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『奥飛騨 山草庵 饗家』の宿名にある饗という字は、ご馳走するの意。 それはすなわち、宿に足を運ぶゲスト達にご馳走を持ってもてなす家という意味であり、文字通り今回私達がいただいた食事は、過去に訪問した他の奥飛騨の温泉宿のどれよりも美味しく、極めて満足度の高い料理を味わうことができました。 正に料理旅館を名乗るに恥じない、絶品創作料理といって間違いないと思います。 私の撮った拙い写真では、『奥飛騨 山草庵 饗家』の食事の素晴らしさを余すところ無くお伝えできるとは思いませんが、今回はそんな宿の食事について紹介したいと思います。 夕食時間を午後6時からお願いし、食事処のある別棟「山草庵」に足を運びました。 この人の顔のような面白い扉の奥に、趣のある囲炉裏空間が広がっています。 扉を開けると、囲炉裏端で若女将が何やら美味しい夕餉の支度にいそしんでいました。 囲炉裏のあるホールを囲むように、客室分の個室が作られているようです。 上を見上げると実に見事な天井の梁。 味わい深いこの空間が、これから始まる食事の美味しさをより一層引き立ててくれるような感じがしました。 個室に通されると、テーブルにはやはり小さな囲炉裏が切られていて炭火に火が入っています。 正に奥飛騨らしい雰囲気が漂う、実に居心地のよい個室食事処といった印象でした。 先ずはいつも通りビールでの乾杯。 この他に食前酒の山葡萄酒や、宿オリジナルのどぶろくもいただきました。 さて、「新・奥飛騨懐石」と銘打った夕食の1品目は、何とポテトサラダです。 下手をするとのっけから安っぽい料理になり果ててしまいそうな一皿ですが、素材の風味を活かした素朴なマッシュポテトに、肉厚の香ばしい絶品ベーコンとその味を簡単には表現できないような良く工夫されたソースが添えられ、実に感動的な美味しさに溢れていました。 この一品目で、いかにも自由な発想の創作料理という感じがして後に続く料理への期待がぐっと高まりました。 正にツカミはオッケーといった感じです。 続いては百合根のしんじょうです。 上品な出汁に、ふんわりと口にほどける甘みのあるしんじょう。 蕗の香りもまた清々しく、料理長の腕の確かさを感じる素晴らしい椀でした。 お造りは山の宿らしく川マスとアマゴ。 さらにこの季節ならではのお楽しみである彩り豊かな山菜が添えられます。 しっかりと身が締まったお造りは、川魚で久々に美味しいと感じる味。 加えて、のびる・わらび・行者にんにくといった春の絶品トリオのシャキシャキ感は正に最高の味わいでした。 続いては奥飛騨の食材界きってのスター、飛騨牛の登場です。 実は私、これまで幾度となく飛騨牛なるものを口にして来ましたが、世間がそう騒ぐほど特別美味しいと感じたことはありませんでした。 もちろん、肉大好き人間ですから大喜びでいただいて来たのは間違いありませんが、どうやら今日まで本当の飛騨牛の美味しさを知らなかったようです。 とにかくこの日『饗家』の夕食でいただいた飛騨牛の実に美味しいこと。 炭火焼きでいただいた飛騨牛は、肉厚でボリューミーながらも実に柔らかい味わいで、正にこれぞA5ランクの美味しさといった感じでした。 但し、タレがやや甘口かつ濃いめであったので、できれば塩でいただきたかったというのが正直なところです。 続いても焼き物が登場し、囲炉裏端でじっくりこんがりと火を通した岩魚の塩焼きをいただきました。 頭から丸ごとかぶりつける絶妙の焼き加減の岩魚を口にし、久々に心から美味いと感じる塩焼きをいただいたような気がします。 続いは冷物、感動の美味しさである湯葉豆腐です。 豆腐の上に乗った筍や菜の花といった春の味覚もさることながら、出汁の旨みを閉じこめたジュレと共にいただく湯葉豆腐の美味しいさといったらありません。 何もつけずに食べても豆の甘みが非常に際だち、文句なしの一皿でした。 冷たい物の次は再び温かい一品です。 これもまた実に嬉しい、季節の山菜を揚げた天ぷらが運ばれて来ました。 タラの芽、こしあぶら、こごみという新たな春の絶品トリオを岩塩にていたただきます。 笊には二人前が運ばれて来るので、お皿に取り分けていただきます。 