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「お待たせしました!」
「また、絵を描いてるんだね!」 鎌倉の待ち合わせの喫茶店に、私だけへの声が掛かった。 「うん、とっても藤が見事だ。」と私。 「なに、食べてるの?シナモンケーキ?美味しそうね!」 「私も何か注文してくる。」 そう言って”H”は注文カウンターへ向かって行った。 一旦離れていく背中を見つめながら呟いた。
「人生は長い、まして20年以上も離れ離れだった。今までのお互いの生活を尊重し新たな二人の展開に辿り着くまでには・・・ 少しづつ、少しづつ、竹を炙りながら曲げを加えていく・・・。 そんな手法を根気よく、続けていくことが・・・今は大切なのだ。」 「焦らないことだ・・・」 其の事は、私以上に”H”が実感していることだろう。 私はスケッチブックの絵を乾燥させるためにテーブルの奥に追いやり、その代わりにB5版のパソコンを開けて、電源を入れた。
白いノートパソコンが微かな唸りを上げ、息をつきながら黒いXPの画面からやっと立ち上がった。この草臥れた動きを見ていると・・・ マイクロソフトのご都合には付き合いきれん!今度はヤッパリ、リンゴ(APPLE)にしようかな?と思う。 ”H”はクロワッサンとブレンドコーヒーが入った白いマグカップを載せた茶色いトレーを私の隣に置いて座った。
そして一口、コーヒーを含むと、朝の格闘の話を始めた。 「あの子達ったら、起こしても起きなくて・・学校に時間ギリギリで飛び出して行った。それから洗濯カゴ3杯の洗濯をして、その間に”ポチ”の散歩でしょう。誰かは突然、横須賀カレーフェスティバルにかこつけて来るというし!同期に会えるの?」 私はニコニコしながら、「カレーフェスタは出汁だよ。そんな事より大切なことを完成させるために来たんじゃァないか。」と答える。 「ホラ、見て!」と云って昨夜、横浜の「Hotel New Grand」の403号室に閉じこもり書き下ろした原稿を立ち上げ、クルリと”H”の方向にパソコンを向けた。
”H”は読書家で活字が大好きな人である。 私の文章を真剣に読み始めた。 私はその横顔を見ていると、妙に緊張した。 小学校の時、先生の机の横に立たされ、提出した作文のチェックを受けている光景を不意に思い出したからだ。 「此処、おかしい!」 「これは、順番が逆!」 「え、何処?本当だ!書き直す!」 私がキーボードと格闘していると、”H”がポツリと囁いた。
「でも、皆さん、本当に色々な感想をもってお読み下さったのねぇ。」
「防衛大の親御さん、防衛大を目指す受験生、時には防衛大の学生、防衛大の彼氏がいた女性、防衛大の先輩、同期、後輩。防衛大学生の大ファン。」 「そうだなぁ、落ち零れのような僕の体験談なのにねぇ・・・」 「あら、落ち零れだから良いのよ!だれも優等生の話なんて聞きたくないわよ!」 「としきの2年生の時の落第寸前の話を知ったら、誰でも、何とかなるって自信湧くわよ!」 これ以上、事実を突かれたら堪ったものでは無い。
「はいはい、仰る通り。それにしても。読者の皆様には心から感謝しております。はい。」
「コメントを下さる方の様々な背景や経験を通して、教えて頂いたり、考えさせて頂いた事はとてつもない私の財産になったと思う。」 「始めた当初は、そうだね。正直言うと何処かで読む人もいなくなって・・・」 「いつの間にか書くのも止めて、自然消滅・・・・」 「でも、書き続けていたら、妙に落ち着いてきて、何だか、此れからやらなくちゃいけない事が判ってきたような気がする。」 「人生には二つの仕事がある。一つは普通の仕事。食べていく為に、嫌なことがあってもお金を稼ぐというもの。もう一つは社会への還元として身を挺する仕事。所謂”Life Work”」 「僕の場合”Life Work”は任官辞退した時にハッキリしていたんだ。このブログを書いたことで、やっと、自分しか出来そうになさそうな事を見つけれたような気がする。」 私の話を聞いていた”H”は尋ねた。
「ブログどうするの?もう止めちゃうの?」 「続編期待します!っていう声が沢山届いてますけど!」 私は答えた。
