中国拘束のフジタ社員はなぜ詳細を語らないか
河北省石家荘で拘束(逮捕)された日本・フジタ社員、4人全員全員が釈放された。だが、何故か、社員は一様に詳細については話さない。何故か、何か裏がある。考えてみよう。
1、不自然な拘束時状況
中国側は、軍事施設内で違法に撮影したから、4人を逮捕したと報じた。だが、情報が明らかになればおかしいことばかり。
4人は、自動車で仕事現場に向かった。運転手・通訳は中国人。途中で、「軍事施設に付き進入禁止」。この状況そのものがおかしい。
通常、日本人が公務で現場に引率する、通常、その状況を知った中国人が付くはず。本件の場合は、遺棄化学爆弾処理をするための建屋を建てるためのものだったのだから、自分たちだけで行くはずはない。運転手・通訳以外に政府関係者が乗っていたか、通訳が政府関係者の筈だ。
政府関係者が乗っていれば、軍事施設には顔パスが聞くはず。私も、こんな危ないところには行ったことはないが、政府関係の場所に顔パス役人に連れられて敷地に入ったことがある。だから、通常ならば、フジタの4人は、検問所で殆ど何も咎められることなく通れたはず。
次に、政府役人は、このようなところに入るときは、検問の時、この中では写真は撮らないようにとの注意を与えるはず。私も、そのような注意を受けたことがある。
これからが、本件に付いての記述。
担当役人が付いていながら、現場に至る道を間違うことがあるのか。あり得ない。そんな危険なところに行くのなら、担当者は、上級に必ず了解を取りに行くはずだ。それが、途中で「進入禁止」の標識があったから「引返すこと」にした。こんな事があるのか。あり得るわけがない。
その次、フジタの社員は、進入禁止になったので、写真を撮って引返すことにした。南極点には達成できなかったから、せめて自己最高の点を証拠として残そうというのとは違う。こんな事はあり得ない。
次に、旅行でもないのに、仕事途中で、行く先々をビデオカメラで撮影する必要があるのか。私は、最初、中国に行ったとき、回りの状況を質問し倒して写真を撮った。上海から250キロほどの現場に行くときのことだ。フジタの社員が物珍しくビデオ撮影したくなる事情は分かるが、最初の1回だけで、その後は、同じ風景ばかりで写真なんか撮りたくない。
だったら、いくら進入禁止でも、普通の景色なら危険を犯してまで写真を撮ることはあり得ない。
第3は、通訳がここは撮影禁止だと言ったから写真撮影したといっていること。中国は怖い、この感覚がある以上、「撮影禁止だから」という下りは不自然きわまりない。それと、何で、普通の景色しかない所を危険を冒してまで採らねばならないのか。
第4は、写真を撮った後、後から、軍事施設員が近づいてきて、その違法を指摘したという事実。歩哨は門番で、一旦中に入った者を、振返って取締に来ることはあり得ない。そもそも、歩哨は、やれと言われた項目だけを検査するのであって、検査合格の者にしつこく再来することはあり得ない。
もし、そういう事があったとするならば、運転手か通訳が密告したことになる。自分たちが引率している外国人に、何か違法行為があった場合、注意することはあっても、警察に突出すことがあるのか。常識的にない。
常識に反する事ばかりだ。この裏には、後から創られた事情が含まれていることは明らかだ。それは、最初から仕組まれた罠だったことで、もし撮影の事実があれば、「大丈夫だ」と言って日本人を安心させて泳がせたことだ。
2、反省文を書かされたこと
中国では、何かやっていけないことをしたときは、よく反省文を書かせる。もし、本人が抵抗すれば、反省すれば本件を穏便に扱ってやる、不問にしてやる、許してやると言って本人の非を認めさせる。政治的な意味合いがある時は、本人は、相手の言うことを認めたくないが、認めたくなければ認めたくないほど、しつこく反省を迫ってくる。
私は、こんな経験をした。ある日本語学校にいるとき、学生が終業鈴がなる前に便所に行った。日本人講師に了解を得たのだが、教務が言うことを聞かない。自分たちは、勉学に不真面目だったとの反省をせよと迫った。そう、反省したくなければよい。この部屋に入っておれと。教室から、机と椅子を放り出してしまった。学生は、日本人に自分たちは、日本人の了解を取ったのにと異議を唱えてきた。私は、机と椅子を入れてやり、授業継続を認めた。そうすると、教務が意固地になって再び机を放り出した。結局、学生が負けた。先生有り難うございます。私たちは、少しもありませんが、教務のいいなりになります。僅か、便所に行くのが終鈴の1分前だというようなことでも絡んでいくのだ。他の経験もしたがここでは省略する。こういうやり方が、日常的だ。