旅館の夕食で、山菜の天ぷらの出来が悪いほど悲しい物はありませんが、この宿に限ってそんな心配はご無用、カラッと揚がった天ぷらはそれぞれ一口ずつ、その美味しさにたった三口で胃の中に収まってしまいました。 続いての一皿は、見た目地味な感じのふきのとう団子のアラレ揚げです。 口に入れた瞬間、ねっとりとした蕗団子とサクッと香ばしいアラレの食感との組み合わせに思わず「すごいっ」という言葉をもらしてしまいました。 ちょっとこの美味しさを言葉で表現するのは不可能ですが、上品な餡と団子の中に入った軟骨入りのつくねがまた旨みを幾重にも広げる感じで、史上最高級の美味しさの団子といった感じがしました。 そして食事に至りますが、極上の炊き込みご飯に具に玉葱を用いた珍しい赤出汁、更に奥飛騨らしい赤蕪の漬け物と、お腹が苦しくなりながらも最後まで残さずしかと完食することができました。 〆のデザートはさっぱりとした口当たりのウーロン茶のアイスとフルーツ。 紅茶の風味も効いたほんのり苦みを感じるアイスは大人の味といった印象で、豪華な食事の後の〆のデザートとしてふさわしい感じがしました。 夕食の紹介は以上です。 実は上記で紹介した他にもう一品、岩魚の黄味寿司という料理をいただいたのですが、うかつにも写真を取り忘れてしまいました。 とにかく出てくる料理が全て美味しいので、食い意地が張っている私は完全に料理の方に気が行ってしまった感じです。 料理が美味しいという評判は耳にしていましたが、正に噂に違わぬ評判通りの実力をしかと見せつけてもらうことができ、また使われる器も地元作家の手によるこだわりの品々だということで、味も見た目も大満足の食事と相成りました。 ちなみに夕食を食べ終えて客室に戻ると、更にとどめを刺すような夜食まで用意されています。 ご覧の通り岩魚の押し寿司ですが、満腹で食べられないと思いつつ一口食べたら実に美味いので、思わずもう一口食べてしまいました。 最後まで食でもてなすという宿のその心意気は実に見事でした。 続いては朝食の紹介です。 朝食は朝8時からお願いし、夕食時と同じく「山草庵」へと足を運びました。 嬉しいことに、夕食時とは別の個室に通してもらえたので、やや趣の異なる雰囲気が楽しめて良かったです。 奥飛騨の朝の定番といえばこれ。 私の大好物である朴葉味噌です。 そして料理旅館で出される朴葉味噌の味はやはりひと味違い、えごま、ひまわりの種、山椒などを駆使して、まるで薬膳のような実に奥深い風味を作りだしていました。 更に奥飛騨らしい滋味溢れる五平餅や、胃に優しい煮物などの小鉢がテーブルに並びます。 どれも皆一見素朴な料理の様に見えますが、煮物の出汁などは上品な海老の出汁を用いるなど、本当に手間を掛けている様子がよく分かります。 嬉しいことに、朝食時も囲炉裏の火が活躍します。 焼いているのは鮎の一夜干し、 好物の鮎を朝からいただく幸せといったらありません。 炊き立てご飯に味噌汁も文句なしの美味しさでした。 最後にデザートとしてフルーツをいただき、朝食も実に満足のいく内容で元気がみなぎる思いでした。 新平湯温泉『奥飛騨 山草庵 饗家』の宿泊レポートは以上です。 宿を後にする際、宿の大旦那に「食事が本当に美味しかったです。」と伝えたところ、「うちの息子が作っているんですよ。東京でずっと修行を積んでいたんです。」と自慢気に話をしていた笑顔が忘れられません。 奥飛騨といえばその魅力はやはり豪快な露天風呂、でも時には『饗家』のような小さな宿にエスケープして、貸切風呂や食事目当てに足を運ぶのもまた実に魅力的です。 この宿は、何を目的に選んだ宿であるのかを自分の中で明確にすることで、滞在における満足度がより一層高くなるような気がしました。 客室やパブリックスペース、滞在時の接客などはそこそこでもいいから、プライベート感の強い少ない客室数と充実の貸切風呂、そしてやっぱり食事は一番重視したいという人にとっては正にうってつけの存在である宿だと思います。 全国的に名を馳せる人気宿が多い奥飛騨温泉郷ですが、『饗家』のような新進気鋭の隠れ宿達の存在がまた、奥飛騨という温泉地の魅力を更に高めていく大きな要因なのかも知れません。 大好きな奥飛騨温泉郷で、また一つ素敵な旅館に巡り会うことができ大満足の旅路でした。 