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夕食後、危うくウトウトと眠り込んでしまいましたが、朝を迎える前に男女入れ替えになったお風呂をしっかりと確かめるべく、深夜の湯浴みに繰り出しました。 脱衣場などは、入れ替え前のお風呂と比べるとやや小ぶりな印象。 そしてこちらが浴室の様子で、同様にやや小ぶりな湯船と空間といった感じではありましたが、小じんまりとしている分、風情はこちらの方が上かも知れません。 照明が押さえ気味であるのも、私好みで落ち着きます。 入れ替え前のお風呂の内湯はかなり激熱気味で苦戦しましたが、こちらの方は極めて適温。 人の少ない時間を見計らって、風情溢れる大浴場にゆったりと一人貸切状態でつかる瞬間は正に温泉旅の醍醐味といってもよく、この上ない贅沢に感じられます。 隣の浴室からもれ聞こえる湯桶を使う際に生じる共鳴音が、極上の温泉情緒として優しく耳に響き渡るのでした。 一夜明け・・・、 再び朝一番の湯浴みへと繰り出しました。 明るい状態で露天風呂の様子を紹介しようと思ったのですが、残念ながらこの後すぐに他のお客さんがみえたので撮影は断念。 まるで年配者の如く私は温泉宿での朝寝坊などは全くの無縁で、いつも必ず目覚めの朝風呂をしっかりと堪能してから、朝食時間を迎えるタイプです。 ちなみに『旅館たにがわ』では、朝食前の朝風呂時間帯にロビーにて舞茸の味噌汁サービスが振る舞われるらしいのですが、今回はすっかりとそのことを忘れてしまいました。 さて爽快な朝風呂を満喫した後、朝食も夕食と同様に客室でいただきました。 朝食が部屋食であると、否応なしに布団を上げられてしまうのが少々残念なところなんですが、テーブル一杯に並んだ料理を目にするにつけ、そんな不満はすっかり忘れしっかりと食欲がわいて来ます。 サラダや煮物の他、この宿の名物でもある大粒の温泉納豆は嬉しいおかず。 温泉納豆は売店でお土産品としても販売されていました。 朝からお造りがいただけるのもポイント高しです。 朝食の定番である焼き魚はコンロの上で網焼きで。 温泉納豆と同様、朝食時の名物になっている鮎の一夜干しです。 季節感があるわけではなく味の方はそれほど印象はありませんが、焼きたてをその場でいただけるという点が実に嬉しいところですね。 こちらは蕎麦の実の山かけ、とろろ蕎麦とはまたひと味違った味わいでした。 そして炊きたてのご飯と味噌汁、 食後はデザートのフルーツと、朝食もボリューム満点の内容で美味しくいただきました。 身支度を整えてフロントにてチェックアウトの手続きを行いますが、 その際、こんな名入りの葉書をいただきました。 郵便番号の欄は宿泊した日付、ご縁(五円)とご縁(五円)を足して10円の貼り付けられたその葉書、楽しくもありオリジナリティを感じるおもてなしでした。 あめ玉やちょっとしたお土産をいただけるだけでも、宿を後にする際の印象がグンと良くなるのは間違いないので、わずか10円ちょっとの経費でもこの様にアイデアを振り絞って客を喜ばそうとしている宿というのは強いものです。 これが女将の手書きであれば、更に心のこもったおもてなしに感じられるのではないでしょうか。毎日30枚程度、頑張って書いてみる価値はありそうです。 さて、皆に見送られながら気分良く宿を出発すると、前日とはうって変わって何ともスッキリしない空模様となっていました。 写真ではわかりづらいですが、どうやら黄砂の影響で車のフロントガラスにもびっちりと砂が付着していました。 そんな春特有の霞んだ空の下、自宅へ帰る前にもう1箇所話題のニューオープンのお宿へ立ち寄ってみることに。 真新しい木壁と懐かしい茅葺き屋根が印象的なこちらのお宿、『かやぶきの郷薬師温泉旅籠』の姉妹宿でもある川場温泉『かやぶきの源泉湯宿悠湯里庵』です。 以前からそのオープンをまだかまだかと待ちわびていたこともあり、宿泊してみたいと思える宿であるのかどうか、先ずは今回立ち寄りでその印象を探ってみることにしました。 こちらの『悠湯里庵』、『旅籠』に比べるとよりいっそう宿泊スペースと日帰りスペースがしっかり区別されているといった印象です。 