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日本という場所にありながらも、どこかヨーロッパ的な山岳リゾートムードが漂う上高地。 そんな上高地のホテルでいただく食事は、やはり和食よりもフレンチがよく似合います。 当然ながら『上高地清水屋ホテル』で味わうディナーもまた、「上高地French」と称した、グルメの舌をも唸らせる本格派フレンチ。 フレンチやイタリアンなどの洋食が大好きな私達ですが、実は旅行に出かけた時以外、普段はあまり口にする機会がありません。 ランチにパスタやピザくらいならまだしも、値の張るレストランを予約して食事を楽しむ機会など、庶民の私達にとって年に1回あるかどうかという程度です。 従って、温泉旅行でフレンチディナーを楽しめるということは、私達にとって何よりの贅沢であり、非日常の旅を演出する絶好の機会なのです。 最終回となる今回は、そんな『上高地清水屋ホテル』でいただいた感動の食事の模様を中心に紹介していきたいと思います。 ディナー、朝食とも、食事会場は1Fにある「ダイニング庄吉庵」に足を運びます。 名前こそ純和風ですが、華やかな雰囲気で彩られた空間は正に老舗のフレンチレストランといった装い。 到着順に眺めの良い席へと通されるようなので、目論見通り梓川を眺める窓際をGETすることができてラッキーでした。 普段はビール党の私達も、たまにはワインにて乾杯です。 暮れゆく上高地時間の中、この瞬間を夢見てきた想いが現実のものとなったという悦びが、ワインと共に体中に流れていくかのようでした。 窓の外には、時折大きなリュックを背負ったアルピニスト達が山から戻ってくる姿が見受けられ、そんな光景がまた、「ここが上高地である」という実感をより一層強くしてくれるのでした。 さて、「緑輝く梓川」と題したコースの紹介はメニューに沿ってシンプルに行きたいと思います。 先ずは、「食前のお楽しみ」から。 続いて、見た目も鮮やかな「信州サーモンのマリネとアスパラのテリーヌ」。 続いて、素朴な食材を使用して見事上品なスープへと仕立て上げた「牛蒡のスープ」。 続いて、これぞ上高地フレンチと云うべき「スペシャリテ“岩魚”」。 続いては、肉又は魚料理からの選択。 私達が選んだ肉料理は、その名も「国産牛フィレ肉のソテーとフォアグラ マデラ酒のソース」で、メインを飾るのに相応しく見事なまでに旨みが融合していました。 ちなみにスタッフに聞いたところでは、前の料理が岩魚なのでやはり肉料理を選ぶ方が圧倒的に多いとのことです。 続いて、パン。 こちらは初めのうちから出されますが、もちろんお代わり自由となっています。 そして本日のデザート、珈琲または紅茶というラインナップでした。 ご覧になっていかがでしょうか。 決して派手さはありませんが、味は正に老舗ホテルが手掛ける正統派のフレンチといった印象で、どの料理も皆、感動の美味しさであったことは言うまでもありません。 とにかくアミューズから始まってデザートに至るまで、本当に素晴らしい料理の数々をいただけて大満足でした。 1時間半ほどかけてディナーを堪能して外に出てみると、空はまだわずかに昼間の明るさを残していました。 外から改めてダイニングを眺めてみることで、つい先ほどまで味わっていた至福のディナータイムの余韻が強く心に刻まれていきます。 そして完全に日が落ちた後のお楽しみとして、この後は蛍狩りへと繰り出すことに。 ちょうど隣り合う『上高地清水屋ホテル』と『上高地温泉ホテル』の前の小川に自然発生しているとのことで、両ホテルの宿泊者は揃って幽玄な蛍の光に見入っていました。 まさか上高地で蛍観賞ができるとは思いも寄らなかったので、これもまた旅の良い記念になりました。 さて、一夜明けて再び上高地に朝が訪れます。 今回の上高地宿泊で楽しみにしていた一つが早朝の上高地散策。 よく朝食前に散歩をしている人達の姿を見かけますが、実は私、生まれて初めて旅行先での早朝散歩に繰り出してみました。 