次回はGW温泉旅行3泊目、天下の名湯・白骨温泉『湯元齋藤旅館』の宿泊レポートを紹介します。 奥飛騨 山草庵 饗家 http://www.okuhida-kyouya.com/index.htm 今回滞在時の採点(5段階) 接客(もてなし)・・・・・3.5(家族経営の宿だけに接客はごく普通の印象) 館内の雰囲気・・・・・4.5(母屋はそこそこだが、宿のウリである山草庵の雰囲気が素晴らしい) 部屋の雰囲気・・・・・3.5(今回宿泊した客室が宿の雰囲気とは異なる洋室だったので、正直もうひと工夫欲しいところ。但し滞在上の快適性においては全く不満なし) 清潔感・・・・・4.5(全体的に非常にきれいに手入れされていた) 温泉・・・・・4(GWながらも混雑なしの貸切風呂三昧を堪能できて充分満足) 夕食・・・・・5(質・ボリューム共に大変満足、全く文句なし) 朝食・・・・・4.5(質・ボリューム共大変満足) コストパフォーマンス・・・・・4(GWということで、宿泊料金は特別日料金の2万円オーバーでやや高め。通常時であればかなりのコスパが期待できそう) 総合満足度・・・・・4.5(食事を中心に混雑とは無縁の大変充実した滞在を楽しめた) 次回リピート度・・・・・4(奥飛騨にはまだまだ足を運んでみたい宿がたくさんあるが、静かな滞在と食事目当てにいつか必ず再訪したい)
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新平湯温泉 奥飛騨 山草庵 饗家
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奥飛騨温泉郷といえば、云わずと知れた日本一の露天風呂王国。 そしてその醍醐味はやはり、山や渓を眺めつつ広い湯船にのびのびと手足を伸ばして浸かる、豪快かつ開放的な湯浴みにあると云えるのではないでしょうか。 しかしながら、『奥飛騨 山草庵 響家』のように例え宿に大きな露天風呂を持たなくても、人目を全く気にすることなく、のんびりとした貸切風呂三昧の湯巡りを楽しめるスタイルもまた、時には嬉しいものです。 今回は客室数5室に対して貸切風呂4箇所を有する、『奥飛騨 山草庵 響家』の充実したお風呂の数々を紹介したいと思います。 別棟「山草庵」の廊下をひたすら進んだ先に、趣の異なる2つの浴室「岩の湯」と「陶の湯」が廊下を挟んで設けられてしました。 4箇所全ての鍵が残っていた中で、今回私達が持って来たのは「岩の湯」の鍵、したがって先ず初めに「岩の湯」から入ってみました。 ちなみに木製の大きな鍵は鍵穴に差し込んで開けるためのものではなく、つっかえ棒のように扉の横に引っかけて使うものだということが分かりました。 広めの脱衣所に棚などはなく、数人分の脱衣籠が並んでいるという非常にシンプルなつくりとなっています。 4箇所全ての浴室に、内湯と露天風呂が両方とも備わっている点がこの宿のウリであり嬉しいところ。 本日の一番風呂を楽しむべく、期待を込めて浴室への扉に手を掛けました。 取りあえずは体を洗いつつ内湯に浸かってみることに。 御影石造りの内湯はシックな雰囲気、ピリッと熱めのお湯が心地よく湯船から溢れ出ていました。 但し内湯に注がれる湯は他の浴室も含め、全て加温循環されているようです。 洗い場の数は2箇所、シャワーの水圧がもう少し欲しいところでしたが、使い勝手のよいつくりとなっていました。 窓の向こうには露天風呂が備わり、更に新緑の奥飛騨の山々が背後にそびえています。 夏場の虫達や冬場の豪雪が入り込む心配も必要なく、なかなか気持ちの良い湯船でした。 続いて魅力的な露天風呂へ。 雨や雪はもちろん、夏場の陽射しも防げる編み笠が置いてある辺りに、思わず奥飛騨慕情を感じてしまいました。 こちらが浴室名「岩の湯」を象徴する露天風呂の様子です。 大人3〜4人程が入れそうな実に程良い大きさの湯船には、柔らかな単純温泉がとうとうと掛け流されていました。 豪快な岩風呂の隙間から覗く風景もまた、気分をリラックスさせる重要なエッセンスとなっています。 奥飛騨という山間地にある露天風呂のため、時折自然の虫なども湯船に紛れ込んでくることがありますが、湯温も正に適温で貸切風呂の充実感を十分味わせてくれる露天風呂でした。 