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「官僚の責任 古賀茂明」の読書感想
古賀茂明とは、元は東大出の官僚だったが、官僚制度改革を強く主張したため干された。だが、拾う神あり、今は、今をときめくテレビの論客。なかなかの論陣を張っている。彼はどんな人か、私は興味を持った。彼の本を読んでみた。「官僚の責任」。感想を述べよう。
1、公務員改革で正論、彼はついに首になった
公務員のキャリア組(上級職合格者)は、国民のために働くのではなく、天下り先獲得に狂奔していて、こういう公務員制度は早く改革せねばならない。その通りだ。
古賀は、正論を吐いたため職を干され、最後は退職勧奨を突きつけられて退職を余儀なくされた。
2、経済改革論、彼は所詮文系出身
彼は、日本構造改革に、少し気の毒な人は助ける必要はない、と。日本は世界各国と比較すると、保護が厚すぎるから、弱者が自己努力をせず、日本の経済・社会はどんどん悪くなっていく。
なるほど、その感じは否定できない。今次の福島原発爆発では、失業保険で必要以上に被災者が保護されるから、彼らは保険金がもらえる間は働かない。青年は、いい仕事がないからと、3K(危険、汚い、臭い)の仕事には見向きもしない。
いい仕事がなくても、とにかく働いてもらわないと社会が回っていかないから、3Kの仕事でも3回就職を回避すれば、その時点から失業給付などの恩典を切ったほうがいいのか。
古賀の意見は、これを肯定する。また、多くの人が肯定する。
3、年金は、80才くらいからでよいか
古賀は、こんな事を言う。平均年齢から昔と今を比較すると、年金の支給開始年齢は、80才くらいからで十分だ、と。この意見は、嫌な仕事でもそれをせざるを得なくなるのだから、仕事がなくなるということはなく、80才くらいまでは仕事があるはずだという事を前提とする。
年金制度が破綻してしまっている今日の年金制度では、なるほどという面もある。とは言え、高齢者と若年者では、あまりにも酷い世代間の受給格差があり、毎日のようにテレビの放映材料となっており、支持者は少ない。
それどころか、70才代死ぬ者は、一銭の給付ももらえないうちに、掛金の数千万円を支払うだけに終ることになる。これが助け合いか。既得権者の利益確保ではないのか。これでは、加入者などいるはずはない。ここまで来ると、古賀論理の破綻は明確になる。公務員改革では、いい意見を主張している者の意見かといいたくなる。
私には、こんな意見をいう古賀には算数が分っていないとしか言いようがない。
3、日本は、今のうちに海外に進出すべきか
更に、古賀は、こんな事を言う。日本の技術は素晴しい、この技術を持って外国で事業展開をすれば日本の繁栄は間違いないと。また、国内企業を保護しすぎると、農業の過剰保護がその例で、日本のガラパゴス化を起してしまうと。ガラパゴス化とは、日本独自の勝手な基準づくりで、日本の産業構造をいびつな者にしてしまうと。だから、農業保護など不要で、TPP(環太平洋経済協定)を実施して、更に日本技術を生みだそう、とさえ言う。
経済界の中には、日本の競争力が弱くなってきたので、法人税を安くし、TPPに加盟して、企業に少しでも有利な条件をつくりだし、世界競争をしてもらおうというのだ。
その時の計算として、農業人口は、全人口の3%程度(300万人)だから、その人に犠牲になってもらうが、その分、何らかの援助を与えれば、全体として日本にプラスになるというのだ。
この計算がまやかしなのは、農業破壊、林業破壊、漁業破壊で、行き場を失う人に、どんな嫌な仕事でもやる気になればできる、との先の3K押しつけの理論を前提にしているからだ。
日本は、1985年くらいから産業の空洞化が顕著になり、農林業、繊維産業、鉱工業の職場がどんどん減っていった。これには、その職場がなくなっても、必ず伸びる産業があり、政府はそこへ国民を導けばそれで解決するとの夢みたいな理論が前提となっている。中には、経済が進めば、1次産業や2次産業が減り、第3次産業が増えるものだ。だから、好ましい傾向だ、と。何回も、何回も、政府もこの理論を宣伝した。
そんな事、あり得るはずがない。この間に、年間50万人単位で日本の職場が収縮したのだ。そして、その極地は、2000年の小泉改革からで、地方と中小企業は、火が消えたようになった。その数値は、現実の計算はし難いが、1〜2千万人に達する。その結果は、自民党の大敗北、民主党の大勝利。民主党は、職場の拡大を約束したバラマキをやったが、全く公約が果せずに今日に至った。
4、よく計算せよ。技術が未熟では世界競争はできない
なぜ、職場が減るのか。価格競争のために、企業が海外に夜逃げすれば、単に日本の職場がそれだけ減るのではない。向うで安くつくった製品が日本の市場を席巻する。つまり、日本の関連工場が潰れ、職場がその分少なくなるのだ。それを新しい産業で埋め合せできるのか。
製品価格が半分になり、以前より儲る企業があるのか。古賀を初め多くの論客が、あるという。ある中小企業は、思い切って海外進出したお陰で、関連技術が外国に輸出でき、むしろ職場が拡大したと言うのだ。
そういう産業がないわけではないだろが、そんなことがあるのか。私は、長い間分らなかった。実は、そういう産業は、日本を潰す機械などを作っていた会社に多いのだ。そう。次第に「関連産業」の意味が明らかになった。言葉は違うが、テレビでは、これを外国に輸出すると、やがてこの機械で作った製品で、更に日本の企業が潰れるかも知れない。だけど、今、この製品を作らないと自分たちは生きていけないと言っていた。どう見ても、こういう職場の増加は、むしろ増えない方が良かったのは明らかだ。
そもそも、農産物の関税をなくし、農産物の価格が半額になり、しかも外国産が日本市場を席巻していて、どうして農業人口が増えるのか。例外的に上海の上流階級で日本の安全な食品が僅か述べれば、日本の農業あるいは農業人口が支えられるのか。
出来るわけがない。小学生でも、ちょっと計算すれば分る。東大出の古賀に分らない筈がない。私には、古賀は、誰かの利益を擁護するために、自己の良心に反する意見を解いているとしか思えない。
いや、ひょっとすると、文系出身者は、こういう計算が本当に出来ないのかも知れない。他の論客も似たり寄ったりだからだ。
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