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『湖山荘』にチェックイン後、しばし温泉三昧にいそしんでいるうちに、気づけばすでに夕餉の時間。 本館宿泊者は基本的に広間での食事となりますが、1F客室の宿泊者のみ希望により部屋食対応も可能であるとのことです。 この日は平日(日曜日)のためか宿泊客の姿も少なく、同じ広間には女性の一人旅のお客さんが一組、あとは家族連れが一組だけの様子で、6時と7時からの選択のうち6時に開始したのはどうやら私だけのようでした。 食事は献立に沿って運ばれるので、初めての宿泊ではペースも掴みやすくて助かります。 宿泊後、雑誌『自遊人』の「美味しい宿大賞」に料理の美味しかった宿としてコメントするに至った『湖山荘』の食事の模様、それでは早速ご覧ください。 と、その前に取りあえずお約束のビールです。 実はこの宿でワサビビールが味わえるということを聞いて非常に楽しみにしていたんですが、すでに製造中止とのことであえなく定番のスーパードライになってしまいました。 先ずはジュンサイの梅酢、地鶏味噌、山川の幸の三品。 どれも皆酒の肴にピッタリといった感じの料理が並び、疲れた体にビールがぐいぐいしみ込んで行きます。 中でも特に気に入ったのは地鶏味噌、鶏肉と味噌の濃厚な旨味が凝縮した一品で、ビールよりも日本酒の肴として、またご飯の友として、非常によく合いそうな一皿でした。 続いてはお造り、虹鱒と岩魚という川魚二点盛りです。 まるでハマチとサーモンのような色合いですが、川魚の刺身にしては及第点のお味。 薬味にワサビだけでなく、岩手の名産である暮坪かぶを持ってくる辺りがさすがといった感じでした。 そして、このお造りが運ばれてくる前にちょっとしたハプニングが。 実は、前の料理に旨い旨いを連発して箸を伸ばしながら一人でビールを煽っていたんですが、突如足の裏にチクリとした激痛が走りました。 この時は、他の宿泊客はおろかスタッフも誰もいない広間でのこと、「痛っ〜!」と思わず声を上げて足の裏を見やると、何と我が心の天敵であるアブが止まっているではありませんか。 反射的にテーブルにあった飲み物の書いてあるメニュー表で叩きつぶして、撃退しましたが、このアブに刺されるというダメージがじわじわと効いて来たのは実は2,3日後から。 この時は酔いも回っていたせいか、何事も無かったかのように食事に戻りましたが、その後、旅の途中で刺された場所(土踏まず付近)が腫れ上がり、更にどんどん水ぶくれとなって痛痒さが増していき、結局症状が治まるまで2ヶ月近くも要するハメになってしまったのです。 そして跡がだいぶ目立たなくなった今でさえも、この時刺された場所が時々無性に痒くなってしまうという、恐るべしアブの実力をまざまざと見せつけられた格好となりました。 どんな症状になったかは、旅のブログにはあまりにもふさわしくない絵柄なためあえて写真は掲載しませんが、以前掲示板の方では公開済みなので、その被害の凄まじさをお分かりいただいた方も多いのではないでしょうか。 ちなみに私は2年連続して夏の温泉旅行でアブに刺されてしまったので、来年からは虫除けスプレー持参など本格的な対策を取らねばならない必要性をしかと認識しました。 さて、室内での食事中にアブに刺されるという(しかも足の裏)前代未聞のハプニングも何事も無かったかのように、美味しい食事は続いて行きます。 お次は南部かしわの炭火焼きと、お品書きには無いサービス品の小鉢です。 南部かしわの炭火焼きは、砂肝、皮、もも肉とも鶏肉好きの私にはたまらない美味しさで、最も満足度の高い一皿でした。 続いては南部小麦の素麺。 夏らしく、サッパリとした出汁でいただく素麺もかなりの食べ応えで実に美味しかったです。 続いては夏野菜の天ぷら。 名前のわからない大きな葉物に、山海苔や竹の子などサックリと揚がっています。 塩とつけ汁を両方出してくれる点も、実に気が利いていてポイント高しでした。 続いては季節のお野菜。 トマトと昔キュウリに大根おろしが添えられ、これもまた実にサッパリといただきました。 続いては岩魚の塩焼きです。 だいぶ後半になってからの塩焼き登場ですが、頭から尻尾まで丸ごと食べられる文句なしの焼き加減で、これもまた熱々で美味しくいただきました。 そしてようやくご飯へとたどり着き、程良い塩加減の枝豆ご飯と、生姜の風味を効かせたお吸い物が最後までしっかりと満足感を与えてくれたのでした。 〆のデザートに、これまた後味さっぱりのほうじ茶プリンを持ってくる辺りに、この宿の実力をしかと味わったという感じでした。 