続いてお隣の「陶の湯」の紹介です。 私達が実際に「陶の湯」に浸かったのは時間は翌朝でしたが、扉に鍵が掛かっていなかったため「岩の湯」の湯上がり後に、ちょこっと覗かせてもらいました。 脱衣所は「岩の湯」とほぼ同じつくり、椅子の上に脱衣籠が置かれるスタイルです。 アメニティなどは客室から持参した方が無難だと思います。 さて、「陶の湯」の陶とは、恐らく陶器の陶の意。 内湯には非常に立派な信楽焼の湯船が鎮座していました。 こちらの内湯、ちょっと写真では伝わりにくいと思うのですが、私が今まで見た陶器製の湯船の中では間違いなく一番と思えるほどのビックサイズです。 正直、私はあまり陶器の湯船が好きではないのですが、こちらの湯船は見た目のインパクトが非常に強くて思わず入らずにはいられない不思議な魅力が漂い、また湯船を彩る釉薬の色彩も実に味わいがあって本当に素晴らしいものでした。 どうやらこちらの「陶の湯」がこの宿の一番人気だったらしく、この時にお風呂の様子を目にした後は翌朝まで常に入浴中であったため、一瞬最後まで入れずじまいに終わってしまうのかと思って冷や冷やしました。 フロント脇の鍵を見てこちらが空いている場合は、まっ先に入って置きたいお風呂であると思います。 洗い場の数とつくりは「岩の湯」と全く同じとなっていました。 そして露天風呂ですが、こちらもまた「岩の湯」とはひと味違った味わい深い湯船が待ち構えていました。 石組みの湯船に檜の縁をあしらったつくりはなかなかの雰囲気。 そして満開の時期を迎えた桜の花をはじめ、周囲の山々を見渡す眺望も実に魅力的な露天風呂でした。 「岩の湯」ももちろん良かったですが、個人的にはこちらの「陶の湯」が一番のお気に入りとなりました。 別棟「山草庵」での充実した湯浴みの後は、母屋にある2つのお風呂を紹介します。 ちなみに「岩の湯」と「陶の湯」の利用可能時間はチェックイン後から夜の10時までと、翌朝は6時半から10時までになっています。 また、母屋のお風呂については24時間入れるので安心です。 母屋にあるお風呂、その名も「檜の湯」と「宝の湯」は階段を下りたすぐ先にあり、客室からも近いので利用するのには便利な場所に位置していました。 先ずは奥にある「檜の湯」の紹介です。 ペンション時代はこちらのお風呂しか無かったからでしょうか、脱衣所は「山草庵」とは違ってしっかりとした棚も設けられていました。 檜の香りが漂う明るい雰囲気の内湯は、大人2人がゆったり入れる程度の大きさ、窓を開ければ半露天感覚で湯浴みを楽しむことができました。 「山草庵」の2つのお風呂がかなり立派なつくりであったため、それに比べたら母屋の方のお風呂は少し見劣りしてしまうかなとも思ったのですが、なかなかどうして、こちらのお風呂も木の感触が非常に心地よく、十分満足できる浴室に仕上がっています。 私も含め、特に木のお風呂が好きという人間にとっては実に魅力的な雰囲気でした。 こちらの洗い場は一箇所のみとなっています。 「山草庵」の浴室よりも更にシャワーの水圧が弱く、また湯温もなかなか上がらず利用しずらい感じがしたので、この辺は少し改善して欲しいところでした。 露天風呂へは、浴室の脇にある非常に幅の狭い扉を開けて向かいます。 こちらが「檜の湯」の露天風呂です。 豪快な岩組の露天となっていますが、眺望もなく湯船のサイズもあまり大きくはないので、私達は軽く浸かってみただけでこちらの露天の方はほとんど利用することはありませんでした。 露天風呂の湯量はあまり多くありませんが、湯口付近は温泉成分で赤く変色し、浴槽内には湯の花がたくさん舞っていました。 最後に母屋にあるもう一方のお風呂、「宝の湯」について紹介します。 脱衣所は「檜の湯」とほぼ同じつくりとなっています。 そして浴室の扉を開けると、「檜の湯」をもう一回りコンパクトにしたような可愛らしい木造りの湯船が目に入って来ました。 大人二人が何とか一緒に入れる程の大きさしかありませんが、これを一人で入ると実に程良いサイズといった感じでした。 私は夜中に起きてこちらの湯船に一人で浸かってみたのですが、静寂の中で非常に落ち着いた湯浴みを楽しむことができました。 