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選挙・小選挙区制と高額供託金制度のゆがみ
今次の選挙では、本来野党議員議席となるべきが与党議員議席となった。与党では、落選と悲観した者が棚ぼた当選となって3人が喜んだ。本来の議席が反対側に移るなんてな事は許されない。あってはならない事は、小泉選挙でも1人あった。なら、何故、何でこんな前代未聞の事が起きたのか。なら、選挙制度に欠陥はないのか。
1、何でこんな前代未聞の事が起きたか
比例区立候補者の数が当選許容人数より少なかったために起きた。こんな事態は、選挙法制定には予想されていなかった事態だった。
そもそも、日本の現行選挙制度は、可及的に新人に立候補させないようにと、世界にも類を見ない高額供託金制度を採っている。小選挙区300万円、比例区600万円。この場合、小選挙区と比例区に重複立候補ができるので、比例区は、名ばかりで、小選挙区の実質滑り止め選挙区(装置)になっている。通常、多くの候補者が滑止めをかけると、それだけで比例区の立候補者が議員定員を遙かに超え、滑止め者優先の制度(設定変更可)では、比例区だけに立候補しても、彼の当選は最後だから、当選の見込みは薄い。なのに、供託金600万円では、多くの人が立候補を尻込みする。だから、比例区単独候補は極めて少ない。
そこで、今次のように選挙結果が一方的になると、比例区名簿登録者の数が足りなく事態が生じたのだ。
選挙法が予定しない事態が起きたのだが、そもそも、超高額供託金制度と滑止め制度設定に疑問が生じる。
2、何でこんな高額の供託金か
政治は、特権階級のもの。日本でも世界のどこでも、こんな観念が行渡っている。日本で言えば、鳩山家だって、麻生家だって、代々続く政治家家系で名門だ。とは言え、公平な制度によって選挙は維持されねばならない。となると、何らかの手段を使って、新人の立候補と当選を防がねばならない。そこで採られた制度が、供託金の額を吊り上げて、無名人とくに下層階級出身者の防ぐことと、また、選挙運動を極端に制限し、特に戸別訪問を禁止することにした。供託金の超高額は、こうしてできた訳だ。
なら、どれくらい高額か。市会議員30万円、県会議員60万円、知事300万円、国会議員300万円と600万円。この額は、欧州の100倍程度。中には、供託金のない所もある。これから見ると、明らかに超高額供託金は立候補妨害といえる。
3、何で復活当選を許すのか
完全小選挙区制にすれば、余りにもひどい一騎打ち戦。そうかと言って、定員10人を超す大選挙区制では、有名人が落選することはまずない。そういう事情から、日本では、20年ほど前までは、定員3〜5人の中選挙区制が採られてきた。そうすると、議会は小党分立で、安定与党ができにくい。
安定与党に意味があるかどうかは疑問だが、当時、減り続ける自民党は、40%程度で7、80%の議席獲得ができないか策を練った。だが、完全小選挙区制では、死票が多く、民意反映を前提とする選挙制度の意義をなさない。そこで、一部比例代表制を取入れて、妥協を図った。それが、重複立候補を許す現行の並立制だ。つまり、小選挙区で落選した候補者に、比例区で復活当選を許すのだ。こんな制度があるのか。重複立候補には、批判が多かったが、一騎打ちで僅差で負けた者を「落選」の2文字で処理してもいいのか。ここが温情的な日本の風土で、ここに世にも不思議な、落選したが当選できるという制度ができあがった。
4、マスコミが煽った今次の選挙世論
理屈から考えても、自民党190減、民主党180増、出入り370議席という結果は異常だ。マスコミが民主党投票を煽ったとしか言いようがない。
日本の今日の選挙特徴は、選挙期間中は、選挙運動ができないということ。その最大の妨害は、「戸別訪問禁止」。候補者には、有権者に直接会って政策を訴える権利が認められていないのだ。だから、勢い、選挙運動は、連呼と駅前などで通行人に訴える程度しか方法がない。
そこで、大きな意義を持つのがテレビ。今次は、毎日毎日、テレビで、今度の選挙の争点は、「政権交代かどうかだ」と訴える。無知な選挙民は、そうかと納得し、民主党に投票したというわけだ。さすがに40日間もこんな洗脳を受けたらどんな者でも、それが潮流かと思ったわけだ。
こんな選挙制度がいいのか。ちなみに、前回の小泉選挙の時も「郵政民営化を図るかどうか」とテレビが訴えると、選挙民は、ああそうかと「小泉子分」に投票してしまった。
テレビに選挙にこんな深入りをさせてはならない。だが、テレビの大衆宣伝性を奪えば、行き着く先は戦前の「大政翼賛選挙」になってしまう。テレビの手足をもぎ取ってはならないが、そうかと言って出しゃばらせても行けない。そうなると、テレビの方ではなく立候補者側に別の被選択肢を作るしかない。振返って、戸別訪問禁止の理由は、「買収」だったが、買収防止とも合わせて考えねばならない。後で議論する。
5、選挙の原点、国民意見の比例代表
選挙の意義は、国民意見の政治への代表。どんな代表をさせるか。政治決定は、「多数決主義」なら、端的に「議員数が投票数に比例する」制度がよい。これは、民主選挙の基本だ。民主主義国で、この原則を無視する国家はない。
