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一夜明け・・・。 翌朝は思った通りに見事な青空。 外に出て冷涼な空気を吸い込みながら、雪国の冬を全身で体感してみるのでした。 寒さ厳しい時にはやっぱり温かい温泉が一番。 朝は日帰り客も利用することができる、もう1箇所のお風呂の方に入ってみました。 こちらがその浴室の様子。 差し込んだ朝日が立ちこめる湯気を照らし出し、何とも幻想的な雰囲気が漂っています。 宿泊者専用の浴室にも感動しましたが、人気(ひとけ)が少ない状態でのこちらの浴室も、決してそれに負けてはいない風情に溢れていました。 さりげなくお山(岩木山)を象った木枠をはめ込んだ壁も、なかなか味わい深いものを感じます。 湯溜めの桝には、濁りの無い美しい源泉が満ち溢れています。 ちなみにphは2.0、まるでレモン水のような典型的な酸性硫黄泉でした。 多くの人で賑わう日帰りでは決して味わうことのできない、静謐な浴室での厳かな湯浴みとなりました。 さて、朝風呂の後は朝食です。 朝食会場は夕食時の広間とは異なり、「マタギ亭」という名の食事処にていただきました。 宿のHPには、「津軽では知らない人はいないほど有名な食事処」と紹介されており、日中は多くの日帰り客が「マタギ飯」目当てに足を運ぶようです。 実は私も以前嶽温泉に足を運んだ際、こちらで昼食を取ろうとしたら何と1時間待ちとのことであったため、結局あきらめて他に場所を移したという思い出も残っています。 奥の方には、いかにもそれらしい囲炉裏を切ったスペースなども用意されていて、夕食をこちらの食事処でいただければ雰囲気があって尚良かったかなと感じました。 私達は一つだけしかない掘り炬燵の席に通され、更に卓上に丁寧な挨拶文なども用意されていたりしたため、何とも温かい気持ちにひたれて嬉しかったですね。 朝食は2段重ねの木箱に入って運ばれます。 朝から好物の烏賊刺しが登場するのは嬉しい限り。 器が立派だとそれだけで豪華な食事に感じるから不思議ですね。 ご飯は普通の白米と山菜のお粥から選ぶことができ、私は胃に優しいお粥をセレクト。 これがまた実に優しいお味だったので、何度もお代わりを進めてくるものだから朝からついお代わりをお願いして食べ過ぎてしまいました。 最後は珈琲、そして津軽らしくリンゴジュースなどもいただいて朝食の終了です。 朝食の給仕にあたってくれた男性スタッフの態度が大変感じよく、地元の話をいろいろと聞かせてくれたりしたこともあって、非常に充実した朝食時間となりました。 今回の訪問はシーズンオフということもあり、休前日でも1万3千円台というお手頃な宿泊料金。 私達の他に数組だけという少ない宿泊人数の中で、お風呂を中心とした期待以上の温泉宿ライフが楽しめ十分満足の行く滞在となりました。 目が開けられないほどに眩しく光り輝いた嶽温泉を後にし、本日の目的地に向かっていざ出発です。 弘前から黒石方面に向かって1時間ほど車を走らせ、たどり着いた先はこちらの道の駅「虹の湖」。 昨日同様パンチの効いた温泉地を数多く巡るか、それとも大好きな秘湯の宿でゆっくりと一点豪華主義の湯浴みを楽しむかを考え抜いた結果、今回は後者を選択することにしました。 実はこちらの道の駅から、豪雪の山道を走る宿への無料送迎バスに乗り換えて足を運ぶことになります。 緑色の車体に書かれた『青荷温泉』の文字。 そうです、わざわざバスに乗り換えて向かう宿とは、ランプの宿で有名な秘湯『青荷温泉』でした。 『青荷温泉』へは、宿泊・日帰りを含めてこれまで何度も足を運んでいますが、実は雪に埋もれる冬場に訪問する機会が一度もなかったので、日帰りと云えども今回はかなり楽しみにしていました。 運転手のおじさんがかなりサービス精神旺盛で、車窓からの景色や周囲の自然について、また宿の源泉情報等々、無料送迎バスとは思えないような楽しい話をいろいろと聞かせてくれたこともあり、まるで観光バスさながらの楽しい雪上ドライブを楽しませてもらいました。 