洗い場の備えも「檜の湯」と同じく1箇所のみです。 「宝の湯」の露天風呂も極めてコンパクトな岩風呂。 露天風呂の方はやはりオマケ程度といった感じであったので、こちらの方は一度も浸かることはありませんでした。 露天があった方が良いというユーザーのためにあえてつくったお風呂であるかと思いますが、檜の内湯の湯船が心地よく、また窓を開ければ十分露天風呂感覚で楽しめるお風呂であると思うので、私は母屋の2つの浴室にはあえて露天はなくてもいいような感想を抱きました。 できればその分、内湯の浴槽のサイズを少し大きくしてもらった方が個人的には嬉しい感じがしますが、これをご覧の皆さんはいかが思われるでしょうか。 お風呂の紹介については以上です。 今回の滞在中、4箇所全てが使用中になった時間帯は夕食前の一度だけで、後は必ずどれかしらのお風呂が空いているといった状況だったため、全くストレスを感じることなく4箇所全てのお風呂を満喫させてもらいました。 そして、4箇所のお風呂それぞれが微妙にお湯の温度設定を変えているとのことで、熱めの湯が好きな人や、温めの方が良いという人に対しても、実に幅広く対応しようという宿の気配りが感じられて好印象です。 また、注がれるお湯そのものは清澄な湯でさほど特徴を感じるものではありませんでしたが、ほのかな湯のかほりと湯船の中でチラチラと舞っている湯の花を目にし、実に気分良く湯浴みを満喫することができました。 奥飛騨という地には実に様々なお風呂を持つ宿が林立しており、宿それぞれのこだわりや個性の違いを持ち合わせていることが本当によく実感できます。 知れば知るほど、奥飛騨の宿の魅力、お風呂の魅力は尽きないような感じがしました。 次回は、囲炉裏端の個室でいただく感動の奥飛騨会席の模様について紹介したいと思います。
次回へとつづく・・・ |
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今回は、『奥飛騨 山草庵 響家』の宿泊した客室と館内の様子を中心に紹介したいと思います。 玄関を開けて館内(母屋)に入ると、私の好きな過ごしやすい全館畳敷きの空間が広がっていました。 さりげなく焚かれたお香のかほり、余分な物が一切無い和の空間は、スッキリと極シンプルに仕上げています。 先ずはフロント前のロビーにて、チェックインの手続きを行いながらウェルカムドリンクの持てなしを受け、ロングドライブの疲れをホッとひと息入れることができました。 畳敷きのロビーに置かれた備品は、わずかにテーブル一つと椅子が3脚のみ。 ロビーやラウンジなどのパブリックスペースの居心地やデザイン性に重きを置く私にとっては、正直やや物足りない印象を受けましたが、いかにも的な民芸品を並べてごちゃごちゃと飾り立てるよりは潔い感じもしました。 こちらはロビーの椅子に座って奥の間を眺めた様子です。 和室の二間続きといった感じのロビーですが、個人的には籐の椅子の代わりにもう少しデザイン性の高い木の椅子などを置いてもらえると更に雰囲気UPにつながるのような感じがしました。 奥の間の方には飛騨の宿らしいシックな高山家具が置かれ、こちらは非常に見栄えのする空間となっています。 チェックインの手続きを一通り済ませた後は、2階にある客室へと案内されます。 『奥飛騨 山草庵 響家』の客室はわずかに5室のみ。 客室は全て母屋の2階にあり、ペンションだった建物を上手にリニューアルして落ち着いた民芸調の空間を創り上げていました。 今回私達が予約したのは階段を上がってすぐの客室、 その名も「にりん草」です。 手前に小さな和室、主室がWベッドを備えた和洋室タイプですが、何ぶん今回はGWということもあって選択する余地がなく、予約の時点でこちらの客室1室しか空きがありませんでした。 扉を開け、早速中に入ってみます。 こちらが前室となる和室部分です。 座卓にテーブル、給茶用具などが置かれていますが、わずか2畳半程度の畳スペースだったので、実質的には荷物置き場という感じの利用となりました。 こちらに座ってくつろぐという場所でも無かったので、やや中途半端な空間だと云えるかも知れません。 荷物を下ろし、扉で仕切られた主室へと進んでみます。 こちらが主室となるWベッドルームです。 