全体的なつくりは『旅籠』に近い感じですが、周囲を山に囲まれた『旅籠』の山里らしいロケーションに対して、こちらはのどかな田園風景、宿からイメージする日本的な郷愁やレトロ感を感じるまでにはもう少し風雪に耐えた年月が必要かも知れません。 さすがにオープン仕立てで新しいためか、今のところは本物のそれというよりは、擬似的古民家の印象がやや強い感じもしました。 日帰り利用はお風呂だけでなく、食事付のプランも大きなウリにしている模様。 本当なら昼食もいただいてゆっくり楽しんでみたかったのですが、さすがに『たにがわ』で朝食をしっかり食べて来たせいで簡単にはお腹も空きそうにありません。 よって今回は純粋にお風呂だけをいただいてみることにしました。 悠湯里庵には武尊乃湯・弘法乃湯・里乃湯と3箇所のお風呂があるそうですが、日帰り利用で入れるのはこちらの武尊乃湯のみとなっています。 脱衣所は広く清潔そのもの、オープン直後に入ったためか先客はまだ1名だけのようでした。 こちらが武尊乃湯の様子です。 2箇所の湯船を擁した内湯の他に、窓の外には露天風呂も備わっていました。 今回は露天に先客がいたので、かろうじて内湯だけ撮影させていただきました。 こちらは檜の香りが心地よいやや湯温が高めの浴槽、 そしてこちらが川場温泉の源泉がそのまま楽しめる温めの浴槽となっています。 時折ほのかにイオウの香りがそっと鼻をくすぐる川場温泉の泉質はアルカリ性単純温泉。 この辺りの湯脈の特徴かツルツル感があり、非常に肌触りのよい美肌系のお湯といった印象です。 特にこちらの源泉浴槽はぬる湯のために長湯が堪能でき、私はほとんど他の浴槽には入らず1時間近くずっとこの源泉浴槽で良質なお湯を満喫させてもらいました。 洗い場もしっかりと仕切があって極めて快適なつくりとなっていました。 湯上がり後は展示コーナーや囲炉裏などの館内をブラブラと。 正直、やはり立ち寄りだけではこの宿の善し悪しを判別するまでには至らず、自分の中で泊まりでじっくりと足を運んでみたいと思える宿なのか、日帰りで楽しむべきタイプの宿であるのか、今ひとつハッキリと定まらなかったというのが今回足を運んでみた正直な感想です。 宿泊料金がそこそこ高いお宿ということもありますし、すぐ近くに比較的リーズナブルに宿泊できる『渓山荘』という佳宿があることも、その要因の一つなのかも知れません。 いずれにせよ、まだオープンして半年とたっていない宿であるため、今後の成長を見守りながらいずれまた足を運んでみたいと思っています。 早春の上州路を後にし、これにて今回の旅路は終了です。 今回は谷川温泉初訪問の旅。
自分の中では、谷川温泉で泊まってみたい宿といえばこれまで『水上山荘』と『金盛館せせらぎ』がほぼ同率首位に君臨し、『旅館たにがわ』はその3番手という位置づけでした。 しかし谷川温泉に一番先に足を運ぶとすれば、先ずは『旅館たにがわ』からスタート!という思いもあり、今回はその計画の足がかりを果たせた格好です。 更に『別邸仙寿庵』という別格である高級宿の雰囲気も味わうことができ、旅の楽しさが何倍にも広がった感がありました。 同行の母は、今でも『仙寿庵』のランチと湯浴みは本当に良かったと口にしています。 大旅館の建ち並ぶ水上温泉街とは違い、少し離れた谷川温泉の静かなロケーションは実に魅力的です。 来年の群馬デスティネーションキャンペーン開催に向け、今年は群馬が非常に熱い年になりそうな予感。 この谷川温泉訪問をきっかけに、今年は群馬の魅力を再発見して行こうと自分の中で心に決めた旅路となりました。 |
谷川温泉 旅館たにがわ
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更新までに随分と間が空いてしまいましたが、『旅館たにがわ』訪問記の続きを。 今回私達が宿泊したリーズナブルなプランで通された客室も、広さ10畳ほどの落ち着いた雰囲気の標準的な和室で、客室に関しては特筆すべき印象はありませんでした。 穏やかな春の陽射しが降り注ぐ広縁。 特別な景観が望めるワケではありませんでしたが、 右手側の奥には、残雪の谷川岳の勇姿がわずかに顔を覗かせていて嬉しく感じました。 客室のテーブルの上にはお茶請けのお菓子や佃煮等の用意も。 