不思議なことに、高山らしい冷涼な空気に触れ、梓川に沸き立つ幻想的な川霧を目にした瞬間、眠っていた脳があっという間に冴え渡ってくるのを感じました。 昨日目にしていなかったので、お気に入りの田代池・大正池方面目指してのんびりとウォーキングを楽しみます。 写真には載せていませんが、私達と同じように早朝の上高地散策を楽しむ宿泊組の数が思いの他多く、お互い同じ悦びを共有する仲間のように元気よく挨拶をくみ交わしました。 こちらは緑美しい田代湿原。 わたすげの咲く湿原の向こうには、ゴジラの背のような雄々しき穂高連峰の頂がそびえています。 同じ時間、きっとあの頂に立ってこちら側を見下ろしているアルピニスト達もたくさんいいることでしょう。 更に湿原に沿って木道を少し奥へと進むと、 私の大好きな田代池へと到着します。 池といっても水たまり程度で、むしろこちらの方が湿原といった雰囲気が感じられるかも知れません。 背後の山々から湧き出る伏流水が清らかな流れを形成し、岩魚や鴨が悠々と泳いでいる様子を見ると心から癒されます。 そしてようやく大正池の畔までたどり着きました。 昨日よりはいくぶん濁りが取れてきた梓川ですが、やはり本来の輝きまでには至りません。 とは云ってもやはり梓川の美しさは格別で、私にとっては四万十川でもなく、長良川でもなく、梓川こそ正に日本一の清流であると思っています。 その思いは恐らく、何度も何度も読みふけった井上靖の小説、「氷壁」の影響を多分に受けているんでしょう。 季節こそ違えど、上高地に足を運ぶと必ず「氷壁」で描かれていた次の詩を口ずさんでしまいます。 雪ヨ、氷ヨ アズサの青ヨ フユノ穂高ニ マタヤッテ来タ 雪山賛歌のメロディーに載せて唄う山の詩。 私などには知るよしも無い厳冬期の穂高連峰。 それに挑む山男達の熱き想いを、静かに表現している大好きな一節です。 爽やかな早朝散歩を思う存分満喫し、お楽しみの朝風呂+朝食を取るべく再びホテルへと戻りました。 やはり上高地のホテルに泊まった際は、多少眠くても頑張って早起きしてみる価値が十二分にあると思います。 正に泊まった者だけが味わえる早朝の上高地は最高の美しさだったので、是非たくさんの人達にこの姿を知って欲しいと強く思いました。 たっぷりとお腹を空かせた後は、老舗ホテルの朝食バイキングを楽しむべくダイニングへと足を運びます。 朝食の席は自由に選べたので、ディナーの時とは反対側の森を望む奥の席に座りました。 オープンキッチンの厨房内では、シェフ達が忙しそうに料理を作っています。 活気漲る厨房の様子を見ながらいただく食事もまた楽しいものです。 温泉旅館のバイキングは落ち着いて食事ができないことが多いのであまり好きではありませんが、なぜかこうしたリゾートホテルに泊まると思わずワクワクしてしまいます。 ゆったりとしたダイニングで大好きな洋風ブレックファーストを好きなだけいただけるという点、そして何よりも料理そのものが美味しいという点が大きな魅力ですね。 こちらが最初に盛った料理の内容です。 普段の朝食からすると結構なボリュームですが、あまりにも美味しいので思わずパンやサラダなどお代わりしてしまいました。 最後はゆっくりと食後の珈琲を。 評判に偽り無く、夕食も朝食も本当に大満足の内容でした。 朝食を食べ終えた後は、名残惜しい気持ちを胸に出発です。 午前10時の河童橋はまだ静かな雰囲気、こんなに人の少ない河童橋を渡るのは初めての経験です。 早朝の散歩で河童橋を目指そうとも思いましたが、帰り際でも静寂を保っていてくれて嬉しかったですね。 両日ともスッキリとした青空、澄み切った梓川の流れは目にすることができませんでしたが、きっとまた上高地に帰って来たいと思いました。 さよなら穂高連峰、さよなら梓川、さよなら上高地、また会う日まで。 念願だった『上高地清水屋ホテル』での宿泊、思っていた以上の満足感をもって宿を後にすることができました。 単に温泉宿に泊まるだけであれば、同じ値段を出せばきっと他にいくらでも素晴らしい宿に出会えることは間違いないでしょう。 