されている館主超オススメというジャムクッキーに変わっていました。 こちらは『船山温泉』の名物とも呼べるような作りつけの収納棚の様子、 扉を開けると、TVや浴衣類、給茶セットや冷蔵庫など実にスッキリと収納されています。 浴衣のサイズは前回宿泊時の情報がきちんと管理されているようで、サイズ交換などの手間を要することはありませんでした。 また、浴衣の他にパジャマも用意されていて、館内は好みに応じてどちらを着て歩いてもOKとなっています。 私は例によって作務衣持参で乗り込んでいたため、パジャマを着る必要はありませんでした。 広縁部分にはマッサージチェアや空気清浄機などが置かれています。 全室マッサージ器装備というのがこの宿の一つのウリになっているようですが、今回は全く利用しませんでした。 マッサージ器がある分、椅子とテーブルは1組となっています。 デザイン的には客室の雰囲気に良く合っているのですが、個人的にはマッサージ器も椅子も今イチ座り心地が合わないので、できれば座面のもう少し低いゆったりと座れる物を用意してもらえると嬉しいのですが。 客室についてはこの1点のみが不満な点で、広さも7.5畳となっていますが広縁部分も含めると10畳弱のスペースは確保されているので、2名で宿泊する分には全く問題ありません。 洗面台は広縁部分の端に備わっています。 客室のトイレは当然シャワートイレ、ライトや蓋がセンサーで自動的に作動するタイプです。 女性に配慮した備えも常備されているなど、その心づかいに感心しました。 最後に客室からの眺めです。 建物がL字型に建っているため、他の客室の人達と視線がぶつかることがたまにありますが、庭園や周囲の山々をなどまずまずの眺望が楽しめます。 また、ご覧のように夜間は木々にライトアップが施され、日中とはひと味違った表情を楽しむことができます。 滅多にない雪が降った後などは、きっと素晴らしい銀世界が広がるのではないでしょうか。 今回宿泊した和室Aタイプの客室は、『船山温泉』では最もリーズナブルな客室となっていますが、『船山温泉』のコストパフォーマンスの高さを最も感じられる客室であるとも云えるような気がします。 私は椅子に座る上での快適性を求めるタイプであり、いつも同じ客室に泊まっているということもあって、今回はソファー付の別タイプの客室を選びたいところでしたが、広さなどに特に強いこだわりが無い方にはこちらのAタイプの客室で十分快適に過ごせるかと思います。 また、『船山温泉』の宿泊客に対するサービスの充実化ぶりは素晴らしいものがありますが、今後もし取り入れることが可能であれば、せっかく客室にDVDプレイヤーの備えがあるので、DVDソフトについても貸出を行ってくれるとありがたい感じがします。 私事ですが、御用達だった近所のTSUTAYAが最近閉店してしまったので、ソフト持参で足を運ぶには難しくなってしまったという単なる我が儘に過ぎないのですが・・・。 さて、次回は充実した宿のお風呂の数々について紹介したいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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