今回は食べ終わるまでに1時間20分ほどで済んでしまいましたが、これが一人旅でなければ更にゆったりと食事時間を満喫できたのは恐らく間違いありません。 海のものを一切使わず、地の食材を使ってここまで素朴で美味しい料理を提供してくれる『湖山荘』の食事、個人的には大満足の内容でした。 夕食を食べ終えて客室に戻ると、山登りの疲れ、湯巡りの疲れ、そしてほろ酔いの体に幸せな満腹感が度重なり、吸い込まれるように眠り込んでしまいました。 翌朝目を覚まして窓の外を見やると、まるで昨日の日中を再現したかのように小雨まじりのどんよりとした空が広がっています。 取りあえず目覚めの湯を楽しむべく露天風呂へと繰り出すことにしました。 露天は男女の浴室が入れ替えとなっています。 脱衣所などは全く同じつくり、結局滞在中一度も他の客と一緒になることはありませんでした。 こちらの露天風呂には初めて入りますが、どうやら左側の露天風呂と違って湯船の縁が木で縁取られている模様です。 とはいえ、熱めの湯に豪快かつ広大な露天風呂という点は一緒。 この広さは宿の大きな名物となっているので否定はしませんが、これだけ広いと普通なら温めの箇所や熱めの箇所があって好みで入り分けられそうな感じであるのに、全て熱いというのがある意味すごいところです。 夏場で無ければこれほど熱く感じなかったかも知れないので、その真価を確かめるためにはもう一度くらいリベンジしてみる必要性がありそうですね。 朝風呂の後は朝食です。 昨日とは隣室の御所湖を望む食事処へと案内されました。 食事処の端には、ご覧の様に自由にいただける漬け物やジュースやお茶といった飲み物も用意されています。 朝食の席は窓際に用意していただき、窓からの景色も大いなるご馳走として食事を楽しませてもらいました。 但しこうなると、やはり青空が欲しかったというのが正直な気持ちです。 大皿のプレートには鱒(?)の甘露煮や山菜類、そして美味しそうなざる豆腐も並んでいます。 更に大粒サイズの納豆や生卵など、素材にしっかりこだわった由緒正しき正当派の和定食といった内容でした。 シンプルな料理ながらも安っぽさは無く、朝もしっかりと完食です。 さて、朝食後の歯磨きなどは客室内に洗面所がないのでパブリックの洗面所を利用します。 2Fのそれは一人分づつ専用のブースのようになっているため、女性でも利用しやすいような作りとなっていました。 洗面所に隣接するトイレも、ウッディーな作りで非常に好印象です。 但し、私の宿泊した客室からは廊下のちょうど反対側に位置していたこともあり、距離的にやや遠かったという点が唯一不満を感じるところでした。 そして朝食後しばらく時間を置いた後、〆の湯浴みを楽しむべくもう一カ所ある内湯へと足を運びました。 こちらの内湯も男女別に設けられており、宿の中では最も新しめの作りとなっています。 浴室内に入ると、ご覧の通り大きなガラス越しに雄大な御所湖の眺望をドドーンと楽しむことができる展望風呂になっていました。 モダンでシックな雰囲気の湯船には、しっかりと源泉が注ぎ込まれています。 こちらは入浴目線。 鉛色の空が何とも哀愁漂う色彩となっていますが、〆の湯浴みにふさわしくこれまた特徴の違うお風呂を楽しむことができて満足でした。 また、こちらの内湯にはしっかりとシャワー設備も設けられているので安心です。 最後までしかと温泉三昧を楽しみ、身支度を整えて宿を後にすることに。 見送りも丁寧に行ってもらったので、実に気分良くチェックアウトすることができました。 この日の宿泊地は宮城蔵王の青根温泉ですが、先ずは花巻の名湯、鉛温泉目指して車を走らせました。 『ひぃなの丘湖山荘』の宿泊レポートは以上です。 本館に泊まった際の宿での過ごし方、少しは皆さんにも伝わりましたでしょうか? 今回の一人旅プランの宿泊料金は12,600円、正直言ってかなりのお値打ち料金であると感じました。 宿泊した2F客室はだいぶ年季が感じられましたが、それを補って余りあるホンモノの温泉や極上の料理達に触れることで、結果的には十分満足の行く滞在になりました。 ある意味、客室にトイレが無いという弱点があるからこその宿泊料金であり、なぜこのご時世にトイレ付の客室に改装しないのかは未だに謎ですが、その辺が特に気にならず、とにかくリーズナブルな宿泊料金で、お湯と料理目当てで宿選びをしたい人に対しては自信を持ってオススメできるお宿です。 前回も軽く触れましたが、1Fの客室であれば千円UPでもう少し快適な客室空間になっている感じなので、次回同行者を連れて再訪する機会があれば、その辺も視野に入れつつ足を運びたいと思っています。 つなぎ温泉 ひぃなの丘湖山荘 http://furusato-no-kioku.net/index.php この後も旅はまだまだ続きます。