雪深い山道を谷底に向かって深く深く降りて行った先、雪と氷の世界に佇む『青荷温泉』へと到着です。 春〜秋にかけての賑わいとはうって変わって、日曜日だというのに目にする訪問客はほんの数組程度。 最近は知名度も上がってすっかり観光地化してしまった感がありますが、本来の秘湯の静けさを取り戻したこの季節のロケーションは言葉にならないくらいに感動的でした。 フロントで受付を済まし、 先ずはいつも一番最初に入ることが多い本館の内湯へ。 大好きな小じんまりとした総ヒバ造りの内湯。 とにかくあまりにも素晴らしい風情が漂っているため、このお風呂に入っただけでも十分満足してしまうような、私にとって癒しの湯そのものです。 目を閉じ耳を澄ましても、聞こえてくるのは湯口からこぼれる湯の音のみ。 そして天井から時折ポツリポツリと落ちる湯気の滴。 この湯に一人浸かっている時、私は自分を取り囲むあらゆる現実から解き放たれ、まるで夢うつつの世界を漂流しているかのような感覚に至ります。 こんなにも「効く湯」は、他に数えるほどしかありません。 続いて本館を出て吊り橋を渡った先にある露天風呂へ。 こちらの露天風呂は混浴ですが、人気(ひとけ)も少ない今の時期であれば昼間でも女性は入りやすいのではないでしょうか。 思った通り先客の姿はなく、開放的な露天風呂で二人して湯浴みを楽しむことにします。 眼前に広がる雪景色を眺めながら少し温めの露天風呂にじっくりと浸かっていると、身も心もとろけてお湯に同化してしまいそう。 このままずっと浸かり続けていたいという思いを、必至で振り払う私達でした。 昼食時を迎え、湯上がり後は館内でランチをいただくことに。 定食物も充実していますが、朝食を食べ過ぎたせいもあって二人とも控えめに蕎麦を食することにしました。 風呂上がりの乾いた喉を潤すべく、取りあえず生ビール(彼女)とウーロン茶(私)で乾杯です。 この後で運転さえ控えていなければ・・・。 雪を眺めていただく風呂上がりの生ビール、さぞかし美味しいことでしょうに。 泊まりだともうひと頑張りといった印象の食事も、ランチでいただく蕎麦等は抜群に美味しく感じるのが不思議なところ。 温かい山菜蕎麦と冷たい山菜蕎麦、二人でシェアしていただきました。 ランチをいただき、しばしまったりと休憩した後は、いよいよ〆の湯を楽しむべく別棟にある健六の湯へと向かいました。 一番最初に入った内湯も非常に素晴らしい浴室ですが、こちらの健六の湯もまたヒバの香り溢れる開放感抜群の癒しの湯に他なりません。 この日は入るお風呂全てが何と貸切状態、はるばると遠くからやって来た者への最高のご褒美です。 正に極上の内湯の雰囲気を誇る健六の湯、今更何も語る言葉はありません。 透明ながらも茶色い湯の花が舞う存在感のある湯をしっかりと堪能し、今回の湯巡り旅の最後を飾るにふさわしい湯浴みとなりました。 帰りもまた「虹の湖」まで送迎バスで。 途中、青荷温泉と八甲田の山々を見渡せる展望スポットで停車し、写真撮影を進めてくれる運転手さんの計らいに感謝です。 朝方抜けるようだった青空も帰る頃にはすっかり曇天に。 山を見続けてきた運転手さんによると、あと1時間もすれば恐らく雪が降り出すだろうと言っていました。 さて、黒石から大館能代空港へと戻る途中、最後にもう1箇所どうしても立ち寄っておきたかったスポットが。 大鰐温泉に軒を構えるこちらの洋館、地元では有名なデザートレストラン「シュバルツバルト」です。 青森の温泉地とは思えないようなシックで品のある雰囲気の中、バロック音楽の調べと共に味わうタルトタタンはちょっとビックリするくらいに感動的な美味しさ。 見た目も芸術的に美しいスイーツを前に、この店の存在を知りながらも今までずっとスルーして来た自分が愚かしく感じるほど大満足の味わいでした。 今回は時間の余裕があまりなかったので長居できませんでしたが、次回青森訪問の際も必ず立ち寄ってみたいお気に入りの一店になりました。 降り出して来た雪の国道7号線を車で急ぎつつ、短くも充実した冬の津軽路の旅の終了です。 |