カーペットの敷かれたシンプルな洋室は、ペンションだった頃の名残を感じさせる女性に好まれそうな雰囲気になっています。 用意されたWベットも、シングルベッドを繋げたような構造になっていて、思った以上にゆとりがあり寝心地も抜群でした。 但し、ベッドカバーの柄のせいもあるのでしょうか、何となく客室全体にあか抜けない印象が感じられたので、全館畳敷きをウリにしているのであれば、いっそのことこちらの洋室も畳敷きにして、和ベットを置くなどすればもう少し館内全体との統一感が出て印象がよくなるような気もしました。 洋室として滞在する分には、ほとんど不満はなく極めて快適な空間です。 窓から差し込む優しい木漏れ日。 窓の外に目をやると、まだ芽吹いたばかりの早春の木々や、残雪の山々を望むことができました。 TVは薄型の液晶TVが置かれています。 こちらはクローゼットに収納された浴衣や湯浴み道具です。 湯浴み籠は男女別にサイズの違うものが用意されていました。 洗面台は極めてシンプルな設え。 トイレはシャワートイレで使い勝手に問題はありませんでした。 さて、今回は一番乗りのチェックインとなったようなので早速浴衣に着替えて湯浴みに繰り出すことにしました。 『奥飛騨 山草庵 響家』のお風呂は、4箇所(母屋2+別棟2)とも全て内湯+露天風呂が付いた貸切風呂となっていて、ロビー脇に掛かっているこちらの大きな鍵を持って向かうことになります。 鍵が無ければ使用中ということになりますが、先客がまだいない時間だったので選択は自由、先ずは別棟「山草庵」にあるお目当てのお風呂へと足を運びました。 フロントの前を抜け、こちらの暖簾をくぐった先にはギャラリーを兼ねたラウンジが広がっています。 板の間に畳敷き、ブルーの棚が涼しげな印象のこちらのラウンジでは、珈琲やビールなどをいただくことができます。 ディスプレイされた作品は焼き物が中心で、展示販売もされているようでした。 ラウンジの一角には、地元の観光誌や自遊人などの雑誌も置かれていて楽しめるようになっています。 但しカウンター席しか設けられていなかったので、雑誌などを置くのであればもう少し気軽に腰を下ろすことのできる椅子やテーブルが欲しい感じがしました。 別棟「山草庵」には、ラウンジから続く裏玄関から外に出て向かうことになります。 別棟は小径を挟んだすぐ向かいに位置しているのでほぼ同じ敷地という感じでしたが、屋根が続いているわけではないので雨天時などはやや移動に不便さを感じるかも知れません。 同じく多少移動に不便な雪の季節などは、逆に古民家を背景にした絵になる光景が楽しめそうです。 軒先に干し柿が下がる趣のある玄関。 スッキリとした母屋のつくりも悪くはないですが、けやき造りの重厚な古民家の佇まいはやはり奥飛騨という地にとても良く似合います。 いかにも古民家らしいくぐり戸を抜けて館内へ。 右手にある、まるで人の顔をしたような面白いデザインの扉の奥が食事処で、お風呂は廊下を先へと進んで行きます。 食事処の様子はまた後日紹介させてもらいますが、囲炉裏を囲んだホールに個室が点在するという実に素晴らしい空間が広がっていました。 再生した古民家ならではの風情と美しさが漂う廊下。 年季の入った太い梁達が一際目を惹きます。 廊下の最奥部がお風呂への入口です。 この先一体どのようなお風呂が私達を迎えてくれるのでしょうか。 この続きはまた次回に。
次回は充実の貸切風呂の様子を紹介したいと思います。 |
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今年も待ちに待ったGWがやって来ました。 当初は馴染みの東北方面に足を運ぶ予定になっていたのですが、同行者である彼女のスケジュールの関係で残念ながらこれを断念、あらためて計画を練り直した結果、奥飛騨・信州方面に足を運ぶことに決定しました。 とは云っても、GWという特殊な連休期間だけあって人気スポットでお目当ての宿を確保するのはなかなか難儀な作業、加えて高速道路のETC割引がスタートしたこともあり、通常よりも混雑必至の状況が予想される中で居心地の良い癒しの宿を見つけ出さなくてはなりません。 