「僕たちのお話は、また何時の日か。にさせて頂いて・・・」 「ブログを書いて、コメントを頂いて居るうちに、何となく閃いたものがあるんだ。」 「貴女にしてもそうでしょう?横須賀や横浜、そしてこの鎌倉で・・・」 「あの防衛大学校の制服を、私が居ない間そして今、どんな気持ちで眺めていたのか?そして、眺めているのか?」 「いろんな人の視線で、あの制服を眺めて、どんな事に思いを馳せたりするのか?」 「そんな、短編はどうだろう?」 「防衛大の1年生の時だった。貴女と知り合う前。ある日曜日。多分6月ごろの梅雨の時分だと思うけど。雨の中、中央を濡れながら歩いていると、全く知らないオジサンが私の姿を見つけて強引に自宅に招き入れてコーヒーと美味しいケーキをご馳走になったんだ。」 「でも、オジサン、ニコニコしているだけでマトモに会話にならない。ウンとかハァとかいうだけで。きっと私では無く、あの制服に思い入れがあったんだと思う。」 「勿論、同期と話していても、あの制服は必ず話題に上る。」 「まだ計画、試行錯誤中だけど・・」 私は、もう一度パソコンの画面を覗き込み、再度、文章を確認して”H”に云った。
「最後のエピローグは一緒にボタンを押してアップロードしよう!あの日の長谷寺の事、覚えていますか?」 ”H”はシッカリと頷いた。 私達は手を重ねてマウスのボタンをクリックした。 「YOKOSUKA STORY」、最後の記事がアップされた。 読者の皆様、拙い私の作品をお読み頂き誠にありがとうございました。
最後に筆者から。一言だけ。
この作品を私が愛する子供たちに贈ろうと思う。 血は繋がっていないが、私を受け入れてくれる娘たちに。 血は繋がっているが、受け入れてくれるには、まだ至っていない、大切な一人息子に。 電気屋としき
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ぱんだ様
そうですか、私のブログが「時空立体交差点」だったのですね。
「え!!!、ありがとうございます!!」
心構えを頂き、お心遣い、ありがとうございます。
じっくりと、向かい合いたいと思います。
[ 電気屋としき ]
2014/4/23(水) 午後 9:26
内緒様
それは、超ビミョーでやんす。
ご子息、海賊対処で派遣中でいらっしゃいますか!
国のため、本当にありがとうございます!!ご健勝と武運お祈り申し上げます。
[ 電気屋としき ]
2014/4/23(水) 午後 9:29
けいぴ様
4年間ほんとにありがとうございました
⇒いえ、此方こそありがとうございました。
私はこのブログを読んでいるとき、天国へいってしまった彼とつながっているような気持ちでした
⇒身に余るお言葉です。
このブログがそんな役割を担っていたなんて!!
感激です。ただ、一生懸命というところですが・・・自分で書きながら思っていたのですが「一生懸命、辻褄合わせに奔走したなぁ」というものだったかもしれません。
その辺は私より立派な方だったと思いますので。
そして何より電気屋版「人間の絆」の大ファンでした!
⇒ありがとうございます!
本になるといいなぁ
⇒もう一度、チャンスがあるかアンテナを張ってみましょう!
短編、期待してます
⇒まだ、未定ですが新たな展開を模索します。
[ 電気屋としき ]
2014/4/23(水) 午後 9:39
内緒様
書籍化ねぇ・・・
もし、出版業界にご存知の方がいらっしゃれば、
もし、何かの機会がございましたら
もし、宣伝するチャンスがございましたら
一言、助言をお願いします!!
「えぇ、ネタ、ありまっせ!」っと・・・(笑)
[ 電気屋としき ]
2014/4/23(水) 午後 9:43
もも様
娘も今は南の島で頑張っているようです。
⇒このお言葉が嬉しいです。
此方こそ、宿題の一つをさせていただけたのですから・・・
ありがとうございます。娘様、頑張ってくださいね!!
応援しています!!
[ 電気屋としき ]
2014/4/23(水) 午後 9:47
電気屋としき様 今日は♪
いつも出遅れてばかりでしたが(笑)ようやく追いつきました!
今まで時々"どうしてHさんサイドのことが分かるのだろう?”って
思っていたのですが、それが今回何故なのかよく分かりました。(笑)
"愛情を持って育てた子供はブーメランと同じ
いつか必ずあなたのもとに戻ってくる”
反抗期だった一人息子に悩んでいた頃に親友から言われた言葉です。
・・という訳で僭越ではありますが私から一言、
としき様の息子さんもいつかきっと受け入れてくれると思います!
いろいろな事があると思いますが・・・たった一度の人生ですもの
どんな状況であろうとも、どうぞ幸せな毎日をお過ごし下さいね♪
応援のポチ〜☆
PS:書籍化されるといいですね〜私も一冊欲しいです!
