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メラミン入り牛乳の汚染と危険性
メラミン入り粉ミルクの被害が広がったと思ったら、次は、その元となる牛乳の汚染が広がりそうになってきた。そこで、中国の乳製品の販売状況、毒性認識などについて考えてみた。
乳製品の名称
中国で有名な乳製品は、「伊利」と「蒙乳」だ。これらの名前から、西部の酪農地帯で製造されたとの印象を受けるが、それとは関係がない。私は、一度聞いたことがある。はっきり言って、日本では、北海道産でない物に「北海道○○」と付けるのと同じだ。なお、「伊利」はウルムチの西、「蒙」は蒙古のことを言う。
これらの乳製品は、私の経験では、長春、北京、上海、蘇州、重慶、長沙、その他どこの都市でも売っていた。
乳製品の保存期間
驚くなかれ、保存期間(中国の表示方法)は、3ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、9ヶ月になっている。以前は、3ヶ月が主体だったような気がするが、正確ではない。3ヶ月、トンでもない、と言って買うのを止めた記憶がある。
日本の牛乳は、1週間かそこいら。中国の牛乳がなぜ腐らないか。防腐剤が大量に入っている、と考えるのは常識的だ。だが、分からない。私は、怖いから、余り買わない。
なお、中国では、生鮮牛乳という物はない。全て、加工乳だ。とにかく、長い時間掛けて運ばれるからだ。これでも、消費地へ配送される時間は短くなった感じがする。どこの店でも売っているからだ。
乳製品の味・値段
日本とは全然違うとまでは言えないが、かなり違う。常に、薬物か、との思い。それで、私は、余り飲みたくない。
中国では、豚肉は多いが、牛肉は少ないから、牛乳は高いし、品薄だ。
日本の牛乳は、水と同じほど安く、酪農家に申し訳ないと思うほどだが、中国では、割高感が強い。1リットル10元(160円)ほどだ。日本感覚でいえば、500円から1000円見当。高級飲料物だ。都市労働者は、裕福になってきたのか、結構買う者が多くなってきた。私は、割高感と薄給のためほとんど買わない。
牛乳の成分
中国牛乳の成分は、「伊利」乳で、次のようになっていた。
乳脂肪 3.3%
乳蛋白 2.8%
その他固形分 8%程度
大雑把に見て、脂肪3、蛋白3、その他8で、固形分は14%だ。
メラミン牛乳の毒性、中国の安全宣言
事件が拡大してきて、北京政府は、その毒性は僅かだとの見解を発表した。
大人なら2.5リットル/日、子供なら1.2リットルなら安全だと発表した。これは、信用できるか。
この数値は、こんなに高い牛乳をがぶ飲みしても健康被害はないと言いたいようだが、私は、その安全量を計算する前に、感覚的にあり得ない数値だと即断した。それが動機で、正確な量を計算し、この報告書を書く気になった。
なお、朝日新聞は、この一見可笑しい数値を全面に出して、中国主張を擁護している。あるいは、朝日新聞は、無能が故に、中国数値の可笑しさが分からないのか。
メラミン粉飾牛乳、粉飾の程度
メラミンを加えると、蛋白質分が増加したようにみえる。簡易な分析をすると、メラミンの窒素分が、蛋白質の窒素分と区別できないからだ。この点は、私ブログにメラミン入り粉ミルクで詳しく書いておいた。
ここからは、想定だ。中国では、メラミンによりどの程度の蛋白分を粉飾しているか。勿論、分からない。だが、私は、ずばり、規定量の「半量」だと推定する。その理由。メラミンには余り毒性はない。また、水に溶けるので、摂取されたメラミンは、短時間で体外に排出される。この点は、中国政府が、1日で90%は排出されると言っているが、これに、大きな間違いはない。メラミン粉飾は、経験的にしか分からなかったことだが、これが分かったからこそ、製造者の間で、「大丈夫だ、少々のことでは害は出やせん」となったと思われる。そして、「常識」になったし、大会社「伊利」「蒙乳」でも粉飾するようになったのだ。
また、業界の常識ができれば、政府役人が知らないことはあり得ない。本当に知らないというのなら、余程のバカだ。日本でも分からなかったって。日本の場合は、中国なら何でもいい、それと、テレビ出演者が素人同然だから当たり前だ。
三鹿粉ミルクは、市価の3分の1。なら、メラミン粉飾は、3分の2。これから、粉飾2分の1は推測の当然範囲内だ。