フジタの社員がこの手の攻撃に負けたことは十分想定できる。特に、言葉も分からぬ外国で、いつ終わることかも分からない「一つしかない選択肢」の責め具で責めまくられた。その恐怖は思いあまる。
3、中国の通訳が公正じゃないのは常識
勿論、恐ろしい裏があるからだ。どんな裏か。
中国人の場合には、こんな手を使う。私の経験を言おう。私は、被害を受けたので、通訳を連れて公安に行った。通訳にこう言ったという。1年後に聞いた。「お前の学歴は」「大学だって」「どこの大学だ」「上海の○○大学だって」。なら、ちょっと待って、と15分か20分。帰ってきて、「お前、○○大学じゃないじゃないか」「‥‥」「お前、お前の親のことだって何だって、公安は簡単に調べられるのだぞ」「‥‥」「お前、中国の立場を考えて通訳せよ」。
ちなみに、中国では、どこの公安局でも、人身調査は極めて容易。本人から身分証明書の番号を聞き出して、それをコンピュータに打込めば、瞬時にその物の履歴が分かるようになっている。別の機会に、その実体を自分の目で見ることになった。人格権など全くなく、いくらでもいもずる式に戸籍が調べられる。
その後、通訳はしゅん。怖くて怖くて、どんなことになるのか、と言うところだった。最後に、通訳の署名をと言われて、渋りに渋っての署名だった。当時、なぜ、道具であるはずの通訳がこんな事になってしまうのか分からなかった。だが、そのような裏があったのだ。
その時は、その通訳とは単なる知り合いだったが、1年後にその事を知って、改めてその時のことを思い出したのだった。
フジタの社員が、中国の国益を加味した通訳を要求されたことは容易に想定できる。なお、ついでだが、通訳に「中国の立場を考えて」と要求されることは常識的だ。こちらが喋った通りに向こうに伝えていないことは十分考えておかねばならない。
4、なぜ、フジタは寡黙なのか
フジタ社員は、帰国すれば、自由に喋ってもいい。中国漁船船長のように勝利勝利と言ってもいい。だが、寡黙で何も喋らない。おかしいじゃないか。
その時に、何か言われた。もう、それに限る。フジタ潰してやる。お前の何かと○○してやる。もし、言う事を聞けば、ご褒美として、○○をやろう。まさかと思うが、これも中国では常識的だ。私の経験を言おう。
ある時、日本語学校で、違法行為を重ねる理事長が自分のスパイ、子分を獲得するために、学生の前に立ってこう言った。ここにいる君たちは、私の協力者で、私は、君たちにご褒美をやりたい、と。そして、後のことだが、本当に就職先を斡旋してやるのだ。
私は、学生を助けるために、政府関係当局に救済の手紙を送ってやった。と、どうなるか。私は、理事長の裏工作で、次期の居住ビザが取れなくなってしまった。後で分かる。私がビザセンターに行くと、上から、私のビザは出さないようにとの指示があったと言われたのだ。この事は、ビザの申請書には、当時は、次期学校の就職契約書を添付すれば十分で、前の学校でどんなことがあったかなどという事は申告しなくてもいいのに、ビザセンターがその事を知っていた。つまり、理事長が、ビザセンターに圧力を掛けていたために、私の名前が知れることになっていた。振返ってみて、お前を上海に居られないようにしてやるからな、という捨て台詞を思い出す。
最後に忘れていた。フジタの社員は、5万元の罰金(担保金)を盗られている。こういうことも中国ではよくやることだ。
私たちは、中国で日本語講師をするに当たり、契約書に、この契約は絶対に破棄できないもので、もし破棄するのなら、ウン万元の賠償金を支払うものという項目が入っているのだ。そして、学校は、その契約を破るのは当たり前。なら、奴隷契約を結ぶのと同じ。我々は、例の理事長のために酷い目にあった。さらに、就職試験でも、我が社に入らない場合は、2万元罰金を払うという学生の身柄の拘束。
フジタの社員も、類似のことがあったのは想像に難い。
5、日本は、圧力に屈するな
今次の尖閣諸島への漁船の侵犯、当て逃げ事件に端を発する事件は大体就職に向かった。日本は、今後どのような日中関係を保ったらいいのか考えてみよう。
中国は、事件が自分の描いた筋書き通りに終わると、次のように言ってきた。希少金属(レア・アース)は、通常の輸出を開始する。上海の万博へ日本人学生1000人招待することにしていたがそれを約束通りする、と。また、閣僚級の交流を再開すると。これが認められるか。
私は、断言する。
未来永劫に中国に反発する必要はないが、本件事件では完敗し、その道具に使われた項目には、可能な限り中国の言いなりになってはならない。なれば、2回負けたことになる。断固として、中国に反省を求めねばならない。即ち、学生の交流は、今年は止めねばならない。高官の交流は、断絶はできないから沈静化するまで相手の手に乗ってはならない。