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中国は、「人民元」の国際化を狙っている
新聞報道によると、中国は、「香港」で「人民元債」を発行したのは、「人民元」の国際化を狙っての事のようだ、とのこと。これをどう見るか。
最近、中国の経済に陰りが見え始めたとはいうものの、現在、世界一の外貨準備国、つまり、世界のドルは中国に集まりつつある。これは、対米貿易が好調で、国際消化できないほど貯まったことによる。1985年頃は、日本がこんな調子だったが、今は、その流れが中国に移った。
今、ちょうど中国は、日本と同じように「元の自由化」をすべきかどうかの境に差し掛かってきた。果たしてするかどうか。どうも、狙いは違うようだ。
1、中国の「外貨処理」は、米国債買い
今、中国は、「余ったドル消化」のために米国債を大量に買込んで「ドル減らし」をしたものの、まだまだドルがジャブジャブの状態だ。この状態では、米国からの「元高」要求が強まる。これは、絶対にやってはならないことらしい。それをすれば、日本の二の舞なのだ。
今次の「元債」発行の真意を考える前に、中国の現在の「ドル消化策」を少し鳥瞰しておこう。
元を毛沢東時代の10分の1にすると、日本を初めとする先進国が中国に資本投下し、中国の輸出は好調になった。20年ほど前からだ。幹部は喜んだ。外貨は、どうも不正に使われた。ニューヨーク中心街には、幹部のマンションが建ち並んだと。2000年頃には、学生を初め多くの者がそう言った。まさかと思ったが、電網その他の媒体が、中国には使途不明の外貨が獲得外貨の1割程度あると言いだした。どうも、幹部のニューヨーク・マンションは、どうも本当のようだった。
2、次は、米国債買い
2000年頃は、どうも暗黒資金も一巡し、次の「外貨」の使い道が必要になった。次は、「米国債買い」だった。そうしてドルを米国に環流しないと、ドルが暴落して、自国製である「中国製」が売れなくなるのだ。
この状況は、日本の85年から90年頃の状況と同じだ。日本は、あの頃、貯まり混んだ「ドル」を使わないと、米国のドルが不足し、ドル暴落の危険があった。そうなると、「日本製」が売れなくなる。やむなく、少しでも「円安」導入を図るため、日本は、大量の「ドル債」を買って貯まっているドルを米国に環流せざるを得なかった。そして同時に、「円高」に対処するため、日本の国内工場をアジアに移転して生産費の軽減もはからざるを得なかった。
まあ、言うなれば、米国経済に組込まれている以上、日本の工場を潰しながら、儲かった金を自分に使うのではなく、米国経済を支援のために使うのはやむを得なかったわけである。
米国経済は、昨年の夏以来、低所得者向け金融の破綻に発し、破綻した。中国は、態度を決めねばならない。このまま「ドル債」を買い続けるか、「元経済圏」をつくるか。勿論、「元経済圏」をつくりたいが、「下請経済」として「元」が好調くらいでは、世界の国が「元」に乗ってくる訳がない。とは言っても、米国債を買っても「紙くず」似る恐れ十分であるし、オバマがこれまで通り「中国製」を買ってくれる保障はない、と言うより「買わない」と言っている。
日本の経験から、中国が「元高」が容認できる限度は、どう見たって5割増し程度だ(4年前比)。だが、今にも2倍くらいになりそうになってきた。それは、どんな事をしてでも防止せねばならない。
3、「元安」は、労働力の「国際搾取容認」だが、輸出税の魅力
中国は、何で、こんなにも「元安」にこだわるのか。常識的に見て、「元安」は、中国人民の「国際搾取」を容認することだから、「社会主義中国」としては絶対に認められないこと。毛沢東時代を見てみればよく分かる。元は、今の十倍以上の高値だった。こんな状態では、売れる物は何一つなかった。勿論、買える金はない。だから、「自力更生」という自給自足経済をやっていた。なのに、今は、全く逆の事をしているのだ。
裏が見えてきた。中国は、1994年から消費税を導入した。税率は「製造業が、最高の17%」。ええっ、という高さ。これが適用されるのは、日本を初めとする対中国進出企業にだった。国民の抵抗は全くなかった。中国が外国から利益を吸い上げるのに反対なんかあるはずがない。ちなみに、他の国内の消費税の税率は、半分から3分の1だ。
実は、裏とは、こう言うことだ。中国製を外国に輸出するには、中国で17%の輸出税がかかる。そして、外国に行けば、外国でまた消費税がかかるから、中国製は、売値は、製造原価の10倍になると言われている。それにしても、日本には百円製品が蔓延しているが、その原価は十円程度かと思うと、そんなんでやっていけるのかと思うほどの中国人の賃金の安さだ。
ちょっと脱線した。輸出税17%となると、輸出利益の半分(企業利益:国家税金=2:1)は、中国政府が持って行く勘定だ。何で、そうなるか。輸出価格が100元だとすると、利益が30元くらいで(←中国の利益率は高い)、税金が17元だからだ。
つまり、中国政府は、これだけ輸出税を掛けても、国際競争に勝てるくらいの低賃金を国民に押しつけられたのだ。
考えてみると、こんな商売は、世界中どこを捜してもない。人が儲ければ、その半額が何もしなくても自分のものになるという商売。以前、日本列島改造華やかかかりし頃、土建業者の仲介手数料は5%だと言われた。つまり、ある土建会社は、その地区を仕切っているだけで、5%の手数料が入った。別の話では、政治献金も同じように、ウン%が政治家に環流する仕組みになっていた。中国政府は、5%や10%じゃない。17%の寺銭を取っている勘定なのだ。
残念、リーマンショック以来、そんな寺銭徴収では、米国にもう物は売れない。そこで、2009年1月から、どうしても寺銭を下げざるを得なくなった。大体5%にした。率で言うと、ほぼ3分の1にした。だが、これでも日本に比べれば夢のよう。日本は、輸出するときは、消費税が全額戻ってくる。それどころか、それ以上の還付税があるらしい。日本政府は、それだけ輸出企業にしゃぶられている。
中国政府とすると、このまま寺銭が取れなくなってしまうと、政府の予算がなくなってしまう。
4、そこで、どうしても「元建経済圏」ほしい
「元安」のまま国際貿易を続けるためには、今以上に「ドル債」を買うか、「元建て」にするしかない。中国は、もう何ヶ月か先には、日本を追越して世界第2の経済大国になる。その大国が自国通貨を「世界の基軸通貨」とできないことは可笑しいじゃないか。こうして、中国政府には、一気に「元基軸通貨」構想が纏まった。
どうして、実現するか。まず、自国通貨の信用度を調査する必要がある。そこで、中国は、自国の一部ではあるが、別経済圏の香港(通貨は、香港ドル)で「元債」を発行してみることにしたのだ。失敗したとしても、自国内と言うことで片づく。
5、中国政府の目論見は、二重経済圏
今、中国の輸出製品は、二種類ある。一つは、先進国向けのもの、もう一つは途上国向けの物。先進国向けは、海外進出企業の製品で、途上国向けは、中国技術の製品だ。つまり、途上国向けには、粗悪品でいいというのだ。これは、中国政府が言っている言葉だ。尤も、「粗悪品」とは言わず、「並製品」と言っている。
中国は、アフリカに販路を拡大しようとしている。この時、ドル建てでは、ドルが暴落すれば、自国製品は売れなくなる。そうなのだ、この時「元建て経済圏」をアフリカに造れば、ドルの変動と関係なく「自国製品」が売れるのだ。実は、そういう事で、「元の国際化」が必要になってきているのだった。
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