刷れ刷れ札を、そして紙切れにせよか(意訳)、平蔵よ
昨日のテレビを見ていると、竹中平蔵は、日本経済を回復するにはデフレ対策が必要で、そのためには、紙幣の大量発行が必要だと言った。これでいいのか。
竹中は言う。今、日本経済は、物の供給に対し需要が30兆円以上も少ないからだ。この30兆円分の金を市場に供給すれば購買力が増え、日本経済は回復する、と。経済論客には、これに同調する者もいる。
だが、よく考えてみよ。物価が下がるのは、国民の収入が減り、購買力が減少しているからじゃないのか。だがら、不足の30兆円を国家が配れば、一見、購買力が増えるように見える。だが、この金が所得の少なくなった国民の間にバラ撒かれるのか。あり得ない。びた一文だって、一般大衆には回ってこない。ならどこに行くのか。銀行だ。そして、銀行を通じて大会社に回る。尤も、利息を取って貸すわけだが、彼らは、その金で何らかの投資をし、その金が本当に国民に回るのか。そうはならない。日銀が市中銀行の抱え込んでいる国債を買ってやって、新たにバラ撒かれた金は、新規の国債の購入に充てられる。そうすれば、銀行は大儲け。こんな事に使われるのが落ちだ。
考えてみよう、バブル経済の頃。日本には投資先がなくなった。そこで、だぶついた金は米国債権の購入に充てられた。その結果は、大損。こんな事に使われる可能性もある。
平蔵は、別の効果を狙っている。多くの外国政府は、不経済対策として大量の通貨を発行して、自国通貨の意図的切下げにより、輸出を増やすことにより切抜けようとしている。それは中国対策で、その代表は米国だ。今、その最も強い煽りくっているのが日本だというわけだ。なら日本も右に倣えか。
1、財政切抜けの歴史版は徳政令だった
室町幕府は、放漫財政により幕府の危機、臣下大名の危機を回避するために何回も「徳政令」を発令した。徳政令とは、借金を棒引きしてやる命令の事をいう。当時の利息は高利だったから、今でいえば、自分と家臣を高利貸しからの解放してやることだが、常識的には、借金を棒引きにする命令を出せば、経済は大混乱する。だが、自立回復できない幕府ができることはこれしかなかった。
そんな事は、歴史的なことで、今はそんな無茶くちゃ政策はないのだろう。いや、それが、今でも行詰まった国家がやる常套手段になっている。日本は、第2次大戦敗戦後にやった。平価を200分の1にして、国家の借金をほぼゼロにしてしまった。最近でいえば、崩壊した東欧諸国、ロシア、南米諸国がやった。
いいじゃないか、それにより国家財政が立ち直れば。日本の借金は、国富(国内総生産 GDP)の2倍近い900兆円もあるのだ。これを棒引きにする絶好の対策じゃないか。だが、その裏もある。国民の貯金は、紙屑になる。あなたの貯金がゼロになるのだ。老後のためとため込んだ金や退職金がパーになるのだ。あなたは、そんな事は絶対に許せない筈だ。
2、江戸時代の3回の財政改革からの教訓
江戸時代には、3回財政改革が行われた。享保の改革、寛政の改革、天保の改革だ。幕府は、自分たちが租税で集めた金が商人に渡ることを防ぐために、一方で支出防止に華美を戒め、他方で百姓からの租税の取立てを厳しくした。
これで巧くいったのか。最初の享保の改革では巧くいった。農業収入は2倍になった。だが、これは経済の法則を無視していた。農業より商業、商業より工業の方が生産性が大きいということを忘れていた。だから、直ぐにまた財政危機に陥った。そこで、寛政の改革を行った。だが、方法が同じだったから、これは、殆ど功を奏することなく終わった。次は、強力な農業虐め、商人虐めだったから、もう末期的改革と言ってもよかった。経済は、手工業の時代に移っていたのだ。時代の趨勢を見誤った横車の改革だといってもよい。
現代の国家財政危機対策として、規制緩和、輸出産業への梃子入れが行われているが、現代の国際経済政策として、この対策は正しいのか。中国が輸出強化のために意図的な通貨安政策を行っている現在、いや、世界各国が自国通貨を下げ輸出振興政策を行っている以上、既存の経済対策は全く功を奏しない。私はそう思うが、皆はどう思うか。ちなみに、平蔵流の経済対策は、資産のある者の犠牲の上に国家と国家上層部が自分たちの失敗を切抜けようとするものだ。
3、現代の国家対策は、国家と国民に被害を与える者から税を取ることだ
今日本経済は、不当な元安政策をとる中国と裸の競争をしていて、こんな競争では土台競争はできず、どんどんどんどん日本の利益が中国に吸取られている。もし、この競争でも日本経済に帳尻をとるには、日本人の賃金は中国並みに現在の10分の1程度に下げねばならない。そんな事ができるのか。国民が納得するわけがない。なら、なんとか対策を考えねばならない。どうするか。
私は、常々「産業振興税」を新設せよと主張している。産業振興税とは、国内産業を外国(中国)に移転し日本国と国民に迷惑を与える者から税を取ること、外国の安い商品を輸入して暴利を得ている者から税を取ることだ。この点は、昨日のブログにも書いた。
国民の皆が納得出来る方法は、これしかない。これに対して、そんな事をしたら、日本の貿易に大打撃を与え、加工貿易である日本の死を意味するという者がいる。だが、よく見てみよ。米国は、失業者が10%になり、主に中国からの輸入品に100%の課徴金を課して、何とか米国の職場を守ることにした。日本会社にも、意味不明の罰金を科した。その会社は、100億円近い罰金支払いに同意した。各国は、なりふり構わず自国産業の防衛に舵を転換し始めた。日本は、中国に対して課徴金が取れるのか。取れない。なら、国内政策として、「産業振興税」政策は喫緊の課題といわざるを得ない。
国民の皆さん、「産業振興税」政策により日本を再生させよう。