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中国・新疆でウイグル族の大規模な暴動がおきた、これは単なる暴力事件か。
中国・新疆ウイグル自治区の省都ウルムチで、2009年7月5日夜8時頃、ウイグル人による大暴動が起きた。中国中央政府は、外部から扇動された暴徒による単純な暴力事件で、それによる死者が150人以上、負傷者が1000人以上、事件に関与した者が数千人いたと発表した。(別の情報では、500人死亡説がある。)そして、この中で、暴徒のために無辜の市民と商店が被害に遭い、こんな事は許されないことだと強調した。そのために、犯罪に関与したと思われる者が1500人拘束された。(2000人の拘束説がある。)
ウルムチの事件をこのように解釈していいのか。昨年3月に起きたチベ○○暴動を参考にここで何が起きたか考えてみよう。
1、新疆の中国化は「解放」だったのか
チベ○○と新○は、1950年、中国革命に引続き旧勢力から解放された中国の一地方だという事になっている。だが、これらの地方は、それ以前に、漢族が足を踏入れたことは余りなく、はっきり漢族に服属するのは、清朝に征服された400年前からである。それからでも、漢族化が始まった訳でもなく、依然として独立した地域だった。だが、中国解放軍による「解放」という名の「拘束」を受けるようになってからは、両地区では、独立を求める大・小規模の暴動がひっきりなしに60年間も続いている。
なぜ、暴動が起きるか。もちろん、ウイグル人が漢人に圧迫されるからだ。いや、トンでもない。政府の、少数民族を優遇している、という声が聞こえる。これは、形だけ。優遇に与れるのは、ほんのわずかの住民だけ。ウイグル幹部への懐柔だ。それと、外部への見せかけのためだ。そうした中で、漢族が、政治・経済・交通・教育・宗教のすべてを支配していく。
新疆地区の大多数であるウイグル人が少数の漢人に支配されている姿は、まさに植民地支配だ。日本は、第1次大戦後、中国満州に進出していったが、あれと同じ姿だ。いや、日本でも北海道で、江戸時代以降ずっと「アイヌ支配」が行われていたが、あれと同じことが新疆で行われるようになったのだ。
2、漢族が入植してから経済は大繁栄、だが、その実態は
いや、中国政府は、こう言う。そんな事はない。漢族が入植してから、新疆の経済は、毎年1割以上も伸び、しかも、ウイグル人の収入が伸びているじゃないかと。確かに、そう。だが、中身は、伸びたのは漢族の収入が大半で、ウイグル族の収入は、漢族に手下になった者だけに流れることになった。新疆区の真ん中には、タクラマカン砂漠というとても厳しい砂漠があるが、意外や不思議、この砂漠の周辺には、石油が採れ、重金属が採れる。が、残念、これらの権益は、すべて漢族のものになってしまうのだ。何、イラン、イラク、サウジなどの石油と同じで、地元住民に利益はなく、住民は、その土地の利益を吸取られるだけなのか。そう、将来のことを考えるならば、その地域は搾取されて廃墟とされているだけなのだ。
3、今や、漢族の方が多くなった
新○は、チベ○○と違って、生活条件はそれほど厳しくないので、漢族でも移住する気になれば、行って行けないことはない。1850年、アメリカのカリフォルニアでゴールド・ラッシュ(金鉱開発運動)が起きた。中国でも全く同じ現象が起きたのだ。相変わらず羊の遊牧などで生計を立てているウイグル人は、漢人には一たまりもなかった。ウイグル人は、商品経済化に巻込まれるや、漢族の経済支配の下におかれ、悲劇が始まった訳だ。
その結果、以前は、漢人の存在は、10−20%に過ぎなかったが、今では、50%以上になってしまった。そして、生活手段を奪われたウイグル人は、中国各地に散らばり、流浪の民となっていった。
これが、新疆地区のあらましだ。
4、暴動の発端は、広東省で起きた労働事件だが、これだけでは収まらない。
中国・新華社電によると、暴動の発端は、中国・広東省で起きた労働争議で出稼ぎに来ていたウイグル人が、漢族により2人(なぶり)殺しにあった。そして、犯人とされたウイグル人3人が逮捕された。(これには、別の情報があり、3、40人のなぶり殺し説がある。)
これを不満としたウイグル人が、故郷のウルムチで、真相解明を求めるデモが7月になってから始まった。