大型連休時においては、アプローチや立ち寄り先の混雑はいた仕方ないとしても、宿泊先くらいはなるべく少ない客室数の宿を選び、喧騒を避けてゆったりとした滞在を楽しみたいもの。 目的地の変更でスタートダッシュに乗り遅れたカタチの私達ではありましたが、出発の直前まであらゆるサイトをチェックして最も希望にあった宿探しに奔走し、どうにか最適と思われる宿の予約に成功しました。 今回の旅のメインとなるお宿は以下の3軒、 ○ 2泊目 新平湯温泉『奥飛騨 山草庵 饗家』(初訪問) ○ 3泊目 白骨温泉『湯元 齋藤旅館』(二度目の訪問) ○ 4泊目 穂高温泉『にし家別荘』(初訪問) これに高速道路の渋滞を考慮し、1泊目に日頃から贔屓にしている甲府の温泉付ビジネスホテルを追加で予約、合計4泊5日の温泉旅を楽しんで来ました。 これからしばらくの間、充実の2009年GW温泉旅の模様についてレポートしていきたいと思います。 旅の初日は東京を夜に出発したため、思ったほどの渋滞もなくスムースに甲府に到着しました。 写真のホテルが今回利用した『ホテル1-2-3 F&B甲府』ですが、ビジネスホテルながら源泉掛け流しの大浴場を男女各2箇所も要するという、正に私にとってベストパートナーでありイチオシのホテルです。 今回詳しい紹介は避けますが、格安料金で極上の温泉ライフを満喫することができるので、興味のある方は是非チェックしてみてください。 さて、大型連休2日目にあたる日曜日の早朝に甲府を出発しましたが、案の定小淵沢付近からダラダラとした渋滞に捕まってしまいました。 とは云ってもその辺のことは既に承知済み、同じ時間八王子〜相模湖辺りは○十キロという渋滞だったようですから、前日泊で甲府まで足を延ばしておいて大正解でした。 何とか渋滞を逃れ、予定通りに松本ICへと到着。 奥飛騨方面に向かう前に、先ずはランチと立ち寄り湯を楽しむべく新緑の乗鞍高原方面へと車を走らせます。 今回の旅は、3日間とも全てランチは蕎麦で行こうと決めていました。 蕎麦の本場である信州だけに、当然ながら乗鞍にも美味しい蕎麦処がいくつか建ち並んでいます。 今回は「いがや」、「中之屋」と共に乗鞍高原御三家と個人的に勝手に認定している「手打ち蕎麦 御池(おいけ)」の暖簾をくぐりました。 落ち着いた雰囲気の店内は乗鞍高原のイメージに似合ったウッディーなつくりとなっています。 実はこちらのお店、以前は「おくどはん」という店名だったんですが、どうやら前の主人が違う場所で店を開くにあたって、今の主人に店を譲り渡したのだとか。 「御池」に店名を変えてからは初訪問だったのですが、店内の雰囲気やメニューはほとんど変わりなかった感じがします。 そして今回私達がオーダーしたのは、この店の定番中の定番、「のりくら膳」です。 もり蕎麦の他に、名物の岩魚の唐揚げと季節の総菜が乗ったプレートが付く人気の一品で、こちらの店に訪れる客の8割方がこの「のりくら膳」をたのむのではないかというほど完成度が高いメニューとなっています。 特にカラッと揚がった岩魚の唐揚げは絶品で、高級レストランの味にもひけを取らないほどの美味しさだと思います。 蕎麦の方は二・八ということで個人的にはもう少しコシが欲しいところですが、喉ごしも良く誰でも素直に美味しくいただける出来映えとなっていました。 さらに今回は、サイドメニューの中で妙に気になってしまった蕎麦コロッケもたのんでみました。 これがまた妙に郷愁をそそる絶妙の美味しさ、そばがきを衣で包んで揚げたような食感で何個でも食べられそうな素朴で味わい深い一品でした。 すっかり満腹になって店を出る頃には、ご覧の通り駐車場には車がずらりと停まってかなりの賑わいを見せていました。 私達は11時半頃に店に入ったのですが、やはり休日だけあってお昼時は混雑するようです。 絶品ランチですっかりお腹を満たして次に向かった先は、やはり乗鞍に来て温泉に入らない手はないということで、宿の立ち寄り入浴を楽しむことにしました。 今回選んだ先はこちら、乗鞍高原温泉とわさび沢温泉の2つの異なる源泉が一度に楽しめる穴場宿、『山水館信濃』です。 GWの最中であるにもかかわらず、お昼時というせいもあってか宿の館内はひっそりとしていました。 