嶽温泉 山のホテル
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嶽温泉は、名峰岩木山の登山口に広がる小さな温泉街。 鄙びた温泉宿や土産物店などが肩を寄せ合うように軒を連ねていますが、冬場はさすがにシーズンオフということもあって、温泉街全体が眠ったようにひっそりと静まりかえっていました。 最も規模が大きい宿である『山のホテル』もまた同様で、玄関をくぐってもフロント周辺に人の気配が全くナシいう状況に少々面食らった私達・・・。 正直一抹の寂しさを感じたのは否めませんが、ある意味喧噪とは無縁の静かな滞在が保証された感じがして安心できました。 雪国の宿たるもの、常にどこかしら哀愁を漂わせているのが正しき姿なのかも知れません。 チェックインの手続きを済ませた後は、素朴な若い青年スタッフに先導されてすぐさま客室の方へと向かいます。 館内は廊下・客室とも全体的に民芸調の造りとなっていて、落ち着いた和の佇まいとなっていました。 『山のホテル』について全く予備知識の無かった同行の彼女は、嶽温泉という湯治場風情漂う温泉地からしてもっと鄙びた雰囲気の宿であると想像していたらしく、思っていた以上に立派な造りの館内に感心(安心?)していた模様です。 今回用意された客室は「あざみ」という名前の客室で、 広さ10畳の標準的な和室です。 『山のホテル』は嶽温泉で最も規模の大きい宿とは云え、客室数は全部で18室。 たとえシーズン中であったとしても、大型旅館のような喧噪はさほど感じられないのではないでしょうか。 窓から見える雪の壁が、いかにも冬の津軽に来たという景観そのものだったので心癒されました。 雪灯籠に火が灯る時間が楽しみですね。 取りあえず長旅の疲れを癒すべくお茶で一服。 「よぐきたねし」・・・、この言葉を目にすると何だかホッとします。 今回は宿に到着する前にハードな温泉巡りを楽しんで来たこともあって、かなり湯疲れ気味の私達でしたが、やはり「温泉や」の性分は客室でそう長くじっとしてはいられないようです。 とにかく宿のお風呂が気になって気になって・・・。 というわけで、本日四湯目のディープな温泉へレッツゴー! 館内は男女別のお風呂が2箇所ありますが、先ずは以前からずっと入ってみたかった『山のホテル』ご自慢の宿泊者専用の浴室へ。 脱衣所内には大きなガラス窓が設置され、着替えている間も思わずそわそわしてしまいそうな魅惑的なお風呂が待ち構えていました。 まして先客がいないとあれば、一刻も早く極上のお湯のもとへたどり着きたいという思いは倍増します。 棚に並んでいるのはシンプルに脱衣籠のみ。 浴室に入り、じっくりとその美しい湯と見事な湯小屋の雰囲気に対面して思わず「おぉ〜」と感動のため息。 少し変わった↑の様な湯船の形、青森ヒバの質感、翡翠色の硫黄泉、どれを取ってもはるばると東京から足を運ぶのにふさわしい、風情漂う実に見事なお風呂の姿をしていました。 湯船にそっと身を沈めると、目の先に飛び込んで来るのは温泉情緒をより一層盛り上げる一面の雪景色。 この宿に露天風呂は無くごく小さな内湯のみですが、窓が大きく取られているせいで閉塞感などは感じられません。 内湯を愛する者にとって、これ以上無いようなシチュエーションです。 注がれるお湯は酸性度が高くツルすべの浴感、湯船の底にはたっぷりと湯の花が沈殿しています。 析出したカルシウム成分も実にいい表情を見せ、私はずっと湯口の脇に陣取り、目で耳で鼻で肌で口でと、陶酔するかのように五感をフル活用して嶽温泉の湯を満喫させてもらいました。 