更にちょっとした心使いで、葉っぱにゲストの名前を書いてメッセージが飾られていたりもしました。 さりげない演出ですが、何となく嬉しいものですね。 さて、TVを見始めた母を客室に残し、私といえば人の少ないうちにと早速お風呂へと繰り出しました。 広々とした脱衣所内には、思った通り先客はまだ誰もいない様子。 『仙寿庵』と同様、畳敷きの脱衣所は清潔感があって足裏が非常に心地よく感じられます。 浴室内に入り、先ず目に飛び込んでくるのがこちらの光景です。 想像していた以上に開放的な空間と、この手の温泉宿にしては珍しく風情漂うひのき風呂の質感に思わずニンマリ。 内湯好きを公言している私ですから、このお風呂の雰囲気はかなりの好感度大でした。 そしてしっかりと掛け湯を行い、おもむろに湯につかってみると・・・。 「熱いっ!」と、思わず唸らずにはいられないという湯温の高さ。(推定46℃以上) 臼のような湯口から注がれる高温の湯はしっかりとした源泉、ただし浴槽内は循環させているのでちょっと温泉設定を間違えているのでは?と思わざるを得ないような湯温の高さとなっていました。 それでもめげずに、しっかりと湯につかってみようとする姿勢がやはり私の信条。 湯船の端についた段差にわずかに腰を下ろしつつ、しばしそのお湯の熱さと戦いながらも誰もいない浴室の美しい空間を一人堪能するのでありました。 洗い場に使ったままの湯桶や腰掛けが放置(散乱)されていない様は実に美しいものです。 できれば自分の使った湯桶等は元の位置に戻す、それが無理ならせめてしっかりとお湯を捨てて腰掛けの上に湯桶を重ねて整えておく。 みんながそれを心がけるだけでずいぶんと気持ちよく浴室を利用できるし、また写真だって見栄えの良いのもが撮れると思うのですがいかがでしょうか。 ごくたまに飲んだままの缶ビールが置き去りにされている様な場面にも遭遇することがあり、こうした温泉ブログを手がける身とあっては、マナー啓発もしっかりと呼びかけて行きたいものです。 激熱の内湯でノックアウト気味に陥った後は、併設されている露天風呂へと繰り出しました。 こちらの方は、内湯とは対照的に豪快な岩組の露天風呂となっています。 湯温の方も極めて適温で、眺望こそ効きませんが気持ちよく湯浴みを満喫することができました。 正に谷川の如く岸壁からほとばしる谷川温泉の湯。 無色透明で柔らかい印象のそのお湯は、弱アルカリ性の単純温泉で自家源泉を3本も所用しているとのこと。 湧出量が分からないのであまり無責任なことは言えませんが、宿の規模からいってとことん湯使いにこだわり、できれば完全な源泉掛け流しの実施に取り組んで欲しいものです。 それが今の世のトレンドであり、この宿の質と魅力を更に大きく高める大きな鍵になるような気がしました。 気持ちよく汗を流した後は、浴室を出たすぐ脇に冷水をいただけるコーナーがあって助かります。 私は客室へと戻らずにそのままぶらぶらと館内を散策。 そして売店にて、みなかみ温泉名物の湯あがり堂サイダー(生産地は佐賀)を購入し、そのレトロな風味を楽しみました。 但し、1本が95mlというミニサイズなので、喉が渇いていると2,3本欲しくなってしまうのが玉にきずです。 こちらはラウンジ脇の足湯。 夕方以降は家族連れやカップルで賑わい、皆が楽しそうに温泉情緒を満喫しているご様子でした。 宿を出て、温泉街も少しだけ散策してみることに。 すると玄関脇にちょうど良いギアを発見。 「もし良かったら乗ってください」との貼り紙もあり、ちょっくら拝借させていただきます。 谷川温泉街はお土産さんが軒を連ねるような歓楽地ではなく、高級宿がひっそりと建ち並ぶ静かな温泉地のため、散策の方も有名処の旅館の外観をじっくり眺めるといったややマニアックな楽しみ方になってしまいます。 温泉街の最奥部には、憧れの宿の一つでもある『水上山荘』などもあっていつか足を運んでみたいと強く思いました。 『水上山荘』の脇の坂道を川に向かって降りていくと、谷川をバックに美しい谷川岳の姿も目にすることができました。 『水上山荘』の露天風呂からはこの谷川岳を眺めながらの湯浴みを楽しめると聞いているので、恐らくこの日はさぞかし素晴らしい眺めが堪能できたことでしょう。 