但し、これまで何度も繰り返しているように、上高地で楽しむ温泉、上高地で味わう食事、上高地に泊まる贅沢という面から考えると、こんなに素晴らしいホテルが他にあるのだろうかという気になってしまいました。 シーズン中はそれなりに値が張るためにそう簡単には足を運ぶことはできませんが、シーズンオフ(例えば今週末まで)になると2万円を切るようなリーズナブルな宿泊プランも登場するようです。 単に上高地に宿泊するだけでなく、せっかくなら美味しい食事を楽しみたいし、温泉にも入ってみたいという人にとっては正にピッタリ、きっと今まで知らなかった上高地の本当の楽しみ方を実感できるのではないでしょうか。 上高地清水屋ホテル http://www.kamikochi-shimizuya.com/ 今回滞在時の採点(5段階) 接客(もてなし)・・・・・4.5(老舗ホテルならではスマートで安心感のある接客態度だった) 館内の雰囲気・・・・・4(際だった特徴はないが、リゾート気分を満喫できる) 部屋の雰囲気・・・・・4(客室も同上の感想。窓から眺める梓川の風景は素晴らしい) 清潔感・・・・・4(概ね満足、特に不満無し) 温泉・・・・・4(大浴場の雰囲気自体は普通だが、上高地で掛け流しの温泉を楽しめるというだけでも非常に贅沢) 夕食・・・・・5(上高地の雰囲気の力も借りつつ、本当に美味しかった) 朝食・・・・・4.5(バイキングながらも大変満足) コストパフォーマンス・・・・・3.5(上高地に泊まるという価値を考えると、サービス的には概ね妥当な料金) 総合満足度・・・・・4.5(とにかく充実した滞在を楽しめた。清水屋ホテルを選んで本当に良かった) 次回リピート度・・・・・4(他のホテルの存在も気になるが、いつか必ず再訪するのは間違いなし)
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上高地清水屋ホテル
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『上高地清水屋ホテル』の客室は全部で38室、スタンダードなツインルームを中心に、和室やトリプル、デラックスツインなどを擁し、宿泊客の好みに応じた部屋選びをすることが可能です。 旅館であれば和室を選ぶことが多い私達ですが、やはり上高地のホテルに宿泊するとあっては、どっぷりとリゾート気分にひたって過ごしたいというもの。 従って、今回の訪問では迷うことなくスタンダードツイン(洋室)を予約することにしました。 それでは早速客室をご案内しましょう。 上高地にあるリゾートホテルとはいっても、客室は取り立てて豪華であったり、おしゃれであったりするというわけでありません。 いかにも老舗のホテル仕様といった雰囲気で、極めてシンプルで落ち着いた感じの印象を受けました。 客室の広さも24m2程度と、ごくごくスタンダードなつくりとなっています。 こちらはベットの様子。 ベットカバーの色づかいを変えているというのは何となく珍しい気がしました。 私はこのようなボックスタイプのカバーよりもデュベタイプのベットの方が寝やすいので、できれば日本中のホテルがデュベスタイルを取り入れてくれると嬉しいのですが・・・。 とはいっても、特に寝心地云々に問題があるというわけではなく、極めて健やかな眠りにつくことができました。 ホテルデスクの上には、嬉しいことにお菓子の用意がありました。 私は必ずしもお茶請けのお菓子に手を付けるというタイプではありませんが、やはり無いよりもあった方が嬉しいものです。 この辺は、和室も備えた温泉系リゾートホテルならではのサービスといった感じでしょうか。 上高地のホテルに泊まる上で、期待してしまうのはやはり眺望でしょう。 そういった意味で、窓際にゆったりとしたリビングスペースがあるというのは実に嬉しいところ。 こちらのソファーには、客室にいる間中ずっとへばりつくように居座ってしまいました。 全室梓川沿いに面した客室の窓からは、梓川を挟んで六百山や霞沢岳の勇姿を眺めることができます。 