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ランプレイの存在意義

 いつもパス関連の話ばかりしてランを無視しているように思えるかもしれないが、実際ほとんど無視している。なぜかというと重要度でどうしてもパスより劣るからだ。例えばANY/Aと得点との相関係数は最近では0.8を超えるのが当たり前だし、QBレーティングでも低いときで0.7以上はある。一方、ラン関連では比較的相関係数の高い1試合当たりランTD数でも低いときは0.5を下回るし、1回あたりのラン獲得ヤードにいたっては高いときでやっと0.5を超える程度、低い場合はマイナスにすらなる。
 もちろん、ランが何の役にも立っていないとまで言うつもりはない。弱い関係ではあるが相関がないわけじゃないからだ。ただAdvanced NFL Statsの分析"http://www.advancednflstats.com/2007/07/what-makes-teams-win-3.html"からも分かるようにその相関係数はパスに比べれば圧倒的に低いし、ターンオーバーに比べてもインパクトは小さい。
 実際、そのせいもあってStats関連サイトにおけるRBの評価はQBよりずっと低い。Advanced NFL StatsのWPAを見ると2012年に最も高かったLynchが2.05だったのに対しQBではRodgersの5.61が最多と圧倒的に多い。Lynchと同レベルのQBを探すとリーグ全体で15位前後まで順番が落ちてしまう。Football OutsidersのDYARでもRBトップのPetersonが459なのに対しQBトップのBradyは2035。Peterson並みのQBはリーグ全体の13〜14位でしかない。
 結局パスに比べて脇役、というのがNFLにおけるランの実態だ。勝利への貢献度だけでなく、最近は数自体もパスの方がランより多いのが当たり前になっており、例えば2012シーズン(含むプレイオフ)では全体のパスプレイが1万9784回だったのに対しランプレイは1万4579回とパスの4分の3以下にとどまっている。昔はまだランの方が回数が多かったかもしれないが、今や完全にパスこそが主役だ。
 
 だが、脇役であっても焦点が当たる場面はある。パスよりもランが主役を張る局面、それは後半にリードしている時だ。2012年のデータ(含むプレイオフ)を前後半それぞれについてリードしている時、同点の時、リードされている時と分けて、ランとパスがプレイされた回数を調べると「後半」に「リードしている時」だけ、ラン回数(4168回)がパス回数(3061)上回ったのだ。
 さらに得点との相関も高い。試合全体を通じて見ると2012年におけるラン回数と得点との相関は0.463にとどまるが、後半リードしている局面のラン回数と総得点との相関であれば、この数字は0.766と強い相関にまで高まる。もちろんこれは「後半にランを確立すれば勝てる」という意味ではなく「後半リードしているチームはランが増えるし勝つ確率も高い」という意味だが、いずれにせよ後半リードの局面でランにスポットライトが当たるのは間違いない。
 なぜ後半リードするとランが増えるのか。当たり前の話だが、時間を潰すためである。そして実際にその効果はある程度出ているようだ。試合全体を通じた場合、time of possessionとラン回数との相関係数は0.380と弱い相関にとどまっているのに対し、支配後半のtime of possessionと後半リードしている場合のラン回数の相関は0.486とそこそこの水準まで上昇する。2011年のデータになるとさらに凄く、後半リード局面のラン回数と、後半time of possessionの相関係数は0.706に達するのだ。最近10年間の平均も0.6を超えている。
 ただしそこで重要なのはランの回数のみである。2012年のランの平均獲得ヤードとtime of possessionとの相関係数は0.135、あるいはランのファーストダウン率とtime of possessionの相関係数は0.178となっており、どちらもほぼ無関係である。2011年に至ってはラン平均獲得ヤードとtime of possessionの相関係数がマイナス0.386と逆相関になってしまう。時間潰しのうえではランの内容は問わない、回数こそが重要なのだ。
 内容を問わないのは、別の視点からも裏付けられる。2012年のランの平均獲得ヤードを局面ごとに分類すると、試合前半はリードされている時(4.41ヤード)、同点時(4.47)、リードしている時(4.25)となり、試合後半はリードされている時(4.67ヤード)、同点時(4.27)、リードしている時(3.84)となる。見ての通り後半にリードしている時の数値が極端に低い。効率のいいランができなくても、回数さえ重ねれば時間を潰すことが可能なのである。
 
 即ち、RBが最も目立つ局面で活躍するRBとは、後半リードした局面でラン回数が多いRBを意味する。そういう観点で2012年のRBをランキングするとトップはArian Foster(154キャリー)で、以下Steven Ridley(153)、Alfred Morris(117)、Adrian Peterson(114)が続く。一般的なトータルヤードで上位に来る選手がこちらにも出ているわけだが、その並び方は随分と異なる。またトータルヤード22位ながらこのランキングではトップ10に入ったMichael Turner、トータルヤード8位なのにこのランキングでは28位になったSpillerなど、極端にランキングの異なる選手もいる。
 Turnerは明らかにRyan率いるパスオフェンスのおかげで上位に食い込んだ。もっと凄いのは最多得点力を誇るNew England所属のRidleyで、全体のラン回数(290)の半分以上が「後半リードした局面」のランだ。逆にチームが弱かったSpillerはリードした局面であまりボールが持てず、リーグ最弱チームに属するJamaal Charlesに至っては285キャリーのうち後半リードした局面のランはたった14回しかなかった。つまりこのランキングはRB個人の能力もさることながら、チーム事情に大きく左右されるのである。
 RBにとっては寂しい話だが、日の当たる場面であってもRBの立場は従属的なものでしかないということだろう。得点との相関ではパスに劣り、時間潰しを期待される場面はパスによってお膳立てされる。そうしてやっとフィールドの主役になった時、彼がやるべきことは効率よく走るよりもとにかく回数をこなすこと。シーズン通じて平均6.0ヤードを稼いだPetersonより、平均4.1ヤードのFosterの方がこの局面では活躍したと言えるのである。
 逆に言えばRBに金をかけるのは効率が悪いという意味でもある。優秀なQBにはいくらでも金を投じるべきだが、RBは時間潰しにたくさん走れるだけの頑丈さがあればいい。そもそもQBが無能ならRBに出番はないし、また頑丈さが心配なら最近多くのチームが取り組んでいるように複数の安いRBを交代させながら使えばいい。そして実際にはOLに金をかける方が、おそらくランプレイ構築には手っ取り早い(近年のNew Englandが典型)。RBはゲームにおいてあくまで「取り替え可能」な部品でしかないのだ。

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