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つなぎ温泉 ひぃなの丘湖山荘
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気ままなみちのく一人旅2日目の宿は、雄大な御所湖を見下ろす高台の一軒宿、つなぎ温泉『ひぃなの丘湖山荘』です。 ご存じの方も多いかと思いますが、『湖山荘』と云えば、わずか3室の絶景露天風呂をはじめとする温泉付の離れが圧倒的な人気を誇り、一度は泊まってみたい憧れの宿として、また泊まった人も二度、三度と足を運んでみたくなるような満足度の高い宿として、岩手の中では、キラ星の如く一際光輝く存在の温泉宿であると自分の中で捉えていました。 ・・・が、そんな数多ある評判の声も聞こえてくるのはあくまで離れに泊まった場合のみ。 実際は本館客室の方が数が多いハズであるのに、本館に泊まった際の感想など今までほとんど耳にしたことはありません。(自分のアンテナの感度が悪いせいもありますが・・・。) 離れの宿泊料金は2万数千円もするというのに、本館泊の場合はその半額の1万円台前半。 いくら本館はトイレ無し客室のみとはいえ、利用できるお風呂は客室風呂を除けば離れと全く差がないし、食事の内容もそれほど大きくは変わらないとのことであり、その評判を聞かないのはある意味不思議でなりませんでした。 「それならば一度自分で泊まってその真意を確かめてみるしかあるまいっ!」 幸いにも一人旅も積極的に受入れしている宿であったこともあり、2日目の宿として『湖山荘』を選んだ次第です。 『湖山荘』には、過去に一度立ち寄り湯で足を運んだことがあるので、秋田からの道のりも地図無しでスイスイ。 ちょうど宿に着く直前に雨が降って来ましたが、こちらの坂道を上がりきって予定通り午後4時には到着しました。 駐車場に車を停めて宿に向かうと、久々に目にするその風格漂う門構えに思わず身が引き締まりました。 凡そ1万円台前半で泊まれる宿の雰囲気とは異なる高級感が漂っているので、ファーストコンタクトは上々といった印象です。 門から玄関へと続くアプローチも、正に絵に描いたような純和風の趣で言うことナシ。 ちょうど雨が降ったおかげか、足下も打ち水要らずで清浄な雰囲気が感じられました。 先ずはロビー脇の大きな囲炉裏端に通され、チェックインの手続きを行いました。 ちょうど到着が重なったご婦人客に話かけられ、ずっとこの宿に足を運びたかった思いがようやく実現したといった話を切々と聞かされたりしながら、意外と本館泊も人気があるのかななどと思い直してみたひとときです。 今回予約した一人泊プランは基本的に本館2Fの客室があてがわれます。 少しこぎれいな1Fは1,000円増しなので、男の一人旅でなければ1Fを選ぶのもまたよしといった印象でした。 2Fに上がると思わず目にとまる非常に眺めの良い、廊下のフリースペース。 スッキリとしてはいますが、せっかくの空間をやや持て余し気味のような感じがしたので、椅子を置くなりテーブルを置くなりすれば、もう少し雰囲気アップが図れそうです。 雨降りでもこの眺めですから、晴れていればさぞかし素晴らしい絶景が楽しめることでしょう。 そして客室に到着と相成りましたが、さすが最もリーズナブルな客室というだけあって、部屋の扉もだいぶ年季が入っている印象です。 この辺はある程度承知の上で訪問しましたが、門から玄関までの高級感漂う佇まいから想像すると、ややギャップを感じることは否めないと思いました。 もちろん、私はこういった鄙びた雰囲気が決して嫌いな方ではありませんが・・・。 では早速部屋の中へ。 なるほど、思った通りにレトロ感漂う純和室の設えです。 エアコンの代わりに扇風機、そして古びた鏡台、当然トイレもありません。 ボロイと言ってしまえばそれまでですが、ある意味ノスタルジックな郷愁を感じさせてくれると思えば、これもまた旅の楽しみの一つだと言えるでしょう。 さすらいの一人旅ですから、これくらい風情がある方がかえってしっくり落ち着けるというものです。 客室内には風鈴も吊され、窓を開けると時折涼しげな音色を聞かせてくれました。 こちらは窓からの眺めです。 