洗い場は三箇所で使い勝手に問題はありませんが、浴室が狭いので湯船にシャワーが飛ばないように気を配るなど、当たり前の配慮も必要です。 ちなみにこちらは女湯、 浴室の造りは男湯と同様です。 すっかり長湯してお風呂から上がると、すぐ前に冷水などの備えがあるのは大変助かります。 更に嬉しいことに、この手の宿には珍しく珈琲が自由にいただけるサービスがあったので、私達は大いにその恩恵を味わせていただきました。 食後だけでなく、湯上がり後の珈琲もまた乙なものです。 津軽の冬は日が落ちるのが早く、しばらくして客室に戻ると、ちょうど宿のスタッフが雪灯籠に一つ一つ火を灯して歩いている姿を発見しました。 そして、穏やかなろうそくの灯りがより一層光を増して来る夕闇が訪れると、お待ちかねの夕食時間です。 夕食会場は大広間にて。 並んだお膳を前に、古き良き温泉旅館の情緒が漂うスタイルです。 食事に関しては今回はさほど大きな期待はしていなかったのですが、こちらのお宿の名物料理となっているマタギ飯(釜飯)を是非一度食べてみたいと思っていたので、お風呂共々ようやく念願かなった格好となりました。 取りあえずビールは毎度毎度のワンパターン。 二人で瓶ビールを2本空けるくらいが私達の適量です。 宿名は『山のホテル』ですが、海からもそう遠く離れていないせいもあってか、海の幸・山の幸が色とりどりにお膳の上に並びました。 手前の前菜が、磯つぶ含め煮、紅鮭の切りこみ、鮎生干し、帆立香焼き、鰻巻玉子といった陣容で、歯ごたえ抜群のつぶ貝や、糀で和えたねっとりと濃厚な紅鮭など、正に酒の肴にはピッタリといった個性的な前菜です。 更にその奥の小鉢は山菜三品、ならのきシメジの鴨肉汁、桜シメジのずんだ和え、竹の子紅鮭押鮨と、こちらもまた美味しくいただきました。 お造りは鮪、鯛、甘海老というラインナップ。 鮪がやや大味であったものの、歯ごたえを捨てとことん旨味を熟成させた鯛の美味しさが印象に残りました。 こちらは茶碗蒸し。 かなり独特の甘さが感じられたので、ひょっとしたらご当地のりんごをすり流して加えているのかも知れません。 更に、見た目にも食欲をそそるサーモンのタタキの嶽山葵サラダなる洋皿も登場します。 続いては熱々のホイル焼き、 中を開けると、立ち上がるバターの香りと共にタラバガニと嶽きみ(とうもろこし)、しめじがお目見えし、その美味しさにあっという間に平らげてしまいました。 そんなたくさん並んだ料理を片付けながらも、こちらの名物料理、「マタギ飯」の存在を忘れてはいけません。 お膳の上で30分ほど炊きあげ、程良くして食事へと移ります。 蓋を取ると、びっしりと詰まった山の幸に感動。 舞茸、筍、ごぼう、にんじん、こんにゃく、そして刺身に入っていた甘海老を勝手に加えた炊きたて熱々・ボリューム満点の釜飯を余すことなく堪能させてもらいました。 また、脇に並んでいるのは舞茸の土瓶蒸しで、ご飯・汁物共目一杯舞茸の美味しさを味わい尽くした感じです。 最後はややおとなしめの印象のデザート、 そしてしっかりとお茶もいただいて、かなり満腹になりながら夕食を食べ終わりました。 特筆するような料理こそ無かったですが、思った以上の内容とボリュームだったので、十分満足の行く夕食となりました。 夕食後外に出てみると、小雪がはらはらと舞い落ちる凍てつく寒さの中、時折ぽっかりと月が顔を出して青白く輝いていたのが非常に印象的でした。 雪国の冬の夜にあまり月を目にした記憶が無かったので、どうやら明日も地吹雪ではなく穏やかな青空が期待できそうです。 寝る前にもう一度だけ湯浴みを楽しみ、充実した疲れと共に吸い込まれるように眠りについた私達でした。 次回へとつづく・・・