この日は雲の多い天気でスッキリ快晴とまではいきませんでしたが、大正池や河童橋周辺のホテルとはまたひと味違った、美しい上高地の断片をずっと眺めていることができて本当に幸せでした。 以前、北アルプスの山小屋に泊まった際に見た雲上から下界を見下ろす眺望も素晴らしかったですが、麓から見上げる北アルプスの峰々もまた格別です。 山の夕暮れは早めにやって来ます。 夕食前、山肌を照らす西日を眺めながら、静寂に包まれていく上高地時間を少しだけ感傷的な気持ちになりながら過ごしました。 この時はまだ梅雨の最中の7月上旬、もし夏の終わりの頃にでも宿泊していたら、きっと自分の中のサンチマンタリスムがより膨れあがって来たかも知れません。 こんな気分にひたれるのも、やはり山のリゾート地ならではといった感じでしょうか。 何と『上高地清水屋ホテル』では、客室のお風呂にも全て温泉が給湯されているという非常に贅沢なシステムになっています。 そしてその贅沢なバスルームはこちら! ・・・と云いたいところですが、実際は何の変哲もないユニットバスが置かれているだけに過ぎません。 それでもやはり、シャワーのお湯が温泉というだけでもとっても嬉しいものですよね。 さて、今回利用した宿泊プランですが、せっかくなのでその名も「スパ&リゾート満喫プラン」という貸切風呂も利用できるプランで予約しました。 利用時間を夕食前に予約したので、それまでしばし散策を楽しむことに。 午後4時近くになっても、河童橋周辺は相変わらずの賑わいを見せていましたが、あと1時間もすればだいぶ人影もまばらになってくることでしょう。 夕方近くになって、雲の切れ間に青空も顔をのぞかせてくれていました。 この場所から、雄大な穂高連峰の頂きを何遍仰ぎ見たことか。 なんちゃってアルピニストからいい加減早く脱却して、いつか奥穂高岳の山頂にも立ってみたいものです。 ホテルから河童橋へは片道約15分と散歩するには実に程良い距離感。 日中の乗鞍岳トレッキングと、河童橋までの散策の心地よい疲労感を解きほぐすべく、楽しみにしていた貸切風呂へと向かいました。 『上高地清水屋ホテル』の貸切風呂は2箇所あり、当日予約ももちろん可能となっています。 但し、45分間の利用で2,100円とかなりお高めの料金設定なので、上高地唯一の温泉貸し切り風呂を楽しむというステータスを取るか、その分客室や食事代などのグレードUPを取るか、実に判断が難しいところです。 脱衣所内には、ご覧のようにタオルもしっかりと用意されていました。 小さいながらもパウダースペースも設けられています。 こちらが貸切風呂「まゆみの湯」の様子です。 二人入ればいっぱいいっぱいという極めてコンパクトなサイズではありますが、檜の感触が心地よく、雰囲気のあるお風呂でした。 こんなお風呂が自宅にあったら嬉しいのですが。 注がれるお湯は無色透明・ピリッと熱めの単純温泉です。 宿の裏手に自家源泉を持っているとのことで、さらりとした浴感とほのかに漂う湯のかほりが、歩き疲れた体中に染み渡る感じがしました。 窓を開けると涼しい山の空気が浴室内に吹き込んで来ます。 上高地で貸切風呂を味わうという極上の贅沢感・・・。 今後そう簡単に入る機会は訪れないと思うので、限られた45分間を精一杯満喫させてもらいました。 洗い場は一箇所で、湯船のサイズからいっても恐らく大人2人くらいまでの利用がベストであると思います。 こちらは参考ですが、隣にあるもう一方の貸切風呂「こなしの湯」も見学させてもいました。 作りはほとんど同じような感じで、丸い湯船の「まゆみの湯」に対して、こちらは四角い湯船となっています。 チェックインの際にどちらか好きな方を選ぶことができ、見た目の印象では私達が入った「まゆみの湯」の方が好みでした。 続いて男女別の大浴場を紹介します。 大浴場のある場所は、1Fフロント脇の売店を通り過ぎた場所に位置し、客室と大浴場との移動は浴衣にサンダルという出で立ちでもOKとなっています。 但し、必ず売店の中を通り過ぎていかなくてはならないので、できれば売店の位置とライブラリースペースの位置を入れ替えてもらえると、風呂上がりの休憩にも便利であるし、より利用しやすいのではないかと思いました。 