近くにある人気の日帰り入浴施設「湯けむり館」の駐車場はいっぱいでしたが、静かな入浴を楽しむにはこういった立ち寄り湯を受け付けている宿を選ぶのが私達のスタイルです。 ロビーにはご覧のように囲炉裏を切った休憩所なども作られていました。 フロントにて料金500円を支払い、奥の大浴場へと向かいます。 日中のせいか電気の灯っていない男湯の脱衣所はやや暗い雰囲気でしたが、どうやら先客もおらず貸切状態で湯浴みを楽しむことが分かってテンションが上がりました。 こちらが浴室の様子です。 比較的広めな浴室内に、乗鞍高原温泉特有の青白い硫黄泉を湛えた湯船が鎮座していました。 こんな魅力的なお風呂を貸切状態で楽しんでしまって本当にいいのでしょうか。 大きな窓の向こうには、露天風呂の姿も目に入ります。 内湯が白濁した乗鞍高原温泉、露天が透明なわさび沢温泉の湯が注がれていますが、より魅力的だったのはやはり内湯の方でした。 洗い場は、シャワーの水圧などもしっかりと効いていて使い勝手に全く問題はありません。 誰もいないのをいいことに、思わず浴室内で記念写真を一枚。 湯温も適当で、これぞ正に硫黄泉!と云えるような酸性度の強い湯の感触を確かめながら、かなり入り応えのある湯浴みを満喫することができました。 ちなみにこちらの宿では浴槽内で加温循環しているようですが、オーバーフローの量も多く湯使いに関して特に不満などはありません。 露天の方へも足を運んでみます。 透明の湯に湯の花が舞う露天風呂は、少々熱めの温度設定になっていました。 木の浴槽を岩で囲んだ野趣溢れる雰囲気でしたが、女性だと向かいの宿の視線がやや気になるかも知れません。 わさび沢温泉の泉質はカルシウム・マグネシウム−炭酸水素塩冷鉱泉で、含有成分のためか、条件によっては白濁したり茶色く濁ったりするようです 続いて女性用のお風呂も少し紹介します。 基本的に浴室は左右対称の作りとなっているので、男女で差があることはありません。 但し、脱衣所は女湯の方が外光が差し込んで明るい雰囲気でした。 こちらが女湯の様子です。 乗鞍高原温泉にある宿のお風呂はどの宿も基本的に構造がよく似た感じですが、木の床に木の湯船、そしてわずかに酸味を感じる青白い湯と、濁り湯好き、内湯好きのハートを見事にキャッチした素晴らしいお風呂であると思います。 我ながら、混雑のない立ち寄り湯を探し出す才能に長けているようで、今回も大満足の湯浴みを満喫することができました。 にごり湯の宿 山水館信濃 http://www.yu-meguri.jp/sinano/ 山水館信濃で立ち寄り湯を楽しんだ後は、乗鞍高原名物のパン屋「ル・コパン」などにも足を運びつつ、目的地の奥飛騨方面へと向かいます。 梓川の清き流れや、春浅い芽吹いたばかりの新緑をしっかりと目に焼き付けながら、爽快な気分でハンドルを握りました。 温泉街らしい賑わいを見せる平湯温泉を抜け、山あいにぽつりぽつりと個性派の温泉宿が点在する新平湯温泉に到着すると、兼ねてから一度足を運んでみたかった今宵の宿、『奥飛騨 山草庵 饗家』の姿を見つけました。 平成19年にOPENしたばかりという『山草庵 饗家』ですが、客室数わずか5室という極めて小規模な宿であることに加え、奥飛騨随一との呼び声も高い絶品会席料理を味わえる宿として、また、大浴場を一切持たず館内4箇所のお風呂が全て貸切風呂という、今までにない奥飛騨の宿らしからぬスタイルを提供している点が、GWの喧騒を避けたい私の思いに正にピタリと合致したカタチになりました。 外観上、以前プチホテルだった建物を改装した名残が残る母屋(客室棟)に対して、小径を一本挟んだ向かいにあるこちらの山草庵(食事処・浴室棟)は、いかにも奥飛騨の古民家らしい魅力ある雰囲気を醸し出しています。 事実、その魅力ある館内の美しさと言ったら・・・。 駐車場に車を停め、しばしその風貌をじっくりと観察した後は、おもむろに宿の中へと足を踏み入れました。 果たしてこの先、私達は一体どのような癒しの時間を過ごすことができたのでしょうか。 この続きは、次回またゆっくりとレポートしていきたいと思います。
次回は、客室と館内の様子についての紹介を予定しています。 |
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