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2010年の初頭、毎年恒例となった冬の荒海日本海を巡るツアーの行き先について、今シーズンは一体どこに足を運ぼうかと私はずいぶん頭を悩ませていました。 海雪の舞う黄金崎『不老ふ死温泉』にでも行って演歌の世界をどっぷりと満喫するか、はたまた男鹿半島『元湯雄山閣』でなまはげの湯に浸かって禊ぎの旅を敢行するか・・・。 紆余曲折の結果、青森〜山形界隈の冬の日本海の光景はここ数年だいぶ目に焼き付けて来たこともあり、今年は少し趣向を変えて、冬の津軽で地吹雪秘湯巡りを目一杯満喫するのが良かろうとの結論に達し、1月末という雪と寒さが最も厳しい時期を選んで、津軽嶽温泉『山のホテル』に宿を取ることに決定しました。 雄大な津軽富士の麓に位置する嶽温泉へは7年ほど前に足を運んだきり、久しぶりにイオウの香り漂う乳白色の湯をたたえた津軽の秘湯に向けいざ出発です。 晴れ渡った冬の早朝、北東北に向かう機内から見る雄大な眺望はそれだけで旅の大きな醍醐味の一つといった感じがします。 今回は大館能代空港を起点とする旅。 秘湯巡りのコンセプトを全面に打ち出し、先ずは空港から約1時間ほどの距離にある大好きな温泉宿へと車を走らせました。 秋田杉の原生林に囲まれた雪深い林道をしばらく走ると、やがて絵に描いたような秘湯の宿の姿が目に飛び込んで来ます。 車から降りてすぐに感じられる芳しいイオウ臭、ここ『日景温泉』は冬こそ最も風情が漂う季節に他なりません。 土曜日の早朝、珍しく人気(ひとけ)の少ない静寂な館内。 近年改装して少しだけ立派になったロビーが、都会から来るゲストを目一杯背伸びして迎えてくれているような感じがしました。 今回は会えなくて残念でしたが、このロビーでは名物の猫が居眠りをしている姿をよく見かけます。 いつもは迷うことなく大浴場へと向かう私達ですが、今回は改装したという鄙びた湯治部の小浴場に入ってみることにしました。 まるで時間が止まったかのようにひっそりとした湯治部の浴室。 改装したとは云え、その風情はいささかも変わってはいませんでした。 秘湯王国秋田といえば、乳頭温泉郷や八幡平の温泉郷が有名ですが、この『日景温泉』もまた、東北の草津の異名を誇る極上の名湯です。 泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉、口に含むとイオウの香りと共に明らかな塩気を感じる濃厚湯です。 窓の外には堆く積もった雪景色を望み、響き渡る湯の音と共に、静かにそして清らかに、私の心の中に例えようもない安寧とした悦びが染み渡って行くのでした。 さて、日景を満喫した後は間髪入れるまもなくお次の秘湯へと向かいます。 林道の入口に佇む古びた「湯の沢温泉郷」の看板、これから向かう津軽湯の沢温泉郷のお宿こそ、日本中の温泉ファンを魅了してやまない最強の秘湯群の一つといっても過言はありません。 猛烈な地吹雪をわずかに期待しつつも、やはり穏やかに晴れ渡った雪道を進むのは心が軽やかになるものですね。 津軽湯の沢温泉郷で一番先に目に見えてくるこちらのお宿、惜しまれつつもクローズしてしまった『湯の沢山荘』です。 浴室の脇からは今でも変わることなく濃厚な温泉が垂れ流されており、いつの日かあの素晴らしい千枚田の浴室にもう1度入れる日が来ることを祈るばかりでした。 『湯の沢山荘』を過ぎてすぐに見えて来るその名も『なりや温泉』、こちらのお宿が私達の次のターゲットとなります。 見るからに超B級旅館の佇まいですが、俗に言う「パンチの効いた温泉」などという言葉だけでは済まされないような超濃厚湯を体感できることで有名です。 玄関を入って左手が男女別の第1浴場、右手が混浴の第2浴場となっており、今回は第1浴場に先客がいたこともあって第2浴場に入ることにしました。 扉に手をかけた瞬間、「どよ〜ん」とした濃厚な空気が充満している様子がよく分かります。 こちらが『なりや温泉』の第2浴場の勇姿、数年ぶりのご対面となりました。 窓際にさりげなく置かれたこちらの団扇、あまりにも強烈な温泉ガスのため時々ガスがこもらないように仰ぐ必要があるという必携アイテムとなっています。 