しばらくして宿へと戻り、 客室でのんびり過ごしているうちに、いつの間にか夕食の時間が訪れました。 この日の夕食はあまり好みではない部屋食だったのですが、夕食は全て食事処でいただけるものと勘違いをしていたので、あらかじめリクエストを出して置かなかったツメの甘さを我ながら反省するハメに。 とは言え、部屋食でも食事処でもお値打ちプランであっても内容が変わるわけではないとのことだったので、気を取り直して久々の部屋食による夕食に挑みました。 先ずは食前酒、ゲストの健康を気遣ってとのことで野草酒が振る舞われます。 いかり草、ウイキョー、キハダ、オオレン、センブリ、マタタビが入っているというこちらの野草酒、その苦い味からしてとにかく体には良さそうです。 また、この日は珍しくビールではなくスパークリングワイン「アストリアラウンジ」をオーダー。 甘さ控えめで飲みやすいスプマンテといった印象ですが、もう少しスッキリ冷えていると更に美味しくいただけたような気がしました。 料理の方はほぼ一気出しでテーブルの上に並べられ、後から数品の料理が運ばれてくるといった昔ながらのスタイルでの提供です。 こちらは前菜で、合鴨ロース、こごみの梅味噌、タラの芽黄味揚、諸子南蛮漬け、まいたけ煮、菜の花サーモン巻の6品です。 特筆すべき点はありませんが、どれも皆美味しくいただきました。 続いてあん肝豆腐にマコモ茸という小鉢が二品。 あん肝豆腐というのは初めて口にしましたが、名前の通り極めて濃厚な味わいで美味しかったですね。 お造りは鮪、さより、ぎんひかりの三点盛。 最近群馬の宿でよく登場するぎんひかり、川魚特有のあっさりとした食感とサーモンのような濃厚な旨味を持ち合わすという独特の味わいで、虹鱒とは思えないような美味しさを堪能することができました。 続いては焼き物、 牛ロース、ペコロス、パプリカ、白舞茸、甘長唐辛子を熱々の石焼きにていただきます。 この辺は文句なしの美味しさでした。 そして定番の岩魚は塩焼きと唐揚げからチョイスできるようになっており、『仙寿庵』で塩焼きをいただいたこともあり、私達は唐揚げにしてもらいました。 熱々の状態で運ばれて来た唐揚げ、頭からサックリほくほくとかぶりつくことができ、ありきたりの塩焼きとは異なる味わいを楽しむことができて良かったです。 更に竹の子の田楽焼き、白酢和えの小鉢などをいただき、 食事へとたどり着きます。 ご飯はシンプルに炊きたてのあきたこまち、そしてお椀の方は上州名物のちぎりっ子うどんが運ばれ、しっかり完食する頃には完全にお腹いっぱいの状態に。 最後に黒蜜のかかったくずきりをデザートにいただき、1時間15分ほどで夕食を食べ終えました。 個室食事処であればもう少し雰囲気も楽しめてなお良かったかなと思いますが、宿泊料金を考えると内容的には十分満足だったので、老舗宿らしくいかにも万人受けしそうな手堅い料理内容だったといえるのではないでしょうか。 夕食後は片づけの後にすぐ布団敷き。 その際、就寝用の浴衣が用意されるなど、しっかりとしたもてなし感が伝わって来ます。 ただ、この布団を敷いてもらっている間(布団上げも含む)がどうしても苦手なので、やはり食事処で食事を済ませているうちに、戻ったら全て完了済といったスタイルが自分には一番向いているような感じがしました。 今回のところはここまで。
最終回となる次回へとつづく・・・ |
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春は何となく気分をいっそう旅へと向かわせる季節です。 職場での4月からの人事異動も決まり、多忙な日々を送る自分の心と体を温泉の力でリセットするべく、3月の3連休を利用して直前予約で群馬県谷川温泉へと足を運んできました。 私にとって谷川温泉は未踏の地。 谷川温泉といえば、名峰谷川岳の麓にある閑静な温泉地に、品のある上質な名宿達が肩を寄せ合って立ち並んでいるといった印象ですが、今回私が宿泊先に選んだ宿は、かつての高級宿路線からすると一歩引いたスタンスで、現在では安くて良い宿の代表格のように謳われている『旅館たにがわ』です。 