中国の権威主義、情報は、なかなか外に漏れない。賄賂汚染は日常的。そうなれば、メラミン粉飾に気がついた役人は、会社に何かの指導をしたと思われるが、賄賂でもみ消された。この程度の理由を挙げておけば十分だろう。
メラミン粉飾粉ミルクの安全性
中国政府は、海外の専門家の安全基準として、1キロの粉ミルクにつき15mg(15PPM)までなら安全だと言ったとしている。この表現は、妥当なのか。計算してみる。
粉ミルクは、生乳をそのまま乾燥した物だとする。そうすると、濃縮率は、固形分14%だから、7倍濃縮になる。
ここで、もう一つ仮定がいる。メラミンを加えると、どれだけ蛋白分が粉飾できるかということだ。これは、乳蛋白分の窒素の含有量とメラミンの窒素の含有量から理論的に計算できる。
蛋白質の化学式は、アミノ酸(RCHNH2CO2H)のn量体だから、Rの正確な値は分からないが、炭素数10くらいまでだ。そうすると、窒素分は、15分の1の7%、メラミンは、C3N6H6だが、この内の3つの窒素は不活性だから、窒素分は9分の3で33%。これから、メラミン投入で、5倍(←33/7)の蛋白質量の粉飾ができる。
これから、1キロの牛乳を乾燥したときの諸元を出す。
真性牛乳(1kg)
粉ミルクの乾燥重量は、120g
蛋白分 30g
粉飾牛乳(2kg)‥‥牛乳+増量剤+メラミン
粉ミルク量 240g
活性窒素分 牛乳蛋白30g+メラミン30/5(=6g)
(特に関係はないが、増量剤120―6=114g)
ゆえに、
生乳なら、1キロの生乳に3g(←2キロで6g)のメラミン投入
(粉ミルク1キロなら、25g(←6g/240g×1000))
メラミンを粉飾した粉ミルクのメラミンの混入率(濃度)は
25000/15で1600倍だ。大雑把に言って1500倍だ。
乳児のメラミン摂取量
乳児の摂取量(1日):
乳児は、希釈粉ミルクを1リットル/日 を飲むとすると、
1日の摂取量は、3g(=3000mg)
この量が多いのかどうか。安全量から計算する。
安全な量は、15mg/kg粉ミルク で、これが7倍に希釈されるのだから
15mg/7kg希釈乳 → 2mg/1kg希釈乳
そうすると、乳児の摂取量は、1500倍(←3000/2)
いや、凄い。乳児は、許容量の1500倍もメラミンを摂取していたのだ。
少なめに見積もっても1000倍を下ることはない。
乳児に腎臓結石ができても不思議ではない。
中国主張の安全量2.5リットル/日の意味は
中国政府は、大人が1日に2.5リットルも牛乳をがぶ飲みしないとメラミン障害は出ないという意味は、どう解釈すればいいのか。
安全基準内の粉ミルク1kgを希釈すれば、7kgの希釈液ができる。
先の計算によれば、2mg/リットル のメラミン液ができる。
その2.5リットル分が大人の安全な摂取基準量だ。
つまり、5mg/日
もし、メラミン汚染乳を2.5リットルも飲んだら、
3000mg×2.5で7500mg(7.5g)
いや凄い量だ
反対に、1日の摂取量を4.5mgに抑えようとしたら
4.5/3000(リットル)で、牛乳摂取量1.5g(ミリリットル)程度になる。
はっきり言って、中国政府の発表した2.5リットルは、安全メラミン牛乳の安全度を牛乳量で置き換えただけで、汚染乳を2.5リットル飲んでも安全だと言ったものではない。汚染乳なら、2g(ml)程度だ。
いや、危ないところだった。牛乳を2リットル飲んでも安全だと騙されるところだった。
朝日新聞に一言
私には、中国の安全宣言が可笑しいのは、計算しなくとも感覚で分かった。朝日新聞の記者は分からなかったのか。多分、そう思う。そうして、中国発表のものを鵜呑みにして、人に誤解を与える形で、中国政府は安全だと言っているという形で発表した。
自分の発表に自信がなければ、なぜ、専門家に聞かないのか。私には、非常に不満だ。
私の計算は、間違っているかも知れない。そうなら、指摘していた
だきたい。直ちに改めたい。
最後に計算の基礎に一定の仮定を置いた事を再度記しておく。
中国では、メラミンを蛋白質増量粉飾のために、等量の化学量のメラミンを使用した。
乳児は、1日に1リットルの希釈粉ミルクを飲む。
この結果言えることは、
乳児は、安全基準の1000倍ものメラミンを摂取していた。
生乳のメラミン汚染度は、1500倍程度だ。
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