そして、7月5日その騒ぎが大きくなるや、警察官の発砲とともに大暴動へと発展していく訳だ。2万人の警察官が数千人の暴徒を取囲んで一斉射撃、冒頭に掲げた大惨事となった。
最後の締めくくりは、警察は、近くの住民を暴徒と関係があるとみての根こそぎ逮捕。人数は、1500人と発表されている。チベ○○事件からみて、さらに2次、3次逮捕者が現れるのは間違いない。
5、どちらに被害があったのか、ウイグル人か漢人か
中国中央政府発表では、死者と負傷者の総数しか分からない。しかも、「無辜の住民」がという言い方をしているところから、数千人のウイグル人が、無辜の漢人を襲ったような感じがに構成されている。
警察車が襲われ、またその他の車両が襲われ、商店が襲われたのは確かだ。なら、これだけのことで、何で150人(または500人)もの人が死ぬのか。1000人もの人が怪我をするのか。一般民衆は、怖かったら逃げたらいいじゃないか。できなかった。そう、発砲されたから、もう逃げるに逃げられない。だが、どこか可笑しい。そもそも、警察が一般民衆に発砲するのか。そう、警察が発砲したのは、暴徒・ウイグル人に向けた発砲だったのだ。警察車両、一般車を破壊しようとしている者への見境のない発砲だったのだ。
そんな事がどうしてわかるのだ。チベ○○事件がそうだったのだ。犠牲者の大半は、武装警察官の現地人への見境のない発砲によるものだった。今次の結果も大体同じに考えられ、被害者の内訳は、たぶんウイグル9対漢族1くらいだ。
6、報道規制、何で、自由な報道させないのだ
事件後、電話、電網は完全に封鎖された。
事件なら、詳しく報道する方が、ウイグル人の残虐性が映るのじゃないか。いや、テレビ報道は、警察車両が横転させられ炎上するところ、血まみれの人が血だまりから起き上がる映像。いや、目を背けたくなるような光景ばかりだ。ん、なら、それを自由に放映させればいいのじゃないか。
いや、それができないのだ。その10倍ほどが、警察官が無辜のウイグル人をなぶり殺にする映像になってしまうのだ。だから、政府は、自由な映像は見せられない。報道陣は、政府が流せと言ったもの以外流せなかったわけだ。
情報がなければ混乱が大きいのじゃないか。阪神大震災(1997)の時は、そのために大混乱が起きた。非常用の電話を確保せよと言われた。だが、ここでは、これを流させるわけには行けないのだ。そういう事を考えると、事件の真相が次第に見えてくる。
この事件は、政府による、ウイグル人への弾圧だったのだ。
7、組織化犯罪(暴動)か、証拠はいくらでも捏造できる
中国中央政府は、ウルムチ以外にも、カシュガル(パキスタン国境に近い町)やアスク(ウルムチに近いところの石油基地)で、暴力事件の兆候があったから、犯人を拘束した。だから、ウルムチのも含めて、3つは連関していたという。これが、信じられるか。まさか、そんな証拠が出てくるわけがないと考えるか。
中国警察の捜査の仕方は、日本の戦前の特高並みだ。ウウもスウもなく逮捕・監禁か。考えられる。ウルムチ近くの住民が手当たりしだい逮捕・拘束されたのだから、否定はできない。だが、そんな事をしなくても、自由に逮捕できる。
嘘だろう。私には、経験がある。いや、危なかった。もうちょっとで逮捕されるところだった。やばい事をしたのか。違う。日本語学校にいるとき、学生が授業料返還を巡って騒動を起こした。その時、私が犯人にされそうになったのだ。
手口は、こうだ。学校は、ある私がよく知っている学生を逮捕した。いや、不法拘禁だ。そして、その学生に、私が「日本の右翼で、やくざだ」と言わせた。そして、それを証拠に私を逮捕に来た。私は、慌てて「日本領事」に電話して、難が逃れられたのだ。いや、私は、「危ない」と予感したので、事前に領事に電話を入れていたところ、今、正に逮捕という瞬間に緊急連絡が入れられ、九死に一生を得たのだった。
ウイグル人にこんな緊急避難はできない。なら、ごっそり逮捕されて、皆ない泥を吐かされる運命にある。その後は、中央政府は、「これぞ、犯人の自白」だとして「政府発表の事実」が公表される。日本でも戦前に数多くやられたが、中国では、今でもこういう事が平気で行われている。
以上、この事件について、私の考えをまとめてみた。
注:7/10、後の情報を書きこんだ。
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