以前は激熱でほとんど浸かることができなかったという記憶ですが、今回は冬場のためか意外と適温の湯温でした。 こちらも『日景温泉』と同じように食塩を含んだ濃厚な硫黄泉ですが、山を一つ挟んだだけで浴感も香りも色も全く違うのが面白い感じがします。 あまり長湯すると湯アタリ確実なので、クラクラする前に早々に引き上げることに。 そして湯上がり後に体を拭いていると、私の腕からじんま疹のような発疹が・・・。 あまりにも濃厚な湯に体がびっくりしたのでしょうか!? こっ、怖すぎる。 危険をさっして逃げるようにして『なりや温泉』から立ち去る私達。 でも思わずクセになるのは間違いない最強の秘湯でした。 早朝から連続して濃厚湯を堪能した後は、弘前に到着してランチを楽しむことにしました。 まるでジュエリーショップのような外観の「アンジェリック」というこちらのお店、弘前在住のYさんから教えていただいた地元で人気のパティスリーです。 湯上がり後のイオウ臭をやや(かなり)気にしつつも、美味しそうなスイーツを前に思わず笑みがこぼれました。 好みのケーキを選んで、2階にあるイートインコーナーへと向かいます。 窓の無いカフェスペースはナイトクラブを思わせるようなお洒落な空間。 地方都市のパティスリーも東京に負けてはいませんね。 こちらはスイーツだけではなく、ランチにはぴったりのピザをいただけるようになっています。 生ハムとルッコラのピザ、 そしてアンチョビとトマトのピザをオーダーし、それぞれ半分づつシェアしていただきました。 熱々かつ思った以上にボリューミーなピザに大満足です。 そしてお目当てのスイーツ、 &珈琲をいただき、しばしゆったりとした旅の時間を楽しみました。 食後はお土産用に店内のスイーツを物色、 大好きなフィナンシェなどの焼き菓子の他、この店の名物となっている「弘前城の石畳」なるスイーツを購入。 その「弘前城の石畳」ですが、見た目以上にちょっとびっくりするくらい美味しかったので、次回弘前訪問の際も必ず購入しようと決めた私達でした。 至福のランチを満喫し、今宵の宿となる津軽嶽温泉方面に向かって再び車を走らせましたが、嶽温泉をそのままスルーし、もう1軒〆の立ち寄り湯を楽しむことにしました。 向かった先はこちら、嶽温泉からもほど近い津軽屈指の名湯、湯段温泉『時雨庵』です。 写真ではかなり鄙び系の外観に見えますが、別荘地の中に佇むセンスの良い和風ペンションといった趣です。 玄関を入ると、可愛らしい呼び鈴がお出迎え。 鈴を鳴らすと、いかにも優し気な女将さんが快く立ち寄り湯に応じてくれて非常に好感度大でした。 実はこちらのお宿、館内に大浴場は無くあるのは貸切利用の2つの浴室のみ。 しかも立ち寄り利用でも一人300円という格安料金で入ることができるので、湯段温泉の中では穴場中の穴場となっています。 2つある浴室のうち、この日利用できたのは幸運にも大きい方の浴室。 青森らしくヒバ造りの浴槽が心に染みいります。 湯口からは、鉄分を含んだナトリウム・カルシウム・マグネシウム-塩化物泉がしずしずと注がれていますが、タイプは違えどこれまた非常に個性的な濃厚湯に出会った喜びで、思わず彼女と二人して感動してしまいました。 特に手足にまとわりつく様な泡付の感触は非常に見事で、風情漂う浴室や女将さんの人柄の良さと相まって、いつか必ず泊まりに来ようと誓ったのでした。 しっかりとした洗い場も備わっていたので、強烈ななりやの湯をここできれいサッパリと洗い流すことにしました。 湯段温泉の湯も心行くまで満喫し、ようやく嶽温泉へと到着です。 今回初めての宿泊となる『山のホテル』、一体どのようなお宿であるか期待を込めて玄関をくぐりました。 次回へとつづく・・・
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