『旅館たにがわ』を選んだ理由は、何でも今年30周年を迎えたということで、以前では考えられないような破格の宿泊料金プラン(休前日でも12,000円)を打ち出しているのをたまたまネットで発見したからでした。 長いデフレ不況にあえぐ現在、かつての高級旅館達が続々と値を下げ、必死に頑張って集客に励んでいる姿を目にするのは何とも複雑な心境ではあるものの、以前から一度は足を運んでみたいと思っていた宿であったこともあり、これを好機とばかりに母を誘ってふらっと旅に出た次第です。 それでは今回の旅の模様をどうぞご覧ください。 東京を出た時は春立てる霞の空、やがて谷川温泉に近づく頃にはこの時期としては珍しいすっきり澄み切った青空に。 残雪を抱いた谷川岳の勇姿が、これ以上ないくらい印象的な光景として今でもしっかりと目に焼き付いています。 先ず向かった先はこちらのとある一軒宿、 茅葺きの門構えが、落ち着きと和の情緒をさりげなく演出しています。 そして門をくぐった先に感じる、モダニズムと高級感が織りなす凛とした独特の空気。 このお宿の名は『別邸仙寿庵』、正に近年の日本の高級旅館達を牽引してきた巨星の一つであることは間違いありません。 ご存じの方もたくさんいるかと思いますが、実はこちらの『仙寿庵』、『旅館たにがわ』の姉妹宿という存在でありながら、その格式たるや本館の『たにがわ』を遙かに凌駕する立ち位置を確立し、私の様な庶民が容易に近づくことは絶対に許されない高級宿であるとずっと信じて来ました。 憧れを抱きつつも、自分には全く縁のない高嶺の花としてこれまで無関心を装って来たわけですが、ある日とある雑誌にて、この『仙寿庵』に昼食+入浴付というHPでも一切紹介されていない知る人ぞ知る日帰りプランが存在することを発見。 受入人数に限りがあるものの、宿泊すると通常なら4万円以上はかかるという料金が、日帰りプランであれば6千円〜という料金にてプチセレブな世界を体感できることが判明しました。 これを利用するなら正に今回しかないとの思いで、昼間は『別邸仙寿庵』にてランチ、夜は『旅館たにがわ』泊という、正にオリジナルシークレットプランを実現する機会に至ったのです。 もちろん資金に余裕のある方は逆パターンも実現可能ですが、今回のプランなら連休中でも総額一人18,000円という料金で収まり、私のような庶民でも手が届く範囲でワンランク上の至福の休日を満喫できるという、我ながらあっぱれの企画となりました。 日帰りプランのチェックイン時間は11時半から。 前夜の宿泊客達もほぼチェックアウトを終えた後ということもあり、ロビー内は驚くほどの静寂に包まれていました。 ウェルカムドリンクのもてなしを受けながら、初めて味わう『仙寿庵』の上質な空気と空間とをゆったりとかみ締める瞬間です。 ほどなくして食事処へ案内されました。 日帰り客に対しても一切手抜きのない素晴らしい接客ぶりには思わず感動。 やはりここは「本物」のようです。 用意された食事処は座敷タイプの個室で、滞在中はずっとこちらの個室で休憩できるようになっていました。 窓の外はまだまだ雪に覆われていましたが、グリーンシーズンになればさぞかし美しい光景が広がっているのは間違いないことでしょう。 さて、こちらが今回私達が予約した6千円コースの日帰りプランの前菜です。 A5ランクの和牛ステーキに大トロのお造りなど、正に直球勝負の豪華な食材を用いた料理を前に、ただただ口福感に包まれる瞬間です。 焼き魚は岩魚の塩焼き。 熱々ジューシーで実に美味しかったですよ。 ご飯の方は、予約の段階で釜飯またはちらし寿司から選ぶことになり、私達はちらし寿司をお願いしました。 これがまた大正解で、見た目も味も文句なしの内容に大喜びです。 そしてしっかりとデザートと珈琲をいただき、これ以上ないような優雅で素晴らしいランチタイムの終了です。 他に9千円、1万2千円といったコースがあるようですが、ランチであれば今回いただいた6千円のコースで十分だと思いました。 食事の後はお楽しみのお風呂へ。 『仙寿庵』の建築美の象徴ともいえる有名なガラス張りの曲面廊下を進み、大浴場へと向かいました。 入浴可能な時間は13時から。 この日の宿泊客には少し申し訳ない感じですが、お湯を張りたての一番風呂を満喫させてもらいます。 畳敷きの脱衣場は極めて清潔な作り。 