こちらは脱衣所、日中は日帰り入浴も受け付けているようです。 脱衣所の一角には、自由に利用できるタオルも用意されていました。 大浴場は男女ともほぼ同じ作りとなっていて、いずれも内湯と露天風呂が1箇所ずつ設けられています。 こちらは内湯の湯船で、かなり熱めの源泉が掛流されていました。 もう少し温い方が入りやすい感じもしましたが、源泉の湧出温度が45℃程度であるとのことで、加水・加温一切手を加えない源泉をそのまま楽しむことができるというのは実に嬉しい限りです。 洗い場の数はそれほど多くはありませんが、客室でも温泉を楽しめるということで、私達が宿泊した際は、朝晩とも全く混雑するようなことはありませんでした。(ほとんど貸切状態) こちらは露天風呂、「河童乃湯」という名前が付いています。 階段を数段下りて入るカタチの露天風呂は、温度も適温で野趣溢れる雰囲気でした。 また、「河童乃湯」との名前通り、岩の上には河童の置物が腰を下ろしています。 「何故に河童が?」という印象は否めませんが、恐らく小説「河童」を著作に持つ芥川龍之介がかつてこのホテルに投宿したことに由来するのでしょう。 それはさておき、なかなか気持ちよい露天風呂ではありました。 朝・晩合わせて2回、私はこちらの湯口の脇に陣取って、贅沢かつ貴重な上高地の温泉を心行くまで堪能させてもらいました。 温泉の質云々を述べると、周囲に白骨や奥飛騨など骨太な温泉地がたくさんあることで、いささか大人しめの感じではありましたが、これらと比較するのはやはりお門違いというもの。 ある意味いかにも上高地に湧く清澄なお湯といった印象で、「らしさ」が十分に感じられて良かったです。 一方、こちらは女性用の内湯。 浴室の広さ、湯船の大きさなど男湯とほぼ左右対称の作りとなっています。 そして、同じく「河童乃湯」の名称が付いた露天風呂への階段を下りていくと、 ご覧の通り、何故か男湯よりも数が多い河童達が鎮座しており、中には湯船に浸かっている河童までいます。 そしてよく見ると、やはり女湯だけあって河童達の姿も女性のようでした。 この河童の置物のセンスは正直私にはよく分かりませんが、これを良しとする人もきっといることでしょう。 いずれせよ、彼女の話を聞いてもお風呂そのものは十分満足のいくものであったようです。 客室とお風呂の紹介は以上です。 いささか気になる点はあったにせよ、そこはもう上高地マジック。 結果的には良い印象しか残っていません。 さすがは『上高地清水屋ホテル』ですね! 次回はオープンキッチンのダイニングでいただく、絶品フレンチの模様を中心に紹介したいと思います。
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一番好きな場所、一番好きな風景を問われたとき、皆さんは真っ先にどこを思い浮かべるでしょうか? 人それぞれ、恐らくとっておきのお気に入りの場所を胸に秘めていることと思いますが、私にとっての一番は、何といっても信州の上高地です。 雑誌やポスターで何度目にしようが、いくら観光客でごった返していようが、そんなことは一切構いません。 上高地こそ私にとっての永遠の憧れ、正にアルピニスト達の殿堂であり、ただそこに自分の身をおくだけで心癒されるという数少ないネイチャースポットです。 今から約20年前に初めて河童橋の袂に立ったとき、残雪を抱いた穂高連峰の雄々しき頂きを目にした瞬間の感動は今でも忘れません。 どこまでも青く清らかな梓川の流れ、あまりにも澄み切って黒に近いような感覚を覚えた五月晴れの青空、そして萌え出ずるシラカバやケショウヤナギの新緑、都会育ちの青臭い青年の心を捉えるには、それはもう十分過ぎるほどに素晴らしい風景が広がっていました。 その後も何度となく上高地に足を運ぶ機会がありましたが、いつも日帰りでの訪問ばかり。 やがて、「いつか上高地に泊まり、ゆっくりと思う存分優雅な上高地ライフを満喫してみたい」との想いが年を追う毎に自分の心の中に膨らんでいき、今年こそ、来年こそはという月日が流れて行きました。 