手前のトタン屋根がややうるさい感じですが、茅葺きの東屋や庭園の緑、そして雨にけぶる山々の眺望はなかなか見事で、ずっと眺めていても飽きませんでした。 床の間には、TVや書籍、ヒーターなどが置かれていてやや雑多な印象です。 湯浴み道具は籠の備えなどもあって大変便利。 また、浴衣に加えて足袋の用意があるのも嬉しいポイントでした。 実際は夏場の宿泊では足袋は履きませんが、冬場の温泉宿に泊まる際は基本的にmy作務衣+足袋持参(たまに無い宿があるので)のことが多いので、使い捨ての足袋が置いてあると持ち帰って利用できるので助かります。 さて、客室に通されてあれこれと物色している間に、少したってから呈茶のもてなしを受けました。 夏らしくさっぱりとした冷たい緑茶を一気に飲み干し、早速お風呂巡りに出陣です。 先ずは、本館地下にひっそりと位置する内風呂へと向かいました。 以前立ち寄り湯で足を運んだ際にここだけ入らなかったので、一番入ってみたかったお風呂だったのです。 ひっそりと静まり帰った脱衣所内からは、窓の向こうに御所湖を見渡すことができます。 湯治場を思わせるような簡素な作りは、いかにもホンモノの温泉を有しているとった雰囲気を漂わせていました。 早速浴室へ。 そして目の前に待っていたのは、まるでレトロな銭湯の如く一面ブルーのタイルで覆われた浴室と湯船の姿です。 温泉初心者だった頃は、このような古びたタイルのお風呂に何の魅力も感じなかった私ですが、今となっては思わず「うわぁ〜」と悦びの声を上げてしまうほど。 湯船の縁からは、つなぎ温泉特有の肌触りの良い単純硫黄泉が並々と溢れ出ていて、正にこれぞ源泉掛け流しといった光景です。 一面ガラス張りの浴室内は、明るく開放的な雰囲気。 洗い場にシャワーなどの備えはありませんが、ピリッと熱めのツルツル湯に浸かると身も心もとろけてしまいそな気持ちよさです。 自家源泉を2本有する『湖山荘』の湯はph9を越えるというアルカリ性、また硫化水素イオンの含有量が多く、もっと硫化水素イオンの含有量が多い源泉であったなら、条件的にはエメラルドグリーンの湯が楽しめる可能性があったのかも知れないなどと思っています。 とにかくこちらの内湯はスペースも広く、いつ行っても貸し切り状態だったので、個人的には一番気に入りました。 風呂上がりの後は、こんな場所でのんびり過ごすことも可能です。 目の前には手入れされた芝生と御所湖。 どこにいても湖の眺望に恵まれた開放的なお宿でした。 喉が渇いたなと思ったら、フロント脇の囲炉裏スペースに行くのがオススメ。 野草茶や冷水を自由にいただけるようになっています。 さて、一息ついたら再び湯巡り開始です! お次は宿の名物でもある露天風呂へと繰り出しました。 こちらは脱衣所。 先ほどの内湯に続いて、運良くこちらにも入浴客の姿はありませんでした。 露天風呂の入り口手前には、しっかりとした飲泉処も設けられていて好感が持てます。 少しだけ口に含むと、甘い硫黄の香りが広がりました。 こんな表示を目にすると、いかにも利きそうなお湯だと良い意味で洗脳されてしまいますね。 そして扉を開けると、 ご覧のように豪快な露天風呂が待ちかまえています。 実は私はこちらの露天はそれほど好みではないのですが、開放感のある露天好きには正にたまらないお風呂だと言えるのではないでしょうか。 ちなみに女湯の方も同じように大きな露天風呂となっていて、翌朝男女が入れ替わります。 前回入った時もそうでしたが、今回もかなり激熱だったので、もう少し湯温を下げてもらえると気持ちの良い湯浴みを楽しめると思うのですが・・・。 ここは夏場よりもやはり雪の舞う冬場が最適なのかも知れませんね。 露天風呂を出ると、離れへと続く憧れの小径が・・・。 吸い寄せられるようにそちらの方へ歩いていくと、品の良い離れが3棟並んでいました。 今まで『湖山荘』の離れには、評判の割に個人的にはそれほど感心はありませんでしたが、今回本館に宿泊してみて、お湯も良いし料理も実に旨い、そして広々とした客室風呂があるくれば、これはもう人気が出て当然なワケだと改めて実感しました。 そして再び本館へと戻り、趣のある渡り廊下を歩いて行くと、 露天風呂に負けないくらいに大きな足湯へとたどり着きます。 豊富な湯量をとことん活かしきっている感がある『湖山荘』のお風呂達。 もう少し底が深ければ、思わず服を脱いで入ってしまいそうな魅力を漂わせていました。 今回のところはここまで。
この後はハプニング?もあった美味しい夕食の模様へと続きます。 |
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