高級宿らしく、タオルなどは自由に利用することができるスタイルとなっています。 大浴場を一人貸切状態で利用する贅沢さをひしひしと感じつつ、浴室へと続くアプローチを踏みしめました。 こちらが今回男湯となっていた大浴場、「一の蔵」の内湯です。 明るく開放的なガラス張りの浴室に、クールな石造りの浴槽がよく似合っていました。 洗い場の数も充実。 全室露天風呂付のお宿なので、宿泊しても混み合うことなどは恐らく皆無でしょう。 続いて露天風呂へ。 露天風呂は「すずむしの湯」と名付けられ、石組みの浴槽の底にはこぶし大の石が敷き詰められていました。 この石を敷き詰めることで、無機的な切石の浴槽を野趣満点の雰囲気へと巧みに変化させ、視覚的な癒し効果が得られるような印象でした。 但し、ゴツゴツとしてやや歩きにくい感じもしたので、できれば玉砂利のようにもう少し小さな石を用いると尚良いかも知れません。 眼前には、まだ春浅き谷川の樹々。 そして眼下には、雪解けの水を湛えたせせらぎが静かに流れて行きます。 「至福の時間」、「心の深呼吸」、「非日常の癒し」・・・。 この露天風呂に浸かっていると、陳腐な雑誌のキャッチコピーようなフレーズが、紛れもない実感として次々に頭の中に浮かんでは消え、仕事で疲れた私の心と体をそっといたわってくれるのでした。 パウダールームも充実。 冷たい温泉水などの備えもあって、とにかく気持ちの良い湯浴みを満喫することができました。 秘湯系の鄙びとは対局にあるようなお風呂でしたが、この様に設備の整った快適なお風呂を楽しむのもまた、時には良いものです。 こちらは女湯となっていた大浴場「仙の蔵」へのアプローチ。 四角い石組みの「一の蔵」とは対照的に、楕円の形をしたひのき風呂となっていました。 洗い場はもちろんスタイリッシュな作り。 こちらの露天風呂は「ほたるの湯」。 雰囲気、眺望等、ほぼ「すずむしの湯」と同様の作りとなっていました。 凡そ1時間ほどゆっくりと湯浴みを満喫した後は、しばしその静かで美しい館内を散策して過ごしました。 ロビーから眺める谷川岳の自然美、そしてモダンな『仙寿庵』の建築美とのコントラストは、どれだけ眺めていても決して見飽きないほどの美しさでした。 料理、お風呂、接客、設えも申し分なく、見せかけだけでない、人気と実力を兼ね備えた真の高級宿の一端をかいま見ることができただけでも、今回足を運んだ甲斐があったというものです。 今の私には決して簡単に泊まれるような宿ではありませんが、何かの記念日にでもいつか必ず泊まりで足を運んでみたいと心から思いました。 別邸仙寿庵 http://www.senjyuan.jp/ わずか3時間という短い滞在時間でしたが、『仙寿庵』で過ごした優雅な余韻にひたりながら、車で5分ほどの距離にある谷川温泉街へと車を走らせます。 程なくして本館の『旅館たにがわ』へと到着。 玄関先に車を着けると、後は宿のスタッフが駐車場へ車を回してくれるようになっていました。 館内に入ると、先ずはシックな板張りのロビーが広がっています。 実際は、到着時に深々と頭を下げた三つ指立ててのお出迎えを受ける形になりますが、この辺の出迎えの仕方は、いかにもかつての高級宿路線の名残であるといえるのかも知れません。 先ずはラウンジに通されてチェックインの手続きを行います。 窓のすぐ向こうには足湯が広がり、いかにも温泉宿にやって来たという気分にさせる由緒正しき温泉情緒が漂っていました。 ウェルカムドリンクには梅昆布茶、お茶請けには宿の名物となっているアロエ餅が添えられます。 私は正直昆布茶があまり好きではないので、できれば万人受けする緑茶の方が嬉しいのですが、このウェルカムドリンクのサービスというものは宿なりのもてなし方を表現しているわけですから、それなりに何かを感じながらいただくようにしています。 客室に向かう前には、浴衣などが選べるちょっとしたサービスも。 『仙寿庵』とはまたひと味もふた味も違った本館の『たにがわ』、この先どのような滞在を楽しむことができるのでしょうか。 この続きはまた次回に・・・。
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