あれから幾星霜−。 2009年7月、ついに念願の上高地宿泊を実現させる機会が訪れました。 そして栄えある宿泊先として選んだ宿は、「上高地に宿泊するなら絶対にここ!」と以前から自分の中で決めていた老舗ホテル、『上高地清水屋ホテル』です。 ご存じの方も多いかと思いますが、アルペンムード漂うリゾートホテルが建ち並ぶ上高地の中で、今回宿泊した『上高地清水屋ホテル』と『上高地温泉ホテル』の2軒だけは、上高地に泊まりながらにして温泉が楽しめるという、非常に大きな魅力を持っているホテルです。 上高地に泊まるという目的に加えて、大好きな温泉も楽しめ、尚かつ絶品創作フレンチが味わえるとあれば、正にこれ以上無いような条件が揃ったホテルと云っても過言ではありません。 自分の中で他に選択肢は見当たらないほど、ずっと憧れの思いを抱き続けて来たホテルが正に『上高地清水屋ホテル』であったというわけです。 当然ながら、宿泊料金は庶民の私にとっては決して安くはない(むしろ高い)ものではありましたが、ある意味最初で最後ぐらいの思い切った気持ちを持って、念願の宿泊を決定するに至りました。 前置きがずいぶん長くなりましたが、奥飛騨の二宿に続く夏休み旅行の最後を飾る宿として、『上高地清水屋ホテル』の宿泊レポートを紹介して行きたいと思います。 先ずは上高地入りする前に足を運んだ、乗鞍岳トレッキングの話題に少々お付き合いください。 今回の旅は温泉だけでなく、北アルプスのお気軽トレッキングを行程に盛り込みつつ、プチアルピニスト気分を味わいたいという目的がメインとして存在していました。 生憎、前日予定していた西穂高岳方面のトレッキングは悪天候のため中止としましたが、『もずも』をチェックアウト後、この日の目的地をお気軽トレッキングの聖地とも云うべき乗鞍岳に定め、早朝のバスに乗り込んで一路畳平へと向かいました。 お気軽ハイカー達が集う車内は熱気ムンムン、前日とはうって変わった晴天に皆さん心を弾ませているご様子でした。 バスはマイカー規制の乗鞍スカイラインをグングン上っていき、気がつくとそこはもう雲上の別天地、標高2,700mを誇る乗鞍畳平へと到着です。 この駐車場、つい先日何かで話題になりましたね! そうです、あの熊五郎の襲撃事件です。 被害にあわれた方も、のこのこ訪れてしまった熊の方も、どちらも非常に気の毒な事件ではありましたが、この時は後のそんな事件のこと等はつゆ知らず、鼻歌交じりで出発しました。 こちらの乗鞍畳平には、ご覧のような木道の散策コースなども設けられていて、体力に全く自信のない人は木道散策だけでも十分楽しめます。 この時点ではまだあまり高山植物は咲いていませんでしたが、最盛期にはチングルマやコマクサなどの美しいお花畑を目にすることができます。 コンクリで舗装された道から、高山気分を体感できるガレ場の登山道を空へ空へとゆっくり登って行きます。 決して急な登りではありませんが、高山のためか必然的に息づかいが荒くなりました。 随所に残る雪渓。 雪渓の上を渡ってくる風を身に受けると、思わず震えてしまうくらいに冷たく感じられました。 しかしその冷たさは決して不快なものではなく、心が洗われるような清々しさを伴います。 こちらはエコーライン側に広がる、万年雪を抱いた乗鞍大雪渓です。 夏スキーのメッカとしても有名で、この日も楽しそうにスキーを滑る人達がたくさん目に入りました。 但し、滑り終わった後に自力でスキーを担いでまた上に登らなくてはならないので、自分にはとても真似できない芸当です。 アイゼンのいるようなコースではありませんが、ルート上にこんな雪が残っているだけで思わずワクワクしてしまいます。 ハイマツの向こうに、いよいよ乗鞍岳頂上の剣が峰の姿が目に入って来ました。 ここまで畳平から凡そ40分、頂上へはあと30分程度の地点でしょうか。 しばらく頑張ると、頂上へと続く稜線に出ます。 