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6、年金破綻、どうすれば回避できるか
4、政府は、30年後、現役時代の50%が確保できると言うが
次は、
積立金の運用利回り4.1
が達成できるかどうかについて考えてみよう。
識者は、「無理だ」どころか、「あり得ない」と言う。
積立金は、30年積み立てるわけでなく、運用しながら、その一部を年金として配当していく。だから、30年の利息を勘定するようなわけには行かない。
運用とは、株式(国内、外国)、債券(国債、国・外国債券)、短期資産に投資して、利益を出すことだ。
庶民感覚では、運用益とは、満期に、利息なり配当を受取り、その時の元本に対する利益をいい、利回りとは、その時の利益率のことだと思う。
私も、当然そうだと思っていた。
しかし、全然違う。投資した証券(株式)がどれだけ値上がりをしたか、それが運用益で、その値上がり具合を利回りというのだ。(いや、後で示すが、「国債」などの債券は、変動幅が小さく、上の考え方が成立つ)。
ちょっと、可笑しいのじゃないか。「現ナマ」を受取ってもいないのに、「益」があるのか。売れもしないのに、売れたことにして、利益が計算できるのか。正に「取らぬ狸の皮算用」じゃないか。
ここに、「運用」の裏面、つまり「紙上経済」の虚構性がある。
なら、株式の時価価値は、どう評価すべきか
が、ここに大問題となる。
常識的には、
「株式の時価価値」 = 「購入単価」×「株数」
になる。
だが、株式は、「買えば上がり、売れば下がる」
僅かな株数ならば、時価で全て売り買いできる。だが、大量の売り買いは、「単価」が変動し、売却株式、購入株式を時価評価することはできない。
なら、どうするか。
その会社の資産を評価するには、便法として
「時価総額」 (=「時価」×「発行済み株式数」)
とい方法がある。
だが、この「時価総額」を使うというのがまやかしの数値だ。
これも、やはり、株式を売れば株価が下がるのに、全部「時価」で売れたとして
その額を資産とするからだ。
この場合は、株式が売れるに従い売値が下がり、全部売切れ時点では、株価はゼロになるはずだ(倒産処理の場合)。そう考えると、
時価総額は、「時価」×「株数」×1/2 とできる(/なる筈だ)。
私は、別のところで、そう書いた。
参照: URL: http://blogs.yahoo.co.jp/denoyukio/2269404.html
落下運動とか、バネのエネルギーのように、変化するものの総量を計算するには、この式を使う。この中に、「時価総額」も入る。
だが、「総額」でなく、変動がその「一部」の場合は、「1/2」が付けられない。そうすると、「1」のままか。違う。年金財団のように、膨大な資金を扱うところは、「1より小さい係数」がかかる筈だ。だが、それが幾つがいいかは決められない、そういう状態にある。(ここでは、通例に従って「1」にしておく)
そうか、分かった。そういう
博打経済に年金資金を投入するのが最初から間違いなのか。
そうなのだ。年金のように、その人の最後の拠り所となる生活資金を「博打」に投入すること自体が間違いなのだ。その意味で、「K401型年金(確定拠出型年金)」は、年金には値しないのだ。
元へ戻ろう。なら、最近、年金試算の目減りが著しいと言われているが、そんなに博打経済にのめり込んでいるのか。2007年度の目減りは、5兆円だと言うぞ。
こうなっている。全投資額すれば約150兆円だが、年金の現実支給が必要なので、実際の投資額は100兆円くらいだ。この値で計算する。
目安 運用額概略
日本債券 65% 65兆円
外国債券 10 10
日本株式 10 10
外国株式 10 10
短期資産 5 5
変動の少ない債券投資が、上の表から75%。安心した。だが、外国ものは、為替相場が連動するから、円高になると、目減りする(円安は反対)。いずれにしても、外国ものは博打性が大きい。
ところで、債券の場合、「利回りは」どれほどあるのか。感覚的には、「涙の出る率」だ。正確には、「債券自身の相場変動」と「債券記載の利率」の合計だ。併せて、2%に行くものは少ない。