だが、既存議員は、自分たちが特権階級であることを既得権として制度の中に取入れたい。そこで、冒頭に示したように、単純選挙区制、中選挙区制のような制度を取入れ、しかも、立候補制限、選挙運動制限などいろいろな制限をかけてくる。挙げ句の果ては、訳の分からない「滑止め制度(比例区)」などの創設。
ところで原点に返って、「比例代表制」であり、しかも、そこそこ緊張を持ち「一騎打ち」に近い制度はないか。私は、考えた。ある。それが「くじ加味選挙」制度だ。これに対し、「選挙」に「くじ」とは不謹慎だ、「単純比例代表制」がいいという意見もある。後者から検討してみよう。
単純比例代表制にも、当選者順位を「政党(拘束名簿式)」に任せるのか「選挙民(非拘束名簿式)」に任せるのかという違いがある。
拘束式なら、その政党に1位に指名された者は、必ず当選し、選挙運動にもその後の議員活動にも自分本位の活動をしてもいい。実際の制度では、拘束式(政党)になったり、非拘束式(選挙民)になったりした。だが実際のところ、拘束式では、選挙前から大体の当選者が決まっている。党首が落ちることはよくないと言って、この制度をいいという意見もあるが、これでは、政治に新しい意見は吹込まれない。議員資格の追認に過ぎない。選挙としての価値はない。非拘束式ならその弊害はないが、当選者数の変化は少なく、また、当選者も大体決まってしまい、これまた選挙の意義が少ない。
全体として、単純比例代表制は、新しい意見を政治に吹込む制度としては余りよくない。
なら、「くじ加味選挙」はどうか。現行の選挙制度では、個別訪問を許せば、選挙運動は自由になるが買収が増え、選挙運動を制限すれば「テレビ」の影響が大きくなりすぎる。つまり、現行制度では、選挙方法を少し変化させるくらいでは、どうやってもその弊害をなくし得ない。
これは、「選挙」が必要だとしても、最終結果を「選挙」だけで決めてしまうところに問題がある。どうしたらいいか。昔からある。そう、最終結果は「神」の意思に任せればいいのだ。そう、「くじ」によって決定すれば、「買収」がとか、「テレビ」がという必要がなくなる。ちなみに、「くじ」になる前は、本当に「神(占い師)」を連れてきて、「神の決定(占い)」を仰いだ。占いにはインチキが伴い、大衆選別には、「くじ」になったという訳だ。ギリシアでは、皆んながいやがる戦争の「兵隊」はこうして選んだ。
「くじ」は、偶然の選択者に議員資格を与えるのだから、選択の偏りが起きやすく、そんな制度でいいのかとの疑問がわく。従って、「くじ」を取入れる時は、常に「偏らないか」「民意反映になるか」に注意せねばならない。
私は、何年も考え、次の制度にすれば、民意を反映し、しかも新しい意見が取入れられる制度を考案した。それは次の制度だ。
1、定数は、分かりやすく100人とする。
2、議員定員の2倍を第一次当選者とする。
3、第一次当選者を上位者と下位者に分け、くじを引かせる場合、
上位者の当選確率を下位者の2倍にする。
(4、細かいが、総理にだけは、更に当選確率を上げる。)
定数:補足すると、現行の議員定数は480人だが、400人にしようかという意見があるが、政党間の対立が大きくて、全くそれができない状態にある。日本全国を一区100人の全国4選挙区にするなら、何の紛争もなく議員定数削減ができる。
一次当選者:戸別訪問自由、テレビ自由にすれば、確かに、以前の参議院全国区のような選挙状態になり、ある候補者が特別多数の得票をする事はあるが、最終当選に結びついていないので、公正は削がれたとしても、問題にするに足りない。それよりも、候補者が自らこれが重要な争点だと思う事を宣伝させた方がよい。
定員の2倍当選となると、もの凄い立候補者数になる。これでは、選挙統制が効かないかと思われるが、候補者がどんな選挙運動をしてもしなくて、政府は、選挙運動深入りする必要はない。投票だけしっかり管理すればよい。
くじによる選別:まず上位当選者100人にくじを引かせ、50人選別した所で、下位当選者100人を加えて再び150人にくじを引かせ、50人を選別する。この操作により、上位者の当選確率は、下位者の2倍になる。
この2段くじによると、上位当選者の当選確率は0.67、下位者は0.33になる。どんな有名人でも確率が0.67より上がることがなく、たとえ下位者であっても定員の2倍以内に入れば0.33の確率が得られる。こうなれば、古参議員の影響を抑え、新人が出やすい環境になる。ちなみに、それまでの党首の意見が正しく、新人の意見が間違っているのじゃないのならば、議員を若返らすのに非常にいい制度になる。
首相:首相落選では、政局の混乱が大きくなる。そこで、それまでの首相には、特別の確率を与える必要がある。首相には、当たり玉を2つ用意するとよい。その時の確率は、0.90になる。絶対でない所に意味がある。字数がないのでここまでにする。
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