2014/4/24(木) 午後 1:33
電気屋としき様
長い間の執筆?ご苦労様でした。
愚息が防大に入校していらいその特異な
生活を知りたくて毎回食い入るように
眺めていました。
今回のエピローグで電気屋様がH様の思い出を
綴られた理由が腑に落ちそのあたりを今、まさに
読み返している次第です。
おかげさまで愚息も3年生になり少し生活に
余裕が出てきたようです。
いつか電気屋様と横須賀でディープな飲み会を
したいと考えているのは自分だけではないはずです。
[ ユーセイ ]
2014/4/24(木) 午後 1:40
ディープな呑み会、是非参加したいですねぇ。(^^ゞ
これで、ユーセイ様だけではなくなりましたね。
2014/4/24(木) 午後 3:33
昭和41年生まれの私と同年齢の方の体験を あこがれていた防大の生活を 活字でしることができ、大変有意義でございました。小学校の剣道の先輩が防大から航空へ進まれ、私も防大へ行きたいと念願しておりましたが、女子の受験は10年くらいあとからでして。
もしも進学していたなら、こういう生活があったのだな、こういう苦労があったんだな、と思いを巡らせています。
電気屋さま、創作活動 今後とも応援いたします。
そして、またわくわくする文章をお願いします。
ありがとうございました。
そして、防大の学生さん、卒業されたみなさん、応援しています。がんばってね、若者!
[ HAWAII ]
2014/4/24(木) 午後 5:23
SF様
お待ち申し上げておりました。
そうですね、たった一度の人生ですねからね。
「ああ、しておけば良かった」の一言はこれ以上増やさないように頑張ります。
ありがとうございます!!
[ 電気屋としき ]
2014/4/24(木) 午後 10:52
ユーセイ様、日本大好き様
是非、「ディープな呑み会in Yokosuka」を企画しましょう!!
誰が幹事します(笑)
[ 電気屋としき ]
2014/4/24(木) 午後 10:54
HAWAII様
創作活動頑張らないといけませんねぇ。
あの、若者って・・・昭和41年生まれなら、まだまだ若者ですよ!私も気持ちは少し落ち着いた20代です!!
[ 電気屋としき ]
2014/4/24(木) 午後 10:56
内緒様
此方こそ、お世話になりました。
形が有る物になりましたら・・・・
まぁ、ならなくても・・・
その節は、ありがとうございました。
[ 電気屋としき ]
2014/4/26(土) 午前 0:02
これ以上無い、ハッピーエンドに感動致して居ります。佳き哉。佳き哉。 偖ても、「擱筆記念ディープな呑み会in Yokosuka」実に良い企画ですね。 是非とも参加致します。
[ ぷよぷよ ]
2014/4/26(土) 午前 10:00
ぷよぷよ様
呑み会やりましょ!やりましょ!
[ 電気屋としき ]
2014/4/26(土) 午後 10:27
『電気屋版人間の絆の足跡を辿るディープな呑み会 in Yokohama・Yokosuka』・・・勝手に名付けました。(失礼!)
いつやりますか?皆さんの御予定は?
金沢八景でランチ、その後横須賀中央又は横浜で物語の名場面を辿りつつ、呑み会に突入!
翌日は鎌倉観光(勿論、長谷寺の再会場面を再現して頂きます。)
なんて妄想しています。(^_-)-☆
2014/4/28(月) 午後 0:33
日本大好き様
おー!!命名まで!!
最少催行人員は??(笑)
私は呑み会には参加、名場面は遠慮させて頂きます!!(チョー恥ずかしいから!!!!!!!)
[ 電気屋としき ]
2014/4/28(月) 午後 8:17
内緒様
呑めないけど、呑み会参加ですか!!良いねぇ(笑)
[ 電気屋としき ]
2014/4/28(月) 午後 8:18
内緒様
私の記憶が皆様のお役に立てていたのですね。
此方こそ、ありがとうございました。
「制服への思い入れ」ですか・・・仰る通り、どんな思いで、多くの人があの制服を眺めているのでしょうか・・・
そして、これからも眺めていくのでしょうか・・・
そうして、また時が過ぎていくのでしょうね・・・
こうしている間にも・・・
元気を出してください。
[ 電気屋としき ]
2014/5/11(日) 午後 11:15
内緒様
ご子息も卒業されて1年がもう過ぎていたのですね!
今度は、どうぞイッパイ、お話ししましょう!
お会いできる日を楽しみにしております!!
[ 電気屋としき ]
2014/5/12(月) 午後 10:55