株式は、「配当」期待よりも、「株価」の変動期待が大きい。この上昇に運命を賭けるのを「運用」だと言っている。だが、資産運用術を間違っている。先に、その事を指摘した。現実に戻って、2008年夏から、株価が暴落したから、「年金資産」は激減したのか。したどころじゃない。「K401」などの人は、その下落数値は怖くて見られない。下落幅は、大体45%(日経平均13500→7500円)だ。
大雑把だが、2008年の夏10兆円の株価資産は、半年後の現在5.5兆円しかない。
米国株も、大体同じ。それに、円は、ドルに対して18%(110→90円)上昇しているから、米国株式の資産額は、4.5兆円ほどになってしまった。この二つの合計で、この半年間で、20兆円の資産が10兆円になるという、10兆円の目減りがあったのだ。
ああ、忘れていた。株式には、配当がある。利回りで1%程度。10兆円なら、1000億円程度の配当だ。この計算では、無視してよいかどうか微妙な程度だ。
債券は、勿論、安全。少し高めに見て、日本債券は、利息2%で、2兆円ほどの黒字を出した。米国債券は、円高差益から、1兆円の損失。併せて、1兆円ほどの黒字だろう。短期財産は、無視してもよい。
そうすると、2008年度は、全体として、9兆円の目減りか。投資額100兆円に対してなら、運用益マイナス9%だ。
ちなみに、2007年度の資産の目減りは、5兆円となっている。2年続きのマイナスで、約14兆円の損失(運用損)となった(2009年度は、もっと厳しい)。
年金資産は、9割に減った。米国発の世界不況の影響がどれだけ大きかったか分かるだろう。
政府は、これからの30年の年金資産の
運用率を「4.1」
と定めた。これが達成できる見込みはあるのか。2008年がなければ、「ひょっとしたら」と言う者がいるだろう。だが、2008年からこの大暴落では、株価が元の値に戻るのに、何年かかるか分からないという状態だ。バブル経済の頃(1990)の株価は35000円まで行ったが、今(2009)は、その頃の5分の1なのだから、今次の大不況を考えるならば、30年後の回復可能性なんかゼロだと言ってもいい。
そうそれなら、今後、年金資産の運用を債券(国債)に改めて、手堅く、利率2%の利息を稼ぐか。そうそれが、最も確実な「運用」になる。そう、そうなると、今次の穴を埋めるには、5年ほどかかるだろう。5年たって、年金資産は、やっと今の150兆円に戻ると言うことだ。
なら、それ以降の25年は、予定利回り4.1%に達するか。利回りは、やはり、経済成長に比例する。この場合、指標となるのが
経済成長 > 賃金上昇 > 利回り
だそうだ。博打に手を出せばいざ知らず、この式から見れば、経済成長が2%程度なら、利回りが2%を越えることはないだろう。
そうなれば、利回りは、債券が稼いでくれる分だけで、やはり、2%程度だ。だが、この利益だとて、株価の評価損を抱えていては、年金配当には回せない。
政府の判断は、株価は、今が底値。後は、上がるだけ、なんてな計算をしているのじゃないか。株価が年率2.5%の勢いで値上がりすれば、30年後には、今の2倍の15000円に達する。そんな計算をしているに違いない。だが、これを肯定したところで、「株式」で運用する資金(博打値上り資金)はどれだけだ。高々4%。資金増加は、10兆円を30年運用すれば評価額は、32兆円になるが(←10兆円×1.04^30)、その時々現金化が必要で、現金化できるのは、3分の2程度だろう。そうすると10兆円の利益。利回りは、2.5%程度だ。債券は2%未満なら、全体では2%を僅か超える程度だ。4.1%の利回り期待は、「白昼夢」に過ぎない。
結論として、
利回りは、経済回復に期待が持てない以上、
やはり、30年を通じたら1%程度のものだ。
額で言うと、政府は、
資産額100兆円に対して
毎年3兆円(4−1兆円)のサバを読んでいる。
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