ここで初めての人は驚くと思うんですが、頂上付近に登ると今は池となった火口の様子がハッキリと分かり、乗鞍岳は火山であったことが実感できる地点です。 山頂の祠もしっかりと視野に入り、頂上へはもう一頑張りです。 そして感動のゴールへ!! 頂上に到着すると、雲の切れ間に雄大な裾野を広げる御嶽もお目見えして、喜びもひとしおです。 歩くこと凡そ1時間10分、日本で一番ラクな3,000m峰へ無事に登頂しました。(ちなみに山頂に立つのは3度目。) こちらの乗鞍岳主峰剣が峰、ハッキリ言って高尾山に登る程度の体力があれば誰でも気楽に3,000mの頂きに立つことが可能です。 もちろん悪天候時などの装備を十分に固めていく必要はありますが、高尾山同様にビーサンやヒールで登って来る強者も結構いたりします。 晴れていれば、御嶽や槍・穂高連峰などの北アルプスから、木曽駒ヶ岳を擁する中央アルプスの大パノラマを望むことができ、高山らしい適度な達成感もあるので、正にお気軽トレッキングには最適の山と云えるのではないでしょうか。 しばし眺望を楽しんだ後、帰りは元来た道をスイスイと。 山の天気は変わりやすく、だいぶ雲がかかって来ました。 寄り道をしなければ、1時間もあれば頂上から畳平に戻ってこれるコースですが、途中、ご来光ポイントで有名な富士見岳などのピークを踏むことも可能です。 また、写真右上のゆるやかなピークである魔王岳などは、畳平駐車場から10分ほどで登れるので、更に超お気楽な高山気分を楽しめるスポットになっています。 ちょうど帰りのバスが出発する時間だったので、名残惜しい気持ちを抱きながらも、急いでバスに乗り込んで乗鞍畳平を後にしました。 ヘアピンカーブが続く乗鞍スカイライン。 以前はマイカーでも走れるコースでしたが、自然保護のためのマイカー規制には賛成です。 さて、朴の木平駐車場でバスを降りてマイカーへと乗り換え、この日の目的地である上高地方面に向けて車を走らせました。 そして沢渡の駐車場にマイカーを停め、再びバスに乗り換えて上高地へと向かいます。 上高地へ向かうアルピコバスは車体のデザインがきれいなので、なぜか私と彼女の大のお気に入りとなっています。 帝国ホテル前のバス停で下車し、意味もなく『上高地帝国ホテル』をバックに記念写真などを撮りつつ梓川の方に向かって歩いて行きました。 話のネタに、いつか『上高地帝国ホテル』にも泊まってみたいものです。 清々しい樹林帯を抜けると梓川まではもうすぐ。 きっと、日本一美しいと思われる清流が両手を挙げて私達を出迎えくれるハズです。 ・・・と思いきや、連日の雨で増水した梓川はすっかり濁流と化していました。 とは言え、そこはやはり腐っても梓川、濁流には濁流なりの味わいがあります(たぶん)。 ちなみに、正面に望む白亜の建物が今宵の宿となる『上高地清水屋ホテル』、隣に建つ赤い屋根が『上高地温泉ホテル』です。 そしてようやく念願の『上高地清水屋ホテル』へと到着しました。 決して新しく立派な外観というワケではありませんが、漂う老舗の風格と憧れが現実になった喜びで、否が応でもテンションが上がって来ます。 一見、ハイカーの格好で足を踏み入れてはいかがなものかと不安な感じもしますが、事前にネットの友人Fさんから服装についてのアドバイスを得ていたので、この格好でもためらいなくホテル内に入ることができました。 事実、客層の半分以上は私達と同じような服装だったので、さすが上高地に建つホテルといった印象です。 館内に入ると、フロントの対面にラウンジとダイニングが広がり、 他にご覧のような、ライブラリースペースも設けられています。 ライブラリーでは上高地を紹介したビデオなども流され、どっぷりと上高地ステイを楽しむことができました。 チェックインの手続きを済ませた後は早速客室へ。 いよいよこれから、極上の上高地時間の始まりです。 この続きはまた次回に。
次回は宿泊した客室と、このホテルならではの掛け流しの温泉が楽しめるお風呂の様子について紹介します。 |
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